2026/10/09

コールセンターのFAQの作り方と管理方法|書き方の例文と、電話が減らないときの対策

「FAQページを用意したのに、同じ質問の電話がいっこうに減らない」「オペレーターによって答え方が違うと、お客様から指摘されてしまった」。コールセンターの運営を任されている方から、こうした声をよく耳にします。コールセンターのFAQは、入電理由のうち件数が多く、答えが1つに決まる用件から作るのが、電話を減らす近道です。お客様が読むWebのFAQと、オペレーターが応対中に見るFAQは書き方が違い、電話の自動音声で読み上げるなら、さらに別の書き方が必要です。本記事では、コールセンターのFAQの種類と効果、作り方6ステップ、管理方法、FAQを作っても電話が減らないときの見直し方を解説します。同じ質問をWeb・オペレーター・自動音声の3通りに書き分けた例文は、記事の中ほどにある「例文」の章にまとめています。

目次

・コールセンターのFAQとは?

・コールセンターにFAQを置く4つの効果

・どの問い合わせをFAQにすべき?

・コールセンターのFAQの作り方6ステップ

・同じ質問を3通りに書き分けた例文

・FAQの管理方法は?Excelとシステムの使い分け

・FAQを作っても電話が減らないのはなぜ?

・電話の中でFAQを使う3つの方法

・FAQの効果はどう測る?

・よくある質問

・まとめ

コールセンターのFAQとは?

コールセンターのFAQとは、お客様から繰り返し寄せられる質問と、その回答をまとめたものです。FAQは「Frequently Asked Questions」の略で、日本語では「よくある質問」と訳されるのが一般的です。コールセンターでは、お客様が自分で読む窓口として使われるほか、オペレーターが応対中に答えを確かめる資料としても使われます。ここでは、似た資料との違いと、FAQの2つの種類を確認します。

FAQとマニュアル・ナレッジベースは何が違う?

FAQは「質問と答えの組み合わせ」で、マニュアルは「業務の進め方」、ナレッジベースは「その両方を含む知識の置き場所」です。コールセンターではこの3つが混ざりやすく、FAQに業務手順まで書き込んでしまうと、お客様にもオペレーターにも読みにくいものになります。

資料 主に読む人 書いてあること 使う場面
FAQ お客様
オペレーター
よくある質問と、
それに対する答え
電話をかける前、
応対中の確認
マニュアル オペレーター 受付から後処理までの
業務の手順と判断基準
研修、
手順に迷ったとき
トーク
スクリプト
オペレーター 名乗りや確認事項など、
話す順番と言い回し
通話中
ナレッジ
ベース
社内の全員 FAQ・手順・過去の対応記録を
まとめて探せる知識
答えが
FAQに無いとき

マニュアルの作り方はコールセンターマニュアルの作り方、知識の置き場所としての整え方はナレッジベースとはで解説しています。

お客様向けFAQとオペレーター向けFAQの2種類がある

コールセンターのFAQには、お客様がWebサイトで読む「お客様向け」と、オペレーターが応対中に見る「オペレーター向け」の2種類があります。同じ質問を扱っていても、目的が違うため中身も変わります。

お客様向けFAQの目的は、電話をかけずに用件を終えてもらうことです。専門用語を避け、手続きの画面や必要な書類まで案内して、そこで完結させます。一方のオペレーター向けFAQは、通話中に正しい答えを素早く見つけるためのものです。お客様に伝える答えに加えて、本人確認で聞く項目、例外の扱い、判断に迷ったときの相談先まで書いておきます。

2つを1つのFAQで兼ねようとすると、お客様に見せられない社内向けの情報が混ざったり、オペレーターに必要な例外が抜けたりします。元になる質問の一覧は共通にして、書き方だけを分けるのが扱いやすい形です。

コールセンターにFAQを置く4つの効果

FAQを整えると、電話の件数、応対の質、新人の育成、混雑時の受け皿の4つに効果が出ます。

①電話をかける前に解決してもらえる

お客様向けFAQの効果は、電話の手前で用件が終わることです。営業時間や送料、パスワードの再設定のように、答えが1つに決まる質問がWebで解決すれば、その分の電話はかかってきません。オペレーターが受ける件数が減れば、残った電話の待ち時間も短くなります。

