2026/02/27

コールセンターのカスハラ対策|2026年10月義務化で整える録音告知と相談体制

カスハラ(カスタマーハラスメント)対策とは、顧客からの理不尽な要求や悪質なクレームから従業員を守り、安全な労働環境を確保するための重要な取り組みです。労働施策総合推進法等の改正により、すべての事業主に対して方針の明確化や相談体制の整備が求められ、2026年10月1日の施行により、企業のカスハラ対策は義務になりました。

この記事では、コールセンターや電話窓口で決めておくべき録音の告知・電話を切る基準・自動応答の使い方を冒頭にまとめたうえで、カスハラとクレームの違いをはじめ、企業が整備すべきマニュアル作成や社内研修のポイントを解説します。さらに、音声自動応答(IVR)やボイスボットを活用した実践的な予防策や、トラブル発生時の対応フローもわかります。現場の疲弊や離職を防ぎ、企業としての責任を果たすための具体的なステップとして、ぜひご活用ください。

▼この記事でわかること
・義務化されたカスハラ対策の全体像
法改正で企業に求められる「方針・相談体制・対応/抑止」の基本を整理します。

・カスハラの判断基準と、クレームとの違い
現場が迷いやすい線引きを、社内ルールとして言語化する考え方を示します。

・現場での対応手順と再発防止の進め方
事実確認、複数名対応、記録保全、専門家連携など、トラブルを拡大させない流れをまとめます。

目次

・コールセンターのカスハラ対策では何を決めればよい?

 ・通話の録音と、録音していることの告知

 ・電話を切ってよいのはどんなとき?

 ・カスハラを受けたあとの相談先と記録の残し方

 ・待ち時間とたらい回しを自動応答で減らす

 ・繰り返しかけてくる悪質な番号への対応

・カスハラとは?

 ・カスハラで違法にあたる行為の例

 ・カスハラとクレームの違い

・カスハラ対策の重要性

・企業におけるカスハラ対策の義務化とは?

 ・改正法のポイント

 ・カスハラ対策の義務化による企業への影響

・企業が取り組むべきカスハラ対策とは?

 ・カスハラとクレームを明確に区別する基準を設ける

 ・カスハラに対する企業の方針を明確にする

 ・カスハラへの対応マニュアルを作成する

 ・カスハラ対応に関する研修をする

 ・カスハラに関する社内での情報共有の方法や相談体制を整える

 ・ボイスボット(IVR)を取り入れる

・カスハラが実際に起こった際の対応ポイント

 ・事実関係を正確に把握する

 ・複数人で対応する

 ・内容によっては、専門家に相談し法的措置を検討する

 ・再発防止に向けた取り組みを進める

・コールセンターのカスハラ対策にはボイスボット(IVR)がおすすめ

・カスハラ対策に関するQ&A

コールセンターのカスハラ対策では何を決めればよい?

コールセンターやコンタクトセンターのカスハラ対策では、法律と指針が事業主に求める措置を、電話応対のルールに置き換えて決めます。電話窓口で決めておきたいのは、通話の録音と告知、電話を切る基準、通話後の相談と記録、自動応答による一次受付、悪質な番号への対応の5つです。

2026年10月1日に施行された改正労働施策総合推進法の指針は、カスハラには電話で行われるものも含まれると明記しています。対処の例としても「顧客等とのやり取りを録音・録画すること」や、十分に説明しても要求が続く場合に「一定の時間の経過をもって」電話を切ることを挙げています(出典:厚生労働省「令和7年労働施策総合推進法等の一部改正について」)。指針が事業主に求める措置と、電話窓口で決めておくことの対応は次のとおりです。

コールセンターのカスハラ対策で、指針が求める措置と電話窓口で決めるルールの対応

指針が求める措置 電話窓口で決めておくこと 決まっていないと起きること
方針の明確化と
周知・啓発
電話で起きる例(長時間の拘束、同じ要求の繰り返し、暴言)を使ってカスハラの線引きを書き、研修でオペレーターに伝える 線引きがオペレーターごとに違い、同じお客様への対応がぶれる
相談に応じる
体制の整備
通話中にSVへ知らせる方法と、通話のあとに相談できる窓口を決める 被害を受けたオペレーターが1人で抱え込み、休職や離職につながる
事後の迅速かつ
適切な対応
録音を聞き直して事実を確かめる手順と、確かめる担当者を決める 言った・言わないの話になり、会社として判断できない
抑止のための措置 繰り返しかけてくる番号の扱い、警告の伝え方、警察へ通報する基準を決める 悪質な電話が止まらず、受けるたびにオペレーターが消耗する

