義務化されたカスハラ対策とは?企業が取り組むべき対策と対応方法
2026/02/27
カスハラ(カスタマーハラスメント)対策とは、顧客からの理不尽な要求や悪質なクレームから従業員を守り、安全な労働環境を確保するための重要な取り組みです。労働施策総合推進法等の改正により、すべての事業主に対して方針の明確化や相談体制の整備が求められ、施行後は企業がカスハラ対策を行うことが義務化されます。
この記事では、カスハラとクレームの違いをはじめ、企業が整備すべきマニュアル作成や社内研修のポイントを解説します。さらに、音声自動応答(IVR)やボイスボットを活用した実践的な予防策や、トラブル発生時の対応フローもわかります。現場の疲弊や離職を防ぎ、企業としての責任を果たすための具体的なステップとして、ぜひご活用ください。
▼この記事でわかること
・義務化されたカスハラ対策の全体像
法改正で企業に求められる「方針・相談体制・対応/抑止」の基本を整理します。
・カスハラの判断基準と、クレームとの違い
現場が迷いやすい線引きを、社内ルールとして言語化する考え方を示します。
・現場での対応手順と再発防止の進め方
事実確認、複数名対応、記録保全、専門家連携など、トラブルを拡大させない流れをまとめます。
目次
・コールセンターのカスハラ対策にはボイスボット(IVR)がおすすめ
カスハラとは?
カスハラとは、顧客からの不当な要求や理不尽な言動によって、従業員の就業環境が害される行為を指します。業務改善のヒントとなる通常のクレームとは根本的に異なり、度を超えた要求は脅迫や威力業務妨害などの違法行為に該当するケースもあります。
カスハラで違法にあたる行為の例
・脅迫罪
反社会勢力との繋がりをほのめかして脅す、「SNSの口コミで悪評価を書く」と言って脅すなど、脅迫により理不尽な要求を通そうとする言動などが該当します。
・威力業務妨害罪
大声で怒鳴る・物に当たるなどの威嚇によって、従業員や他の顧客を怖がらせて業務を妨げる言動などが該当します。
・強要罪
従業員に土下座や謝罪文の提出を求めるなど、本来は義務のない過度の謝罪を強要する言動などが該当します。
・不退去罪
店舗や会社から退去を求められたにもかかわらず、その場に居続ける行為などが該当します。
カスハラとクレームの違い
一般的なクレームは、商品・サービスに対するフィードバックとしての機能を果たし、企業の業務改善に役立てられます。一方、カスハラは業務に支障をきたし、企業に損失をもたらします。
このようにカスハラとクレームは区別されるものの、その判断は各企業にゆだねられているため、自社の基準を明確にしておくことが大切です。例えば、顧客自身は苦情を入れたつもりでも、客観的に不当な言動と見なされる場合はカスハラに該当する可能性があります。自社のカスハラの定義や基本方針を策定し、全社的に共有しましょう。
カスハラ対策の重要性
店舗やコールセンターなどの現場では、悪質なクレーマーによるカスハラで従業員の心身に深刻な負担が生じてしまうケースが後を絶ちません。
カスハラ対策は企業が守るべき安全配慮義務の一つです。企業には、従業員の心身の安全を確保して労働できるよう配慮する義務があります。労働契約法や労働安全衛生法で定められた義務が守られない場合、安全配慮義務違反と見なされ、企業側が損害賠償責任を負う可能性があるため注意が必要です。
現場のカスハラを放置すると、従業員が精神的苦痛を受けるおそれがあります。休職者や離職者が増えやすくなるだけでなく、従業員が精神疾患を抱えて労災として認定される可能性も考えられます。大切な従業員を守るためにも、安全配慮義務の一環としてカスハラ対策を講じましょう。
【参考記事】
カスハラ対策にAIを活用するメリットは?効果的な対策や導入ステップ
企業におけるカスハラ対策の義務化とは?
