ボイスボットとは?メリット・デメリットや活用方法、選定ポイント
2023/07/31
AI(人工知能)や音声認識といった先端技術の導入によって、自動応答サービスによる電話業務の効率化が実現されつつあります。従来の業務の在り方を見直して、顧客にもオペレーターにもメリットをもたらせると理想的です。ここでは、業界で注目を集めるシステム「ボイスボット」について解説します。
ボイスボットの基礎知識や、導入のメリット・デメリット、活用シーンや選定のポイントまでお伝えするため、企業のご担当者様はぜひご一読ください。コールセンターの業務効率や顧客満足度の向上を目指しましょう。
目次
・コールセンターを効率化するボイスボット「ロボット自動受付」
ボイスボットの基礎知識
まずは、先端技術を活用したシステム「ボイスボット」の基礎知識をご紹介します。AIとの連携や、コールセンター業界で導入されている「IVR」や「チャットボット」との違いについても解説するため、比較検討してみましょう。
ボイスボットとは
「ボイスボット」とは、顧客から入電があった際に、電話口で話す内容を解析して、自動対応やオペレーターへの転送を行うシステムのことです。「対話型AI」「音声認識」「自然言語処理」「音声合成」といった技術が活用されています。どのような仕組みなのか、それぞれの技術について確認してみましょう。
*対話型AIとは…AI(人工知能)が自動で会話を行います。
*音声認識とは…入力された音声をテキストデータへと変換します。
*自然言語処理とは…人間が使う「話し言葉」や「書き言葉」などを機械で解析します。
*音声合成とは…コンピューターで合成して人間に近い音声を作ります。
ボイスボットのシステムでは、まず顧客の声を音声認識技術によってテキスト化します。その後、自然言語処理によってテキストの内容を解析し、回答文を生成。こうして作られた回答文を、音声合成によって読み上げるという仕組みです。
コールセンターで活用されるボイスボットやIVR(自動音声応答システム)は、ChatGPTなどのAIと連携することで、電話業務の効率化にさらに貢献すると期待されています。たとえば、問い合わせ内容をAIチャットが要約する運用方法を取り入れれば、オペレーターが顧客の問い合わせ内容を整理する時間を削減できる可能性があるでしょう。今後、AIと連携させたシステムは電話業務のさまざまな場面で活躍すると考えられています。
ボイスボットとIVRの違い
ボイスボットとよく似た自動応答システムとして「IVR(Interactive Voice Response)」が挙げられます。IVRとは、入電時にあらかじめ設定した音声ガイダンスを流すシステムです。利用者がプッシュボタンで番号入力すると、予約受付や情報提供、オペレーターへの転送といった電話サービスを自動で提供します。ボイスボットとIVRの主な違いは、顧客による番号入力の有無にあります。ボイスボットではAIが音声を解析して自動で定型的な電話応対を行うので、IVRとは異なり番号入力が不要です。発話するのみで操作が不要なため、より利用者の負担が少なくなり、顧客満足度向上が期待できます。
ボイスボットとチャットボットの違い
チャットボットとは、顧客とテキストメッセージで自動的にやり取りするシステムです。ボイスボットもチャットボットも、特定の処理を自動で行う点では共通しています。その一方で、ボイスボットは発話音声でやり取りを行い、チャットボットはテキストメッセージでやり取りを行う点が大きな違いです。こうした違いがあるため、ボイスボットは基本的に電話でコミュニケーションが行われ、チャットボットはPCやスマートフォンの画面上でコミュニケーションが行われます。
ボイスボットを導入するメリット・デメリット
ボイスボットの導入によってカスタマーサポートの課題を解決へ導き、業務効率や顧客満足度を高められる可能性があります。人手不足やコスト削減のお悩みが多い電話業務に、メリットをもたらすと期待されているシステムです。ここでは、考えられる導入メリット・デメリットをお伝えします。
メリット
・業務を効率化できる
