あふれ呼とは?件数の調べ方と必要な回線数の計算、取りこぼしを防ぐ5つの対策
2026/10/07
「CMを流した直後だけ、電話がまったくつながらないとお客様に言われる」「回線を増やすべきか、人を増やすべきか、判断する材料がない」。電話窓口の運営を任されている方から、こうした相談をよく受けます。あふれ呼とは、回線や席の受け入れ量を超えて、つながらなかった着信のことです。回線がふさがって起きるあふれ呼は自社の電話設備に届く前に話し中になるため、件数は通信キャリアの統計で調べます。対策は、件数と時間帯を確かめたうえで、回線と席を山に合わせるか、あふれた電話だけを別の仕組みで受けるかの2方向です。本記事では、あふれ呼の意味と原因、件数の調べ方、必要な回線数と席数の計算方法、取りこぼしを防ぐ5つの対策を、導入事例の数字とともに解説します。
目次
・あふれ呼の対策③:あふれた電話だけを自動音声で受けて折り返す
・まとめ
あふれ呼とは?放棄呼・待ち呼との違い
あふれ呼(あふれこ)とは、コールセンターや電話窓口に電話が集中し、回線数やオペレーターの席数を超えたためにつながらなかった着信のことです。英語では「Overflow Call」と呼ばれます。ここでは、混同されやすい放棄呼・待ち呼との違いと、あふれ呼になったときにお客様に何が起きているかを整理します。
あふれ呼の意味
あふれ呼には、大きく分けて2つの状態があります。1つは、契約している回線がすべてふさがり、お客様に話し中の音やキャリアのアナウンスが流れる状態です。もう1つは、回線には空きがあるものの、応答できるオペレーターがいない状態です。
後者の電話は、保留音を流して順番を待ってもらう待ち呼になるか、待ちきれずに切られる放棄呼になります。どちらも「オペレーターが受けきれなかった電話」という点では同じで、現場ではまとめてあふれ呼と呼ぶことも少なくありません。本記事では、回線と席のどちらで受けきれなかったのかを分けて考えます。打ち手がまったく違うためです。
放棄呼・待ち呼とは何が違う?
違いは、電話がどこまで届いたかと、件数がどこに記録されるかです。待ち呼と放棄呼は自社の電話設備に届いた電話なので、ACDやPBXの記録で数えられます。一方、回線がふさがったときのあふれ呼は自社の設備に届く前に断られるため、自社の記録には残りません。
| 呼の種類 | 電話が届いた場所 | 件数を確認できる場所 |
|---|---|---|
| あふれ呼 (回線がふさがった) |
通信キャリアの網の中で止まり、 自社の設備には届いていない |
通信キャリアの トラフィック統計 |
| 待ち呼 | 自社の設備に届き、 オペレーターの空きを待っている |
ACD・CTI・PBXの 着信記録 |
| 放棄呼 | 自社の設備に届いたが、 つながる前にお客様が切った |
ACD・CTI・PBXの 着信記録 |
この違いを押さえておかないと、「着信記録を見るかぎり放棄呼は少ないのに、つながらないという声が多い」という食い違いが起きます。記録に出てこない話し中の電話が、別の場所で積み上がっているためです。
お客様には何が聞こえている?
