2026/10/10

コールセンターの人手不足はなぜ起きる?採用だけに頼らない7つの対策と事例

「求人を出しても応募が来ない。やっと入った新人も、3か月もたたずに辞めてしまう」「シフトが埋まらない日は、管理者が自分で電話を取って何とか回している」。コールセンターの運営を任されている方から、こうした声をよく耳にします。コールセンターの人手不足は、人が集まらない・定着しないという「供給」の問題と、受けなければならない電話が多すぎて必要な人数が膨らむという「需要」の問題が重なって起きています。採用と定着だけで追いつかないときは、電話の量と処理時間を減らし、必要な人数そのものを小さくするのが確実な解消法です。本記事では、統計で見た人手不足の現状と原因を整理したうえで、症状別の見分け方と7つの対策、電話の量を減らして人手不足を乗り越えた企業の事例を解説します。

目次

・コールセンターの人手不足は、どれほど深刻?

・コールセンターが人手不足になるのはなぜ?

・人手不足を放置するとどうなる?

・自社の人手不足はどこから来ている?症状別の見分け方

・コールセンターの人手不足を解消する7つの対策

・どの電話なら自動化に任せられる?

・電話の量を減らして人手不足を乗り越えた事例

・人手不足の対策を始める5つのステップ

・よくある質問

・まとめ

コールセンターの人手不足は、どれほど深刻?

コールセンターの人手不足は、一時的な採用難ではなく、働く世代の人口が減り続けるなかで起きている構造的な問題です。ここでは、国の統計から現状を確かめます。

働く世代の人口は、ピークから1,200万人以上減っている

15〜64歳の、いわゆる生産年齢人口は、1995年の8,726万人をピークに減少が続いています。2020年の国勢調査では7,509万人となり、25年間で1,200万人以上減りました。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計(出生中位)では、2032年に7,000万人、2043年に6,000万人を割り込み、2070年には4,535万人まで減る見通しです(出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」)。

足元の数字を見ても、総務省統計局の人口推計では、2024年10月1日時点の15〜64歳人口は7,372万8千人で、前年から22万4千人減っています(出典:総務省統計局「人口推計(2024年10月1日現在)」)。働き手の数そのものが毎年減っている以上、どの業界も同じ人材を取り合う状況は続くと考えておくべきでしょう。

コールセンターを含む産業は、人の入れ替わりが激しい

人の入れ替わりの激しさも、人手不足に拍車をかけています。日本標準産業分類では、電話で顧客対応の窓口業務を専門に行う「コールセンター業」は、大分類「サービス業(他に分類されないもの)」に含まれます(出典:総務省「日本標準産業分類(令和5年7月告示)」)。

厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、一般労働者の離職率が全産業で11.5%だったのに対し、「サービス業(他に分類されないもの)」は19.0%で、主要な産業の中で最も高い数字でした。パートタイム労働者でも、全産業の21.4%に対して23.8%で、「宿泊業,飲食サービス業」の29.9%に次ぐ高さです(出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」)。この産業分類には警備業や労働者派遣業なども含まれるため、コールセンターだけの数字ではありません。それでも、コールセンターが人の入れ替わりの激しい産業の中で人を集めている、という現実は読み取れます。

離職率の計算方法や、辞める人が多い窓口に共通する原因は、コールセンターの離職率が高い5つの原因で詳しく解説しています。

人手不足の大きさは何で決まる?

人手不足の大きさは、必要な人数と、実際にいる人数の差で決まります。現場で「人が足りない」と感じるとき、起きているのは、必要な人数に対している人数が足りないという状態です。そのため、対策も「いる人数を増やす」と「必要な人数を減らす」の2方向から考えられます。

必要な人数は電話の件数と1件の処理時間で決まり、いる人数との差が人手不足になること、電話の件数と処理時間を減らせば必要な人数も減ることを示した図

必要な人数は、ざっくり言えば「電話の件数×1件あたりの処理時間」で決まります。例えば1時間に60件の電話があり、通話と後処理を合わせて1件に平均6分かかる窓口なら、処理に必要な時間は1時間あたり360分、つまり6人分です。オペレーターが常に電話を取り続けることはできないため、稼働率を80%と置くと、6÷0.8で7.5人、席は8人分が必要です。

この窓口で、定型の電話の3割を自動音声で受け付けられるようにすると、オペレーターが受ける電話は42件に減ります。同じ計算をすると必要な人数は5.25人で、席は6人分で足ります。採用で2人を増やすのと同じだけの余裕を、電話の量を減らすことで作れるわけです。

実際のシフトは、待ち時間の目標(サービスレベル)も加えて組むため、この式より多めの人数になるのが普通です。ただ、電話の件数と処理時間のどちらかが減れば必要な人数も減る、という関係は変わりません。

コールセンターが人手不足になるのはなぜ?

