2026/08/19

コールセンターなどで活用されている、自動音声応答システムのIVR(Interactive Voice Response)。音声ガイダンスによる応答や、番号のプッシュによる情報入力を用いて、コールセンターの電話業務の自動化を促進できます。

そんなIVRサービスの導入段階では、どのような観点で各社のサービスを比較するべきでしょうか。今回は、IVR導入を検討しているご担当者様へ向けて、IVRに適した業務の内容や期待できる効果、導入時に比較したい項目、活用時のポイントなどをご紹介します。

目次

IVRサービスは3タイプに分かれる|まず型を見極める

IVRの料金は何で決まるのか|初期費用・月額・従量課金の内訳

IVRはどんな電話業務に向いているのか

 ・IVRの活用に適した業務

 ・IVR導入で期待される効果

IVRサービスを比較するとき、どの項目を見ればよいのか

 ・機能

 ・動作環境

 ・利用可能な着信・回線の種別

 ・サービスや会社の実績

 ・フォロー体制

 ・料金

比較表に載らない5項目とは?相見積もりの前に決めておくこと

導入後につまずくのはどこか|設計で決めておくこと

 ・ユーザーにとってわかりやすいシナリオを設計する

 ・再生する自動音声は簡潔な内容にする

コールセンターの業務改善におすすめの「DHK CANVAS」

IVRサービスは3タイプに分かれる|まず型を見極める

IVRサービスの3タイプ(クラウド型・音声認識AI型・ビジュアルIVR)の違いを比較した図

IVRは大きく3つのタイプに分かれます。タイプが決まれば候補は3分の1ほどに絞れて、そのあとで機能と料金を見比べる順番になります。

分かれ目は「電話をかけてきた人に、何をしてもらうか」です。プッシュ操作で用件を選んでもらうのか、話した言葉をそのまま受け取るのか、スマートフォンの画面に切り替えるのか。この違いが、そのままタイプの違いになります。

タイプ 応答のしかた 向いている電話窓口
クラウド型IVR 音声ガイダンスを流し、
プッシュ操作で振り分ける
用件が数種類に決まっている
受付・取次ぎの窓口
音声認識・AI型IVR
(ボイスボット)
話した内容を音声認識で受け取り、
そのまま手続きに進める
用件の幅が広い窓口
本人確認まで進めたい窓口
ビジュアルIVR 電話をSMSやWebの
画面へ誘導する
説明が長くなる手続き
画面で見せたほうが早い案内

この3つは、どれかひとつを選ばなければならないものではありません。実際の窓口では、入口はクラウド型のガイダンスで用件を振り分け、手続きに進む導線だけを音声認識やSMSに渡す、という組み合わせがよく使われます。比較の初めの段階では「どのタイプ単体にするか」ではなく「どのタイプを主軸に置くか」で見ると、候補を絞りやすくなります。

IVRの料金は何で決まるのか|初期費用・月額・従量課金の内訳

IVRの費用の内訳を初期費用・月額費用・従量課金の3つに分けて示した図

IVRの費用は、契約時に一度だけ発生する初期費用、毎月かかる月額費用、そして着信や発信の件数に応じて増える従量課金の3つに分かれています。総額を大きく動かすのは従量課金で、月額に含まれる件数を超えた分がここに乗ります。月額の数字だけでは、件数が増えたときの総額が読めないのはこのためです。

とくに見落とされやすいのが、月額に「何件までの着信・発信が含まれるか」です。含まれる件数を超えた分は1件ごとの単価で加算されるため、月間の件数を先に見積もっておかないと、実際の請求額は比較表の数字から離れていきます。

費用の種類 何に対してかかるか 見積もりで必ず確認すること
初期費用 アカウントの発行、
シナリオの初期設定、
回線の手配
シナリオの設定作業が
初期費用に含まれるか
月額費用 基本利用料、
同時接続数(ch)、
電話番号の維持
月額に含まれる
着信・発信の件数
従量課金 月額に含まれる件数を
超えた分の着信・発信
1件あたりの単価と、
固定電話と携帯電話で
単価が違うかどうか

参考として、当社が公開している料金をあげておきます。着信側の「自動受付IVR」は初期費用300,000円から、月額150,000円から(月間4,000件までの着信を含みます)で、4,001件目以降は1件あたり25円です。発信側の「オートコールIVR」は初期費用50,000円から、月額50,000円から(月間1,000件までの応答を含みます)で、1,001件目以降は固定電話が1件21円、携帯電話が1件32円です。

金額そのものより、「月額に何件まで含まれるか」と「超えた分は1件いくらか」の2つを確認してください。この2つが分かれば、件数が増えたときの費用を自分で計算できます。