回線がふさがっていると、お客様には話し中の音か、キャリアのアナウンスが流れます。たとえばKDDIのフリーコールでは、受付回線数を超えたときのアナウンスとして「お客さまがおかけになった番号はただいま混み合っております。誠に恐れ入りますが、しばらくたってからおかけ直しください。」という文面が用意されています(出典:KDDI フリーコール 付加サービス)。
お客様からすると、用件を伝える機会もないまま「かけ直してください」と言われたことになります。かけ直してもらえればまだよいほうで、そのまま他社に電話をかける方もいます。
あふれ呼が起きる3つの原因
あふれ呼の原因は、入電が短い時間に集中すること、回線数が足りないこと、席数が足りないことの3つに分けられます。多くの窓口では、この3つが重なって起きています。
入電が短い時間に集中する
もっとも多いのは、広告や放送の直後に電話が集中するケースです。テレビCMを使う通販会社では、入電数の繁閑差が非常に大きく、ピーク時に電話を取りきれないことが課題になっていました(出典:ディーニーズ株式会社の導入事例)。新聞広告や折込チラシを出した日に、あふれ呼が発生していた企業もあります(出典:万田発酵株式会社の導入事例)。
広告のように予定が分かっている山だけではありません。集合住宅向けのインターネットサービスを提供する企業では、引っ越しシーズンの繁忙期に加え、自然災害で「つながらない」という問い合わせが突発的に増えることも課題でした(出典:株式会社ギガプライズの導入事例)。障害や災害による山は、事前に人を手配できない点が厄介です。
回線数が足りない
回線数が足りないと、オペレーターに空きがあっても話し中になります。見落とされやすいのは、1本の電話が回線を使う時間は通話時間だけではないという点です。
自動音声のガイダンスを聞いている時間
IVRで用件を選んでもらう窓口では、ガイダンスを聞いてボタンを押すまでの時間も回線を使います。ガイダンスが長いほど、同じ着信数でも回線は早く埋まります。
オペレーターの空きを待っている時間
保留音を流して待ってもらっている間も、その電話は回線を1本使い続けています。席が足りずに待ち時間が延びると、待っている電話が回線をふさぎ、次の電話が話し中になります。席数の不足が、回線のあふれとして表に出てくるわけです。
オペレーターと話している時間
通話時間そのものも、問い合わせの内容によって変わります。手続きの説明が長い用件が増えた時期は、着信数が同じでも回線と席の両方が足りなくなります。
席数が足りない
回線に余裕があっても、応答できるオペレーターがいなければお客様は待たされます。採用が難しくなるなかで、呼量が増える時期のためだけに人を確保して教育するのは簡単ではありません。前出のギガプライズでも、「繁忙期だけ」「有事の際だけ」人員を増やすことは難しいと語られています。
席数の不足は、待ち時間の延長や放棄呼として表に出ます。応答率の低下が続いている場合は、まず席数の不足を疑ってください。
あふれ呼を放置するとどうなる?
あふれ呼を放置すると、売上の取りこぼし、かけ直しによる混雑の悪化、「つながらない窓口」という印象の3つが積み重なります。
売上の取りこぼしになる
注文や申し込みを受ける窓口では、つながらなかった電話がそのまま失注になります。電話放送局のサービスページでは、月5,000件の電話注文を平均1万円で受けている企業で、月1,000件のあふれ呼が出ている場合の試算を紹介しています。この1,000件のうち9割に折り返してつながれば、900万円分の売上の取りこぼしを防げるという計算です(出典:あふれ呼IVR)。
この試算は、あくまで計算の例です。自社の数字に置き換えるときは、あふれ呼の件数に、平均単価と、つながった場合の受注率を掛けてみてください。
かけ直しが次のあふれを生む
つながらなかったお客様がかけ直すと、その電話がまた混雑の時間帯に重なります。最初の着信でつながらなかったお客様の電話は待ち呼や放棄呼になり、かけ直した電話もまた待ち呼や放棄呼になるという悪循環です。着信数の数字は増えて見えますが、実際の用件の数は増えていません。
「つながらない窓口」という印象が残る
何度かけてもつながらない経験は、商品やサービスの評価そのものを下げます。あふれ呼の対策を進めた企業では、つながりやすさについてお客様から評価され、顧客満足度が20%向上したという結果も出ています(出典:スカイネット株式会社の導入事例)。
あふれ呼の件数はどうやって調べる?
回線がふさがって話し中になった電話の件数は、通信キャリアが提供するトラフィック統計で調べます。自社のPBXやACDの記録だけでは、あふれ呼の全体像はつかめません。
自社の着信記録に残らないのはなぜ?