お客様にとっても、待たずに答えがわかるほうが助かる場面は少なくありません。電話放送局が50〜70代の男女241名に実施した調査では、コールセンターに求めることの1位が「すぐにつながること(待ち時間が短い)」で44.0%、3位が「1回のやり取りで確実に解決すること」で36.5%でした(出典:コールセンター利用とAI自動応答(ボイスボット)に関する意識調査)。FAQはこの2つに、電話より先に応えられる手段です。

②オペレーターの回答がそろう

オペレーター向けFAQがあると、誰が電話を取っても同じ答えを返せます。返金の条件や手続きの期限を、ベテランは覚えていても新人は先輩に聞くしかない、という状態では、聞く相手によって答えが少しずつずれていくのは避けられません。

お客様は、前回と違うことを言われると、どちらが正しいのかを確かめるためにもう一度電話をかけてきます。答えをFAQに1つだけ書いておくことは、こうした確認の電話を減らすことにもつながります。

③新人が早く電話を取れるようになる

FAQが整っていると、新人はすべてを覚えてから電話を取る必要がなくなります。よくある質問の答えを画面ですぐ引ける状態なら、研修の期間を業務の流れや言葉遣いの習得に充てられるからです。

答えを探して保留にする時間が短くなれば、1件あたりの平均処理時間(AHT)も短くなります。研修全体の組み立ては、コールセンターの研修内容で紹介しています。

④時間外や混雑時の受け皿になる

FAQは、オペレーターが電話を取れない時間にも答えを返せます。夜間や休日、広告の直後のように電話が集中する時間帯は、待たせるか、つながらないまま切られるかのどちらかになりがちです。

先の調査でも、コールセンターで嫌な経験をした人のうち「電話がつながらない」経験は50.2%で、最も大きいストレスとして挙げた人も36.9%いました(出典:意識調査)。つながらない時間にFAQへ案内できれば、お客様の用件を取りこぼさずに済みます。

どの問い合わせをFAQにすべき?

FAQにすべきなのは、入電理由のうち「件数が多く、答えが1つに決まる用件」です。件数が多くても、お客様ごとに事情を聞いて判断する用件はFAQでは終わりません。思いついた質問から書き始めるのではなく、実際の電話の中身から選ぶのが近道です。

入電理由を1か月数える

最初に、電話がどんな用件でかかってきているのかを数えます。オペレーターが応対後に用件を1つ選んで記録する形にすれば、1か月で用件ごとの件数がそろいます。これがコールリーズン(入電理由)の集計です。

集計した用件を件数の多い順に並べると、上位の10個ほどで全体の大きな割合を占めているケースは珍しくありません。その上位の中から、次の基準でFAQにする用件を選びます。集め方と分析の進め方はコールリーズン分析とはで詳しく解説しています。

FAQで終わる用件と、人が受けるべき用件を分ける

用件は「答えが1つに決まるか」「本人の情報を確かめる必要があるか」で分けると判断しやすくなります。答えが決まっていて本人確認も要らない用件はFAQで完結し、本人確認が要る定型の手続きは自動音声などの受付に、判断や相談が必要な用件は人に残します。

用件の種類 例 向いている受け方
答えが1つに
決まる質問
営業時間、送料、
対応エリア、必要書類
FAQで完結させる
本人確認が要る
定型の手続き
住所変更、配送日の変更、
資料請求
FAQで手順を示し、
Webか自動音声で受け付ける
状況によって
答えが変わる相談
契約内容の変更、
故障の原因の切り分け
オペレーターが受ける
(オペレーター向けFAQで支える)
気持ちを
受け止める電話
苦情、
緊急の問い合わせ
オペレーターが受ける

人に残す用件の目安は、お客様の側からも見えています。先の調査で「人間のオペレーターに対応してほしい場面」を聞いたところ、上位は「契約内容の複雑な変更があるとき」49.4%、「判断に迷っていて相談したいとき」36.1%、「商品の使い方を具体的に教えてほしいとき」29.0%でした(出典:意識調査)。こうした用件までFAQで済ませようとすると、かえって不満を招きます。

入電理由から仕分けた自治体の例

前橋市の国民健康保険課では、年間約3万2千件の電話をすべて職員が受けていました。そこでコールリーズンの分析をもとに、自動音声で解決できる内容と職員が直接聞くべき内容を仕分け、問い合わせの多い項目から順に音声案内を作っています。あわせて、ホームページやFAQへの導線も見直しました。