このうち録音の告知と電話を切る基準は、オペレーターが通話中に迷わないよう、最初に決めておきたい2つです。どちらも、カスハラに当たらない通常のクレームまで遮らないよう、線引きとセットで運用します。正当なクレームへの応対の進め方や、通話中にSV(スーパーバイザー)へ引き継ぐ基準は「コールセンターのクレーム対応」、AIの機能を使った対策は「カスハラ対策にAIを活用するメリット」で詳しく紹介しています。

通話の録音と、録音していることの告知

通話の録音は、あとから事実を確かめる材料になるだけでなく、かける側に「記録されている」と伝わることで、言動を抑える働きもあります。告知はオペレーターが口頭で伝えるより、着信直後の自動音声で全件に流すほうが、相手や忙しさによって言い忘れることがありません。例えば、次のような案内を流します。

「お電話ありがとうございます。○○カスタマーセンターです。サービス向上と内容確認のため、この通話は録音させていただきます。」

指針は、録音・録画にあたって個人情報保護法などを守り、顧客の個人情報を適切に扱うことも求めています。録音の利用目的、保存期間、聞き直してよい人を社内規程で決め、案内で伝える目的と食い違わないようにしておきます。

電話を切ってよいのはどんなとき?

十分に説明したうえで、同じ要求や暴言が続くときは、会社として定めた基準に沿って電話を切る対応をとれます。指針も、繰り返しの要求が続く場合に一定の時間の経過をもって電話を切ることを、対処の例に挙げています。

決めにくいのは「一定の時間」をどう置くかです。日本コンタクトセンター協会の「コンタクトセンター/コールセンターにおけるカスタマーハラスメント対策ガイドライン」は、コールセンターのカスハラを12の類型に分け、長時間の拘束は1時間以上、同じ内容の繰り返しは3回以上を判定の目安として例示しています(出典:日本コンタクトセンター協会)。この目安を参考に、自社の商品やお客様の層に合わせた時間と回数を決めます。暴言や脅しについては、指針が、強い苦痛を与える言動であれば1回でも就業環境を害する場合があるとしているため、「何回目から」ではなく、その場で終話の予告に進める扱いにしておきます。

決めた基準は、オペレーター個人の判断に任せず、会社の方針として社内規程や対応マニュアルに書き、研修で全員に伝えます。指針も、対処の内容をあらかじめ定め、管理監督者を含む労働者に周知することを求めています。通話中にSVへ引き継ぐ条件や、電話を切るときの伝え方の例は「コールセンターのクレーム対応」に、マニュアルへの書き方は「コールセンターマニュアルの作り方」にまとめています。

カスハラを受けたあとの相談先と記録の残し方

指針は、相談窓口をあらかじめ定めて周知することと、相談があったときに事実関係を迅速かつ正確に確認することを求めています。確認の方法としては、録音・録画などの客観的な証拠を確かめることも例に挙げられています。コールセンターでは、カスハラを受けたオペレーターがその日のうちにSVや相談窓口へ報告できる流れを作り、日時・電話番号・言動・対応した内容を残す記録の様式を決めておきます。

指針は、相談した人のプライバシーを守ることと、相談したことを理由に解雇などの不利益な扱いをしないと定めて周知することも求めています。不利益がないと分かっていなければ、オペレーターは被害を報告しにくくなります。報告を受けたSVは録音を聞き直して事実を確かめ、必要に応じて休憩を取らせたり、その日の受電から外したりするところまでを手順に入れておきます。電話対応の負担が離職につながる背景は「コールセンターの離職率が高い5つの原因」でも解説しています。

待ち時間とたらい回しを自動応答で減らす

指針は、カスハラの原因や背景に、商品・サービス・接客の問題や顧客とのコミュニケーションの不足がある場合もあるとして、その解消に取り組むことも重要だとしています。電話窓口でその代表になるのが、つながるまでの待ち時間と、担当部署を何度も回される取り次ぎです。弊社が全国の50〜70代の男女241名に行った調査でも、コールセンターの利用で「電話がなかなかつながらず、イライラした」経験は50.2%、「担当部署をたらい回しにされて疲れた」経験は13.7%ありました(出典:コールセンター利用とAI自動応答(ボイスボット)に関する意識調査)。