回線がすべてふさがっているとき、新しい電話はキャリアの網の中で話し中として扱われ、自社の設備には届きません。届いていない電話は、自社のPBXやACDから見ると「なかった電話」です。そのため、着信記録の着信数と放棄呼だけを見ていると、話し中で断られた電話の分だけ需要を少なく見積もることになります。
キャリアのトラフィック統計を見る
フリーダイヤルやナビダイヤル、フリーコールなどの着信課金サービスでは、話し中で接続できなかった件数を含む統計を確認できます。名称や照会方法はキャリアとサービスごとに違うので、契約中のサービスで確認してください。
NTTドコモビジネスのフリーダイヤル・ナビダイヤル
NTTドコモビジネスのトラフィック照会では、総呼数や完了呼数とあわせて「話中遭遇呼」を確認できます。資料での定義は「話中により接続できなかったコール数の合計」で、内訳として「FD/ND話中」と「着LS話中」が並んでいます(出典:NTTドコモビジネス フリーダイヤル カスタマコントロール トラヒックメニュー(PDF))。着LS話中は、契約回線への着信で話し中になった件数を指します。
KDDIのフリーコール
KDDIのフリーコールでは、トラフィックデータ照会で総呼数・完了呼数・不完了呼数などを時間ごと・日ごと・月ごとに確認できます。トラフィックデータ速報では5分ごとのデータが15分後から参照でき、待ち合わせ遭遇呼数や待ち合わせ途中放棄呼数も確認できます(出典:KDDI フリーコール 付加サービス)。
時間帯ごとのあふれた割合を出す
統計を取り出したら、時間帯ごとに「話し中で接続できなかった件数÷かかってきた件数」を出してみてください。1日の平均では数%に見えても、広告を出した日の特定の30分だけを見ると、半分近くがつながっていなかったということもあります。
あわせて、自社の記録にある待ち呼と放棄呼を同じ時間帯で並べると、つながらなかった原因が回線と席のどちらにあるかが見えてきます。話し中が多い時間帯は回線、放棄呼が多い時間帯は席が足りていないというのが基本の読み方です。
必要な回線数・席数の目安は?
必要な回線数と席数は、1時間あたりの呼量を出し、回線数はアーランB式、席数はアーランC式という計算式で求めるのが一般的です。ここでは、計算の考え方と目安の数字を例で示します。
呼量(アーラン)を出す
呼量とは、一定時間に電話がどれだけ回線や席を使ったかを表す量で、単位をアーランといいます。1時間の呼量は「1時間の着信数×1件あたりの時間(秒)÷3,600」で出せます。
たとえば、1時間に120件の電話があり、1件あたり平均5分(300秒)使うなら、120×300÷3,600=10アーランです。回線数を考えるときは、通話時間にガイダンスと待ち時間を加えた時間を使います。席数を考えるときは、通話時間に後処理の時間を加えたAHTを使います。
回線数はアーランB式で決める
アーランB式は、回線数に対して、何%の電話が話し中になるかを計算する式です。呼量10アーランのとき、回線数ごとの話し中になる割合は次のとおりです(アーランB式で弊社が計算した値で、実際の着信の波によって変わります)。
| 回線数 | 話し中になる割合 (呼量10アーラン) |
100件あたりの 話し中の目安 |
|---|---|---|
| 10回線 | 約21.5% | 約22件 |
| 12回線 | 約12.0% | 約12件 |
| 15回線 | 約3.6% | 約4件 |
| 17回線 | 約1.3% | 約1件 |
| 20回線 | 約0.2% | 1件未満 |
呼量と同じ10回線では、5件に1件以上が話し中になります。平均の呼量ちょうどの回線数では足りず、余裕を持たせる必要があるということです。
席数はアーランC式で決める
アーランC式は、席数に対して、お客様がどれだけ待たされるかを計算する式です。同じ10アーラン(1時間120件、AHT5分)で計算すると、20秒以内に応答できる割合は12席で約61%、13席で約77%、14席で約87%、15席で約93%になります(弊社が計算した値)。
1席増えるごとに応答の割合は大きく変わります。目標とする応答の水準を先に決めてから、席数を逆算するのが基本の進め方です。
ピークに合わせて回線を増やしきれないのはなぜ?
