解約受付の電話を自動化する3つの型|引き止め・本人確認の決め方と事例
2026/10/29
「解約の電話が増えて、新規の注文の電話まで取りこぼしている」「解約まで自動音声に任せて、お客様とトラブルにならないか心配だ」。
結論から言うと、解約受付の電話は、お客様の申し出を受け付ける部分なら自動音声で受けられます。どこまで自動にするかを分けるのは、引き止め(継続のご案内)を誰がするかと、受け付けた後の手続きをどこまで機械で進めるかの2つです。本記事では、解約受付の自動化を「人が折り返す型」「最後まで自動で終える型」「解約の前に配送のキャンセルで受け止める型」の3つに分け、弊社の導入事例3社の数字で比べます。引き止めの扱いは「引き止めは自動音声でやるべき?」、本人確認の作り方は「本人確認と聞き取り項目の決め方」で解説しています。
目次
・まとめ
解約・変更の電話は、どこまで自動で受け付けられる?
用件が決まっていて、聞く項目が少ない電話ほど自動で受けられます。解約の申し出、次回お届けのスキップ、お届け周期の変更、休止は、本人を確かめる番号と希望の内容が分かれば受け付けられるため、自動化に向いた用件です。反対に、契約をまたぐ複雑な変更や商品の不具合の相談は、人が受けたほうがお客様の負担は軽くなります。
自動にしやすい用件と、人に残したい用件
定期便の窓口にかかってくる解約・変更の電話を、自動で受けやすい順に並べました。自社の窓口でいちばん件数の多い用件がどの行に当たるかを見ると、最初に自動化する範囲が決まります。
| 用件 | 自動で受けやすいか | 理由と受け方 |
|---|---|---|
| 解約の申し出 | 受けやすい | 本人確認の番号と解約理由が分かれば受け付けられる。 引き止めの方針で自動にする範囲が変わる |
| 次回お届けの スキップ |
受けやすい | 本人と対象の回が分かれば確定できる。 選択肢がプッシュ操作に収まる |
| お届け周期の変更 | 受けやすい | 変更先の周期が決まった選択肢から選べる |
| 休止 | 受けやすい | 休む期間を選択肢で受けられる |
| コース・商品の変更 | 条件つき | 変更先が数種類なら選択肢で受けられる。 組み合わせが多いと人が受けるほうが早い |
| 支払いカードの変更 | 別の仕組みで | カード情報を扱うため、 カード情報を自動音声で受け取る仕組みで受ける |
| 返品・不良品の申し出 | 人に残す | 商品の状態の確認や対応の判断が要る |
| 契約内容の 複雑な相談 |
人に残す | お客様の側も人の対応を望む割合が高い |
支払いカードの変更は、カード番号を人が聞かずに受け取るIVR決済の仕組みで受け付けられます。住所の変更は聞き取りの確認方法が別の論点になるため、本記事では扱いません。
お客様も「解約は自動音声の方が話しやすい」と答えている
解約を自動音声で受けることは、お客様の感覚とも合っています。株式会社電話放送局が全国の50〜70代の男女241名に行った調査(2026年4月)では、「人よりボイスボットの方が話しやすいシーン」の1位が「解約・退会の手続き」で35.3%でした。一方、人のオペレーターに対応してほしいシーンの1位は「契約内容の複雑な変更があるとき」の49.4%です。調査では、ボイスボット向きの上位を「対人での感情的な負担を回避したい場面」と整理しています(出典:コールセンター利用とAI自動応答(ボイスボット)に関する意識調査)。
電話を受ける側の調査もあります。株式会社電話放送局が職場で電話対応に携わる20〜60代の男女255名に行った調査(2026年10月)では、自動化できると助かる電話対応として「本人確認・情報照会」が21.6%挙がりました(出典:電話対応業務の負担と自動化ニーズに関する実態調査、発表資料)。解約の受付で最初に行う本人確認は、受ける側が自動にしたい作業の1つです。
「解約の電話がつながらない」は、お客様にどう見えている?
