2025/10/10

日頃からコールセンターを利用している顧客は、自社のサービスに対してどのような印象を抱いているのでしょうか。顧客から直接、自社への思いが届く機会が少なかったとしても、実は隠れた意見や要望があるかもしれません。こうした顧客の声(=VOC)を収集して、コールセンターの改善へ役立てましょう。

本記事では、コールセンターでも活用される「VOC分析」について解説します。VOCを収集するツールもご紹介するため、ぜひ導入をご検討ください。

目次

VOC分析とは?

VOCの主な収集方法

 ・コールセンターのログで収集する

 ・アンケート調査で収集する

 ・SNSで収集する

 ・問い合わせフォームで収集する

 ・ミステリーコールで収集する

コールセンターがVOC分析を行うメリット

 ・顧客満足度と応対品質の向上

 ・商品やサービスの改善

 ・業務効率化とコスト削減

コールセンターでVOC分析を実施するステップ

 ・STEP1.VOC分析の前準備をする

 ・STEP2.VOC分析を実施する

 ・STEP3.VOC分析結果の活用先を考える

コールセンターでVOC分析を行う際の注意点

コールセンターにおけるVOC分析の活用事例

 ・事例1:VOC分析による応対品質改善(通販業界)

 ・事例2:コールログ分析による品質改善(自動車業界)

 ・事例3:CX向上とコストの最適化(インフラ業界)

コールセンター運営にVOC分析を導入しましょう

 ・SMS送信Webとは

 ・CS調査IVRとは

VOC分析とは

VOCとは、「顧客の声」を意味するマーケティング用語です。「Voice of Customer」の頭文字を取ってVOCと表記します。ここでいう顧客の声とは、自社の商品・サービスに対する顧客の意見や要望などを指します。これらの顧客の声を用いた「VOC分析」とは、自社のお客様の声を収集し、分析する手法のことです。VOC分析は、顧客ニーズの把握や業務改善に用いることを目的としてコールセンター業界でも用いられています。VOCを分析すると、競合他社との差別化のヒントにもなると考えられています。

VOCの主な収集方法

コールセンターのログで収集する

コールセンターに寄せられる問い合わせからVOCを収集する方法です。オペレーターが通話内容を記録したり、通話録音から音声認識で内容を読み取ったりする手法があります。その際は、音声認識で通話内容をテキスト化して、テキストマイニングツールで顧客からの感謝や苦情に関連するキーワードを抽出する分析方法が効率的です。

また、コールリーズンの傾向を分析するのも、VOCの把握に役立てられるでしょう。コールリーズンとは顧客がコールセンターへ電話をかけた理由や問い合わせ内容のことで、VOC分析でも活用できます。

メリット:熱量の高い具体的な意見(本音)を直接収集できる。
デメリット:意見がネガティブに偏りやすい。音声データのテキスト化や分析に手間がかかる。

アンケート調査で収集する

対面またはオンラインで顧客へのアンケート調査を行い、VOCを収集する方法です。より多くのVOCを取得するには、できるだけ回答の手間を減らしたり、回答しやすいタイミングでアンケートを行ったりする工夫が求められます。また、電話やSMS(ショートメッセージサービス)による自動化など、膨大な量のアンケート調査に対応可能なサービスを利用するのも一つの手です。

メリット:定量的なデータを大規模に集めやすい。
デメリット:設計が悪いと本音を引き出せない。回答者のバイアスがかかる可能性がある。

SNSで収集する

顧客のSNS投稿からVOCを収集する方法です。ソーシャルメディア上の自然なユーザー投稿を分析することを「ソーシャルリスニング」と呼びます。近年では、自社に関するSNS投稿をリアルタイムで検知し、VOCをリスク対策やコンサルティングに活用する分析サービスも存在します。

メリット:既存顧客だけでなく、潜在顧客からもリアルタイムな本音を収集しやすい。
デメリット:情報が断片的で真偽の判断が難しい。

問い合わせフォームで収集する

顧客が自社に問い合わせを行った際の履歴からVOCを収集する方法です。Webサイトに設置した問い合わせフォームやチャットボットなどの接点のほか、メール経由で送信された内容なども対象となります。顧客の声をテキストデータで収集することが可能です。