ピークの山が高く、短い時間で終わるからです。先ほどの例で、CMの直後に1時間の着信が240件、つまり呼量が20アーランに増えたとします。15回線のままだと約33%、20回線に増やしても約16%が話し中になる計算です。
この山に回線も席も合わせると、1日のうちほとんどの時間は使われない設備と人を抱えることになります。そのため多くの窓口では、普段の呼量に合わせて回線と席を用意し、山の部分は迂回や自動応答で受け止める組み合わせを取っています。
あふれ呼の対策①:回線と席を入電の山に合わせる
ここからは、あふれ呼を減らす対策を5つ紹介します。1つ目は、普段の入電の山に回線と席を合わせることです。
30分単位で着信と話し中を並べる
月や日の平均ではなく、30分単位で着信数と話し中の件数を並べます。曜日、月初と月末、広告の掲載日、請求書の発送日など、山ができる条件を書き出しておくと、翌月以降のシフトに反映できます。
受付する回線数を時間帯で変える
着信課金サービスでは、同時に受け付ける電話の数を時間帯や曜日で変えられる機能があります。KDDIのフリーコールの「受付回線設定」では、同時に接続できるコール数を最大999コールまで、曜日・時間によって設定できます(出典:KDDI フリーコール 付加サービス)。席数の少ない時間帯に回線だけを多く開けておくと、待ち呼が回線をふさぐ時間が長くなるため、席数とあわせて設定します。
1件あたりの時間を短くして席を空ける
席を増やせないときは、1件あたりの時間を短くする方法もあります。よくある質問の回答を整理したり、後処理の入力を減らしたりすると、同じ人数で受けられる件数を増やせるのが利点です。ガイダンスを短く分かりやすくすることも、回線を使う時間を減らす手段になります。ガイダンスの見直し方は「電話音声ガイダンス(IVR)の作り方」で解説しています。
あふれ呼の対策②:あふれた電話を別の受付先へ回す
2つ目は、回線がふさがったときに、電話を別の受付先へ回すことです。キャリアの付加サービスを使えば、自社の設備を大きく変えずに設定できます。
話中時迂回で別の拠点につなぐ
NTTドコモビジネスのフリーダイヤルには「話中時迂回」があります。着信先の回線がすべて話し中の場合に、あらかじめ指定したほかの着信先へ接続する機能で、1つの着信先について最大9か所の迂回先と順番を指定できます(出典:NTTドコモビジネス フリーダイヤル オプションサービス)。KDDIのフリーコールでも、受付回線設定であふれたコールをほかの受付先(最大9か所)へ接続できます。
迂回先には、別の拠点や外部の委託先、自動応答のIVRを指定できます。拠点が複数ある窓口では、まずこの設定が入っているかを確認してください。
話中時待ち合わせで空くまで待ってもらう
回線がふさがっているときに、案内を流して回線が空くまで待ってもらう機能もあります。NTTドコモビジネスの「話中時待ち合わせ」や、KDDIの「待ち合わせ接続」がこれにあたり、回線が空き次第つなぐ仕組みです。
ただし、待ってもらう時間が長くなると、待っている間に切られる電話が増えます。NTTドコモビジネスの統計には、待ち合わせ中にお客様が切った件数を表す「待中放棄」という項目があります。待ち合わせを入れたら、この件数もあわせて確認してください。
あふれ呼の対策③:あふれた電話だけを自動音声で受けて折り返す
3つ目は、オペレーターが受けきれなかった電話だけを自動音声で受け、折り返しの予約を受け付ける方法です。山の時間に人を増やさずに、つながらなかったお客様と連絡を取れます。
今の電話設備のまま、あふれた分だけ足せる
あふれた電話だけを受ける自動音声は、今のPBXやコールセンターシステムを入れ替えずに追加できます。電話放送局のあふれ呼IVRでは、既存のコールセンターや電話設備はそのままに、オペレーターが応答できずにあふれた電話だけを自動音声へ転送する構成が可能です。0120・0570などの番号で受けている場合も、キャリアのサービスに入った電話を自動音声へつなげます。
注意したいのは、転送を挟む場合は転送元の回線数が上限になる点です。自動音声側にどれだけ回線があっても、自社の設備から転送するなら、自社が契約している回線数を超える電話は受けられません。CM直後のように山が極端に高い場合は、キャリアの話中時迂回で自動音声へ直接回す、あるいは最初から自動音声の番号で受けるといった構成を検討します。
折り返しは早いほど成果につながる
折り返しの予約を受けても、連絡が遅れるとお客様の気持ちは冷めていきます。通販のスカイネットでは、あふれた電話の受付データをAPI連携で自社のシステムに取り込み、コールバックまでの平均所要時間を55%短縮しました。その結果、折り返し時のコンタクト率は11%、受注率は6%高まり、2,700万円の売上アップにつながっています(出典:スカイネット株式会社の導入事例)。