コールセンターが人手不足になる原因は、人が集まらず定着しない原因と、必要な人数が膨らむ原因の2つに分けられます。採用の話だけで終わらせないために、両方を順に確認します。

人が集まらず、定着しないのはなぜ?

心の負担が大きい仕事であるわりに、働く条件の融通が利きにくいからです。ここでは、いる人数が増えない側の原因を3つ挙げます。

クレームやカスハラを受け止める心理的な負担が大きい

コールセンターの仕事では、お客様の怒りや不満を電話越しに直接受け止める場面が避けられません。理不尽な要求や長時間の苦情が続くと、仕事そのものは嫌いでなくても、心がすり減って辞めていく人が出てきます。2026年10月1日からは、改正労働施策総合推進法により、事業主にカスタマーハラスメントを防ぐための措置が義務づけられました(出典:厚生労働省「令和7年労働施策総合推進法等の一部改正について」)。会社としての方針や対応の決まりは、義務化されたカスハラ対策とはで整理しています。

覚えることが多く、一人で受けられるまでに時間がかかる

新人は、商品やサービスの知識から料金や契約の決まり、システムの操作、敬語の使い方までを一度に覚えなければなりません。一人で電話を受けられるようになるまでには、どうしても時間がかかります。研修の途中で自信をなくして辞めてしまうと、教育にかけた時間と費用がそのまま失われます。入社時と定期的な研修の組み立て方は、コールセンターの研修内容が参考になるでしょう。

シフトが生活に合わない

朝から夜まで、場合によっては土日も電話を受ける窓口では、シフトの融通が利かないと子育てや介護、学業と両立できません。電話が集中する時間帯ほど人が必要になる一方、その時間帯は働き手にとっても予定が入りやすい時間です。働ける時間の条件が合わないことが、応募が来ない理由にも、辞める理由にもなります。

必要な人数が膨らむのはなぜ?

電話の件数と1件の処理時間が、働く人の数とは関係なく増えていくからです。採用の担当者からは見えにくく、見落とされがちな部分でもあります。

電話の山と谷の差が大きい

コールセンターの電話は、1日の中でも、1年の中でも、件数に大きな波があります。疲労回復ドリンクを販売する日本予防医薬株式会社では、夏に広告が集中するため、繁忙期と閑散期でコール数に10倍近い差があり、オペレーターの人員確保に悩んでいました(出典:導入事例 日本予防医薬株式会社)。

山に合わせて人をそろえると谷の時間に人が余り、谷に合わせると山の時間に電話を取りこぼします。人を確保しにくい時期ほど、山の時間帯の人数が足りなくなるのが厄介なところです。

1件あたりの処理時間が延びている

商品やサービスの種類が増え、手続きが複雑になるほど、1件の電話にかかる時間は延びていきます。通話が終わったあとに記録や手配をするACW(後処理時間)が長い窓口では、オペレーターが席にいても次の電話を取れない時間が積み上がります。処理時間が1分延びるだけで、必要な人数は目に見えて増えるはずです。

人でなくても受けられる電話まで人が受けている

窓口にかかってくる電話を用件別に数えてみると、決まった項目を聞き取れば終わる定型の電話が大きな割合を占めていることがよくあります。ミネラルウォーターの定期配送を行う株式会社サイサンでは、定期配送のキャンセルと追加注文が受電内容全体の8割を占めていました(出典:導入事例 株式会社サイサン)。こうした電話をすべてオペレーターが受けていると、相談や判断が必要な電話に回せる人が足りなくなります。

つながらない電話のかけ直しが件数を増やす

人が足りずに電話がつながらないと、お客様はかけ直してきます。1人のお客様が3回かければ、用件は1つでも着信は3件です。電話放送局が50〜70代の男女241名に行った調査では、コールセンターを利用したときの嫌な経験として「電話がなかなかつながらず、イライラした」を挙げた人が50.2%で最も多い結果でした(出典:コールセンター利用とAI自動応答(ボイスボット)に関する意識調査)。つながらない状態が続くと、かけ直しの着信が積み上がり、もともと混んでいる時間帯をさらに混ませてしまいます。

人手不足を放置するとどうなる?