IVRはどんな電話業務に向いているのか

IVRが活躍する場面は多岐にわたります。IVRの導入に際して、改めてどういったケースで役に立つのか、どのような効果が期待できるのかを確認していきましょう。

【参考】
IVRとは?特徴やコールセンターに導入するメリット、サービスの選び方

IVRの活用に適した業務

受付、変更・キャンセル、情報案内など、定型化された難易度の低い電話業務は、IVRでの自動処理に適しています。また、電話口でユーザーの個人情報を取り扱う業務にも適しているといえます。プッシュボタンで番号を入力することにより、入力中のプライバシーが保護されやすいためです。例えば、TVショッピングの注文受付、宅配便の再配達依頼、生命保険の会員登録情報の変更などが該当します。

IVR導入で期待される効果

IVR導入は、あふれ呼対策や、業時間外の機会損失防止においても効果的です。あふれ呼とは、電話の回線数を上回る入電が原因でオペレーターが対応できない状態のことです。いつまでも電話がつながらないと問い合わせをあきらめてしまう顧客も多く、機会損失を招いてしまいます。IVRを導入することで、従来は対応できていなかった層へアプローチできるようになるでしょう。顧客対応の品質を均一化できるほか、オペレーターの教育コスト削減にもつながるため、顧客満足度の向上や人件費削減などのメリットもあります。

また、IVRは災害時のBCP対策にも有効と考えられています。緊急時に問い合わせが殺到しても対応に追われることが少なくなるためです。通常時だけではなく、万が一の事態の備えとしても役立つといえるでしょう。

あふれ呼とは? コール量が一時的に多くなりあふれるコール(呼)

IVRサービスを比較するとき、どの項目を見ればよいのか

数あるIVRサービスのなかから適切なものを選択するためには、機能や動作環境などの項目を比較することが大切です。こちらでは、サービスを比較する際に見極めたいポイントをご紹介します。

【参考】
IVR(電話自動音声応答システム)のおすすめ比較5選【2026年最新】適切な電話応対でオペレーションコストを削減する方法

機能

IVRの機能は、サービスごとに異なります。自社の課題解決に必要な機能が実装されたIVRを選びましょう。管理画面提供やレポート提供、アクセス制限、データ分析など、自社に欠かせない機能が揃っているかをチェックしておくことが大切です。また、オプション機能が充実しているとIVRをカスタマイズしやすいため、自社にマッチする対応を実現できるようになります。音声認識・音声合成・録音・SMS連携などのオプション機能についても着目してみましょう。

動作環境

IVRを問題なく利用するためには、ベンダー各社が提供する動作環境も比較すると良いでしょう。動作環境によっては自社の要望を実現できないおそれがあるため、しっかりと確認しておくことが大切です。国内拠点数や最大同時着信回線数、最大同時転送回線数などは各社で異なるため、比較検討の材料にしましょう。

利用可能な着信・回線の種別

IVRシステムによって、使用できる着信や回線の種類は違います。サービスによっては対応していないケースがあるため注意が必要です。キャリアサービス(0120・0570)からの着信の可否や、迂回先に設定できるかなどを確かめましょう。

サービスや会社の実績

導入実績が豊富ならば、多くの人から信頼されているサービスであるといえます。これまで何社へ提供してきたのか、具体的な導入実績を調べてみましょう。また、サービスの手厚さなどに関係するため、ベンダーがIVRサービスをコア事業としているかどうかも重要です。将来サービスから撤退する懸念はないかどうかも大切な要素となります。

フォロー体制

システム導入時の初期設定、連携などでサポートを受けられると理想的です。運用開始後のトラブルに、どういったサポート対応が行われるのかを確かめておきましょう。また、IVR導入の効果検証ができるかどうかも重要となります。定期的な運用改善により、導入効果を高められる可能性があるためです。サポートの担当者がコールセンター業界の知識を十分に有しているかも判断材料の1つとなります。

料金

IVRは月額の基本使用料と、初期導入費用がかかるケースが一般的です。使用する回線の量で基本使用料は変わることが多いため、ベンダーから見積もりをもらって比較すると良いでしょう。加えて、IVR着信分の通話料は基本使用料に含まれているのか、別料金扱いなのかについても確かめておきます。

比較表に載らない5項目とは?相見積もりの前に決めておくこと

IVRサービス比較で確認したい選定5項目のチェックリスト

ここまでの3タイプと料金で候補は絞れますが、導入したあとで実際に困るのは、比較表の列に出てこない条件のほうです。運用が始まってから変えようとすると、回線の引き直しや設定のやり直しが必要になり、費用も時間もかかります。相見積もりを取る前に、次の5項目を自社の要件として決めておいてください。

