2025/02/28

コールリーズンとは?意味と業種別の例、分類表の作り方・集め方と活用法

自社の顧客がコールセンターへ問い合わせる際、その理由や内容はさまざまです。こうした理由や内容は「コールリーズン」と呼ばれ、分析と活用によってコールセンター運営へ多くのメリットをもたらします。業種・窓口別のコールリーズンの例と、分類表の作り方、システムが無くても始められる集め方は、表にまとめて紹介しています。

本記事では、コールリーズンの基礎知識から、分析の流れや活用法までお伝えします。また、コールリーズンの分析と併せて、業務改善に役立てられるサービスもご紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。

目次

・コールリーズンとは

 ・コールリーズンの意味

 ・コールリーズンを分析する重要性

・コールリーズンを集計して整理する流れ

 ・STEP1.コールリーズンを集計する

 ・STEP2.コールリーズンの集計結果をまとめる

・分析したコールリーズンの活用法

 ・商品やサービスへの反映

 ・トークフローやトークスクリプトの改善

 ・セルフサービスの見直し

・コールリーズンに応じたIVR導入で業務改善を実現しましょう

コールリーズンとは

初めに、コールリーズンの意味や、コールセンター運営における分析の重要性について解説します。コールセンター業務への活用へ向けて、まずは基礎知識を押さえておきましょう。

コールリーズンの意味

コールリーズンとは、顧客がインバウンドコールセンターへ電話をかけた理由や、問い合わせ内容のことです。コールセンターには多様な内容の電話が寄せられます。これらのコールリーズンは多岐にわたるため、大まかな理由ごとに分類する必要があります。たとえば、通販受注の電話代行サービスの場合、以下のようなコールリーズンが想定されるでしょう。

【コールリーズンの例】
・商品を注文したい
・注文を変更したい
・注文をキャンセルしたい
・商品の使い方を知りたい
・クレームを入れたい

コールリーズンのカテゴリーごとに問い合わせ件数に大きな差が出ることも少なくありません。こうして収集されたコールリーズンやそれぞれの件数などのデータは、コールセンターで分析に用いられます。

業種・窓口別のコールリーズンの例

コールリーズンは、窓口の種類によって中身が大きく変わります。よくある窓口ごとに、かかってきやすい電話の理由を表にまとめました。自社の窓口に近い行を選んで、分類表の下書きに使ってください。表の内容は一例です。

窓口 よくあるコールリーズンの例 電話が増えやすい場面(例)
通販の
お客様窓口
注文したい
届く日を知りたい
定期便を変更・休止したい
支払い方法を変えたい
商品の一斉発送の直後
セールやテレビ放送の直後
自治体の
国保・税の窓口
納付書が届かない・なくした
納付の期限を知りたい
加入・脱退の手続きをしたい
必要な書類を知りたい
通知や納付書を送った直後
年度の切り替えの時期
社内
ヘルプデスク
パスワードを忘れた
システムにログインできない
申請の方法を知りたい
新しいシステムを入れた直後
入社・異動の時期
修理・設備の
受付
故障を直してほしい
訪問日を変えたい
修理の進み具合を知りたい
大雨や寒波で天候が荒れた日
会員サービス・
サブスク
解約・退会したい
請求の内容を確かめたい
登録情報を変えたい
料金の改定や請求の直後

電話が増えやすい場面を見ると、コールリーズンは時期によって大きく偏ることが分かります。通販のスカイネット株式会社では、商品の一斉発送のあと、年末にかかってくる電話の90%が配送状況の確認でした。この用件を自動受付のIVRに任せたことで、席数を80%削減しています(導入事例:配送状況の問い合わせを自動化)。どの理由が多いかが分かれば、人を増やす以外の手を打てるようになります。

コンタクトリーズンやVOCとの違いは?