人手不足を放置すると、応答率の低下による売上の取りこぼし、残った人への負担の集中、採用と教育の費用の積み増しという3つの影響が連鎖して起きます。

人が足りない、電話がつながらない、かけ直しで電話が増える、残った人の負担が増える、辞める人が出る、という人手不足の悪循環の図

応答率が下がり、売上を取りこぼす

人が足りない時間帯には、応答率が下がり、オペレーターにつながる前に切られる電話が増えていきます。注文や申し込みを受ける窓口では、つながらなかった電話の分だけ売上を逃します。問い合わせの窓口であっても、つながらない体験はお客様の不満として残るでしょう。

残った人に負担が集中し、さらに人が辞める

人が足りない窓口では、休憩が取りにくくなり、待たされて機嫌を損ねたお客様の電話を受ける回数も増えます。負担が重くなった職場からはまた人が辞め、残った人の負担はさらに重くなっていきます。人手不足が人手不足を呼ぶ悪循環に入ると、採用を強化しても追いつきません。

採用と教育の費用が繰り返しかかる

辞めた人の穴を埋めるには、求人広告、面接、研修の手間と費用が毎回かかります。一人前になる前に辞める人が多いほど、教育に使った時間が回収できないまま出ていくことになります。採用の予算を増やす前に、なぜ人が足りないのかを見極めておくことが大切です。

自社の人手不足はどこから来ている?症状別の見分け方

人手不足の原因は窓口ごとに違うため、自社にどの原因が当てはまるかを先に見極めると、打つべき対策がはっきりします。次の表で、自社の状況に近い行を探してください。

現場で起きていること 考えられる原因 まず打つ手
求人を出しても
応募が来ない
勤務時間や働き方の条件が
働き手の生活に合っていない
短時間勤務や在宅勤務など、
働ける条件の幅を広げる
入社から
3か月以内に辞める
覚えることが多く、
一人で受ける不安が大きい
研修とマニュアルを見直し、
受け持つ用件を絞って始める
ベテランが
辞めていく
難しい電話やクレームが
一部の人に集中している
難しい電話の偏りを見える化し、
カスハラの対応方針を決める
特定の時間帯や
季節だけ回らない
電話の山と谷の差が大きく、
山に人数が合っていない
シフトを山に合わせ、
山の電話は自動で一次受けする
人数は足りているのに
待ち呼が減らない
1件あたりの処理時間や
後処理が長い
後処理を減らし、
回答をすぐ探せる仕組みを整える
同じ内容の電話ばかり
受けている
人でなくても受けられる
定型の電話が多い
定型の電話を自動音声や
Webでの自己解決に切り替える

表の上の3行は「いる人数」の問題、下の3行は「必要な人数」の問題です。採用や定着の施策だけを続けて人手不足が解消しない窓口では、下の3行のどれかが当てはまっていることがよくあります。どの用件の電話が多いのかを把握するには、コールリーズン分析で入電の理由を集計するのが近道です。

コールセンターの人手不足を解消する7つの対策

人手不足を解消する対策は、人を集めて辞めさせない対策、必要な人数そのものを減らす対策、外部の力を借りる対策の3つに分けられます。まず7つの対策を一覧で示し、そのあと1つずつ解説します。

対策 減らせるもの・
増やせるもの
向いている窓口
①辞める理由を
つかんで手を打つ
辞める人を減らす 入社後すぐの離職や
ベテランの退職が続く窓口
②働ける条件の
幅を広げる
応募できる人を増やす 求人への応募が
少ない窓口
③シフトを
電話の山に合わせる
山の時間帯の
取りこぼしを減らす
時間帯や曜日で
件数の差が大きい窓口
④処理時間を
短くする
1件にかかる時間を
減らす
後処理や
調べ物が長い窓口
⑤Webやチャットで
自己解決してもらう
電話の件数を減らす Webで答えられる
質問が多い窓口
⑥定型の電話を
自動音声で受け付ける
オペレーターが受ける
電話の件数を減らす
注文・キャンセル・
解約など定型の受付が多い窓口
⑦繁忙期や時間外を
外部に任せる
自社で抱える
人数の山を減らす
季節や広告で
件数が大きく動く窓口