導入後は、自動音声だけで案内が終わる割合(完結率)が約20%に達し、電話応対の時間は年間換算で約550時間減っています(出典:導入事例 前橋市 国民健康保険課)。FAQと電話の案内を別々に作るのではなく、同じ入電理由の一覧から両方を組み立てた例です。

コールセンターのFAQの作り方6ステップ

ここからは、FAQを作る手順を6つのステップで紹介します。お客様向けとオペレーター向けのどちらにも使える手順です。

質問を集める、お客様の言葉で書く、結論から答える、分類と言い換えを付ける、オペレーターが読んで確かめる、見直し日を決める、の6ステップでコールセンターのFAQを作る流れの図

ステップ1 応対の記録から質問を集める

FAQの質問は、実際にお客様が口にした言葉から集めます。入電理由の集計に加えて、応対履歴のメモ、メールやチャットの問い合わせ、オペレーターが先輩やSVに確認した内容も材料になります。

見落としやすいのが、オペレーター同士の確認です。「この場合は返金できますか」と隣の席に聞いている質問は、お客様向けFAQには載っていない答えであることが多く、オペレーター向けFAQの候補になります。

ステップ2 質問をお客様の言葉で書く

質問文は、社内の呼び方ではなく、お客様が使う言葉で書きます。社内で「契約者変更」と呼んでいる手続きも、お客様は「名義を家族に変えたい」と言います。社内の言葉で書いたFAQは、お客様が検索しても見つかりません。

1つの質問に、言い換えを3つほど添えておくと探しやすくなります。「解約したい」「やめたい」「退会の方法」のように、通話の記録に残っている言い方をそのまま拾うのが確実です。

ステップ3 回答は結論から1つだけ書く

回答の1文目には、質問への答えをそのまま書きます。「はい、変更できます」「送料は全国一律です」のように結論を先に置き、条件や手順はその後に続けます。

1つの質問に答えを2つ以上入れると、お客様はどちらが自分に当てはまるのか判断できません。条件によって答えが分かれる場合は、条件ごとに質問を分けるか、オペレーターにつなぐ案内を添えます。

ステップ4 分類と言い換えを付ける

FAQが数十件を超えたら、カテゴリで分けて探しやすくします。「ご注文」「お支払い」「配送」「解約」のように、お客様が用件を思い浮かべる単位で分けるのが基本です。

社内の部署の分け方でカテゴリを作ると、お客様はどこを見ればよいのかわかりません。同じ質問を2つのカテゴリに置いても問題はないため、迷いそうな質問は両方に入れておきます。

ステップ5 公開前にオペレーターが読んで確かめる

公開する前に、現場のオペレーターに読んでもらいます。毎日電話を受けている人は、お客様がどこでつまずくかを知っているため、書いた本人が気づかない抜けを見つけてくれます。

確かめてもらうのは、答えが今の運用と合っているか、お客様に伝わる言葉になっているか、この回答を読んだお客様が次に何を聞いてくるか、の3点です。最後の問いへの答えが、次に足すべきFAQになります。

ステップ6 公開日と見直しの日を決める

FAQは、料金や手続きが変わった瞬間に古くなります。各FAQに公開日と次の見直し日を付け、担当者を決めておくと、古い答えが残り続けるのを防ぐことが可能です。

キャンペーンや料金改定のように変更の予定がわかっている場合は、変更日の前にFAQを書き換える段取りを組んでおきます。変更当日にWebのFAQだけが古いままだと、確認の電話が一気に増えるためです。

同じ質問を3通りに書き分けた例文

ここでは、「配送先を変更したい」という同じ質問を、Webのお客様向け、オペレーター向け、電話の自動音声向けの3通りに書き分けた例を紹介します。読む人と読む場面が違えば、同じ答えでも書くべきことが変わります。

向け先 書き方のポイント 例文
(配送先を変更したい)
Webの
お客様向け
結論を先に書き、
手続きの画面まで案内する
発送前のご注文は、マイページの「注文履歴」から配送先を変更できます。発送後の変更は、配送業者への連絡が必要です。
オペレーター
向け
確認する項目、例外、
相談先まで書く
注文番号と登録の電話番号で本人確認。発送前ならシステムで変更可。発送済みは配送業者の再配達窓口を案内。ギフト注文で送り主と受取人が違う場合はSVに確認。
電話の
自動音声向け
1文を短くし、
選択肢は3つまでにする
配送先の変更ですね。まだ発送前のご注文は、マイページから変更できます。変更の方法をショートメッセージでお送りする場合は、1を押してください。