自動応答(IVR)で用件を聞き取って担当へ振り分ければ、オペレーターが電話に出た時点で用件が分かっており、たらい回しも起きにくくなります。電話が集中したときは、待たせ続けずに折り返しの予約やSMSでの案内に切り替える方法もあります。同じ調査では、「クレーム・苦情を伝えるとき」は人よりボイスボットのほうが話しやすいと答えた人が18.7%いました。苦情の一次受付を自動応答で聞き取り、内容を確かめてから担当者が折り返す運用は、お客様にとっても選択肢の1つになります。

電話窓口のカスハラ対策に使える主な仕組みと、導入前に決めておくことは次のとおりです。

仕組み 役立つ場面 決めておくこと
録音告知の
自動音声
着信直後に全件へ録音していることを伝え、言動を抑える 案内の文言と、録音の利用目的・保存期間
通話録音 通話後に事実を確かめる、相談を受けた担当者が状況をつかむ 聞き直してよい人と、聞き直す手順
用件の自動聞き取りと
振り分け
担当部署に直接つなぎ、たらい回しを減らす 自動で受ける用件と、人が受ける用件の分け方
折り返し予約・
SMSでの案内
電話が集中したときに待たせ続けず、待ち時間への不満を減らす 何分待ったら、または何件あふれたら切り替えるか
番号ごとの
受付設定
繰り返しかけてくる番号を、人が出ない受付へ回す 設定する条件と解除する手順、確認する担当者

どの仕組みも、カスハラだけを狙って止めるものではなく、すべてのお客様の電話を受ける入り口を整えるものです。正当な申し出をしたいお客様の受付を妨げないかを、導入前に確かめておきます。

繰り返しかけてくる悪質な番号への対応

指針は、特に悪質なカスハラへの対処方針をあらかじめ定めて周知することを求めており、例として警察への通報、警告文の発出、法令の範囲内で商品の販売やサービスの提供をしないことなどを挙げています。電話窓口では、同じ番号から暴言や不当な要求が繰り返される場合に、その番号をどう扱うかを決めておくことがこれにあたります。

弊社自身も、代表電話の取り次ぎに「とりつぎ君」を使い、不要な営業電話などの番号をブラックリストに登録しています。登録した番号からの電話は、自動音声の案内で用件を録音してもらい、折り返しが必要かどうかを社員があとから判断できるようになりました(電話放送局の導入事例)。

ただし、番号ごとに受付を止める運用は慎重に決めます。指針は、障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供に留意することや、サービスが途絶えると顧客の生命や健康に重大な影響が及ぶ場合があることにも留意するよう求めています。いきなり着信を拒否するのではなく、人が出ずに用件を録音で受け、内容を確かめてから折り返すといった、窓口自体は残す方法から検討すると無理がありません。

カスハラとは?

カスハラとは、顧客からの不当な要求や理不尽な言動によって、従業員の就業環境が害される行為を指します。業務改善のヒントとなる通常のクレームとは根本的に異なり、度を超えた要求は脅迫や威力業務妨害などの違法行為に該当するケースもあります。

カスハラで違法にあたる行為の例

・脅迫罪
反社会勢力との繋がりをほのめかして脅す、「SNSの口コミで悪評価を書く」と言って脅すなど、脅迫により理不尽な要求を通そうとする言動などが該当します。

・威力業務妨害罪
大声で怒鳴る・物に当たるなどの威嚇によって、従業員や他の顧客を怖がらせて業務を妨げる言動などが該当します。

・強要罪
従業員に土下座や謝罪文の提出を求めるなど、本来は義務のない過度の謝罪を強要する言動などが該当します。

・不退去罪
店舗や会社から退去を求められたにもかかわらず、その場に居続ける行為などが該当します。

カスハラとクレームの違い

一般的なクレームは、商品・サービスに対するフィードバックとしての機能を果たし、企業の業務改善に役立てられます。一方、カスハラは業務に支障をきたし、企業に損失をもたらします。
このようにカスハラとクレームは区別されるものの、その判断は各企業にゆだねられているため、自社の基準を明確にしておくことが大切です。例えば、顧客自身は苦情を入れたつもりでも、客観的に不当な言動と見なされる場合はカスハラに該当する可能性があります。自社のカスハラの定義や基本方針を策定し、全社的に共有しましょう。

