2024/11/08

近年、店舗やコールセンターをはじめとした顧客対応の現場で、顧客による迷惑行為が「カスタマーハラスメント(カスハラ)」として問題視されています。企業は現場で発生する暴言や悪質な行為から従業員を守るために、ハラスメント防止の対策を講じなければなりません。

この記事では、企業が行うべきカスハラ対策について解説します。職場のカスハラ対策が重視される背景や、具体的な対応方法までお伝えするため、ぜひ参考にしてみてください。

目次

カスハラとは

 ・カスハラの定義

 ・カスハラで違法にあたる行為の例

 ・カスハラとクレームの違い

カスハラ対策の重要性

企業が取り組むべきカスハラ対策

 ・カスハラとクレームを明確に区別する基準を設ける

 ・カスハラに対する企業の方針を明確にする

 ・カスハラへの対応マニュアルを作成する

 ・カスハラ対応に関する研修をする

 ・カスハラに関する社内での情報共有の方法や相談体制を整える

 ・ボイスボット(IVR)を取り入れる

カスハラが実際に起こった際の対応

 ・事実関係を正確に把握する

 ・従業員への配慮

コールセンターのカスハラ対策にはボイスボット(IVR)がおすすめ

カスハラとは

初めに、カスハラの基礎知識をお伝えします。また、ハラスメント行為の具体例もご紹介するため、現状の職場環境の課題を見直してみましょう。

カスハラの定義

カスハラとは「カスタマーハラスメント」の略称です。従業員の些細なミスに対して、顧客が過剰に威圧的な態度に出たり、執拗に嫌がらせをしたりするハラスメント行為を指します。一般的なクレームの範疇を超えて、従業員の心身に苦痛を与える理不尽な言動がカスハラに該当します。

<参考>「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」(厚生労働省)

カスハラで違法にあたる行為の例

・脅迫罪
反社会勢力との繋がりをほのめかして脅す、「SNSの口コミで悪評価を書く」と言って脅すなど、脅迫により理不尽な要求を通そうとする言動などが該当します。

・威力業務妨害罪
大声で怒鳴る・物に当たるなどの威嚇によって、従業員や他の顧客を怖がらせて業務を妨げる言動などが該当します。

・強要罪
従業員に土下座や謝罪文の提出を求めるなど、本来は義務のない過度の謝罪を強要する言動などが該当します。

・不退去罪
店舗や会社から退去を求められたにもかかわらず、その場に居続ける行為などが該当します。

カスハラとクレームの違い

一般的なクレームは、商品・サービスに対するフィードバックとしての機能を果たし、企業の業務改善に役立てられます。一方、カスハラは業務に支障をきたし、企業に損失をもたらします。

このようにカスハラとクレームは区別されるものの、その判断は各企業にゆだねられているため、自社の基準を明確にしておくことが大切です。例えば、顧客自身は苦情を入れたつもりでも、客観的に不当な言動と見なされる場合はカスハラに該当する可能性があります。自社のカスハラの定義や基本方針を策定し、全社的に共有しましょう。

カスハラ対策の重要性

店舗やコールセンターなどの現場では、悪質なクレーマーによるカスハラで従業員の心身に深刻な負担が生じてしまうケースが後を絶ちません。

カスハラ対策は企業が守るべき安全配慮義務の一つです。企業には、従業員の心身の安全を確保して労働できるよう配慮する義務があります。労働契約法や労働安全衛生法で定められた義務が守られない場合、安全配慮義務違反と見なされ、企業側が損害賠償責任を負う可能性があるため注意が必要です。

現場のカスハラを放置すると、従業員が精神的苦痛を受けるおそれがあります。休職者や離職者が増えやすくなるだけでなく、従業員が精神疾患を抱えて労災として認定される可能性も考えられます。大切な従業員を守るためにも、安全配慮義務の一環としてカスハラ対策を講じましょう。

企業が取り組むべきカスハラ対策

現場でのカスハラの発生に備えて、以下の対策を講じるのが望ましいでしょう。ここでは企業が取り組むべきカスハラ対策についてご説明します。

カスハラとクレームを明確に区別する基準を設ける

自社の判断基準を明確にして、「対応すべきクレームの範囲」や「妥当性がある要求の範囲」などを全社員に周知しましょう。判断基準が曖昧なまま現場の判断に任せると、担当者がクレームとカスハラの区別で悩み、適切な対応がしにくくなるおそれがあります。