お客様向けの書き方

お客様向けのFAQは、読み終えたお客様が次に何をすればよいかがわかる形で終えます。「変更できます」で止めず、どの画面のどのボタンから進むのかまで書くと、手続きの途中で電話がかかってくることが減ります。

注意したいのは、社内でしか通じない言葉です。「出荷指示前」「伝票発行済み」といった社内の区切りは、お客様には判断できません。例文のように「発送前」「発送後」とお客様に見える出来事で分けると、自分がどちらに当てはまるのかがすぐにわかります。

オペレーター向けFAQは何を書く?

オペレーター向けFAQには、お客様に伝える答えに加えて、本人確認の項目、例外の扱い、迷ったときの相談先を書きます。通話中に読むものなので、文章を整えるより、目で追ってすぐ判断できることを優先します。

例文のギフト注文のように、まれにしか起きないものの判断を誤ると問題になるケースは、オペレーター向けFAQにだけ書いておく情報です。お客様向けに載せると説明が長くなりすぎますが、オペレーターが知らなければ誤った案内につながります。

自動音声で読み上げるときは何が違う?

自動音声で読み上げるFAQは、一度聞いただけで理解できることが条件です。画面のように読み返すことができないため、1文を短くし、数字や選択肢は一度に多く並べないようにします。

前橋市の例でも、導入当初は説明漏れを防ごうとして案内が長くなり、選択肢も増えていました。そこから過剰な説明を省いて情報を絞り込む方針に切り替えたことで、途中で迷いにくい案内になっています(出典:導入事例 前橋市 国民健康保険課)。音声の案内文の組み立て方は、電話音声ガイダンス(IVR)の作り方でも紹介しています。

FAQの管理方法は?Excelとシステムの使い分け

FAQの件数が数百件までで、更新する人が数名に限られるならExcelやスプレッドシートで十分に管理できます。複数の拠点や委託先で同じFAQを使う場合や、お客様が何を検索したかを見たい場合は、FAQシステムが向いています。

Excel・スプレッドシートで管理する

Excelで管理する場合は、1行に1つのFAQを置き、列を決めておくと崩れにくくなります。最低限そろえたい列は、管理番号、カテゴリ、質問、言い換え、お客様向けの回答、オペレーター向けの補足、公開日、次の見直し日、担当者です。

費用をかけずに始められる反面、同時に複数の人が書き換えると、どれが最新なのかわからなくなります。更新できる人を決め、変更した日と内容を記録する列を設けておくと、古い版が出回るのを防げます。

FAQシステムで管理する

FAQシステムは、FAQの作成、承認、公開、検索をまとめて扱える仕組みです。Webのお客様向けページとオペレーターの画面に同じFAQを出し分けられるものも多く、1か所を直せば両方に反映されます。

もう一つの利点は、お客様がどんな言葉で検索し、どのFAQを読んだかが記録に残ることです。検索しても答えが見つからなかった言葉は、次に作るべきFAQの候補になります。

システムを選ぶときに確かめる4点

FAQシステムを選ぶときは、機能の多さよりも、自社の運用で毎日使う部分が使いやすいかを確かめます。次の4点は、導入後に困りやすい部分です。

検索の仕方がお客様の言葉に合っているか

キーワードが完全に一致しないと見つからない検索では、言い換えをすべて登録しておく必要があります。話し言葉の文章で探せるか、入力の途中で候補が出るかを、実際の質問文を使って試してください。

更新と承認の手順を回せるか

誰が書き、誰が確認して公開するのかを、システムの上で決められるかを確かめます。承認の手順が重すぎると、更新が滞って古い答えが残ります。

検索の記録を見られるか

検索された言葉、よく読まれたFAQ、答えが見つからなかった言葉を一覧で確認できるかを見ます。この記録がないと、FAQを足すべきかどうかを勘で決めることになります。

他の窓口と同じFAQを使えるか

チャットボットや顧客管理システム、電話の自動音声と、同じFAQを使い回せるかも確認します。窓口ごとに別のFAQを持つと、どこかの答えが必ず古くなるためです。チャットボットでFAQを使う方法は、FAQチャットボットとはで解説しています。

FAQを作っても電話が減らないのはなぜ?