確認する項目 後から効いてくる理由 見積もり依頼時に伝えること
1
同時接続数
(ch)
電話が重なる時間帯に何本まで同時に受けられるかが決まります。
足りないと話中になります
1日のうち最も電話が
集中する時間帯の件数
2
使える
電話番号の種類
0120や0570をそのまま使えるかはサービスごとに違います。
番号が変わると告知をやり直すことになります
いま使っている番号と、
変更できるかどうか
3
従量課金の
上がり方
月額に含まれる件数を超えた分の単価です。
繁忙期に想定外の請求になることがあります
通常月と繁忙月、
それぞれの想定件数
4
取得している
認証
個人情報やカード情報を扱う窓口では、ISMSやプライバシーマーク、PCI DSSの有無が社内審査の条件になります 通話中に扱う
情報の種類
5
変更と
障害時の窓口
ガイダンスの差し替えを自社でできるのか、依頼が必要なのか。
緊急時の連絡先と受付時間も含みます
誰がどのくらいの頻度で
ガイダンスを更新するか

この5項目は、そのまま相見積もりの依頼文に使えます。各社に同じ条件を提示すれば、返ってくる見積もりの前提が揃い、金額を横に並べて比べられるようになります。条件を伝えずに「IVRの見積もりをください」とだけ依頼すると、各社が想定する規模がばらばらになり、比較そのものが成り立ちません。

当社は1978年の創業以来、電話の自動応答を専業でやってきました。IVRの導入実績は1500社以上、回線数は7,000回線以上、年間の処理件数は4,000万件以上です。基本サービスの同時接続数は300ch共用型で、600chや1,200chの共用型もご用意しています。0120や0570での受付にも対応しています。同時接続数や回線の種類が要件になる窓口では、この規模で運用できるかどうかが選定の分かれ目になります。

導入後につまずくのはどこか|設計で決めておくこと

IVRサービスを利用する際は、自社のユーザー目線に立ったシナリオづくりが欠かせません。最後に、シナリオ設計のコツや注意点などをご紹介します。

ユーザーにとってわかりやすいシナリオを設計する

シナリオとは、ユーザーからの問い合わせに対して実施する対応を一連の流れに可視化したものです。シナリオを設計することで架電から通話終了までのフローが明らかになります。

フローはユーザー目線に立って考えると良いでしょう。1度の問い合わせが完了するまでのフローが長すぎたり、無駄が多すぎたりするとユーザーは利用しづらいと感じます。以下のシナリオ例も参考に、フローを考えてみてください。

夜間・早朝の通販受付をイメージしたシナリオです。オペレーターのいない時間帯でも、IVRによってお客様の要望や情報をうかがい、問題なく対応できます。

電話の自動受付をイメージしたシナリオです。お客様情報の確認や照会なども自動で済ませられます。

問い合わせ事項を自動で確認するイメージのシナリオです。システムとのAPI連携で情報を取得し、状況に応じたスムーズな対応ができます。

再生する自動音声は簡潔な内容にする

丁寧な対応を心がけるあまり、音声がユーザーにとって長いと感じられるケースがあります。対応を急いでいるユーザーにとってはストレスになるおそれがあるため注意が必要です。その一方で、簡潔にしすぎてわかりにくい音声案内はユーザーにとって不親切です。専門用語や業界用語、補足が必要な言葉を多用しないように気をつけましょう。

よくある質問


Q. IVRの導入にはどのくらいの期間がかかりますか?

用件の分岐が数種類で、いまの電話番号をそのまま使える場合は、申し込みから運用開始まで数週間が目安です。新しく電話番号を用意する場合や、社内システムと接続する場合は、回線の手配とテストの分だけ長くなります。現在のガイダンス原稿と月間の着信件数を先に用意しておくと、見積もりと同時に期間の目安もお伝えできます。


Q. クラウド型とオンプレミス型は、どちらを選べばよいですか?

自社にサーバーを置かず、初期費用を抑えて短期間で始めたい場合はクラウド型です。社内の基幹システムと密に接続する必要がある場合や、データを社外に出せない規程がある場合はオンプレミス型が候補になります。分かれ目は費用よりも、通話中に扱う情報を社外のサーバーに置けるかどうかです。


Q. IVRとボイスボットは何が違いますか?

IVRは電話機のプッシュ操作で用件を振り分ける仕組みで、ボイスボットは話した言葉を音声認識で受け取る仕組みです。用件が数種類に決まっている窓口はIVRのほうが速く、用件の幅が広い窓口や、聞き取った内容をそのまま手続きに使いたい場合はボイスボットが向いています。入口はプッシュ操作、手続きは音声認識という組み合わせも可能です。