解約の電話がつながらない状態は、お客様にとって「解約させてもらえないのでは」という不安に直結し、消費生活センターへの相談にもなっています。国民生活センターの見守り新鮮情報 第504号(2025年2月6日)には、解約は電話でしか受け付けないとされ、何度電話してもつながらないという相談(70歳代)と、電話をかけるとSNSやメールで問い合わせるようガイダンスが流れるだけだったという相談(60歳代)が載っています(出典:購入確定の前には解約方法もよく確認)。
同じ号では消費者に向けて、電話やメールの発信履歴など、連絡した証拠を残しておくよう助言しています。窓口がつながらないこと自体が、注意喚起の題材になっているのが現状です。検索でも「定期便 解約 電話」のように、解約の窓口を探す言葉が打ち込まれています。解約の電話を取りこぼさない仕組みは、苦情や相談の窓口に名前が挙がらないための備えでもあります。
解約受付を自動化する3つの型
ここからは、解約・変更の電話を自動で受けている弊社の導入事例3社を、自動にしている範囲の違いで3つの型に分けて比べます。型Aと型Bは解約の申し出そのものを自動で受ける型、型Cは解約に至る前の、定期配送のキャンセルの電話を自動で受け止める型です。
| 比べる点 | 型A 一次受付だけ自動 |
型B 最後まで自動 |
型C 解約の前に 配送キャンセルを自動で確定 |
|---|---|---|---|
| 自動にする範囲 | 解約の申し出の受付まで。 手続きは人が折り返して行う |
本人確認から解約の受付まで | 定期配送のキャンセルや 追加注文の受付と反映 |
| 向いている会社 | 解約は人が対応する 社内の決まりがある |
引き止めをしない方針で、 解約の電話が多い |
解約よりも、次回お届けの キャンセルの電話が多い |
| 引き止め | 折り返しの電話で 人が話せる |
行わない | 解約ではないため対象外 |
| 本人確認 | 登録している電話番号を 話してもらう |
電話番号・顧客番号・ 郵便番号をプッシュ入力 |
自動受付IVRの中で 本人確認を行う |
| 受付後の処理 | 管理画面にたまった 解約希望者リストをもとに 人が架電 |
APIで社内システムへ。 RPAが照合し、 生成AIが理由を分類 |
基幹システムに 自動で反映 |
| 実例と数字 | ネスレ日本株式会社 対象業務のコスト45%削減 |
日本予防医薬株式会社 年間7万件の解約電話の 40.9%が完全自動処理で完結、 年間3,800時間削減 |
株式会社サイサン 定期配送キャンセルと 追加注文の受付で、 応答率70%→93%、 人件費40%削減 (追加注文を含む数字) |
| 気をつけること | 折り返しの遅れ | 解約が終わったことの 伝え方 |
解約の電話の受け方を 別に決めておく |
3つの型を分けているのは、解約を最後に誰が受け取るかという会社の方針です。
型A 一次受付だけ自動にして、人が折り返す
型Aは、解約の申し出をIVR(自動音声応答)で受け付け、手続きは人が折り返して行う型です。飲料や食料品などを製造・販売するネスレ日本株式会社は、解約受付は人で実施するポリシーがあるため完全自動化はせず、解約の一次受付をIVRで受ける形を選びました(出典:導入事例 ネスレ日本株式会社)。
受付で聞くのは登録の電話番号と解約の理由
解約を希望するお客様はIVRにつながり、登録している電話番号と解約の理由を自由に話して、一次受付を済ませます。受け付けた内容は管理画面にデータとしてたまり、解約希望者のリストが自動でできあがる仕組みです。オペレーターはこのリストをもとに、お客様へ電話をかけて手続きを進めます。
折り返しの人数を、入電の波に合わせて動かす