メリット:24時間いつでも、文章で整理された意見を受け付けられる。
デメリット:意見が強い顧客の声に偏りやすく、一方通行の連絡になるため深掘りができない。

ミステリーコールで収集する

顧客を装った覆面調査員がコールセンターへ電話をかけて、利用者側の視点に立つ形でVOCを収集する方法です。オペレーターの応対品質を実際の顧客に近い立場から評価できます。企業側の視点では見落としやすい、顧客から見た自社の強みや弱みが明らかになります。

メリット:自社の電話応対品質を、客観的な基準で評価・分析できる。
デメリット:調査コストが高額になりがち。

VOCの収集、活用は目的を明確にすることが大事

コールセンターがVOC分析を行うメリット

企業がVOC分析を行うことで、顧客理解を深め、サービスや商品を改善するための具体的なヒントを得られます。特にコールセンターにおけるVOC分析には、以下のようなメリットがあります。

顧客満足度と応対品質の向上

VOC分析を通じて、顧客が電話応対のどこに不満を感じているのか、どのようなサポートを求めているのかが明確になります。具体的な課題点を改善し、FAQの充実やマニュアル改訂を重ねることで、オペレーターの応対品質が高まり、直接的な顧客満足度の向上につながります。

商品やサービスの改善

顧客の声には、企業がまだ気づいていない商品やサービスの潜在的なニーズや欠陥に関する貴重な意見が含まれています。例えば、「この機能が使いにくい」「こんな商品が欲しい」といった具体的なフィードバックを収集・分析し、既存商品の改善や顧客ニーズに基づいた新商品開発に活かすことが可能です。

業務効率化とコスト削減

「手続きが複雑」「サイトのどこを見れば良いか分からない」といった声は、業務プロセス上の問題点を示唆しています。原因を特定し、ウェブサイトの改善や手続きの簡素化を行うことで、同様の問い合わせを減らせます。また、AI搭載の分析ツールを活用すれば、膨大な顧客の声を分類・要約する工数を大幅に削減でき、分析業務そのものの効率化も実現可能です。結果として、コールセンターの入電数削減につながります。

コールセンターでVOC分析を実施するステップ

実際にVOC分析をコールセンター業務に導入する場合、どのような手順で進めればよいのでしょうか。ここでは、3つのステップに分けて解説します。

STEP1.VOC分析の前準備をする

初めに社内でVOC分析のプロジェクトを立ち上げて、担当者を取り決めて体制を整えます。プロジェクトでは、VOC分析を実施する目的を明確化し、具体的な目標や解決すべき課題を定めましょう。また、分析に必要なVOCの情報収集で利用するチャネルを選定することも大切です。

【分析目標の例】
・顧客満足度スコア(CSAT)の向上
・特定商品の解約率(チャーンレート)の低減
・コールセンターへの入電数の削減
・新商品のアイデアや改善点の抽出

STEP2.VOC分析を実施する

収集したVOCを分析して、自社の顧客の傾向を掴みましょう。集計結果をグラフに加工すると、効率的にデータを読み取りやすくなります。場合によっては、CMSやCRMなどシステムの導入も検討すると良いでしょう。CMSとはコンテンツ管理システムのことで、CRMとは顧客管理システムのことです。分析ツールなどの機能が搭載されていることが多いので、データ集計・分析の効率化が期待できます。

【分析ツールの例】
・テキストマイニングツール
・BIツール
・音声認識・AI要約ツール
・顧客管理システム(CRM)

STEP3.VOC分析結果の活用先を考える

VOC分析の結果を基に、現状の課題を確認する段階です。分析によって得られたデータは、自社のコールセンター業務やマーケティング戦略へ反映させるなど、活用方法を検討しましょう。課題の改善策を講じたら、再度VOC分析を実施して効果検証を行います。STEP2とSTEP3のプロセスを繰り返し、継続的に分析を行うことが重要です。

【活用方法の例】
商品・サービス改善:顧客の要望を基にした機能追加や品質向上
応対品質向上:よくある質問(FAQ)の拡充や応対マニュアルの改善
マーケティング施策:顧客インサイトに基づいたWebサイトの改善や広告の訴求変更
経営戦略:顧客視点での事業戦略やブランド戦略の立案