カスハラに対する企業の方針を明確にする

企業としてカスハラに毅然とした姿勢で対応し、職員を守る方針を明確にすることが大切です。自社におけるカスハラの定義や、カスハラが発生した際の対応方法、カスハラに該当する具体的な行為や発言を公表することで、従業員が安心して働きやすくなります。

カスハラへの対応マニュアルを作成する

現場の担当者向けにカスハラへの対応方法をマニュアル化しておくと効果的です。業務マニュアルを作成する際は、カスハラを未然に防ぐための適切なクレーム処理の方法や、過去のカスハラの事例、カスハラが発生した場合の対応プロセスなどの情報をまとめておくと良いでしょう。

カスハラ対応に関する研修をする

カスハラ対応の研修を実施して、従業員のクレーム対応スキルの定着と向上をはかりましょう。基本的なクレーム対応の手順を身につけるとともに、応用として悪質なケースへの法的な対応手段を理解させるなど、対応者の安全を守るノウハウを盛り込むと効果的です。

カスハラに関する社内での情報共有の方法や相談体制を整える

カスハラは現場のみでは解決が難しいケースも少なくありません。社内に相談窓口を設けるほか、警察・弁護士と連携したり、厚生労働省の相談窓口を利用したりする方法もあります。組織的に被害の深刻化を防いだり、再発防止したりするための体制を整えましょう。

ボイスボット(IVR)を取り入れる

コールセンターにおけるカスハラ対策にはボイスボット(IVR)の導入が有効です。コールセンター業界では、電話口でのカスハラ(TELハラ)の影響で、オペレーターのメンタルヘルスへのダメージが懸念されています。ボイスボットで代表電話の一時対応を自動化するとともに、悪質な電話番号をブラックリストに登録することで、カスハラの予防・牽制・抑制が期待できます。

近年、カスハラの被害は増加傾向にあることから、ボイスボット導入をはじめとした根本的な業務改善が求められています。ボイスボットによる自動化は、インフレにともなう値上げなどの背景からも注目され、DX推進の観点でも有効な手段です。ボイスボットで電話業務のストレスを低減し、業務効率化や生産性向上を実現しましょう。

【参考記事】
TELハラ・カスハラ対策にも対応 17%削減した対応工数時間をコア業務へ

カスハラが実際に起こった際の対応

万が一カスハラが発生したら、企業はリスクを避けるためにどのように対応すべきでしょうか。最後に、カスハラが実際に起こった際の対応方法のポイントをお伝えします。

事実関係を正確に把握する

カスハラに該当するか正確に判断するには、まず顧客と従業員の双方の証言を聞いて事実確認する必要があります。管理職は確認した事実に基づいて、商品・サービスに対する正当なクレームであるかを判断し、その後の対応や回答内容を検討しましょう。

従業員への配慮

カスハラには従業員1人で判断や対応をさせないことが重要です。基本的に複数の従業員で対応し、状況に応じて上司や法務担当部署と連携を取るようにします。また、従業員がカスハラの被害を受けた場合は被害者に丁寧なメンタルヘルスケアを実施するとともに、現場体制を見直して安全性を確保し、再発防止に取り組みましょう。

【参考記事】
コールセンターでクレーム対応を行うポイントは?対応改善のアイデア

コールセンターのカスハラ対策にはボイスボット(IVR)がおすすめ

ここまで、カスハラ対策の基礎知識を解説しました。企業は安全配慮義務を怠らないためにも、カスハラ対策を講じて大切な従業員を被害から守らなければなりません。その際は、適切なクレーム対応でカスハラを防止するだけでなく、顧客対応の自動化による根本的な業務改善の施策も有効です。電話放送局では、コールセンターの電話口で発生するカスハラ(TELハラ)対策に効果的なボイスボット(IVR)のサービスを提供しております。導入によりオペレーターの負担を軽減し、業務のDX化を進めることが可能です。どうぞお気軽にお問い合わせください。

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