従業員を不当な言動から守るため、法改正によって企業へのカスハラ対策が義務づけられることになりました。今後は、方針の明確化や社内への周知、相談体制の整備、そして発生後の迅速な対応と抑止措置が求められます。
改正法のポイント
労働施策総合推進法等の改正(令和7年法律第63号)に伴い、事業主にはカスハラ対策を講じることが義務付けられます。
対象は労働者を雇用する全ての事業主で、従業員規模の制限はありません。具体的には、以下の措置が求められます。
・カスハラ対策に関する方針の明確化と、従業員への周知・啓発(研修の実施など)
・従業員が相談できる体制の整備
・カスハラ発生時の迅速かつ適切な対応、および再発防止のための抑止措置
対策が不十分な場合、行政による助言・指導・勧告の対象となる可能性があります。
【参考】
カスハラとは?法改正により義務化されるカスハラ対策の内容やカスハラ加害者とならないためのポイントをご紹介 (政府広報オンライン)
「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」(厚生労働省)
カスハラ対策の義務化による企業への影響
カスタマーハラスメント対策の義務化は、企業経営に直接的な影響を及ぼします。
今回の法改正により、カスハラ対策は「できれば取り組むべき努力目標」から「企業が講じるべき適切な対応」へと明確に変わりました。対策が不十分であると判断された場合、行政から現状報告を求められる可能性があります。
行政からの助言・指導・勧告を受けた後も適切な対応が講じられない場合、企業名の公表が行われることがあります。もし公表によって良くないイメージが広がったら、企業信用の低下や採用活動への影響は避けられません。施行直前になって慌てることのないよう、早い段階から社内体制の構築を進めておくことが重要です。
企業が取り組むべきカスハラ対策とは?
企業が取り組むべきカスハラ対策は、判断基準の策定、方針の周知、マニュアル作成、社内研修、そして相談体制の整備などです。また、電話口でのカスハラを防ぐ手段として、IVR(音声自動応答)やボイスボットを導入し、一次対応を自動化することも効果的です。
カスハラとクレームを明確に区別する基準を設ける
自社の判断基準を明確にして、「対応すべきクレームの範囲」や「妥当性がある要求の範囲」などを全社員に周知しましょう。判断基準が曖昧なまま現場の判断に任せると、担当者がクレームとカスハラの区別で悩み、適切な対応がしにくくなるおそれがあります。
カスハラに対する企業の方針を明確にする
企業としてカスハラに毅然とした姿勢で対応し、従業員を守る方針を明確にすることが大切です。自社におけるカスハラの定義や、カスハラが発生した際の対応方法、カスハラに該当する具体的な行為や発言を公表することで、従業員が安心して働きやすくなります。
カスハラへの対応マニュアルを作成する
現場の担当者向けにカスハラへの対応方法をマニュアル化しておくと効果的です。業務マニュアルを作成する際は、カスハラを未然に防ぐための適切なクレーム処理の方法や、過去のカスハラの事例、カスハラが発生した場合の対応プロセスなどの情報をまとめておくと良いでしょう。
カスハラ対応に関する研修をする
カスハラ対応の研修を実施して、従業員のクレーム対応スキルの定着と向上をはかりましょう。基本的なクレーム対応の手順を身につけるとともに、応用として悪質なケースへの法的な対応手段を理解させるなど、対応者の安全を守るノウハウを盛り込むと効果的です。
カスハラに関する社内での情報共有の方法や相談体制を整える
カスハラは現場のみでは解決が難しいケースも少なくありません。社内に相談窓口を設けるほか、警察・弁護士と連携したり、厚生労働省の相談窓口を利用したりする方法もあります。組織的に被害の深刻化を防いだり、再発防止したりするための体制を整えましょう。
ボイスボット(IVR)を取り入れる
コールセンターにおけるカスハラ対策にはボイスボット(IVR)の導入が有効です。コールセンター業界では、電話口でのカスハラ(TELハラ)の影響で、オペレーターのメンタルヘルスへのダメージが懸念されています。ボイスボットで代表電話の一時対応を自動化するとともに、悪質な電話番号をブラックリストに登録することで、カスハラの予防・牽制・抑制が期待できます。近年、カスハラの被害は増加傾向にあることから、ボイスボット導入をはじめとした根本的な業務改善が求められています。ボイスボットによる自動化は、インフレにともなう値上げなどの背景からも注目され、DX推進の観点でも有効な手段です。ボイスボットで電話業務のストレスを低減し、業務効率化や生産性向上を実現しましょう。