ボイスボットを導入すると、自動で問い合わせ内容のヒアリングを行うため、オペレーターが聞き取る手間を減らせます。1件あたりの通話時間の短縮や、顧客対応の負担軽減が期待できるでしょう。また、問い合わせ内容によっては、ボイスボットのみで対応を完結させられることも。オペレーターは有人対応が必要な案件に専念しやすくなります。このように業務を効率化することで、1日の応答数の増加や応答率の向上につながります。
・オペレーターを育成しやすくなる
ボイスボットで内容ごとに電話の振り分けを行うオペレーションを採用すれば、オペレーターは特定のジャンルの専門知識を効率的に身に着けられます。たとえば、「製品の受注」と「不具合対応」では、それぞれ異なる知識やノウハウが必要です。ボイスボット導入によって、一人の担当者が複数のジャンルに対応する非効率的な働き方を避け、精度向上につなげられます。仕事量を最小限に抑えて新人を戦力化しやすくなれば、人材不足の解消も期待できるでしょう。
・シナリオの変更がしやすい
ボイスボットのシナリオの変更は、音声認識に使用する表現や言葉を変えるのみで、簡単に済みます。一方、IVRのシナリオ変更では手間や費用がかかりやすいのが難点です。分岐が多いほど回答精度が高まる反面、柔軟な変更がしにくいため、シナリオ作成後の改善がやや負担となるでしょう。ボイスボットであればこうした心配がありません。
・顧客満足度の向上につながる
ボイスボットを導入すれば、受付の自動化によってユーザーの待ち時間が減少するので、顧客満足度の向上が期待できます。また、音声対話ならIVRのように番号入力のために最後までガイダンスを聞く必要がないのもポイントです。顧客のストレス軽減につながるのが大きなメリットといえるでしょう。
・オペレーターの負担を軽減する
コールセンターのオペレーターが顧客から受ける相談の内容は非常に多岐にわたります。そんなときは、ボイスボットを活用してさまざまな質問や用件に応じた回答を事前に用意しておく施策が有効です。オペレーターの業務量が削減され、業務負担を軽減できるでしょう。
・機械学習で応答の精度が高まる
ボイスボットはAIを活用したシステムです。そのため、AIの学習データをアップデートすることで、回答精度を高められます。顧客の要望や問い合わせの意図を分析し、正確に把握した上で業務設計を行うと、さらに適切な電話対応を実現できるようになるのが魅力です。
・24時間自動で応答できる
電話業務にボイスボットを導入した場合、オペレーターの業務時間外にも電話の受付対応ができるようになります。自動で運用できるボイスボットにより24時間365日いつでも電話対応が可能となり、営業時間外の機会損失の防止につながります。
デメリット
ボイスボットを導入する際は、技術的な面で注意しておきたいことがあります。まず、顧客の発話内容によっては問い合わせの趣旨を正しく認識できないケースがある点に留意しましょう。ボイスボットの回答精度は、音声認識の精度や、顧客の電話環境・通信環境などに左右されます。顧客が自ら番号入力で操作するIVRと比べて、自動回答では誤認識が生じるリスクがあるのがデメリットです。
また、ボイスボットの認識精度を高めるには、チューニングのコストがかかります。チューニングとは、認識精度を高く維持したり、より向上させたりするために調整するメンテナンスのことです。音声認識の精度が低いとサービス品質が低下しやすいため、定期的なチューニングが欠かせません。顧客が快適に利用できる利便性を保つには、一定のコストがかかる点を理解しておきましょう。
ボイスボットの活用方法の例
ここでは、ボイスボットの活用シーンをご紹介します。具体的に電話業務のどのような場面で活用できるのか、以下の活用事例を参考に導入をご検討ください。
ECや通信販売の注文受付
顧客がインターネット・テレビ・カタログなどの通信販売で商品を購入する場面で、電話注文を受け付ける際にボイスボットを活用する方法です。一般的に、商品購入のための注文受付は「商品番号◯番、△の商品を、2つでよろしいでしょうか?」「お支払い方法はどのようにいたしますか?」のような、定形の対話で完結する傾向にあります。こうした簡単な電話受付では、ボイスボットを活用すると自動かつスピーディーに業務を完了できるようになります。また、一時的に多数の顧客から注文が入る場合も、ボイスボットの自動対応により応答率を高めやすくなるでしょう。