型Aの強みは、いつかかってくるか分からない解約の電話を、こちらから計画的にかける電話に置き換えられる点にあります。ネスレ日本では、入電が多いときは解約対応の架電の人数を減らして受電に回し、入電が少ないときは手の空いたオペレーターを解約対応に充てています。解約希望者リストが人員配置の調整役になったことで、対象業務のコストを45%削減しました。事例のお客様の声には、一次受付の件数をリアルタイムで把握できるため、その後の架電の業務量を予測して計画的に動けるようになった、とあります。
型B 受付から手続きまで、最後まで自動で終える
型Bは、本人確認から解約の受付までを自動音声で終える型です。健康補助食品を通信販売する日本予防医薬株式会社は、DHK CANVASを新規注文・定期注文・解約受付の3つの業務に使っています(出典:導入事例 日本予防医薬株式会社)。
引き止めをしない方針が、最後まで自動にできる前提になる
日本予防医薬では、お客様に最後まで気持ちよく利用してほしいという思いから、解約手続きでは基本的に引き留めを行っていません。人が話す工程が要らないため、手続きをボイスボットで自動化できました。お客様には電話番号・顧客番号・郵便番号をプッシュ入力で、解約の理由は自由な発話で吹き込んでもらい、音声はテキストにしています。
年7万件の解約電話の40.9%が、自動の処理だけで完結した
導入後は、年間7万件の解約電話のうち40.9%が完全自動処理で完結するようになり、年間3,800時間の削減につながりました。同社は疲労回復ドリンクの広告を夏に集中して出すため、繁忙期と閑散期でコール数に10倍近い差があり、繁忙期には新規のお客様とともに解約も増えていました。解約の電話は件数の波が大きく、人の数を合わせにくい業務です。自動で受けられる分が増えるほど、繁忙期の人員計画が立てやすくなります。
型C 解約の前に、定期配送のキャンセルを自動で受け止める
型Cは、解約そのものではなく、その手前にある定期配送のキャンセルの電話を自動で受けて確定する型です。ガスの小売やミネラルウォーターの販売を行う株式会社サイサンでは、ミネラルウォーターの定期購入のお客様からの電話のうち、定期配送のキャンセルと追加注文が受電内容の8割を占めていました(出典:導入事例 株式会社サイサン)。
同社は自動受付IVRでこの2つの用件を受け付け、受けた内容を基幹システムに自動で反映しています。本人確認もIVRの中で行っており、人の手による手配ミスと人件費が大きく減りました。次の数字は、追加注文の受付も含んだものです。導入前はミネラルウォーターの電話応答数が月平均16,000本、応答率は70%でした。導入後は人が受ける電話が月平均8,500本に減り、応答率は93%に上がっています。IVRでは月平均7,000件を受け付け、人件費は40%削減しました。
解約の電話より次回お届けのキャンセルの電話のほうが多い窓口では、型Cから始めると、人が受ける電話を減らしながら、解約の手前でお客様の申し出を受け止められます。解約の電話をどの型で受けるかは、キャンセルの自動受付が回り始めてから決めても遅くありません。
自社に合う型はどう選ぶ?
解約を最後に誰が受け取るかという社内の決まりと、解約・変更の電話のどちらが多いかで選びます。迷ったときは、次の3つの条件に当てはめてください。
- 解約は人が対応するという社内の決まりがあるなら、型A
- 引き止めをしない方針で、解約の電話の件数が多いなら、型B
- 解約より、次回お届けのキャンセル(スキップ)の電話が多いなら、型Cから
型は1つに絞る必要はありません。日本予防医薬が新規注文・定期注文・解約受付の3つの業務を同じDHK CANVASで受けているように、用件ごとに受け方を分けられます。たとえば、次回お届けのキャンセルは型Cで確定し、解約だけは型Aで人が折り返す、という組み合わせも組めます。
引き止めは自動音声でやるべき?