FAQを作っても電話が減らない原因の多くは、FAQの中身ではなく、電話をかけようとしているお客様の目にFAQが届いていないことにあります。Webサイトを見ずに電話番号だけを調べてかけてくるお客様や、FAQを読んだうえで手続きの途中で迷ったお客様は、FAQがあっても電話をかけてきます。

電話番号を調べてそのまま電話をかける道と、FAQを読んだ後に手続きで迷って電話をかける道の2つと、それぞれの打ち手を示した図

起きていること 考えられる原因 まず打つ手
FAQにある質問の
電話が減らない
電話をかける人が
FAQを見ていない
電話の中で
FAQやWebを案内する
FAQは読まれているのに
電話が来る
回答の先の手続きで
つまずいている
回答に手続きの画面を足し、
画面の分かりにくさを直す
FAQを検索しても
見つからない
質問文が社内の言葉で、
言い換えが足りない
通話の記録にある
言い方を言い換えに足す
オペレーターの
答えがばらつく
オペレーター向けFAQに
例外の扱いが無い
確認の多い例外を
オペレーター向けに足す
古い答えで
案内してしまう
見直しの担当と
日付が決まっていない
FAQごとに担当者と
見直し日を付ける

電話をかける人がFAQを見ていない

電話をかけてくるお客様の中には、最初から電話で聞くと決めている人が少なくありません。スマートフォンで会社名と「電話番号」を検索し、表示された番号にそのままかけるため、FAQのページは一度も開かれていないのです。

高齢のお客様が多い窓口では、この傾向がさらに強まります。Webで調べること自体に慣れていないお客様に、Webの改善だけで電話を減らしてもらうのは限界があります。こうした窓口では、FAQを電話の中に持ち込む工夫が必要です。高齢者対応の強化もあわせて確認してください。

回答の先の手続きでつまずいている

FAQは読まれているのに電話が来る場合は、回答そのものではなく、その先の手続きに原因があることが多いようです。「マイページから変更できます」と書いてあっても、ログインの方法がわからなければ、お客様は電話をかけるしかありません。

このとき役に立つのが、オペレーターが記録する入電理由です。「FAQを見たが手続きできなかった」という記録が特定の手続きに集中していれば、直すべきはFAQの文章ではなく手続きの画面だとわかります。

FAQにない質問が記録されていない

新しい質問がFAQに足されていかないのも、電話が減らない原因です。新しい商品やサービスの変更があると、お客様の質問は変わりますが、FAQが半年前のままでは追いつきません。

オペレーターが「FAQに無かった質問」を応対後に一言残せる欄を設けておくと、月に一度の見直しで足すべきFAQがすぐに見つかります。お客様の声全体を分析する方法は、VOC分析とはで紹介しています。

電話の中でFAQを使う3つの方法

FAQを見ずに電話をかけてくるお客様には、電話の中でFAQを届けるのが確実です。ここでは、電話の自動応答を使ってFAQを案内する3つの方法を紹介します。

混雑時に自動音声でFAQを案内する、SMSで回答のページを送る、ボイスボットがFAQをもとに答える、の3つの方法を示した図

①混雑時に自動音声でFAQやチャットボットを案内する

オペレーターが取りきれない時間帯だけ、IVR(自動音声応答)でFAQやチャットボットを案内する方法です。すべての電話をWebへ誘導するのではなく、人につながる道を残したまま、すぐ解決できる手段を選んでもらいます。

集合住宅向けのインターネット接続サービスを提供する株式会社ギガプライズは、お客様が求めているのはオペレーターとの電話ではなく課題の解決だと考え、チャットボットやFAQサイトでの対応を進めていました。一方で、インターネット環境を使うお客様の幅は広く、電話はなくせない窓口だと再認識したといいます。そこで、基本はオペレーターが対応しながら、取りきれない電話にはIVRでチャットボットやFAQを案内する運用に切り替えました。その結果、放棄呼はゼロになり、チャットボットやFAQの利用率は10%上がっています(出典:導入事例 株式会社ギガプライズ)。