飲食店や宿泊施設の受付
飲食店や宿泊施設などの代表電話番号は、予約やサービス内容に関する問い合わせの受電が多い傾向にあります。しかし、電話業務に特化したコールセンターとは異なり、ほとんどの店舗には電話対応を専属で行う従業員がいません。一般的に主な業務の合間に電話対応が行われており、従業員の業務負担が増加しているケースも見受けられます。そんなとき、ボイスボットの活用によって業務効率化が期待できます。さらには、都市部の店舗など海外からの顧客が多い地域では、多言語に対応しているボイスボットを導入することで、外国語で受付をスムーズにこなせる可能性もあるでしょう。
官公庁や地方自治体の受付
ここまでご紹介した民間企業の事例のほかに、ボイスボットは官公庁や地方自治体など公的機関の電話受付でも活用されています。これらの公的機関は、地域住民の暮らしに関わる業務であり、日頃から多くの電話が寄せられる傾向にあります。特に、公的な手続きや地域のイベントの時期は、さらに多数の問い合わせが集中することも珍しくありません。このように入電数が多いタイミングであっても、ボイスボットを導入していれば、スムーズな電話対応を実現できます。ボイスボットの自動対応により、利用者を適切な窓口へ誘導したり、よくある質問の回答を提示したりして、職員の業務負担を削減可能です。
ボイスボットを選ぶときに確認したいポイント
ボイスボットの導入を検討しているとき、多数のサービス提供会社の選択肢がある中で、どのサービスを選ぶべきか迷ってしまうことがあるでしょう。そこで、ここでは企業のご担当者様へ向けて、ボイスボットの選び方を3つのポイントから解説します。
有人対応への切り替えができるか
たとえボイスボットを導入しても、問い合わせ内容が複雑かつ詳細な場合など、オペレーターによる有人対応へ切り替えが必要となるケースがあります。そのため、ボイスボットを選ぶ際は有人対応へスムーズに切り替えできるサービスを選ぶのが望ましいでしょう。たとえば、あらかじめ有人対応への切り替え条件を定義しておき、条件に該当するケースのみオペレーターに電話を転送するといった運用が考えられます。無人対応と有人対応の両方に対応できるだけでなく、切り替え方法まで確認しておくと安心です。
内容確認機能があるか
ボイスボットの内容確認機能とは、電話口で受け付けた内容を通話後にメール・SMS・アプリなどから送信して、後で確認できるようにする便利な機能です。たとえば、会員サービスに登録している顧客が住所変更の手続きを行うケースでは、顧客は電話を切った後に通知を受けて、変更後の住所に誤りがないかを確認できます。また、ボイスボットによっては、内容確認で誤りが見つかった場合、修正できる機能が搭載されていることも。自社が提供するサービスとの相性を考慮して、機能の必要性を検討しましょう。
ほかのシステムとの連携が可能か
新たにボイスボットを導入する際は、業務で利用している既存システムとの連携性もご確認ください。コールセンターの場合、CRM(顧客管理システム)やRPA(ロボティックプロセスオートメーション)のほか、社内コミュニケーションに使っているチャットツールなどと連携できるか、事前にサービス提供会社へ問い合わせておくようおすすめします。ボイスボットとこれらのツールを連携できると、ツール間でデータのスムーズなやり取りが可能となり、より業務効率化を実現しやすくなります。
コールセンターを効率化するボイスボット「ロボット自動受付」
最後に、コールセンター業務の効率化に適した、電話放送局の「ロボット自動受付」をご紹介します。ボイスボット導入を検討されているご担当者様は、サービスの特徴や導入事例をぜひ参考にしてみてください。
ロボット自動受付の特徴
電話放送局では、ボイスボットの「ロボット自動受付」を提供しています。こちらの対話型IVRサービスでは、 ユーザーの発話のみで処理を完結できるため、電話機でのプッシュ操作は必要ありません。業務内容にもよりますが、発話・録音で受付した内容は、聞き起こしがほぼ不要なのが特徴です。また、同時着信300回線以上に対応できるため、瞬間的に大量のコールが入る業務にも適しています。標準的な機能のほかに、企業様専用に開発する「ロボット自動受付 Customize」の選択肢もございます。