カスハラ対策の重要性

店舗やコールセンターなどの現場では、悪質なクレーマーによるカスハラで従業員の心身に深刻な負担が生じてしまうケースが後を絶ちません。
カスハラ対策は企業が守るべき安全配慮義務の一つです。企業には、従業員の心身の安全を確保して労働できるよう配慮する義務があります。労働契約法や労働安全衛生法で定められた義務が守られない場合、安全配慮義務違反と見なされ、企業側が損害賠償責任を負う可能性があるため注意が必要です。
現場のカスハラを放置すると、従業員が精神的苦痛を受けるおそれがあります。休職者や離職者が増えやすくなるだけでなく、従業員が精神疾患を抱えて労災として認定される可能性も考えられます。大切な従業員を守るためにも、安全配慮義務の一環としてカスハラ対策を講じましょう。

【参考記事】
カスハラ対策にAIを活用するメリットは?効果的な対策や導入ステップ

企業におけるカスハラ対策の義務化とは?

従業員を不当な言動から守るため、法改正によって企業へのカスハラ対策が義務づけられ、2026年10月1日に施行されました。企業には、方針の明確化や社内への周知、相談体制の整備、そして発生後の迅速な対応と抑止措置が求められます。

改正法のポイント

労働施策総合推進法等の改正(令和7年法律第63号)に伴い、2026年10月1日から、事業主にはカスハラ対策を講じることが義務付けられました。

対象は労働者を雇用する全ての事業主で、従業員規模の制限はありません。具体的には、以下の措置が求められます。

・カスハラ対策に関する方針の明確化と、従業員への周知・啓発(研修の実施など)
・従業員が相談できる体制の整備
・カスハラ発生時の迅速かつ適切な対応、および再発防止のための抑止措置

対策が不十分な場合、行政による助言・指導・勧告の対象となる可能性があります。

【参考】
カスハラとは?法改正により義務化されるカスハラ対策の内容やカスハラ加害者とならないためのポイントをご紹介 (政府広報オンライン)
「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」(厚生労働省)

改正法は2026年10月1日に施行されました。事業主が講じる措置の具体的な内容は、厚生労働省の「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和8年厚生労働省告示第51号、2026年2月26日告示)に示されています。

指針はカスハラを、①顧客等の言動であって、②業務の性質などに照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるもの、と定め、3つの要素をすべて満たすものとしています。店舗などでの対面だけでなく、電話やSNSなどで行われるものも含まれます(出典:厚生労働省「令和7年労働施策総合推進法等の一部改正について」、指針本文(PDF))。

カスハラ対策の義務化による企業への影響

カスタマーハラスメント対策の義務化は、企業経営に直接的な影響を及ぼします。

今回の法改正により、カスハラ対策は「できれば取り組むべき努力目標」から「企業が講じるべき適切な対応」へと明確に変わりました。対策が不十分であると判断された場合、行政から現状報告を求められる可能性があります。

行政からの助言・指導・勧告を受けた後も適切な対応が講じられない場合、企業名の公表が行われることがあります。もし公表によって良くないイメージが広がったら、企業信用の低下や採用活動への影響は避けられません。改正法はすでに施行されているため、方針や相談窓口がまだ決まっていない場合は、早急に社内体制を整えることが重要です。

企業が取り組むべきカスハラ対策とは?

企業が取り組むべきカスハラ対策は、判断基準の策定、方針の周知、マニュアル作成、社内研修、そして相談体制の整備などです。また、電話口でのカスハラを防ぐ手段として、IVR(音声自動応答)やボイスボットを導入し、一次対応を自動化することも効果的です。

カスハラとクレームを明確に区別する基準を設ける

自社の判断基準を明確にして、「対応すべきクレームの範囲」や「妥当性がある要求の範囲」などを全社員に周知しましょう。判断基準が曖昧なまま現場の判断に任せると、担当者がクレームとカスハラの区別で悩み、適切な対応がしにくくなるおそれがあります。

カスハラに対する企業の方針を明確にする

企業としてカスハラに毅然とした姿勢で対応し、従業員を守る方針を明確にすることが大切です。自社におけるカスハラの定義や、カスハラが発生した際の対応方法、カスハラに該当する具体的な行為や発言を公表することで、従業員が安心して働きやすくなります。