カスハラが実際に起こった際の対応ポイント
カスハラが起きた際は、事実関係の正確な把握と複数人での対応が基本です。担当者1人に抱え込ませず、組織全体で対応することが大切です。悪質なケースでは警察や弁護士と連携して法的措置を検討するとともに、再発防止に向けた仕組みづくりを並行して進めましょう。
事実関係を正確に把握する
カスハラに該当するか正確に判断するには、まず顧客と従業員の双方の証言を聞いて事実確認する必要があります。管理職は確認した事実に基づいて、商品・サービスに対する正当なクレームであるかを判断し、その後の対応や回答内容を検討しましょう。
複数人で対応する
カスハラには従業員1人で判断や対応をさせないことが重要です。基本的に複数の従業員で対応し、状況に応じて上司や法務担当部署と連携を取るようにします。また、従業員がカスハラの被害を受けた場合は丁寧なメンタルヘルスケアを実施するとともに、現場体制を見直して安全性を確保し、再発防止に取り組みましょう。
【参考記事】
コールセンターでクレーム対応を行うポイントは?対応改善のアイデア
内容によっては、専門家に相談し法的措置を検討する
現場レベルでの話し合いでは解決の糸口が見えない悪質な事案については、法的措置を視野に入れた対応が必要です。まずは証拠を適切に保全するため、「いつ・どこで・誰が・何を・どのように」発言・行動したのかを、客観的事実として時系列で正確に記録します。
暴力や脅迫など、刑法に抵触する行為が起こった場合は、ためらわずに警察へ通報・相談してください。
また、刑事事件には至らないケースでも、執拗な抗議の電話や不当な要求によって通常の業務が著しく妨害されている場合は、弁護士などの専門家に相談しましょう。状況に応じて、民事訴訟や損害賠償請求などの法的手段を検討します。毅然とした態度が、結果的に組織と従業員を守ることにつながります。
再発防止に向けた取り組みを進める
個別のトラブルへの対応が一段落した後は、同様のカスハラ行為を繰り返させないため、組織全体で未然防止策を強化することが不可欠です。「やり取りの記録を残している」「組織として厳格に対応している」という企業側の姿勢を外部に可視化することが、悪質な行為への強力な抑止力となります。
具体的には、次のような対策を組み合わせて実施すると効果的です。
・複数人での対応を心がける
・防犯カメラを設置する
・見やすい場所にカスハラ防止を訴えるポスターを掲示する
・必要に応じて通話内容を録音する
・通話前に録音の旨を知らせるメッセージを流す
コールセンターのカスハラ対策にはボイスボット(IVR)がおすすめ
ここまで、カスハラ対策の基礎知識を解説しました。企業は安全配慮義務を怠らないためにも、カスハラ対策を講じて大切な従業員を被害から守らなければなりません。その際は、適切なクレーム対応でカスハラを防止するだけでなく、顧客対応の自動化による根本的な業務改善の施策も有効です。電話放送局では、コールセンターの電話口で発生するカスハラ(TELハラ)対策に効果的なボイスボット(IVR)のサービスを提供しております。導入によりオペレーターの負担を軽減し、業務のDX化を進めることが可能です。どうぞお気軽にお問い合わせください。
カスハラ対策に関するQ&A
カスハラとクレームの違いは何ですか?
両者の違いは、「要求の妥当性」と「手段の正当性」にあります。クレームは商品やサービスの改善につながる正当な指摘や要望です。一方カスハラは、理不尽な要求や暴言、脅迫などによって業務を妨害し、企業に損失をもたらす迷惑行為を指します。
カスハラ対策はいつから義務化されますか?
カスハラ対策を義務付ける改正法は2025年6月11日に公布されており、公布日から起算して1年6か月以内の政令で定める日に施行される予定です。企業は施行を待つのではなく、今のうちから方針策定や相談体制の整備といった準備を進めておく必要があります。
なお、東京都では「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が2025年4月1日に施行されており、都内事業者はカスハラ防止に向けた必要な措置に取り組むことが求められます。
企業が最初に取り組むべきカスハラ対策は何ですか?
最初に取り組むべき対策は、自社におけるカスハラの定義と基本方針を明確にすることです。どこまでの要求なら応じ、どこからをカスハラとして拒絶するのかという基準を定め、社内外に対して毅然とした態度で臨む方針を示すことが対策の土台となります。
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