2022/12/06

数多くの問い合わせが届くコールセンターでは、正確な情報を提供しようとするあまり、対応に時間がかかってしまうケースも少なくありません。その結果、オペレーターが足りずに対応できない状態(あふれ呼)も多く、業務効率の改善が急務となっています。

今回は、そんなコールセンターの現場で役立つ、「IVRシステム」についてご紹介します。「あふれ呼」が頻繁に発生する場合や、回線のビジー状態が続く場合は、IVRを導入して業務の効率化を図りましょう。IVRの選び方や活用のポイントまでお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

IVRの基礎知識

 ・IVR(Interactive Voice Response)とは

 ・IVRによる自動応答の仕組み

コールセンターにIVRを導入するメリットと注意点

 ・導入するメリット

 ・導入する際の注意点

コールセンターに導入するIVRの選び方

 ・IVRの種類で選ぶ

 ・導入にかかる費用で選ぶ

 ・自社に合ったIVRを選ぶ

コールセンターでIVRを活用する際のポイント

 ・ガイダンスはできるだけ簡潔に設定する

 ・導入後の見直しや改善は定期的に行う

IVRを導入してコールセンター業務の効率化を進めよう

IVRの基礎知識

コールセンターやコンタクトセンターでは、顧客からの問い合わせに適切に対処し、問題を解消する能力が求められます。しかし、実際は膨大な量の着信に追われ、顧客を待たせてしまうケースも少なくありません。そんな場面で役立つのが、電話対応を自動化できる「IVRシステム」です。こちらでは、IVRの特徴や仕組みをご紹介します。

IVR(Interactive Voice Response)とは

IVRとは、コールセンターのカスタマーサポート業務などで利用される自動音声応答システムのこと。顧客からの入電に対して、自動音声ガイダンスによる案内や用件別の電話番号への振り分けなど、事前に設定された通りの対応を自動で行います。IVRの主な機能には、自動受付、自動振り分け、コールバック予約、SMS連携などがあります。

IVRは人工知能(AI)の発達により、コールセンターの現場で急速に普及しました。AIによって顧客情報の管理や運用を自動化できるようになったのが理由です。そして、2010年代に入ると、音声だけでなくスマートフォンの画面上に案内メニューを表示する「ビジュアルIVR」も登場しています。これにより、担当者や窓口につなぐだけでなく、FAQサイトやチャットボットへの誘導も可能になりました。

定型化された受付はIVRで自動化

近年では、IVRが生活の身近な場面でも活用されています。例えば、郵便物の再配達受付の電話窓口では、IVRが自動で顧客対応を行っています。顧客がプッシュ操作で伝票番号や希望の配達日時などを入力することで、自動で手続きが完了する仕組みです。オペレーターによる有人対応が不要なため、利用者はコールセンターの営業時間外でも再配達の予約受付ができるようになりました。このほかにも、スマートフォンや携帯電話の留守番電話サービスや、地域の災害情報の発信など、IVRの活用シーンはますます広がっています。今後さらに幅広い問い合わせ対応を担う可能性も考えられるでしょう。

IVRによる自動応答の仕組み

IVRは、導入準備の段階でシナリオを設定するのが基本です。具体的には、簡単な問い合わせでは自動音声を流す、難度の高い問い合わせは専門知識を持つオペレーターへつなぐ、などが考えられます。IVRを導入したコールセンターにユーザーから入電があると、自動音声ガイダンスが開始されます。「○○の方は1を、△△の方は2を……」のアナウンスが代表例です。そして、ユーザーが音声案内に従って番号を入力したり、プッシュボタンを操作したりすると、内容に応じて対応が行われます。

コールセンターにIVRを導入するメリットと注意点

こちらでは、コールセンターにおけるIVRの導入メリットや注意点を解説します。IVRの導入によって、ユーザーは簡単なボタン操作で問題解決に必要な情報を入手でき、企業は電話応対業務の効率化を進められます。しかし、オペレーターにつなぐまでの工数が増えることで負担に感じるユーザーも一定数います。IVRを導入する際は、メリットだけでなくデメリットも理解し、対策を講じることが大切です。