カスハラへの対応マニュアルを作成する

現場の担当者向けにカスハラへの対応方法をマニュアル化しておくと効果的です。業務マニュアルを作成する際は、カスハラを未然に防ぐための適切なクレーム処理の方法や、過去のカスハラの事例、カスハラが発生した場合の対応プロセスなどの情報をまとめておくと良いでしょう。

カスハラ対応に関する研修をする

カスハラ対応の研修を実施して、従業員のクレーム対応スキルの定着と向上をはかりましょう。基本的なクレーム対応の手順を身につけるとともに、応用として悪質なケースへの法的な対応手段を理解させるなど、対応者の安全を守るノウハウを盛り込むと効果的です。

カスハラに関する社内での情報共有の方法や相談体制を整える

カスハラは現場のみでは解決が難しいケースも少なくありません。社内に相談窓口を設けるほか、警察・弁護士と連携したり、厚生労働省の相談窓口を利用したりする方法もあります。組織的に被害の深刻化を防いだり、再発防止したりするための体制を整えましょう。

ボイスボット(IVR)を取り入れる

コールセンターにおけるカスハラ対策にはボイスボット(IVR)の導入が有効です。コールセンター業界では、電話口でのカスハラ(TELハラ)の影響で、オペレーターのメンタルヘルスへのダメージが懸念されています。ボイスボットで代表電話の一次対応を自動化するとともに、悪質な電話番号をブラックリストに登録することで、カスハラの予防・牽制・抑制が期待できます。近年、カスハラの被害は増加傾向にあることから、ボイスボット導入をはじめとした根本的な業務改善が求められています。ボイスボットによる自動化は、インフレにともなう値上げなどの背景からも注目され、DX推進の観点でも有効な手段です。ボイスボットで電話業務のストレスを低減し、業務効率化や生産性向上を実現しましょう。

カスハラが実際に起こった際の対応ポイント

カスハラが起きた際は、事実関係の正確な把握と複数人での対応が基本です。担当者1人に抱え込ませず、組織全体で対応することが大切です。悪質なケースでは警察や弁護士と連携して法的措置を検討するとともに、再発防止に向けた仕組みづくりを並行して進めましょう。

事実関係を正確に把握する

カスハラに該当するか正確に判断するには、まず顧客と従業員の双方の証言を聞いて事実確認する必要があります。管理職は確認した事実に基づいて、商品・サービスに対する正当なクレームであるかを判断し、その後の対応や回答内容を検討しましょう。

複数人で対応する

カスハラには従業員1人で判断や対応をさせないことが重要です。基本的に複数の従業員で対応し、状況に応じて上司や法務担当部署と連携を取るようにします。また、従業員がカスハラの被害を受けた場合は丁寧なメンタルヘルスケアを実施するとともに、現場体制を見直して安全性を確保し、再発防止に取り組みましょう。

【参考記事】
コールセンターでクレーム対応を行うポイントは?対応改善のアイデア

内容によっては、専門家に相談し法的措置を検討する

現場レベルでの話し合いでは解決の糸口が見えない悪質な事案については、法的措置を視野に入れた対応が必要です。まずは証拠を適切に保全するため、「いつ・どこで・誰が・何を・どのように」発言・行動したのかを、客観的事実として時系列で正確に記録します。
暴力や脅迫など、刑法に抵触する行為が起こった場合は、ためらわずに警察へ通報・相談してください。

また、刑事事件には至らないケースでも、執拗な抗議の電話や不当な要求によって通常の業務が著しく妨害されている場合は、弁護士などの専門家に相談しましょう。状況に応じて、民事訴訟や損害賠償請求などの法的手段を検討します。毅然とした態度が、結果的に組織と従業員を守ることにつながります。

再発防止に向けた取り組みを進める

個別のトラブルへの対応が一段落した後は、同様のカスハラ行為を繰り返させないため、組織全体で未然防止策を強化することが不可欠です。「やり取りの記録を残している」「組織として厳格に対応している」という企業側の姿勢を外部に可視化することが、悪質な行為への強力な抑止力となります。

具体的には、次のような対策を組み合わせて実施すると効果的です。

・複数人での対応を心がける
・防犯カメラを設置する
・見やすい場所にカスハラ防止を訴えるポスターを掲示する
・必要に応じて通話内容を録音する
・通話前に録音の旨を知らせるメッセージを流す

