2024/05/09

コールセンター運営では、顧客の電話応対はもちろん、後処理も重要な業務の一つだといえます。しかし、後処理に多くの時間がかかっている状態では、コールセンターの生産性が低下し、顧客へより良いサービスを提供できません。どうしたらACW(平均後処理時間)を短縮できるのでしょうか。

ここでは、ACWの基礎知識や、ACWが長くなる原因、短縮する方法を解説します。また、ACWの課題を解決へと導く業務効率化システムもご紹介するため、コールセンターの後処理でお悩みのご担当者様はぜひご一読ください。

目次

ACWとは

 ・ACWの意味

 ・ATTやAHTとの違い

 ・ACW時間の業界標準

ACWが長くなる原因

 ・オペレーターのスキルの影響

 ・後処理マニュアルの未整備

 ・入力内容の複雑さ

 ・スキルベースルーティング

ACWの短縮で得られるメリット

 ・生産性の向上

 ・コストの削減

 ・顧客満足度の改善

ACWを短縮する方法

 ・処理フローの見直し

 ・オペレーターのスキルの向上

 ・業務効率化システムの導入

ACWの改善にはIVR(自動音声応答システム)がおすすめ!

ACWとは

ACWの指標によって、自社のコールセンターのどんな傾向が明らかになるのでしょうか。また、なぜコールセンターでACWの短縮に取り組む必要があるのでしょうか。ここではACWの意味や、よく似た指標との違いなど、基礎知識を解説します。

ACWの意味

「ACW(After Call Work)」とは、電話応対業務における「平均後処理時間」のことです。コールセンターの業務効率を示す指標として、分析に用いられます。ACWの対象となるのは、オペレーターが顧客との通話を終えてから、直前の通話のまとめを行う時間です。具体的には、顧客情報や通話内容をシステムに入力して記録に残したり、注文などの手続きを行ったりする際の対応時間が含まれます。ACWが短縮されると、オペレーターがより多くの電話に対応できるようになります。

ACWが長い場合、施策によって社内の改善を図ることで、現状よりも時間を短縮できる可能性があるでしょう。その理由は、後処理時間の長さはあくまでコールセンター内の問題であるためです。オペレーターの業務スキルが低い状態にあったり、処理フローが非効率的であったりすると、後処理に余計な時間がかかってしまうことも少なくありません。多くのコールセンターがこうした後処理時間に関する課題を抱えており、改善の施策に取り組んでいます。

ATTやAHTとの違い

コールセンターで用いられる指標のうち、ACWと関連性の高いものとして「ATT(Average Talk Time)」や「AHT(Average Handling Time)」などが挙げられます。

ATTは「平均通話時間」を意味します。こちらは顧客との通話にかかる平均時間のことです。ATTの長さは、顧客からの問い合わせ内容などの影響を大きく受ける点で、ACWとは異なります。ACWの長さは、顧客による影響をほとんど受けません。一方のAHTは「平均処理時間」を意味します。こちらはオペレーターの生産性を表す指標で、電話を受けてから通話後の処理を終えて、次の電話に出るまでの時間のことです。前述のATTとACTを足したものがAHTとなります。

AHTを短縮すると、オペレーターがより多くの電話に対応できるため、コールセンターの全体的なサービス向上につながると考えられています。ただし、顧客に左右されやすいATTは、基本的に大幅な短縮が難しいことから、AHTを改善するにはまずACWの短縮に取り組むのがポイントです。自社内の工夫によりACWを短縮する方向性で、AHTの短縮を目指すと良いでしょう。

ACW時間の業界標準

コールセンター業界におけるACWの平均値は、約5~6分とされています。ACWが5分の場合、1時間あたりに対応できる後処理の件数は12件です。ACWが6分の場合は、1時間で10件の後処理に対応できます。このように、たった1分短縮するだけでも業務効率に差が出ることがわかります。現状のACWが5分を大幅に超えている場合は、改善の施策へ取り組むと良いでしょう。

ACWが長くなる原因

ACWが業界標準を大幅に超えている場合、どんな原因が考えられるでしょうか。ここでは、ACWが長くなる主な原因をご紹介します。

オペレーターのスキルの影響

まだ経験の浅いオペレーターほど、後処理に不慣れなため作業に多くの時間がかかる傾向にあります。新人オペレーターは文章の作成に手間取ってしまったり、ベテランオペレーターと比べてタイピングの速度が遅かったりすることも珍しくありません。こうしたオペレーターのスキルによる作業スピードのばらつきをなくすことで、ACWを短縮できる可能性があります。

後処理マニュアルの未整備

社内で後処理がマニュアル化されていないと、オペレーターごとに作業の進め方が異なってしまいます。一人ひとりが個人の判断で作業せざるを得ないことから、オペレーターによっては非効率的な方法で仕事に取り組んでいるケースもあるでしょう。さらには、マニュアルが未整備の職場では新人オペレーターを指導する際の効率も低下しやすいのが注意点です。