導入するメリット

自動音声応答(IVR)はいつでも電話がつながる安心を提供

・オペレーターの業務効率化につながる
IVRを導入することで、多くのコールセンター業務を自動化できます。電話業務の大部分を占める受付対応や簡単な問い合わせなどは、自動音声のみで処理できる場合も多いためです。オペレーターの業務負担を軽減でき、優先度の高い案件へ効率的にリソースを投じられます。

また、オペレーターの業務効率化はユーザー側にとってもメリットがあります。例えば、電話をかけた際に待ち時間がなく自動で受付してもらえる、用件ごとに適切なオペレーターにつながり、たらい回しや何度も説明する手間を省ける、問い合わせ時間を短縮できる、などが考えられます。顧客側の不満を解消し、顧客満足度向上を目的としてIVRを導入する企業も少なくありません。

・機会損失を防げる
IVRは24時間365日自動で稼働できます。そのため、営業時間内だけでなく、オペレーター不在の時間でも自動での受付を実現可能です。ユーザーは問い合わせたタイミングで確実に問題を解決できることもあるため、機会損失の防止にもつながります。

また、IVRの導入によって簡単な内容は自動音声ガイダンスに任せ、専門性の高い問い合わせや商品に関する細かな内容のみオペレーターにつなぐことで、応答率の向上も可能です。回線の混雑時に、電話がつながらない事態を避けやすく、オペレーターが対応不可能となる「あふれ呼」の対策にも効果が期待できます。

・コスト削減が期待できる
IVRの導入は、コールセンターの生産性向上や、オペレーターの人件費削減にも役立ちます。IVRによって問い合わせ内容ごとに振り分けを行うことで、オペレーターは一つのジャンルに特化できます。スキルを高めた専門分野について応対できるため、生産性が向上し多くの顧客からの問い合わせにスムーズに対処しやすくなるのです。また、問い合わせ件数の少ない時間帯はIVRで対応することで、人件費を抑えてコールセンターを稼働させることが可能です。そのほかには、社員研修の際は特定の分野に関する教育に専念でき、育成コストの削減や新人オペレーターを早期に戦力化しやすいというメリットもあります。担当窓口の人手不足対策にも有効です。

導入する際の注意点

IVRを導入すると、顧客側に自動音声ガイダンスがわずらわしく思われてしまうケースもあります。IVRの自動音声ガイダンスは、どのような用件であっても音声を聞いてボタンを押さなければオペレーターにつながりません。そのため、多くの時間がかかることでユーザーにストレスを与えないよう注意が必要です。例えば、振り分け先を細かく設定しすぎると、その分音声ガイダンスを聞く時間も長くなってしまいます。また、想定される用件の種類が多岐にわたる場合は、選択肢が増えてメニュー構成の階層が複雑になり、顧客が判断に迷ってしまうことも。万が一、プッシュボタンの操作ミスなどで初めからやり直しになれば、一から音声ガイダンスを聞かなければなりません。利便性が低下しないよう、適切な導線を設計することが大切です。

コールセンターに導入するIVRの選び方

コールセンターにIVRを導入する際は、種類や費用を比較検討するとともに、自社の業務に適したソリューションをお選びください。ここでは、IVRの選び方について解説します。

IVRの種類で選ぶ

IIVRには、大きく分けて「オンプレミス型」と「クラウド型」の2種類があります。このうちオンプレミス型はソフトウェアおよびハードウェアを自社で保有・管理し、システムを自前で構築する運用方式です。自社の環境に合わせて柔軟にカスタマイズできる点が強みですが、必要な機器の調達やインフラの維持管理にコストがかかる傾向にあります。一方、クラウド型はインターネット上に構築されたシステムを利用する運用方式です。自社環境の構築や機器の用意が不要なため、初期費用を大幅に抑えられます。また、申し込みから利用開始までの時間がかからない点も特徴の一つで、短期間で運用を開始できるのが強みです。

