ACDとは?システムの主な機能やコールセンターに導入するメリット
2024/05/09
コールセンターには日々、多数の電話が寄せられ、これらを複数のオペレーターで分担しながら対応しています。電話の振り分けが適切に行われていない場合、サービス品質の低下を招くだけでなく、オペレーターの不満やストレスにもつながりかねません。そこで活躍するのが、電話を自動で振り分ける「ACD」のシステムです。
本記事では、コールセンターで活用されるACDの基礎知識や、導入のメリットや注意点をお伝えします。ACDとの連携におすすめのIVRについてもご紹介するため、ぜひ業務改善の参考にしてみてください。
目次
・ACDとIVRを連携してコールセンターの業務改善を実現しよう
ACDとは
コールセンターで活用されている「ACD」とは、どのような機能を搭載したシステムなのでしょうか。まずは、ACDの特徴や主な機能などの基礎知識をご紹介します。
ACDの意味
ACDは、コールセンターへの入電を自動でオペレーターへ振り分けるシステムのことです。あらかじめ設定した条件や優先度などに基づいて、電話を振り分ける仕組みとなっています。ACDという用語は、英語の「Automatic Call Distribution」の頭文字を取ったものです。日本語では「着信呼自動分配装置」と呼ばれます。
ACDの導入費用
ACDを導入する場合、初期費用と月額費用が発生します。導入形態、組織の規模、ACDの機能によってサービスごとに金額に差が出る点に留意しましょう。初期費用の相場は10万~50万円が目安です。また、月額費用の相場は1ユーザーあたり5,000円~15,000円が目安となっています。
ACDの利用が適している業界、コールリーズン
ACDは、電話の振り分けが必要な企業に適したシステムです。例えば、EC・通販業界や製造業界のように、「商品の注文」「故障・不具合」「返品・交換」といった多様なコールリーズンの振り分けが必要なケースに向いています。また、多数の部署がある大規模な企業の代表電話番号のように、部署や担当者で振り分けが必要なケースにも適しています。
ACDで設定できる主な機能
ACDを活用すれば、さまざまな条件で電話の振り分けを行えます。ここでは、ACDで設定できる振り分けの機能をご紹介します。
待ち時間順ルーティング
コールセンターにいる複数のオペレーターのうち、待機時間が長い人に電話を振り分ける機能です。オペレーターの業務量に大きな偏りが生じないよう、均等に電話を割り振ることができます。
着信回数優先ルーティング
コールセンターにいる複数のオペレーターのうち、着信回数が少ない人に電話を振り分けます。前述の「待ち時間順ルーティング」と同様に、オペレーターの対応件数を均一にできる機能です。在籍するオペレーターが等しく電話応対の経験を積みやすくなります。
ラストコールルーティング
コールセンターに同じ番号から再度入電があった際、過去に対応したオペレーターに電話を振り分ける機能です。顧客がコールセンターに複数回問い合わせをした場合に有効といえます。該当のオペレーターには前回の対応の経験があるため、以前の内容を踏まえたスムーズなやり取りがしやすくなるでしょう。
スキルベースルーティング
コールセンターへの問い合わせ内容に応じて、対応可能なオペレーターに電話を振り分ける機能です。割り振りのルールは、オペレーターのスキルや経験、専門性などにより決めることができます。たとえば、顧客から英語で問い合わせがあった場合、外国語が話せるオペレーターに割り振るのも、スキルベースルーティングの一種です。
なお、スキルベースルーティングはACDを「IVR(自動音声応答)」と組み合わせることで実現できます。IVRとの連携について、詳しくは以降の見出しで解説いたします。
発信地域ルーティング
発信地域ごとに電話を振り分ける機能です。例えば、「東京都の受付窓口」「大阪府の受付窓口」といった形で、地域別に電話窓口を分けて効率的に対応できるようになります。
発信地域指定ルーティング
事前に指定した特定の地域のみ電話がつながるよう振り分ける機能です。例えば、東京都と大阪府を指定した場合は、それ以外の都道府県からの電話は接続されません。
発信局番ルーティング
発信局番ごとに電話を振り分ける機能です。例えば、局番「080」から始まる番号、局番「03」から始まる番号をそれぞれ別の接続先に繋げられます。非通知の場合は振り分けされません。
発信電話番号ルーティング
発信電話番号ごとに電話を振り分ける機能です。個別の電話番号ごとに、それぞれ別の接続先に繋げられます。非通知の場合は振り分けされません。
発信端末種別ルーティング
発信端末の種類に応じて電話を振り分ける機能です。「固定電話からの着信」「携帯電話からの着信」「公衆電話からの着信」をそれぞれ振り分けできます。
顧客区分ルーティング
顧客データを複数のグループに分けて、区分に応じて電話を振り分ける機能です。優良顧客を優先的に対応したり、特定の担当者が電話に出たりと、きめ細やかな対応が可能となります。
ACDをコールセンターに導入するメリット