自動音声で何度も引き止める作りは避け、引き止めるなら「代わりの選択肢を一度だけ案内し、解約を選んだらそのまま受け付ける」か「人が折り返して話す」のどちらかに決めるのが安全です。解約したいお客様が先へ進めない作りは、お客様の不満を招くうえ、次に紹介するガイドラインの懸念にも近づきます。
引き止めをする・しないで、自動にできる範囲が変わる
引き止めをしないと決めれば、型Bのように手続きの最後まで自動にすることも可能です。引き止めをする場合は、自動音声に任せる範囲をはっきりさせておくことが欠かせません。
自動音声で案内するなら、例えば「解約の前に、次回のお届けをお休みする方法もございます。お休みする場合は1を、解約する場合は2を押してください」のように、代わりの選択肢を一度だけ示します。2が押されたら、それ以上は案内せずに解約の受付へ進めるのが基本です。お客様と話して事情を聞きたい場合は、型Aのように受付だけを自動にして、折り返しの電話で人が話すほうが向いています。
特定商取引法のガイドラインで気をつけたい3つの作り方
消費者庁の「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」は、特定商取引法第12条の6(特定申込みを受ける際の表示)について、解約の方法の表示に関する考え方を示しています。自動音声の作りと関係が深いのは次の3点です(出典:通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン(令和6年11月19日付け通達 別添9))。
| ガイドラインの記載 | 起きやすい作り | 設計で決めること |
|---|---|---|
| 電話で解約を受けるなら、 「確実につながる電話番号を 掲載しておく必要」がある |
繁忙期に回線があふれ、 解約の電話がつながらない |
自動受付で着信を受け切る。 あふれた電話の受け皿を用意する |
| 「折り返しの連絡を依頼した後に 一向にその連絡がない」場合は、 不実の表示に該当するおそれ |
一次受付だけ自動にして、 折り返しが遅れる |
何営業日以内に折り返すかを決め、 未対応の件数を毎日見る |
| 「電話した上で更に メッセージアプリ等を操作する 必要がある」などの限定や、 受付時間帯の限定は、 最終確認画面でも明確に表示 |
電話からSMSでWebへ送り、 Webでしか解約できない |
電話の中でも解約を受けられる 道を残すか、限定の内容を サイトの表示と合わせる |
1つ目の点では、自動受付がそのまま対策になります。人の数に関係なく着信を受けられるため、繁忙期に解約の電話だけが取り残される状態を防げます。回線の数が足りるかは「あふれ呼」の考え方で確かめてください。
2つ目は型Aを選ぶ会社、3つ目は電話からSMSでWebへ案内する作りを選ぶ会社が気をつける点です。ガイドラインは、解約の方法に制約がある旨を表示しても、その制約が民事的に有効になるわけではないとも述べています。
このほか、特定商取引法第13条の2は、通信販売の契約の解除を妨げるため、解除に関する事項について不実のことを告げる行為を禁じています(出典:e-Gov法令検索 特定商取引に関する法律)。自動音声の案内文も、解約の条件や方法について事実と違うことを伝えていないかを確かめます。ガイドラインの表現は「おそれがある」であり、個別の作りが法令に合うかは、法務の担当者や専門家に確認してください。
折り返し型なら、折り返しの期限を決めておく
型Aを選ぶなら、受付から何営業日以内に折り返すかを先に決め、守れる人数を計画に入れておきます。期限が決まっていないと、繁忙期ほど折り返しが後回しになり、お客様は「解約を頼んだのに連絡が来ない」と感じるでしょう。
ネスレ日本のように一次受付の件数をリアルタイムで見られれば、折り返しの業務量を前もって読めます。電話がつながらなかったときに何回かけ直すか、それでもつながらないときにSMSで連絡するかも、あわせて決めておきます。
次回発送の締め日を過ぎた申し出は、どう伝える?
申し出は受け付けたうえで、次回のお届けが止められないことと、解約がどのお届けの後に有効になるかを、自動音声の中で伝えます。締め日を過ぎたことを理由に電話を切る作りにすると、お客様は「解約させてもらえない」と受け取りかねません。国民生活センターの第504号の1件目の相談にも、「次回配送予定の2週間前までに解約を申し出なければならない」という条件が出てきます。
自動音声で伝えるには、本人確認で契約を特定したあと、次回のお届け予定日と締め日の照らし合わせが欠かせません。締め日を過ぎていれば「次回のお届け分は、すでに手配が済んでいます。解約は、次回のお届けの後に有効になります」のように読み上げます。受付の時点で契約の情報を参照できない場合は、受け付けた後の完了の連絡で同じ内容を伝えましょう。完了の連絡に入れておくと、「解約したのに商品が届いた」という問い合わせも減らせます。