②SMSで回答のページを送る

自動音声で用件を聞き、答えが載っているページのURLをSMS(ショートメッセージ)で送る方法です。FAQのURLを口頭で伝えるのは難しくても、SMSならお客様は届いたリンクを押すだけで答えにたどり着けます。

カーフェリーを運航する株式会社商船三井さんふらわあは、台風などで欠航が出るたびに、多くのオペレーターが1日がかりで案内の電話に追われていました。そこで、欠航の対象となるお客様に、欠航情報を載せたページのURLをSMSで一斉に送る運用に変えています。オペレーターは希望するお客様からの電話に集中でき、受付の窓口を縮小せずに運用できるようになりました(出典:導入事例 株式会社商船三井さんふらわあ)。電話からSMSで案内する仕組みは、あふれ呼IVR SMSのページで紹介しています。

③ボイスボットがFAQをもとに答える

お客様が話した質問をボイスボットが聞き取り、FAQをもとに音声で答える方法です。プッシュ操作で選択肢を選んでもらう必要がなく、お客様は普段の言葉で質問できます。

電話放送局のDHK CANVASは、FAQで答えられる質問はAIが、定型の手続きはシナリオが、複雑な対応は生成AIが受け持ち、クレームはオペレーターにつなぐ、というように用件に応じて対応を振り分ける仕組みです(出典:DHK CANVAS)。ここでもFAQの質が回答の質を左右するため、言い換えの整理や古い回答の見直しが欠かせません。生成AIと組み合わせた使い方は、生成AI×ボイスボットでできることで解説しています。

自動で答える仕組みを入れるときは、人への引き継ぎ方まで決めておきます。先の調査では、ボイスボットへの不安として「話した内容を正しく聞き取ってもらえるか」22.4%、「結局オペレーターにつながるなら二度手間ではないか」22.0%が上位でした(出典:意識調査)。FAQで答えられなかった電話は、聞き取った用件を添えてオペレーターに渡すと、お客様が同じ説明を繰り返さずに済みます。

FAQの効果はどう測る?

FAQの効果は、FAQにした用件の入電数が減ったかどうかで測ります。FAQの閲覧数が増えても、同じ用件の電話が減っていなければ、お客様の用件はまだ終わっていません。測る数字は次の3つです。

FAQにした用件の入電数

FAQを公開する前の1か月と後の1か月で、その用件の入電数を比べます。センター全体の入電数は季節や広告で上下するため、FAQにした用件だけを取り出して見るのがポイントです。用件ごとの件数をコールセンターのKPIの一つとして毎月の報告に入れておくと、FAQの見直しが後回しになりません。

検索しても見つからなかった言葉

FAQシステムやWebサイトの検索の記録から、検索したのに答えが表示されなかった言葉を拾います。件数の多い言葉は、FAQが無いか、あっても言い換えが足りないかのどちらかです。月に一度この一覧を見て、FAQを足すか言い換えを足すかを決めます。

自動音声で案内が終わった割合

電話の自動応答でFAQを案内している場合は、オペレーターにつながずに案内が終わった割合(完結率)を見ます。前橋市の例では、この完結率が約20%に達しました(出典:導入事例 前橋市 国民健康保険課)。用件ごとに完結率を出すと、どのFAQの案内が音声に向いていないのかがわかります。

よくある質問

Q. コールセンターのFAQは何件くらい用意すればよいですか?

件数の目安より、入電理由の上位をどこまで押さえられているかで判断します。まずは件数の多い用件の上位10〜20個から作り始め、検索しても見つからなかった言葉やオペレーターの記録を見ながら足していくのが現実的です。件数を増やしすぎると探しにくくなるため、似た質問はまとめます。


Q. お客様向けとオペレーター向けのFAQは別々に作るべきですか?

元になる質問の一覧は共通にして、回答の書き方だけを分けると管理しやすくなります。お客様向けには手続きの画面までの案内を、オペレーター向けには本人確認の項目や例外の扱いを書きます。料金や手続きが変わったときに、直し漏れが起きにくいのも利点です。


Q. FAQの見直しはどのくらいの頻度で行えばよいですか?

月に一度、検索の記録とオペレーターが残した「FAQに無かった質問」を見て、足すものと直すものを決めるのが基本です。料金改定やキャンペーンのように変更の予定がわかっている場合は、変更日の前に書き換えます。各FAQに見直しの日と担当者を付けておくと、古い答えが残りません。