導入にかかる費用で選ぶ

IVRの料金形態は、主に「初期導入費用」「月額利用料」「追加オプション費用」などで構成されます。各費用は、回線数やIVRが利用できる席数によって前後します。ベンダーにもよりますが、IVRの初期導入費用の目安は約30万円~80万円です。月額利用料の目安は約1万5,000円~15万円となっています。コストを抑えて導入するなら、初期導入費用を抑えられるクラウド型のIVRを検討しましょう。また、必要な機能のみを搭載した、IVRのパッケージサービスを利用するのも一つの手です。各社サービスの費用を詳しく比較したい場合には、複数のベンダーから見積もりを取るようおすすめします。

自社に合ったIVRを選ぶ

IVRのサービスによっては、複数の機能が搭載されている場合があります。機能面が充実したIVRは利便性が高い一方で、なかには自社にとって不要な機能が含まれているケースもあります。利用する予定のない機能が多いなら、必要な機能のみを搭載したIVRを選び、シンプルな運用を設計したほうが管理しやすいでしょう。また、IVRのサポート体制はベンダーによって異なります。特に初めてのIVR導入であれば、手厚いサポート体制が揃ったベンダーを選ぶと安心です。ベンダーによっては、IVRのサービスを専業としていないケースや、最小限のサポートのみを提供するケースもあるので、事前に確認しておきましょう。

コールセンターでIVRを活用する際のポイント

コールセンターに導入したIVRの効果を最大化して、顧客の利便性を高めるためには、以下のポイントを押さえておきましょう。最後に、コールセンターでIVRを活用する際のポイントをご紹介します。

ガイダンスはできるだけ簡潔に設定する

IVRで顧客が操作するときに聞くガイダンスは、わかりやすさを重視して設計しましょう。ガイダンスが必要以上に長かったり、選択肢の数が多すぎたりすると、顧客にとって使いづらいサービスになってしまいます。顧客が途中で通話をやめて、離脱してしまうかもしれません。想定される用件が多いときは、選択肢を増やすのではなく、複数の選択肢をまとめる方法もあります。例えば、「その他の方は○を押してください」「オペレーターにつなぐ場合は○を押してください」といった音声ガイダンスも検討してみましょう。

導入後の見直しや改善は定期的に行う

IVRのシステム設定は、導入後も変更できます。システム設定は一度設定したら完了するわけではなく、定期的に見直しを行うとともに、必要に応じて変更することも重要です。その際は、顧客からの問い合わせ傾向や、実際の反応などを踏まえて、よりユーザーファーストな設定を目指して改善を繰り返しましょう。メニュー構成を整理したり、音声ガイダンスで読み上げる内容をブラッシュアップしたりすることで、わかりやすい案内ができるようになる可能性があります。定期的な見直しと改善により、顧客満足度の向上を目指しましょう。

IVRを導入してコールセンター業務の効率化を進めよう

今回は、IVRの基礎知識や導入するメリット、注意点、サービスの選び方についてお伝えしました。IVRは不動産業界や製造業界、旅行業界など、さまざまな現場で導入が進んでいます。コールセンターの対応品質向上や業務の効率化には、IVRの導入がおすすめです。

コールセンターの改善施策をご検討の際は、電話放送局の「自動受付IVR」をご活用ください。「自動受付IVR」は、オペレーターに代わって自動音声応答システムがユーザーの問い合わせに応対するサービスです。導入の手軽さや高いセキュリティ、回線の安定性などが多くの企業様からご好評をいただいており、導入事例は1,000社以上を誇ります。

また、ユーザーからのコールが集中し、機会損失を招いている場合は、「あふれ呼IVR」もおすすめです。「あふれ呼IVR」はユーザーからのオーバーフローした入電を自動転送し、コールバック情報としてオペレーターに報告するシステムです。オペレーターは受付データをもとにコールバックできるため、問い合わせの取りこぼしを防げるようになります。IVRシステムの導入をご検討の際は、ぜひお試しください。

なお、電話放送局が提供するIVRサービスの導入事例は、以下のページからご覧いただけます。IVRの導入を検討し始めたら、まずは各企業の導入方法や活用例を参考にしてはいかがでしょうか。具体的な企業の事例を通じて、IVR活用のノウハウや運営に役立つヒントをチェックしていただけます。ぜひ本記事と併せてお読みください。

参考記事:導入事例

自動受付IVR

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