本人確認と聞き取り項目の決め方
自動音声で解約を受けるときの設計は、何をプッシュ入力で聞き、何を声で聞くかを分けるところから始まります。
番号はプッシュ、理由は音声で受ける
正確さが要る番号はプッシュ入力で、選択肢に収まらない解約の理由は音声で受けるのが基本です。日本予防医薬が導入時に重視したのも、この使い分けでした。同社は以前使っていたサービスで解約の理由をプッシュの選択に限っていたため、お客様の詳しい声を取れていませんでした。
| 聞く項目 | 入力の方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 電話番号 | プッシュ | 桁が決まっていて、 顧客台帳と照合する鍵になる |
| 顧客番号・会員番号 | プッシュ | 同姓同名や家族の契約を 区別できる |
| 郵便番号 | プッシュ | 2つ目の照合の材料として使える |
| 解約の理由 | 音声 | 選択肢に収まらない声を取り、 改善に使える |
| スキップする回・ 周期・休止の期間 |
プッシュの選択肢 | 選択肢が決まっていて、 聞き違いが起きない |
番号で本人を確かめる方法は、ほかにも電話番号を使った認証などがあります。方式ごとの違いは「IVR認証とは」で比べています。
聞き取り項目は、手続きに要るものだけに絞る
自動音声で聞く項目は、照合と手続きに使うものだけに絞ります。質問が増えるほど途中で電話を切るお客様が増え、解約させないための作りに見えかねません。ガイドラインは、解約に追加の個人情報の提出を求めるような限定をする場合、その内容を最終確認画面などで明確に表示するよう求めています。聞く項目を増やすほど、サイトの表示と合わせる手間も増えます。
日本予防医薬の例では、聞いているのは照合に使う3つの番号と、解約の理由の1問です。アンケートを取りたい項目があっても、解約の受付とは分け、終わった後に任意で答えてもらう形にします。
音声の聞き取り違いは、SMSで確認してもらう
音声で受けた内容は、SMSで送ってお客様自身に確かめてもらうと、聞き取り違いを防げます。エアコンクリーニングの受付に使っている株式会社ダスキンは、自動音声で受けた内容をテキストにし、SMSで「マイページ」のURLを送って、お客様自身が確認・修正できる仕組みを選びました(出典:導入事例 株式会社ダスキン)。事例のページには、音声認識の精度はどの会社のサービスも100%ではないため、この機能が決め手になったとあります。
ダスキンの事例は解約ではありませんが、同じ仕組みはお届け周期の変更やコースの変更の確認にも応用できるでしょう。ただし、解約そのものをSMSの先の操作でしか完了できない作りにすると、ガイドラインが挙げる限定の例(電話した上で更にメッセージアプリ等を操作する必要がある)に当たります。SMSは受付内容の確認や完了の知らせに使い、解約の申し出は電話の中で受け付けておくと安心です。
受け付けた後の処理も自動にできる?
できます。受け付けた内容をAPIで社内システムに渡し、照合・理由の分類・完了の連絡までつなげると、受付だけを自動にした場合より人の手が減ります。受付が自動でも、その後の入力や照合が手作業のままでは、後処理の時間はほとんど変わりません。
基幹システム・顧客台帳への反映
日本予防医薬では、自動音声で受けたデータをDHK CANVASのAPI機能で社内システムに自動で取り込んでいます。その後、RPAが電話番号や顧客番号を照合してお客様を特定します。サイサンも、IVRで受けた内容を基幹システムに自動で反映し、人による手配ミスと人件費を減らしました。
型Aのネスレ日本は、受付の内容を管理画面にため、解約希望者のリストとして使っています。社内システムとつなげない場合でも、受付の結果を一覧で取り出せれば、人が電話で聞き直す手間は減らせます。
解約理由を分類して、商品やサービスの改善に使う
音声で受けた解約の理由は、分類して集計すると商品やサービスの見直しに使えます。日本予防医薬では、「在庫がたまってきました」「ちょっと価格が高いです」といった発言を生成AIで「余っている」「経済的な理由」といった項目に自動で分類しています。生成AIとボイスボットを組み合わせた使い方は「生成AI×ボイスボットでできることは?」で紹介しました。
理由の分類は、コールリーズンの分類表と同じ考え方で作れます。「余っている」が多ければお届け周期の案内を、「経済的な理由」が多ければ休止やコースの見直しの案内を先に整える、といった打ち手につながります。
解約が終わったことは、どうお客様に伝える?