VOC分析でコールセンターの課題を見える化

コールセンターでVOC分析を行う際の注意点

VOC分析を実施する際、特定のチャネルのみでVOCを取得するのは避けるようご注意ください。その理由は、チャネルによって顧客の声の内容に偏りが生じやすいためです。VOCは複数のチャネルで収集し、可能な限り広くユーザーの意見や要望を汲み取れると理想的です。

また、VOC分析の実施後は継続的な運用を行うのが望ましいでしょう。顧客ニーズは変化し続けることから、正確に把握するためにはリアルタイムでの調査が求められます。また、改善のサイクルを繰り返すことで施策の精度をより高められるのも理由の一つです。

コールセンターにおけるVOC分析の活用事例

最後に、さまざまな業界のコールセンターでVOC分析がどのように活用されているのか、具体的な事例をご紹介します。

事例1:VOC分析による応対品質改善(通販業界)

ある通販会社では、通話音声を自動でテキスト化し、大量の顧客の声を効率的に収集・分析しました。これにより、応対品質の改善点や成約につながるトークパターンを抽出し、応対スクリプトの改訂やオペレーター育成に活用。結果として、業務の効率化と成約率の向上を同時に実現しました。

事例2:コールログ分析による品質改善(自動車業界)

ある自動車メーカーでは、コールセンターに寄せられる多様な顧客の声を収集・分析し、品質改善へ活用しています。これまでは表計算ソフトで管理していましたが、テキストマイニングを導入し、車種や部位ごとの傾向を可視化することに成功しました。開発段階から「顧客の声」を反映させることで、全社的に品質意識を高める仕組みづくりを実現させています。

事例3:CX向上とコストの最適化(インフラ業界)

あるインフラ企業は、コールセンターの通話データをテキストマイニングで分析し、顧客の問い合わせ理由を可視化しました。さらにカスタマージャーニーやIVRの分析と組み合わせ、セルフサービス化やデジタルシフトを進めるべき領域の優先度を明確化しました。結果、応対効率を改善しつつ顧客満足度を向上させ、コスト削減との両立を実現しました。

コールセンター運営にVOC分析を導入しましょう

自動音声応答(IVR)で応対直後のVOC収集

今回は、コールセンターでも活用されるVOC分析について解説しました。顧客の率直な意見から、自社のサービス品質を高めるヒントが見つかる可能性があります。ユーザーの生の声を収集して、VOC分析により経営課題を発見し、企業活動の改善のために役立てましょう。

VOCを収集するには、専用のソリューションを利用する方法もあります。電話放送局では、VOC分析のデータ収集に便利な各種サービスを提供しています。自社の顧客を対象とした調査に活用できる、おすすめのサービスは「SMS送信Web」や「CS調査IVR」です。

SMS送信Webとは

「SMS送信Web」では、顧客の携帯電話番号宛てにSMSを一斉送信できます。多数の顧客へ低コストでテキストを自動送信して、VOCの収集を促せるのが特長です。SMSはスマホ端末に初期状態でインストールされたアプリを使って受信できるため、顧客側にダウンロードなどの操作は必要ありません。

CS調査IVRとは

「CS調査IVR」では、自動音声応答(IVR)を利用して顧客の本音を数値化します。コールセンターで応対した直後にアンケート調査を実施するので、鮮度の良いVOCを抽出できるのが特長です。調査の際は、システムが自動でアンケートガイダンスを流し、顧客がプッシュ入力や発話により回答を行います。アンケート結果やレポートは管理画面から参照可能です。

なお、電話放送局のCS調査IVRは顧客からの入電(インバウンド)時だけでなく、企業から発信する(アウトバウンド)調査にも対応しており、柔軟な運用が可能です。

ご紹介した「SMS送信Web」や「CS調査IVR」は、機械による調査のため、顧客が遠慮なく回答しやすい仕組みとなっています。回答率を確保するとともに、不満などの対面では言葉にしにくい意見を得られることから、VOC分析にも適しています。ぜひ電話放送局のサービスをご活用ください。

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