人を集め、辞めさせない対策

いる人数を増やすための対策です。採用を強化するより先に、辞める人を減らすほうが少ない費用で人数を保てます。

対策① 辞める理由を数字でつかみ、先に手を打つ

最初にやりたいのは、辞めた人の理由と時期を記録して並べることです。入社から3か月以内に辞める人が多いなら研修や最初に受け持つ用件の範囲、ベテランが辞めていくなら難しい電話やクレームの偏りに原因があると見当がつきます。

退職の申し出があってからでは、引き止められる余地はほとんど残っていません。欠勤や遅刻の増加、面談での発言の変化など、辞める前に表れる兆候をつかむ仕組みも合わせて用意しておくと安心です。離職率を下げる7つの対策は、コールセンターの離職率が高い5つの原因で紹介しています。

対策② 短時間勤務や在宅勤務など、働ける条件の幅を広げる

「平日9時から18時まで、週5日出社」という条件しかない求人では、応募できる人はかなり限られてしまいます。1日4時間の短時間勤務や、午前だけ・夕方だけのシフトを用意すると、子育て中の人やダブルワークの人も選択肢に入るはずです。

在宅勤務を取り入れれば、通勤できる範囲の外からも人を集められるでしょう。在宅で電話を受けるには、通話の録音や個人情報の管理、困ったときの相談の仕組みを整える必要があります。導入の手順や課題は、コールセンターをテレワーク化するメリットで解説しています。

必要な人数そのものを減らす対策

ここからは、受ける電話の量や処理時間を減らして、必要な人数を小さくする対策です。人を採りにくい時期ほど、こちらの対策が人手不足の解消に直結します。

対策③ シフトを電話の山に合わせ、山そのものをならす

1日の合計では人が足りていても、電話が集中する30分に席が埋まっていなければ、その時間帯は人手不足になります。直近1か月の着信を、曜日ごとに30分単位で並べ、山の時間帯に人を厚く置くようにシフトと休憩を組み直してください。

山そのものを低くする方法もあります。ネスレ日本株式会社は、解約の電話をIVR(自動音声応答)で一次受けし、解約希望者の一覧を作ってから、手の空いた時間にオペレーターが電話をかける形に変えました。入ってくる電話は件数を予測できませんが、こちらからかける電話は計画的に増減できます。解約の折り返しが人員配置の調整役になり、対象業務のコストを45%削減しています(出典:導入事例 ネスレ日本株式会社)。混雑時に番号を預かって後から折り返す方法は、コールバックと呼ばれます。

対策④ 1件あたりの処理時間を短くする

同じ人数でも、1件の処理時間が短くなれば受けられる電話は増えます。通話と後処理を合わせたAHT(平均処理時間)を見て、通話と後処理のどちらに時間がかかっているのかを先に確かめてください。

後処理が長いなら、入力項目を減らす、定型文を用意する、通話の内容を自動で文字にするといった工夫で短くなります。通話が長いなら、回答を探すのに時間がかかっていないかを疑ってください。よくある質問と回答を一か所にまとめたナレッジベースがあれば、新人でも答えにすぐたどり着けるため、教育の負担も軽くなります。

対策⑤ Webやチャットで自己解決できる窓口を用意する

営業時間や手続きの方法、配送状況の確認など、Webで答えを示せる質問は、電話をかける前に解決してもらうのが理想です。よくある質問のページを整え、チャットボットで24時間答えられるようにしておくと、電話の件数そのものが減っていきます。

電話がかかってきた後でも、自己解決に案内することはできます。自動音声で「Webでもお手続きいただけます」と伝え、希望したお客様にSMSで手続きページのURLを送る方法です。チャットボットの選び方はコールセンターのチャットボット導入効果と選び方、案内先のFAQの作り方はFAQチャットボットとはで紹介しています。