コンタクトリーズンは、電話に限らずメール・チャット・問い合わせフォームも含めた問い合わせの理由を指す言葉です。コールリーズンはそのうちの電話の分を指し、VOCは理由に限らず顧客から寄せられた声全体を指します。

言葉 指すもの 主な使いみち
コールリーズン 電話をかけてきた理由(用件) 用件ごとの件数を数え、窓口の体制や自動化する用件を決める
コンタクト
リーズン
電話・メール・チャット・問い合わせフォームなど、すべての窓口に届く問い合わせの理由 窓口をまたいで、どの用件がどこに集まっているかを比べる
VOC 意見・要望・不満など、顧客から寄せられた声全体 商品やサービス、案内の改善につなげる

コールリーズンは「何の用件か」を数えるための分類で、VOCは「どう感じているか」まで含めた声です。VOCの集め方と分析の進め方は「VOC分析とは」で紹介しています。

コールリーズンを分析する重要性

コールリーズンは、電話対応品質の改善や、顧客満足度向上などに活用できます。分析することで、自社の顧客がどのような理由で問い合わせをしてくるのか、どのような内容の問い合わせが多いかなどが明らかになるためです。コールリーズンの分析結果は、優先度の高いカテゴリーの顧客対応を強化するといった戦略立案にも使えます。また、オペレーターに特定の知識やスキルを重点的に身に付けさせることも可能です。コールセンターで取り扱う商品やサービス自体の課題が見つかる可能性もあるでしょう。

コールリーズンの分析はVOCを把握することにもつながります。VOC(Voice Of Customer)とは、顧客の声を意味するマーケティング用語です。顧客対応において改善のヒントになり得ます。コールリーズンは、コールセンターのサービス向上に必須のVOCとも関連性が高い情報です。

コールリーズンの分類表の作り方と集め方

コールリーズンは、決めた分類に沿って記録しないと正しく数えられません。担当者ごとに書き方が違うと、同じ用件が別々に数えられてしまうためです。記録を始める前に分類表を作り、記録の方法を決めておきます。

大分類と小分類の2段で分類表を作る

分類表は、大まかな用件をまとめた「大分類」と、具体的な用件を表す「小分類」の2段で作ると扱いやすくなります。通販のお客様窓口を例にすると、次のような形です。

大分類 小分類(記録するコールリーズン) 迷いやすい用件の決め方(例)
注文 新しく注文したい
注文内容を変えたい
注文を取り消したい
発送前の届け先の変更は「注文内容を変えたい」に入れる
配送 届く日を知りたい
届いていない
届け先を変えたい
発送後の届け先の変更は「届け先を変えたい」に入れる
定期便 お届けの間隔を変えたい
休止したい
解約したい
解約の理由を聞けたときは一言メモに残す
支払い 支払い方法を変えたい
請求の内容を確かめたい
引き落とし日の質問もここに入れる
商品・品質 使い方を知りたい
不具合・破損があった
苦情を伝えたい
不具合の連絡で交換を希望された場合もここに入れる
その他 どれにも当てはまらない用件 一言メモに内容を書いておく

コールリーズンの分類表の例。通販窓口の大分類6つと、配送の小分類3つ、迷いやすい用件の決め方と「その他」の見直しを1枚にまとめた図

大分類は、記録する人が迷わず選べる数にとどめます。小分類を細かくしすぎると選ぶのに時間がかかり、記録そのものが続かなくなります。少ない数で始めて、集計しながら必要な分類を足していくほうが長続きします。

表の右の列のように、迷いやすい用件の決め方を書き添えておくのがポイントです。この表を記録する全員で共有しておくと、人によって分類がずれにくくなります。

「その他」と複数の用件はどう記録する?

1本の電話で用件が2つ以上あったときは、最初に話された用件だけを記録するか、すべての用件を記録するかを決めておきます。どちらを選んでも構いませんが、途中で変えると前後の月を比べられなくなります。

「その他」は、どの分類にも当てはまらない電話の受け皿です。ただし、その他の割合が大きくなると、集めた記録から何も読み取れなくなります。月に1回は「その他」の一言メモを読み返し、同じ内容がくり返し出ていれば新しい小分類として独立させましょう。分類を変えた日を書き残しておくと、あとで前後の月を比べるときに迷いません。

CMSやCRMが無い窓口はどう集める?

コールセンター向けのシステムが無くても、表計算ソフトの記録シートで集められます。電話を受けた人が、受け終わるたびに1件を1行で書き込む形です。

列 書くこと 書き方の例
日時 電話を受けた日付と時刻 10/7 10:15
大分類 分類表の大分類から選ぶ 配送
小分類 分類表の小分類から選ぶ 届く日を知りたい
対応時間 電話を受けてから記録を書き終えるまでの時間(分) 4
その場で
解決したか
解決・折り返し・他部署へ回した、から選ぶ 解決
一言メモ 分類に入りきらない内容や、顧客が使った言葉 追跡番号の見方が分からない