Q. いま使っている0120の番号は、そのまま使えますか?

サービスによって異なります。0120や0570をそのまま受けられるものと、新しい番号の発行が前提になるものがあります。番号が変わると、Webサイトや印刷物、既存の案内をすべて差し替えることになるため、比較の初めの段階で各社に確認しておいてください。当社の自動受付IVRは0120や0570での受付に対応しています。


Q. 月額料金だけで比べてはいけないのはなぜですか?

IVRの費用は、月額に含まれる件数を超えると1件ごとの従量課金が加算されるためです。月額が安くても含まれる件数が少なければ、着信が増える月には合計額が逆転します。比較するときは月額ではなく、想定件数を入れたうえでの月間の合計額を各社に出してもらってください。


Q. 音声ガイダンスの内容は、あとから自社で変更できますか?

管理画面から自社で差し替えられるサービスと、事業者への依頼が必要なサービスがあります。営業時間の変更や臨時のお知らせを頻繁に出す窓口では、自社で変更できるかどうかが運用の負担を大きく変えます。誰がどのくらいの頻度でガイダンスを更新するかを決めてから、この点を確認してください。


Q. 無料で使えるIVRはありますか?

無料プランや無料トライアルを用意しているサービスはあります。ただし無料で使える範囲は、同時接続数が1〜2、シナリオの分岐が1階層まで、といった形で限られていることが多く、業務用の窓口をそのまま置き換えられる水準ではありません。まず無料で操作感を確かめ、必要な同時接続数と月間件数が見えた段階で有料プランを比較する、という進め方が現実的です。


Q. 既存のCRMや基幹システムと連携できますか?

API連携やデータベース連携に対応しているサービスであれば可能です。確認したいのは、連携が標準機能なのか個別の開発が必要なのか、開発が必要な場合はその費用と期間です。通話中に顧客情報を照会したい、応対履歴をCRMに自動で書き戻したいといった要件は、見積もりの段階で具体的に伝えてください。当社の自動受付IVRはAPI連携とデータベース連携に対応しています。


Q. 小規模な窓口でも導入する意味はありますか?

あります。ただし規模によって選ぶべきタイプが変わります。着信が1日数十件で、営業時間外の取りこぼしを防ぎたいだけであれば、月額数千円から使えるクラウド型で足ります。一方、着信が重なる時間帯があり、同時接続数や回線の種類、セキュリティ認証が要件になる窓口では、そこに対応できる事業者を選ぶことになります。当社は300ch共用型を基本としており、後者の規模を想定した提供です。

コールセンター業務改善におすすめ「DHK CANVAS」

IVRの導入によって、コールセンターが抱える業務上の悩みを改善することが可能です。複数のサービスを比較して自社に適したシステムを導入しましょう。コールセンターの業務効率化やコスト削減、売上増加を目指すなら、電話放送局の「DHK CANVAS」をご利用ください。

「DHK CANVAS」は、コールセンターごとの要望に合わせた自動音声対応が実現するサービスです。お客様からの電話を24時間365日体制で受けられるようになり、オペレーター側の負担を軽減しながら営業時間外の対応も可能になります。

多数の導入実績があり、安定した高セキュリティの稼働を実現するため、安心してご利用いただけるのも魅力。Web管理画面提供、レポート提供、複数通信キャリア対応などの基本機能のほか、オプションで音声認識や音声合成、録音、SMS連携なども可能です。

詳しいサービス内容や費用など、不明点があれば電話放送局までお問い合わせください。また、「DHK CANVAS」をはじめ、各種IVRサービスは無料のデモ体験もご利用いただけます。どうぞお気軽にお試しください。

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監修者情報

メーカーのコールセンター運営管理に従事し、自らIVRを導入。
不要な入電を抑制しつつ売上向上を実現するなど、現場視点で成果を創出。電話放送局では営業マネージャーとして10年以上従事し、クラウド型IVRの業界シェア1位獲得に貢献。
コロナ禍におけるユーザーのデジタル行動変容を受け、マーケティング部門を立ち上げ、責任者に就任。インサイドセールスを統括し、営業部門との連携を強化。自動音声応答の導入、運用、集客、営業の幅広い経験を有する。
IVRおよびコールセンター市場における20年以上の知見を活かし、ユーザーの検索行動やニーズを深く理解したマーケティング戦略を展開。
検索連動広告の運用経験を基に、現場で役立つ実践的な情報を発信し、読者のビジネス成功を力強くサポートします。

監修者 前田泰延(株式会社電話放送局) マーケティング責任者 営業部営業推進課 課長 前田泰延

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