対策⑥ 定型の電話は自動音声で最後まで受け付ける

注文の追加や定期配送のキャンセル、解約の受付など、聞き取る項目が決まっている電話は、自動音声で最後まで受け付けられます。番号や日付はプッシュ操作で、名前や理由は音声で話してもらい、受け付けた内容を社内のシステムに取り込めば、オペレーターは一度も電話に出る必要がありません。

自動化には、プッシュ操作で用件を選んでもらうIVRと、話した言葉を音声認識で聞き取るボイスボットの2つの方法があります。どちらを選ぶ場合も、すべての電話を自動にするのではなく、オペレーターにつなぐ道を残しておくことが大切です。

外部の力を借りる対策

自社だけで人数の山を抱えきれないときは、外の力を借りる方法もあります。

対策⑦ 繁忙期や時間外の電話を外部に任せる

キャンペーンの時期や年末だけ電話が何倍にも増える窓口では、山に合わせて自社で人を雇うと、山が過ぎたあとに人が余ってしまいます。繁忙期だけ、あるいは夜間や休日だけを外部のコールセンターに任せれば、自社で抱える人数を平らにできるでしょう。

任せる範囲を決めるときは、受け答えの品質と、お客様の情報の受け渡し方を事前に決めておく必要があります。委託の進め方と注意点は、コールセンターのアウトソーシングとはで整理しています。

どの電話なら自動化に任せられる?

自動化に任せやすいのは、聞き取る項目が決まっていて、判断や相談がいらない電話です。反対に、契約の複雑な変更や、迷っているお客様の相談は、人が受けたほうがお客様の満足につながります。

入ってくる電話を、自動音声で受付が完了する電話、Webやチャットで自己解決できる電話、オペレーターが受ける電話の3つに仕分け、オペレーターが受ける電話を減らす流れを示した図

お客様の側から見ても、この線引きはおおむね一致しています。電話放送局が50〜70代の男女241名に行った調査では、「人よりボイスボットのほうが話しやすい場面がある」と答えた人が70.5%にのぼりました。一方で、人のオペレーターに対応してほしい場面としては、別の項目が上位に並んでいます(出典:コールセンター利用とAI自動応答(ボイスボット)に関する意識調査)。

区分 お客様が挙げた場面
(回答の割合)
窓口での任せ方
ボイスボットの
ほうが話しやすい
解約・退会の手続き(35.3%)
深夜・早朝(24.9%)
クレーム・苦情を伝えるとき(18.7%)
解約の受付や時間外の受付は、
自動音声で一次受けする
人のオペレーターに
対応してほしい
契約内容の複雑な変更(49.4%)
判断に迷って相談したいとき(36.1%)
商品の使い方を教えてほしいとき(29.0%)
オペレーターが受け、
自動音声からもすぐにつなげるようにする

同じ調査で、ボイスボットに対する不安の上位は「話した内容を正しく聞き取ってもらえるか」(22.4%)と「結局オペレーターにつながるなら二度手間ではないか」(22.0%)でした。自動化する電話を選ぶときは、聞き取る項目をできるだけ少なくし、途中で人に代わりたいお客様をすぐにつなげる道を用意しておくと、お客様の不安を減らせます。

自動化する用件を決める手順は、難しくありません。まず1か月分の電話を用件別に数え、件数の多い順に並べてください。次に、上位の用件を「決まった項目を聞けば終わるか」「判断や相談がいるか」で分けることです。前者のうち件数の多いものから自動化すれば、少ない手間で、オペレーターが受ける電話の件数を大きく減らせます。

電話の量を減らして人手不足を乗り越えた事例

ここからは、人を増やさずに電話の量を減らし、人手不足を乗り越えた企業の事例を4つ紹介します。いずれも、電話放送局のサービスを導入した企業の実際の数字です。

有人の電話を半分近くに減らし、応答率を93%に上げた事例

株式会社サイサンのミネラルウォーター事業では、定期配送のキャンセルと追加注文が受電の8割を占め、夏の需要期には電話が殺到して有人での対応に限界がありました。導入前は月平均16,000本の電話に対し、応答率は70%だったといいます。