コールセンターにACDを導入すると、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。ここでは、導入メリットをご紹介します。
顧客満足度の向上が期待できる
ACDを導入すると、コールセンターのリソースが有効活用されて、電話応対のサービス品質向上に寄与します。電話を自動的かつ適切な配分で振り分けて、オペレーターの負担軽減につなげられます。また、顧客の待ち時間を軽減できる点にも注目です。時間短縮を実現し、顧客をスムーズに案内しやすくなります。
オペレーターの業務負担の軽減につながる
ACDの振り分け条件の設定次第で、オペレーターの業務量の均一化をはかれます。離席中や後処理中に別のオペレーターへ電話を振り分けるといった運用も可能です。適切な割り振りにより、ひとりのオペレーターに業務が集中するのを避けやすくなるでしょう。その反対に、業務量に偏りがある状態では負担の多いオペレーターに不満やストレスが溜まりやすいので、改善が必要といえます。
経験の浅いオペレーターにかかる負担を調整できる
ACDの機能により、オペレーターのレベルに合わせて振り分けの頻度を調整することが可能です。経験の浅いオペレーターの育成にも役立てられます。たとえば、新人オペレーターよりもベテランオペレーターへ優先的に電話を振り分ければ、個人の能力に応じて負担を調整できます。オペレーターの業務レベルに合わせて、着実に電話応対の経験を積ませられるため安心です。
ACDをコールセンターに導入する際の注意点
ACDの運用ではシステム連携や適切な振り分け設定が必要となります。導入する際は、以下の注意点を押さえておきましょう。
既存システムと連携が可能かどうか確認しておく
コールセンターへACDの導入を検討するなら、既存システムとの連携について確認しておきましょう。すでにIVRをはじめとした他のシステムを運用している場合は、導入予定のACDと連携可能かベンダーに問い合わせるようおすすめします。ACDは他のシステムと組み合わせることでより効果を発揮しやすいため、あらかじめシステム連携の可否をご確認ください。
振り分け設定を定期的に見直す
ACDの導入後は定期的な設定の見直しを行うことが重要です。電話の適切な振り分け方は状況に応じて異なるため、随時確認すると良いでしょう。場合によっては、入電が多い時期と閑散期で振り分け設定を変更するといった運用方法も考えられます。
ACDとの連携におすすめのIVRとは
ACDは他のコールセンター向けシステムと連携させることで、より効果的な運用が期待できます。ここでは、コールセンター業務を効率化する「IVR(自動音声応答)」との連携について解説します。
IVRの意味
IVRとは、コールセンターのカスタマーサポート業務で利用される自動音声応答システムのことです。顧客から入電があると、自動音声ガイダンスが開始される仕組みとなっています。その際、「○○の方は1を、△△の方は2を……」といった形式のアナウンスが流れて、顧客は該当するプッシュボタンを押します。そこで選択された番号に応じて、自動受付による対応を行ったり、特定のオペレーターに電話を繋いだりすることが可能です。
【参考】
IVRとは?特徴やコールセンターに導入するメリット、サービスの選び方
ACDとIVRのシステム連携による効果
ACDをIVRと連携させると、より効率的な電話対応が実現できるようになります。まずIVRの自動音声ガイダンスとプッシュボタン操作で要件を確認した後、ACDで適切なオペレーターへの自動振り分けを行う運用が可能です。IVRとの連携により、用件別に専任のオペレーターを配置したり、新人オペレーターに難度の低い用件を担当させたりできるようになります。コールリーズンに応じた振り分けを行うことで、顧客をスムーズに案内できるのが大きなメリットです。
ACDとの連携におすすめのIVRシステム
・とりつぎくん
「とりつぎくん」は、AIによって高度なコールルーティングを実現するIVRシステムです。従来のIVRのプッシュ操作に加えて、音声認識を用いて発話に応じた振り分けも可能となっています。人間のオペレーターと話すのと同じように、「〇〇さんにつないでください」と発話するだけでAIが自動で対応する仕組みです。
・DHK CANVAS
「DHK CANVAS」は、ノーコードで直感的に運用できるIVRシステムです。貴社のニーズに適したオリジナルのコールフローを組み立てて、システム上で自由自在に設定していただけます。どなたでも操作しやすい設計のUIを備えているので、業務改善や緊急時のコールフロー変更にも社内で柔軟に対応可能です。
ACDとIVRを連携してコールセンターの業務改善を実現しよう
今回は、コールセンターへの入電を自動で振り分ける「ACD」についてご紹介しました。ACDを導入すると、待ち時間や着信回数などの条件に基づいたコールルーティングが可能となります。さらに、IVR(自動音声応答)とシステム連携させれば、顧客の問い合わせ内容に応じた割り振りもできるようになります。ぜひACDをコールセンターの業務改善にお役立てください。
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