同社では、台風が直撃した日が1年でいちばんの注文のピークと重なったときも、自動音声で後日の折り返しになることを伝えられたため、従業員に自宅待機を指示できたといいます。あふれ呼の受け皿は、平常時の混雑だけでなく、出勤できない日の備えにもなります。
受け付ける内容を絞る
あふれた電話で聞き取る内容は、折り返しに必要な最小限に絞ります。折り返し先の電話番号、希望の時間帯、用件の種類があれば、折り返す側は準備をして電話をかけられます。用件を録音しておけば、折り返したときに一から聞き直す必要もありません。
折り返しの件数が人手を超えそうな時期は、受け付ける件数に上限を設ける方法もあります。電話放送局のあふれ呼IVRには、あらかじめ設定した件数を超えた場合に受付を止める音声を流すプランがあります。
あふれ呼の対策④:SMSでWebの手続きに案内する
4つ目は、あふれた電話の中で、Webで済む用件のお客様にSMSでURLを送る方法です。折り返しの電話を待たずに手続きが終わるため、折り返しの件数そのものが減ります。
一言足しただけでWebに移ったお客様が8%
テレビショッピングのABCファンライフ通販部では、あふれた電話の自動音声に「Webでも購入できます。URLを希望しますか?」という案内を加えました。高齢のお客様が中心のため、Webへの誘導を希望する割合の目標は3%に置いていましたが、実際には8%のお客様が希望しました。携帯電話からの着信に限ると31%です。SMSを送ったお客様のうち24.7%が購入まで進み、追加の人件費は0円でした(出典:株式会社ABCファンライフの導入事例)。
固定電話と携帯電話で案内を分ける
SMSは携帯電話にしか届きません。固定電話からの着信が多い窓口では、全員にSMSの案内を聞かせると、固定電話のお客様には不要な時間になります。
通販のディーニーズでは、固定電話が着信の半数を占めることを踏まえ、携帯電話向けと固定電話向けのガイダンスを用意して自動で分ける流れにしました。その結果、ガイダンスを最後まで聞くお客様の割合が10ポイント増え、折り返し時の売上も約15%向上しています(出典:ディーニーズ株式会社の導入事例)。SMSを送るサービスの選び方は「SMS送信サービスとは?」で解説しています。
あふれ呼の対策⑤:電話の手前と営業時間外で受け止める
5つ目は、電話をかける前や、オペレーターがいない時間に用件を受け止めることです。あふれ呼の山そのものを低くする対策です。
FAQやチャットボットに案内する
あふれた電話の自動音声で、FAQのページやチャットボットを案内する方法があります。ギガプライズでは、基本はオペレーターが対応しながら、受けきれない電話に対して自動音声でチャットボットやFAQへ案内する運用にしました。その結果、放棄呼はゼロになり、チャットボットやFAQの利用率も10%上がっています(出典:株式会社ギガプライズの導入事例)。
画面で選択肢を見せて案内したい場合は、ビジュアルIVRという方法もあります。
営業時間外は自動で一次受けする
営業時間外の電話も、翌日にはかけ直してもらえない取りこぼしです。万田発酵では、深夜帯の電話に対して自動音声で問い合わせ内容・名前・折り返し先の電話番号を聞き取り、翌営業日に人が折り返す運用にしました。営業時間外の入電の半数以上を自動音声で一次受けしており、折り返すときに一から内容を聞く必要がなくなったことで、平均応対時間の短縮にもつながっています(出典:万田発酵株式会社の導入事例)。
金曜の深夜に通販番組を持つ関西テレビハッズでは、あふれた電話を受ける自動音声を24時間稼働させ、希望するお客様にWebの購入画面をSMSで送る運用に変えました。運用を変えただけで、投資効果は400%に達したといいます(出典:株式会社関西テレビハッズの導入事例)。
自社に合うあふれ呼対策の選び方
どの対策が合うかは、つながらない電話がどこで、いつ起きているかで決まります。次の表から、自社の状況に近い行を探してください。
| 自社の状況 | 起きていること | まず打つ手 |
|---|---|---|
| キャリアの統計で 話し中が多い |
回線数が足りない、 または待ち呼が回線をふさいでいる |
回線数の見直し、 話中時迂回の設定 |
| 話し中は少ないが 放棄呼が多い |
回線は空いているが、 席が足りずに待たされている |
シフトの見直し、 待ち時間が長い電話の折り返し予約 |
| 広告・放送の直後だけ つながらない |
短い山に回線も席も 追いついていない |
あふれた電話だけ自動音声で受ける、 SMSでWebへ案内 |
| 障害・災害のときに 問い合わせが殺到する |
同じ内容の問い合わせが 一度に集中している |
自動音声で状況を案内し、 FAQやWebへ案内 |
| 夜間・休日の電話を 取れていない |
オペレーターがいない時間に 需要がある |
営業時間外の自動一次受け、 翌営業日の折り返し |
複数の行に当てはまる場合は、件数がいちばん多い行から手をつけます。あふれ呼の件数に平均単価と受注率を掛けて金額に置き換えると、対策の優先順位を社内で説明しやすくなります。