大分類と小分類は、入力欄をプルダウンにして分類表から選ぶようにすると、書き方のぶれを防げます。記録する期間は、まず1か月を目安にしてください。月末や請求の時期のように電話が増える日も入るため、1週間だけの記録より実態に近い数字になります。

すでにIVRで用件ごとに番号を押してもらっている窓口では、どの番号が何回押されたかを記録として出せるIVRなら、それも大まかなコールリーズンの集計に使えます。ただし、メニューの分け方より細かい用件は分からないため、オペレーターにつないだ電話は記録シートと組み合わせます。IVRのメニューの組み方は「コールフローとは」で紹介しています。

通話の録音を文字に起こし、用件を自動で分類する方法もあります。件数が多く、記録の手間を減らしたい場合は「コールセンターにおける音声認識サービスとは」を参考にしてください。

コールリーズンを集計して整理する流れ

コールリーズンを集計して整理する流れを、ステップごとに解説します。コールリーズンの分析手法であるパレート図についてもご紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。

STEP1.コールリーズンを集計する

コールリーズンは、CMSの機能を使って集計するのが一般的です。「CMS(Call Management System)」とは、コールセンター業務のデータ収集・分析に用いられる専用システムを指します。コールリーズンの分析では、CMSに搭載されている「CWC(Call Work Code)」という機能を用いることが多くなっています。CWCは、あらかじめ分類しておいたコールリーズンと電話機のボタンを対応させる仕組みです。通話終了後にボタンを押すことで入力し、通話内容の種類を集計できます。

また、CRMシステムを導入している場合も、CMSと同様にデータ集計が可能です。「CRM(Customer Relationship Management)」とは企業の顧客関係管理に用いられる専用システムを指します。分析で利用するなら、対応内容の登録を行う際にコールリーズンも記録しておくと良いでしょう。

STEP2.コールリーズンの集計結果をまとめる

コールリーズンの分析では、「パレート図」の分析手法を用いることが多くなっています。パレート図とは、棒グラフと折れ線グラフを組み合わせた図のことです。以下の図表では、具体例として健康食品通販のコールリーズンをパレート図に表しています。

コールリーズンの分析では、グラフの横軸に件数の多い順に並べたコールリーズンを、縦軸にコール件数を当てはめます。パレート図に表すことで、どの分類のコールリーズンが多く、どれくらいの割合を占めているのかが具体的にわかるようになるでしょう。例示した図表では、「注文」のカテゴリーの入電数がもっとも多く、かつ全体の半数以上を占めていることがわかります。また、これらに「定期購入の変更・休止」および「配送確認」のカテゴリーを合わせると、全体の9割近くになります。

パレート図を活用すると、改善を優先すべきコールリーズンが明らかになるのがポイントです。サービス改善を試みる場合は、棒グラフで左側に並んでいる項目から優先して改善策を講じると良いでしょう。

集めたコールリーズンを件数と対応時間で並べ、どの用件から手を付けるかを決める手順は、「コールリーズン分析とは」で分析表のテンプレートとあわせて紹介しています。Excelでそのまま使える計算式も載せているので、記録シートが1か月分たまったら、こちらの手順で集計してみてください。

分析したコールリーズンの活用法

顧客体験(CX)の向上にもコールリーズン分析は重要

分析したコールリーズンは、自社の目的や課題に応じて適切にご活用ください。最後に、コールリーズンを業務改善へ活用する方法をお伝えします。

商品やサービスへの反映

コールリーズンは顧客満足度の向上に役立てられる重要な情報の一つです。自社のコールリーズンの傾向を基に、顧客が商品・サービスに感じている課題を明らかにしましょう。既存の商品やサービスを刷新して品質向上につなげるほか、新規商品やサービス開発の場においても貴重な意見として活用できます。

トークフローやトークスクリプトの改善

コールリーズンの優先順位を参考に、コールセンターマニュアルなどに載せるトークフローやトークスクリプトの見直しを行うと、人材育成の効率化が期待できます。新人オペレーターを育成する際は、重要性の高いコールリーズンに関する内容を充実させて、必要な知識やスキルを身に付けさせると効率的です。自社に適したスキルセットが明確になり、頻発する問い合わせ内容に対応しやすくなります。

セルフサービスの見直し

コールリーズンの中にはセルフサービス化が可能な内容もあります。電話対応におけるセルフサービスとは、顧客が持つ疑問点などが自己解決できる仕組みのことです。代表的なセルフサービスとして、FAQの最適化や、IVR(自動音声応答)やチャットボットの導入などが挙げられます。