人からの電話か、SMSで伝えるのが確実です。日本予防医薬では、解約受付が完了したお客様にオペレーターから「無事に解約が完了しました」と電話を入れ、お客様の安心感を高めています。件数が多い窓口では、SMSで完了を知らせる方法も考えられます。完了の連絡がないと、お客様は解約できたかを確かめるために、もう一度電話をかけてくるでしょう。
DHK CANVASで解約受付を組む場合
型A〜Cのどれを選んでも、違うのは応答フローの組み方と、受け付けた後のつなぎ先です。DHK CANVASでは、応答フローを管理画面から作成・変更でき、APIやマスタデータの参照で既存の顧客管理・受付システムと連携できます。自動で終わらない用件は、聞き取った内容を添えてオペレーターへ転送できます。詳しくはDHK CANVASのサービスページをご覧ください。
自動化した解約受付がうまく回らないときの原因と打ち手
自動化を始めたあとに起きやすい困りごとを、症状から原因と打ち手を引ける形にまとめました。自社の窓口で起きていることの行を探してください。
| 起きていること | 考えられる原因 | 打ち手 |
|---|---|---|
| 自動音声の途中で 切れる電話が多い |
聞く項目が多い。 番号の入力を何度も やり直させている |
項目を手続きに要るものに絞る。 やり直しが続いたら 人か折り返しにつなぐ |
| 照合できない受付が残る | 番号の入力違い。 登録と違う電話から かけている |
2つの番号で照合する。 照合できなかった分を 人が確かめる一覧を作る |
| 折り返しが追いつかない | 一次受付の件数を 見ていない |
未対応の件数を毎日見て、 架電を入電の少ない時間に寄せる |
| 「解約したのに商品が届いた」 という問い合わせが来る |
受付から基幹システムへの 反映が手作業で遅れる |
API連携で自動で反映する。 完了の連絡を入れる |
| 解約の理由が 「その他」ばかり |
理由をプッシュの 選択肢だけで聞いている |
理由を音声で受け、 分類して集計する |
| 人に代わった後、お客様が 同じ説明をもう一度している |
自動音声で聞き取った内容が オペレーターに渡っていない |
聞き取った内容を添えて 転送する |
| 繁忙期に電話が つながらない |
同時に受けられる 電話の数が足りない |
同時着信の数を見直し、 あふれた電話の受け皿を作る |
電話対応に携わる255名を対象にした株式会社電話放送局の調査では、自動音声から人に代わった場面で「自動音声で伝えたはずの要件を、もう一度説明する必要があった」が26.3%でした(出典:電話対応業務の負担と自動化ニーズに関する実態調査)。
途中で切れた電話は、放棄呼として件数と切れた場所を記録しておくと、どの質問でお客様が離れたかが分かります。ガイダンスの文を1つ変えたら、翌週の数字で効果を確かめます。
解約受付の自動化を進める5つの手順
最後に、解約受付の自動化を始めるまでの手順を5つに分けて紹介します。
手順1 解約・変更の電話の件数と中身を数える
まず、解約・変更の電話が月に何件あり、そのうち解約・スキップ・周期の変更・休止がそれぞれ何件かを数えます。数え方は「コールリーズン分析とは?」の手順が使えます。月ごとの件数も並べておくと、日本予防医薬のように繁忙期と閑散期で大きな差がある窓口かどうかが分かります。
手順2 3つの型から1つ選び、引き止めの方針を決める
手順1の件数と、解約を誰が受け取るかという社内の決まりから、型A〜Cのどれで始めるかを決めます。あわせて、引き止めをしない、自動音声で一度だけ案内する、人が折り返して話す、のどれにするかも、この段階で決めましょう。この方針はCS部門だけでなく、事業の責任者とも合意しておきます。
手順3 聞き取り項目とガイダンスの文を作る
本人確認に使う番号、解約の理由の聞き方、確認の読み上げ、完了の伝え方を決め、ガイダンスの文に書き起こします。例えば冒頭は「定期便の解約をご希望の方は1を、お届けのお休みや周期の変更をご希望の方は2を押してください」のように、最初の選択で用件を分けるとお客様が迷いません。文ができたら、社内の人に実際に電話をかけてもらい、迷う箇所がないかを確かめます。
手順4 サイトや最終確認画面の解約方法の表示と合わせる
自動音声で受ける内容が、サイトや申込みの最終確認画面に書いてある解約の方法・受付時間と食い違っていないかを確かめます。電話番号、受付時間、解約の申し出の期限、SMSやWebでの手続きの有無が主な確認点です。この確認は、法務とECサイトの担当者と一緒に行います。
手順5 繁忙期の前に動かし、数字で見直す
広告を多く出す月や季節商品の需要期の前に動かし始め、件数が少ないうちに作りを直します。見る数字は、自動で完結した割合、途中で切れた割合、折り返しまでの日数、人が受ける電話の応答率の4つです。数字の定義と計算式は「コールセンターのKPI一覧」にまとめています。