コールセンターのカスハラ対策にはボイスボット(IVR)がおすすめ

カスハラ対策の義務化で、企業は方針・相談体制・事後の対応・抑止の仕組みを整える必要があります。コールセンターや電話窓口では、録音の告知と電話を切る基準を決め、オペレーターを1人で対応させない体制を作るところから始めると、指針が求める措置を日々の運用に落とし込めます。企業は安全配慮義務を怠らないためにも、カスハラ対策を講じて大切な従業員を被害から守らなければなりません。その際は、適切なクレーム対応でカスハラを防止するだけでなく、顧客対応の自動化による根本的な業務改善の施策も有効です。電話放送局では、コールセンターの電話口で発生するカスハラ(TELハラ)対策に効果的なボイスボット(IVR)のサービスを提供しております。導入によりオペレーターの負担を軽減し、業務のDX化を進めることが可能です。どうぞお気軽にお問い合わせください。

カスハラ対策に関するQ&A

カスハラとクレームの違いは何ですか?

両者の違いは、「要求の妥当性」と「手段の正当性」にあります。クレームは商品やサービスの改善につながる正当な指摘や要望です。一方カスハラは、理不尽な要求や暴言、脅迫などによって業務を妨害し、企業に損失をもたらす迷惑行為を指します。

カスハラ対策はいつから義務化されましたか?

カスハラ対策を義務付ける改正法は2025年6月11日に公布され、2026年10月1日に施行されました。まだ方針や相談体制が整っていない企業は、自社のカスハラの定義と相談窓口を決めるところから早急に進める必要があります。
なお、東京都では「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が2025年4月1日に施行されており、都内事業者はカスハラ防止に向けた必要な措置に取り組むことが求められます。

企業が最初に取り組むべきカスハラ対策は何ですか?

最初に取り組むべき対策は、自社におけるカスハラの定義と基本方針を明確にすることです。どこまでの要求なら応じ、どこからをカスハラとして拒絶するのかという基準を定め、社内外に対して毅然とした態度で臨む方針を示すことが対策の土台となります。

カスハラ対策として、社内規程やマニュアルには何を書けばよいですか?

自社のカスハラの定義と具体例、その場の対処の内容(報告先、録音、電話を切る基準、警察へ通報する基準)、相談窓口、相談したことで不利益な扱いを受けないことを書きます。指針は、これらをあらかじめ定めて、管理監督者を含む労働者に周知することを求めています。電話窓口がある会社は、電話で起きるカスハラの例と、電話を切るまでの手順も加えておきます。

カスハラ対策の義務は、コールセンターがある会社だけが対象ですか?

いいえ、コールセンターの有無にかかわらず、労働者を雇用する事業主が対象です。代表電話や問い合わせ窓口で電話を受けている会社であれば、電話で起きるカスハラへの対処も、方針や対応マニュアルに含めておく必要があります。

カスハラ対策に自動応答(IVR)を使うと、お客様の不満は増えませんか?

用件の聞き取りと振り分けに絞って使えば、待ち時間やたらい回しが減り、不満の原因を減らすことにつながります。弊社が50〜70代の男女241名に行った調査では、人よりボイスボットのほうが話しやすい場面があると答えた人が70.5%いた一方、契約内容の複雑な変更では49.4%が人の対応を求めていました。自動応答で受ける用件と、人が受ける用件を分けて設計することが大切です。

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監修者情報

メーカーのコールセンター運営管理に従事し、自らIVRを導入。
不要な入電を抑制しつつ売上向上を実現するなど、現場視点で成果を創出。電話放送局では営業マネージャーとして10年以上従事し、クラウド型IVRの業界シェア1位獲得に貢献。
コロナ禍におけるユーザーのデジタル行動変容を受け、マーケティング部門を立ち上げ、責任者に就任。インサイドセールスを統括し、営業部門との連携を強化。自動音声応答の導入、運用、集客、営業の幅広い経験を有する。
IVRおよびコールセンター市場における20年以上の知見を活かし、ユーザーの検索行動やニーズを深く理解したマーケティング戦略を展開。
検索連動広告の運用経験を基に、現場で役立つ実践的な情報を発信し、読者のビジネス成功を力強くサポートします。

監修者 前田泰延(株式会社電話放送局) マーケティング責任者 営業部営業推進課 課長 前田泰延

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