Q. FAQの回答を書くのは誰がよいですか?

下書きは、その用件の電話を多く受けているオペレーターやSVが書くと、お客様の言葉に近い回答になります。そのうえで、料金や契約に関わる内容は、担当部署の確認を経てから公開するのが安全です。書く人と確認する人を分けておくと、誤った案内を防げます。


Q. 電話の自動音声でもFAQの内容を案内できますか?

案内できます。混雑時にIVRでFAQのページを案内する、SMSで回答のURLを送る、ボイスボットがFAQをもとに音声で答える、といった方法が代表的です。音声で伝える場合は、1文を短くし、選択肢を3つまでに絞るなど、聞いて理解できる書き方に直してから使います。


Q. 社内向けのFAQとコールセンターのFAQは何が違いますか?

社内向けのFAQは社員からの質問に答えるもので、コールセンターのFAQはお客様の質問に答えるためのものです。コールセンターのFAQは、お客様が自分で読むものと、オペレーターが応対中に見るものの2つの使われ方をする点が違います。お客様の目に触れる回答は、社内の言葉を使わずに書く必要があります。

まとめ

コールセンターのFAQで電話を減らせるかどうかは、入電理由のうち件数が多く答えが1つに決まる用件から作れているか、そしてそのFAQが電話をかけようとしているお客様に届いているかで決まります。お客様向けとオペレーター向けで書き方を分け、電話の自動音声で使うときは聞いてわかる文に直すことが、同じFAQを窓口ごとに生かすための前提です。

最初の一歩として、直近1か月の入電理由を件数の多い順に並べ、FAQで終わる用件と人が受けるべき用件に分けてみてください。FAQを作ったのに電話が減らないときは、電話の中でFAQを案内する仕組みが有効です。株式会社電話放送局では、混雑時のFAQ案内やSMSでのWeb案内、FAQをもとに答えるボイスボットまで、電話の受け方の設計から運用後の改善まで伴走しています。具体的な使われ方は導入事例もあわせてご覧ください。

お役立ち資料 無料ダウンロード

【本資料は、下記の関心をお持ちの方におすすめです】
・IVR・ボイスボット・生成AI/AIエージェントの自社に最適な組み合わせがわからない
・導入後のコール増加による「通話料(分課金)」の膨らみやコスト増加を回避したい

監修者情報

メーカーのコールセンター運営管理に従事し、自らIVRを導入。
不要な入電を抑制しつつ売上向上を実現するなど、現場視点で成果を創出。電話放送局では営業マネージャーとして10年以上従事し、クラウド型IVRの業界シェア1位獲得に貢献。
コロナ禍におけるユーザーのデジタル行動変容を受け、マーケティング部門を立ち上げ、責任者に就任。インサイドセールスを統括し、営業部門との連携を強化。自動音声応答の導入、運用、集客、営業の幅広い経験を有する。
IVRおよびコールセンター市場における20年以上の知見を活かし、ユーザーの検索行動やニーズを深く理解したマーケティング戦略を展開。
検索連動広告の運用経験を基に、現場で役立つ実践的な情報を発信し、読者のビジネス成功を力強くサポートします。

監修者 前田泰延(株式会社電話放送局) マーケティング責任者 営業部営業推進課 課長 前田泰延

お役立ち資料

関連コラム

おすすめコラム

簡単・便利なIVRを体験

カテゴリー

お役立ち資料

IVRで電話業務を自動化する手法や、IVRサービス提供会社を選ぶポイントを知ることができる資料を無料提供

下記の関心をお持ちの方におすすめです!

  • コールセンターの電話業務をどこまで自動化できるのか知りたい

  • 自動化に適したコール内容を知りたい

  • IVRやボイスボット導入により、自動化に成功した事例を知りたい

IVRを活用してコールセンターを自動化する手法と成功事例

ボイスボット(IVR)で課題解決

こんな課題ありませんか?

  • 今より人は増やせない。今の体制で無理なく運用できる現場を作りたい。
  • AIに任せて大丈夫?自社に合うボイスボットの選定基準がわからない。
  • 効率化はしたい。でも、お客様に『冷たい』と思われる対応は避けたい。

お問い合わせ・資料請求はこちら

お電話からのお問い合わせ