よくある質問
Q. 解約の電話をすべて自動音声で受けても問題ありませんか?
自動音声で受けること自体はできますが、確実につながり、最後まで手続きを進められる作りにすることが前提です。消費者庁のガイドラインは、電話で解約を受けるなら確実につながる番号を載せることと、解約の方法に限定があれば最終確認画面などで明確に表示することを求めています。うまく進めないお客様が、人の対応や折り返しにたどり着けるかも確かめてください。個別の作りが法令に合うかは、法務の担当者や専門家に確認してください。
Q. 自動音声で引き止め(継続のご案内)をしてもよいですか?
代わりの選択肢を一度だけ案内し、解約を選んだお客様をそのまま受付へ進める形にとどめるのが安全です。案内を何度も繰り返したり、解約の条件について事実と違うことを伝えたりする作りは避けます。お客様と話して事情を聞きたい場合は、受付だけを自動にして人が折り返す型が向いています。
Q. 高齢のお客様の解約も、自動音声で受けられますか?
受けられます。ただし、操作に迷った方が人につながる道は残しておきます。株式会社電話放送局の50〜70代241名の調査では、ボイスボットの方が話しやすいシーンの1位が解約・退会の手続き(35.3%)でした。番号はプッシュ入力で受け、読み上げをゆっくりにしておくと安心です。
Q. 解約の受付を24時間にする必要はありますか?
ガイドラインは、解約の受付を特定の時間帯に限っている場合に、その内容を最終確認画面などで明確に表示することを求めています。自動音声なら夜間や休日も受け付けやすく、日本予防医薬株式会社では注文も解約も24時間体制で受け付けています。時間を限る場合は、サイトの表示と自動音声の案内をそろえてください。
Q. 電話からWebやマイページの手続きに案内してもよいですか?
案内すること自体はできますが、電話した上でさらにアプリやWebの操作をしないと解約できない作りは、ガイドラインが明確な表示を求める限定の例に当たります。Webでの手続きは選べる道の1つとして案内し、電話の中でも解約を受け付けられるようにしておくと安心です。SMSは受付内容の確認や完了の知らせに使う方法もあります。
Q. 解約より先に、次回お届けのキャンセルだけ自動化できますか?
できます。解約よりも次回お届けのキャンセル(スキップ)の電話が多い窓口では、そこから自動化すると、人が受ける電話を減らせます。株式会社サイサンは、定期配送のキャンセルを追加注文と合わせて自動受付IVRで受け、応答率を70%から93%に上げました。
Q. 今のカートシステムや顧客台帳に、受付の結果を反映できますか?
APIで連携すれば、自動音声で受けた内容を社内のシステムに取り込めます。日本予防医薬株式会社は、DHK CANVASのAPI機能で受付の内容を社内システムに取り込み、RPAで顧客を照合しているのが一例です。つなげられる範囲は使っているシステムによって変わるため、導入前に個別に確認します。
まとめ
解約受付の電話をどこまで自動にするかは、解約を最後に誰が受け取るかという方針で決まります。解約は人が対応する決まりがあるなら一次受付だけを自動にする型A、引き止めをしないなら最後まで自動の型B、次回お届けのキャンセルの電話が多いなら、解約の手前で受け止める型Cが出発点です。どの型でも、確実につながる窓口と、折り返しや完了の連絡を守れる仕組みを一緒に作ることが、お客様の信頼を守ります。
最初の一歩として、直近の数か月の解約・変更の電話を用件ごとに数え、型A〜Cのどこから始めるかを決めてください。株式会社電話放送局の電話自動化サービスの導入実績は、1,500社以上です。通販・定期便の窓口で解約や変更の電話を自動で受けている例は、導入事例もあわせてご覧ください。
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