入力内容の複雑さ

オペレーターが電話応対の内容をシステムへ記録する際に、入力項目が多すぎたり複雑すぎたりすると、必要以上に後処理に時間がかかってしまうおそれがあります。長期間にわたり記入項目の見直しが行われていない場合は、不要な項目を記入する無駄な作業を続けてしまっている可能性も考えられます。既存の入力内容は適宜見直し、効率化を図ることが大切です。

ACWの短縮で得られるメリット

コールセンターがACWを短縮させると、具体的にどのようなメリットが期待できるのでしょうか。ここでは、ACWの短縮によってもたらされる効果をご紹介します。

生産性の向上

ACWを短縮する主なメリットとして挙げられるのは、オペレーターの対応件数が増加することです。1件あたりの対応時間が短くなることで、勤務時間内により多くの電話に対応できるようになります。こうしてオペレーターの1人あたりの対応件数が増えれば、コールセンター全体の生産性が向上します。

コストの削減

ACWが改善されてコールセンターの生産性が向上すると、結果として運営コストの削減につながります。オペレーターの人数を最小限に留めて、効率的にコールセンターを運営することが可能です。コールセンター運営においてもっとも負担が大きい、人件費のコストを抑えやすくなるでしょう。

顧客満足度の改善

オペレーターが次の電話を受けるまでの時間が短縮されると、顧客の待ち時間が少なくなり、待機によるストレスを与えにくくなります。電話がつながる前に顧客が切断してしまう「放棄呼」を減らせば、コールセンターの応答率が高まり、顧客満足度の改善が期待できるでしょう。

ACWを短縮する方法

自社のコールセンターのACWを短縮するには、どのような施策へ取り組むべきでしょうか。最後に、ACWを短縮するために検討したい、3つの方法をご紹介します。

処理フローの見直し

非効率的な処理フローが原因で、後処理の効率が低下していないでしょうか。まずは、自社の後処理で行われている入力作業を見直してみましょう。作業に多くの手間がかかっている場合は、入力内容を単純化して、より簡単に作業できるようにするのも一つの手です。また、不要な入力項目があればできるだけ削減して、入力する量を減らすのも有効だといえます。このように入力作業が整理されると、オペレーターが思考する際の負担も抑えられるので、処理を効率化しやすいといえます。

オペレーターのスキルの向上

後処理の業務効率はオペレーターの能力による影響を受けやすいといえます。そのため、ACWを短縮するには社員教育によって一人ひとりのオペレーターのスキル向上を促すことも重要です。コールセンターで働くには電話応対スキルだけでなく、後処理をこなすための文書作成スキルやタイピングスキルもなくてはなりません。事務作業の効率化へ向けて、ビジネス文書の作成方法を学ぶ社員研修の実施や、タイピングソフトによる練習を導入しても良いでしょう。また、文章の要約に「ChatGPT」などの生成AIを活用して、オペレーターの作業を補完するアプローチも効果的です。

業務効率化システムの導入

コールセンター向けのITシステムを導入すると、後処理をはじめとした業務がスムーズにできるようになります。たとえばデータ入力を効率化するなら、顧客管理システムの「CRM」や、コンピューターと電話を統合する「CTI」などのシステムを検討しましょう。また、電話応対自体を自動化するシステムもあります。自動で顧客からの電話に対応し、その後の記録や手続きも自動で処理されるため、そもそもACWが発生しません。コールセンターの業務効率化で導入をご検討ください。

たとえば電話放送局の「とりつぎ君」は、AIを活用してコールルーティング(呼分配)を自動化する便利なシステムです。顧客の発話やプッシュ操作に基づいて電話を自動で振り分けられるので、定型業務の負担を大幅に軽減できます。業務効率化に貢献するだけでなく、スムーズな取り次ぎによって顧客のストレス軽減にもつながります。業務効率化システムでコールセンターの課題を解決するなら、ぜひ電話放送局へご相談ください。

とりつぎ君

ACWの改善にはIVR(自動音声応答システム)がおすすめ!

ここまで、コールセンターの指標であるACW(平均後処理時間)について解説しました。ACWは後処理にかかる平均時間を示しており、コールセンターの業務効率が明らかになります。後処理に多くの時間がかかっている場合は、社内の改善によって短縮が期待できるため、ぜひ施策に取り組みましょう。

ACWに関して課題を抱えているなら、電話放送局の「とりつぎ君」がおすすめです。「とりつぎ君」は、顧客の発話やプッシュ操作に基づいて電話を自動振分するので、そもそも電話応対の負担が発生しません。音声を録音して音声認識でテキスト化する機能をオプションで追加できるため、後処理までシステムで完結できます。営業電話などの不要な電話への対応をカットして、時間の無駄を防げる点も魅力です。オペレーターの人員を最小限に抑えることでコールセンターの人件費削減が期待できます。ACWの課題解決へ向けてIVRを導入するなら、お気軽に電話放送局までお問い合わせください。

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