チューニングについては、リリース後に複数回実施し、音声認識の精度を向上させることはもちろん、コールフロー全体を通した完了率の見直しを定期的に行い、自動受付が完了する精度を高めるサポート体制も充実しています。
ロボット自動受付の導入事例
電話放送局が提供するボイスボット「ロボット自動受付」は、すでに多くの企業様へご導入いただいております。こちらは、2020年2月13日の「通販新聞」に掲載されたサービスです。2021年3月には、SBI損害保険株式会社様の火災保険事故受付業務に採用していただきました。
詳しくはこちら
「ロボット自動受付」の導入以前は、以下のような課題を抱えているケースが少なくありません。
*顧客数の増加にともない入電件数が増加した
*コールセンターの運営コストを見直す必要がある
*繁忙期と閑散期の業務量の差が非常に大きい
そこで、従来のオペレーター対応やWeb受付に代わり「ロボット自動受付」を導入すると、以下の効果が期待できます。
*重要性の高い案件にオペレーターのリソースを集中できる
*氏名変更や住所変更など一部の手続きを自動化できる
*時期にかかわらず業務量を平準化できる
ボイスボットの導入なら、コールセンターをはじめ幅広い電話業務のサービスを提供する電話放送局へお任せください。なお、以下の一覧ページから「ロボット自動受付」や各種IVRをデモ体験していただけます。お電話いただくだけで 簡単に視聴できるため、どうぞお気軽にご利用ください。
ボイスボット導入なら電話業務に特化したベンダーがおすすめ
今回は、ボイスボットの基礎知識や導入のメリット・デメリット、活用事例などをご紹介しました。ボイスボットを導入すると、AI(人工知能)などの先端技術を活用して一部の電話業務を自動化できます。コールセンター業界をはじめとした、電話対応のニーズに適したシステムの一つです。導入するなら、ぜひ電話業務に特化したベンダーをご検討ください。初めてのボイスボット導入でも、現場での適切な運用をサポートしてもらえるため安心です。
DHK CANVAS
ロボット自動受付
お役立ち資料 無料ダウンロード
本資料では、IVR(自動音声応答)を活用した電話業務を自動化する手法や、IVRサービス提供会社を選ぶポイントを知ることができます。
【本資料は、下記の関心をお持ちの方におすすめです】
・コールセンターの電話業務をどこまで自動化できるのか知りたい
・自動化に適したコール内容を知りたい
・IVRやボイスボット導入により、自動化に成功した事例を知りたい
関連コラム
おすすめコラム
IVRをご検討中の方
簡単・便利なIVRを体験
カテゴリー
- ACD(2)
- BPO(2)
- CPaaS(1)
- CS調査(4)
- DHK CANVAS(3)
- DX(8)
- IVRの選び方(6)
- KPI(3)
- PBX(2)
- PCI DSS(2)
- RPA(1)
- SMS(2)
- SMS送信IVR(3)
- VOC(5)
- あふれ呼(5)
- アンケート(4)
- インバウンド(1)
- オートコール(6)
- カード決済(3)
- キャンペーン活用(1)
- コールセンターシステム(6)
- コールフロー(3)
- コールリーズン(3)
- チャットボット(2)
- テレワーク(2)
- ノーコード(1)
- バックオフィス(8)
- ビジュアルIVR(1)
- ボイスボット(7)
- マニュアル(11)
- 基本(17)
- 多要素認証(3)
- 生成AI(1)
- 用件振分・情報案内(5)
- 督促(2)
- 自動受付IVR(5)
- 自治体DX(3)
- 電話取り次ぎ(12)
- 電話認証(3)
IVRで電話業務を自動化する手法や、IVRサービス提供会社を選ぶポイントを知ることができる資料を無料提供
IVRで課題解決
こんな課題ありませんか?
- 電話対応を自動化したい
- あふれ呼や営業時間外の機会損失を減らしたい
- 災害時のBCP(事業継続計画)やテレワークに活用したい
お電話からのお問い合わせ
-
大阪(西日本エリア)
06-6313-8000 -
東京(東日本エリア)
03-3645-1711