よくある質問
最後に、あふれ呼についてよくある質問に回答します。
Q. あふれ呼と放棄呼はどちらを先に対策すべきですか?
件数が多いほうから対策します。あふれ呼の件数はキャリアの統計で、放棄呼の件数は自社のACDやPBXの記録で確認できるので、同じ時間帯で並べて比べてください。話し中が多ければ回線、放棄呼が多ければ席の不足が主な原因です。
Q. あふれ呼の件数を自社のシステムで数えることはできますか?
回線がふさがって話し中になった電話は自社の設備に届かないため、自社のシステムだけでは数えられません。フリーダイヤルやフリーコールなどを使っている場合は、キャリアのトラフィック統計で話し中の件数を確認します。あふれた電話を自動音声で受ける仕組みを入れると、受けた件数を自社側でも把握できるようになります。
Q. 回線数を増やせばあふれ呼はなくなりますか?
席数が足りない場合は、回線を増やしてもなくなりません。回線を増やすと話し中は減りますが、席が足りなければ待ち呼と放棄呼が増えるだけです。回線数と席数は、それぞれの計算で必要な数を出してから決めます。
Q. 小規模な窓口でもあふれ呼対策は必要ですか?
必要です。席数が少ない窓口ほど、数件の電話が重なっただけで回線と席が埋まります。人を増やす余裕がない場合は、混雑する時間帯だけ自動音声で折り返しの予約を受けるなど、時間を絞った対策から始められます。
Q. あふれた電話への折り返しは、いつまでにかけるべきですか?
できるだけ早くかけることをおすすめします。スカイネットの事例では、折り返しまでの時間を55%短縮したことで、つながる割合と受注率がともに上がりました。受付の時点で「本日中に折り返します」など、折り返しの目安を案内しておくと、お客様も待ちやすくなります。
Q. あふれた電話だけを自動音声で受けるには、どのくらいの準備期間が必要ですか?
DHK CANVASの場合、最短で約2週間で利用を始められます。今の電話設備から転送する設定や、受け付ける内容によって期間は変わります。転送を使う場合は、転送元の回線数が受けられる電話の上限になる点も、準備の段階で確認しておいてください。
まとめ
あふれ呼の対策は、話し中で断られている電話の件数を、キャリアの統計で確かめるところから始まります。自社の着信記録に出てこない電話を数えたうえで、回線と席のどちらが足りないのか、山はいつ来るのかを見れば、打つべき手が決まります。
普段の呼量には回線と席を合わせ、広告や災害のような短い山は、迂回や自動音声で受け止める組み合わせが現実的です。まずは直近1か月のトラフィック統計を取り出し、30分単位で話し中の件数を並べてみてください。株式会社電話放送局では、あふれた電話だけを受ける自動音声の設計から、折り返しやSMSの運用、導入後の改善まで伴走しています。具体的な使われ方は導入事例もあわせてご覧ください。
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監修者情報
メーカーのコールセンター運営管理に従事し、自らIVRを導入。
不要な入電を抑制しつつ売上向上を実現するなど、現場視点で成果を創出。電話放送局では営業マネージャーとして10年以上従事し、クラウド型IVRの業界シェア1位獲得に貢献。
コロナ禍におけるユーザーのデジタル行動変容を受け、マーケティング部門を立ち上げ、責任者に就任。インサイドセールスを統括し、営業部門との連携を強化。自動音声応答の導入、運用、集客、営業の幅広い経験を有する。
IVRおよびコールセンター市場における20年以上の知見を活かし、ユーザーの検索行動やニーズを深く理解したマーケティング戦略を展開。
検索連動広告の運用経験を基に、現場で役立つ実践的な情報を発信し、読者のビジネス成功を力強くサポートします。
マーケティング責任者 営業部営業推進課 課長 前田泰延
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