キャンセルと追加注文を自動受付のIVRに任せたところ、有人で受ける電話は月平均8,500本に減り、応答率は93%に上がりました。IVRでは月平均7,000件を受け付けており、人件費は40%削減、受注数は20%増えています(出典:導入事例 株式会社サイサン)。空いた人員は、ほかの受電業務に回せるようになりました。

増員ゼロで、電話注文の80%を自動化した事例

宅配水を販売する株式会社中京医薬品では、お客様が増えるにつれてコールセンターへの電話も年々増えていました。受付の席数を増やさずに、追加注文や問い合わせを取りこぼさない体制を作ることが急務だったそうです。

追加注文の電話をIVRで自動受付する仕組みに切り替え、消耗品の注文やカートリッジ交換の案内も組み込んだ結果、電話注文の80%を自動化できました。増員はゼロのまま、正社員の比率を6分の1にしてパート中心の体制に切り替え、固定費も下げています。台風やコロナ禍で受付スタッフが出勤できないときも、受付を止めずに済んだといいます(出典:導入事例 株式会社中京医薬品)。

解約の電話の40.9%を自動で完結し、年間3,800時間を削減した事例

繁忙期と閑散期でコール数に10倍近い差があった日本予防医薬株式会社は、新規注文、定期注文、解約受付の3つの業務にボイスボット「DHK CANVAS」を使っています。解約の電話では、電話番号や顧客番号をプッシュ操作で、解約の理由を音声で話してもらい、受け付けた内容を社内のシステムに自動で取り込む仕組みです。

年間7万件の解約電話のうち40.9%が完全に自動で完結するようになり、年間3,800時間の削減につながりました。注文の受付でも、オペレーターとほぼ同じ水準の定期購入への引き上げ率を保ったまま、コストを25%削減しています(出典:導入事例 日本予防医薬株式会社)。

人が集まらない年末に、席数を80%減らした事例

おせちやカニを販売するスカイネット株式会社では、年末の一斉発送のあと、配送状況を確認する電話が鳴りやまない状態でした。年末はオペレーターを集めること自体が難しく、人で受けきれる量ではなかったといいます。

年末の電話の90%が配送状況の確認だったため、電話番号をプッシュ入力してもらうだけで注文内容と配送状況を案内するIVRを導入しました。ほとんどの業務をIVRに任せられるようになり、席数を80%削減して運営コストを大幅に下げています(出典:導入事例 スカイネット株式会社)。人が集まりにくい時期に、人が受けなくてよい電話を切り出した例です。

人手不足の対策を始める5つのステップ

ここまでの内容を、実際に手を動かす順番に並べ直します。いきなり求人を増やしたりシステムを選んだりする前に、数字をそろえるところから始めてください。

ステップ1 必要な人数といる人数を数字で出す

直近1か月の着信件数と1件あたりの処理時間から、時間帯ごとに必要な人数を出します。同じ時間帯に実際に席にいた人数と並べると、どの時間帯に何人足りないのかが見えてきます。

ステップ2 足りない理由を「いる人数」と「必要な人数」に分ける

応募の数、入社後の在籍期間、辞めた理由を並べて、いる人数が増えない原因を探しましょう。あわせて、時間帯別の件数の波、処理時間の推移、用件別の件数を見て、必要な人数が膨らんでいる原因を確かめます。症状別の表のどの行に当てはまるかも、ここで判断できるはずです。

ステップ3 用件別に、人が受けるべき電話かを仕分ける

用件別の件数を多い順に並べ、決まった項目を聞けば終わる電話と、判断や相談がいる電話に分けます。前者は自動音声やWebでの自己解決に、後者はオペレーターに、という分担の案をここで作ります。

ステップ4 効果の大きいものから1つずつ手を打つ

ステップ2と3で見えた原因のうち、足りない人数への影響が大きいものから対策を当てます。複数の対策を同時に始めると、どれが効果を上げたのかが分からなくなるため、1つずつ進めるのが確実です。

ステップ5 1か月ごとに数字を取り直す

対策を入れたら、ステップ1と同じ方法で必要な人数と、いる人数を出し直します。応答率や処理時間、離職者の数も並べて見ると、コールセンターのKPIの中でどの数字が動いたのかを確かめられます。