さまざまなコールリーズンの中でもセルフサービス化しやすいのは、オペレーターが同様の回答で対処できる定型の質問です。こうしたコールリーズンをセルフサービスで解決できるようになれば、オペレーターの業務負担を減らせるほか、顧客対応の品質を均一化できるメリットもあります。


すでにセルフサービスを導入している場合は、コールリーズンの内容を踏まえた業務改善を行うと良いでしょう。たとえば、問い合わせ件数の多いものを既存のIVRの案内に加えるといった活用方法が有効です。

コールリーズンに関するよくある質問

Q. コールリーズンとコンタクトリーズンは同じ意味ですか?

考え方は同じですが、指す範囲が違います。コールリーズンは電話をかけてきた理由、コンタクトリーズンはメールやチャット、問い合わせフォームも含めた問い合わせの理由を指します。電話以外の窓口もある場合は、同じ分類表を使ってまとめて数えると比べやすくなります。


Q. コールリーズンの分類はいくつくらい作ればよいですか?

決まった数はありませんが、記録する人が迷わず選べる数から始めるのが基本です。大分類を先に決め、その下に具体的な用件を小分類として並べます。「その他」が増えてきたら中身を読み、同じ内容が続くものを新しい分類として足していきます。


Q. システムが無くてもコールリーズンは集められますか?

集められます。表計算ソフトに日時・大分類・小分類・対応時間・その場で解決したか・一言メモの列を作り、電話を受けるたびに1行ずつ書き込みます。分類をプルダウンで選ぶ形にしておくと、人による書き方のずれを防げます。


Q. コールリーズンはどれくらいの期間記録すればよいですか?

まずは1か月を目安にしてください。月末や請求の時期など、電話が増える日を含めて集計できるためです。年末や新年度のように特定の時期だけ電話が増える窓口は、その時期の記録も別に取っておくと、繁忙期の体制を考えるときに役立ちます。


Q. 集めたコールリーズンは電話の自動化にどう使えますか?

件数が多く、答えや手続きが毎回同じ用件が、自動音声やボイスボットに任せる候補になります。前橋市の国民健康保険課では、コールリーズンの分析をもとに自動音声で案内できる内容と職員が直接受けるべき内容を分け、電話対応の時間を年間換算で約550時間減らしました。どの用件から自動化するかを決める手順は「コールリーズン分析とは」で紹介しています。

コールリーズンに応じたIVR導入で業務改善を実現しましょう

コールリーズンの基礎知識や、分析する流れ、コールセンターでの活用法について解説しました。コールリーズンは、カテゴリーごとに入電数や優先順位が異なります。まずは分類表を作り、1か月ほど記録シートで入電の理由を集めてみてください。集めた理由を件数と対応時間で並べ、どの用件から自動化するかを決める手順は「コールリーズン分析とは」で分析表のテンプレートとあわせて紹介しています。なかでもセルフサービス化が可能なコールリーズンは、IVR(自動音声応答)の導入により業務負担の削減が期待できます。コールセンターの人手不足解消にも有効です。

コールセンター専用のソリューションを提供する電話放送局では、低コストで導入していただける「DHK CANVAS」のサービスをご用意しています。コールリーズンに応じて電話業務を最適化するほか、少人数やテレワーク体制での運用などコールセンターの働き方改革にもおすすめです。コールリーズンの分析と併せて、ぜひ導入をご検討ください。

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監修者情報

メーカーのコールセンター運営管理に従事し、自らIVRを導入。
不要な入電を抑制しつつ売上向上を実現するなど、現場視点で成果を創出。電話放送局では営業マネージャーとして10年以上従事し、クラウド型IVRの業界シェア1位獲得に貢献。
コロナ禍におけるユーザーのデジタル行動変容を受け、マーケティング部門を立ち上げ、責任者に就任。インサイドセールスを統括し、営業部門との連携を強化。自動音声応答の導入、運用、集客、営業の幅広い経験を有する。
IVRおよびコールセンター市場における20年以上の知見を活かし、ユーザーの検索行動やニーズを深く理解したマーケティング戦略を展開。
検索連動広告の運用経験を基に、現場で役立つ実践的な情報を発信し、読者のビジネス成功を力強くサポートします。

監修者 前田泰延(株式会社電話放送局) 営業部 営業企画・推進チーム シニアリーダー 前田泰延

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