よくある質問

Q. コールセンターが人手不足になる一番の原因は何ですか?

一つに絞れるものではなく、人が集まらない・定着しないことと、受けるべき電話が多すぎて必要な人数が膨らむことが重なって起きます。前者はクレームの負担や覚えることの多さ、シフトの条件が、後者は電話の波の大きさや処理時間の長さ、定型の電話の多さが主な原因です。自社の場合はどちらが大きいのかを、数字で確かめるところから始めてください。


Q. 採用を増やしても人手不足が解消しないのはなぜですか?

辞める人の数が採用した人の数に追いついている場合や、必要な人数そのものが増え続けている場合は、採用を増やしても足りない状態が続きます。入社後の在籍期間と、電話の件数・処理時間の推移を並べて見ると、どちらが原因かが分かります。必要な人数が膨らんでいるなら、電話の量を減らす対策を優先するのが近道です。


Q. 自動音声を入れると、お客様の満足度は下がりませんか?

自動音声に任せる用件を選べば、満足度を下げずに導入できます。電話放送局の調査でも、解約の手続きや深夜・早朝の問い合わせは、人よりボイスボットのほうが話しやすいと答えた人が一定数いました。複雑な変更や相談の電話は人が受け、途中でオペレーターに代われる道を残しておくことが大切です。


Q. 小規模なコールセンターでも、自動化で人手不足を補えますか?

補えます。席数が少ない窓口ほど、1人が休んだだけで応答率が大きく下がるため、定型の電話を自動で受け付ける効果がはっきり表れるからです。まずは件数の多い用件を1つだけ自動化し、オペレーターが受ける電話がどれだけ減ったかを確かめると、次の判断がしやすくなります。


Q. 人手不足の対策として、アウトソーシングと自動化はどう使い分ければよいですか?

聞き取る項目が決まっている定型の電話は自動化、人の判断や会話が必要な電話の山はアウトソーシング、と分けるのが基本です。自動化は24時間、件数が増えても同じ品質で受けられる一方、アウトソーシングは人が対応するため、複雑な用件にも対応できます。繁忙期の電話の中身を用件別に数え、どちらに当てはまる電話が多いかで決めてください。


Q. 人手不足の対策は、何から始めればよいですか?

まずは、時間帯ごとに何人足りないのかを数字で出してください。そのうえで、足りない理由が人の集まり方にあるのか、電話の量や処理時間にあるのかを分けて考えます。理由が分かれば、採用、定着、自動化のどこに手を打つべきかが決まります。

まとめ

コールセンターの人手不足を解消できるかどうかの分かれ目は、「人を増やす」だけでなく「必要な人数を減らす」側の対策まで考えられるかどうかです。働く世代の人口が減り続けるなかで、採用と定着の工夫だけで足りない人数を埋め続けるのは、年々難しくなっていきます。

最初の一歩として、直近1か月の電話を時間帯別と用件別に数え、必要な人数と、いる人数を並べてみてください。決まった項目を聞けば終わる電話が上位に並んでいれば、その電話を自動音声で受け付けるだけで、採用に頼らず人手不足を和らげられます。株式会社電話放送局では、IVRやボイスボット「DHK CANVAS」を使い、自動化する用件の選定から運用後の改善まで伴走しています。電話の量を減らした企業の取り組みは、導入事例もあわせてご覧ください。

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監修者情報

メーカーのコールセンター運営管理に従事し、自らIVRを導入。
不要な入電を抑制しつつ売上向上を実現するなど、現場視点で成果を創出。電話放送局では営業マネージャーとして10年以上従事し、クラウド型IVRの業界シェア1位獲得に貢献。
コロナ禍におけるユーザーのデジタル行動変容を受け、マーケティング部門を立ち上げ、責任者に就任。インサイドセールスを統括し、営業部門との連携を強化。自動音声応答の導入、運用、集客、営業の幅広い経験を有する。
IVRおよびコールセンター市場における20年以上の知見を活かし、ユーザーの検索行動やニーズを深く理解したマーケティング戦略を展開。
検索連動広告の運用経験を基に、現場で役立つ実践的な情報を発信し、読者のビジネス成功を力強くサポートします。

監修者 前田泰延(株式会社電話放送局) マーケティング責任者 営業部営業推進課 課長 前田泰延

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