AIオペレーターとは?銀行の導入例で見る仕組みと、自社で入れる前に決める5つのこと
2026/10/30
AIオペレーターとは、かかってきた電話にAIが応対し、用件を聞き取って、答えられるものは答え、答えられないものは担当者につなぐ仕組みのことです。業界では「ボイスボット」や「AI電話」とも呼ばれ、中身は同じ系統の技術です。2026年に入り、三井住友銀行や三菱UFJ銀行などが電話窓口に「AIオペレーター」という名前で導入したことで、電話をかけたときにこの呼び名を耳にする機会が出てきました。
「上司から、うちのコールセンターにもAIオペレーターを入れられないかと聞かれた」「銀行の窓口では、AIにどこまで任せているのだろう」と考えている担当者も多いのではないでしょうか。本記事では、まず銀行とカード会社が公開している仕組みを並べて、AIに任せている範囲と人に代わる線引きを整理します。そのうえで、自社のコールセンターに入れる前に決めておく5つのことを、導入事例と調査データを交えて解説します。
銀行の窓口の比較は「銀行・カード会社の電話窓口でAIオペレーターは何をしている?」、自社で検討する方は「自社のコールセンターに入れる前に決める5つのこと」から読むと、知りたい答えに早くたどり着けます。なお、利用者として担当者と話したい方は、各窓口の案内に従ってください。人に代わる方法は窓口ごとに違います。
目次
・AIオペレーターとは?電話で用件を聞き取り、答えるか人につなぐAI
・銀行・カード会社の電話窓口でAIオペレーターは何をしている?
・AIオペレーターに任せやすい電話、人が受けたほうがよい電話は?
・まとめ
AIオペレーターとは?電話で用件を聞き取り、答えるか人につなぐAI
AIオペレーターは、人のオペレーターが電話口で行っている「用件を聞く」「答える」「担当につなぐ」の3つをAIが受け持つ仕組みです。ここでは、1本の電話の中でAIが何をしているのかと、よく似た言葉との違いを整理します。
AIオペレーターが1本の電話の中でしていること
AIオペレーターが1本の電話で行うことは、聞き取る、判断する、答えるか記録する、人につなぐ、の4段階に分けられます。
例えば、みずほ銀行のインターネットバンキングのヘルプデスクでは、電話をかけるとはじめにAIオペレーターが用件を尋ねる流れです。利用者が「インターネットバンキングにログインできない」のように話すと、AIが用件を確かめて担当者へつなぎます。ご利用カードの再発行手続きやお客さま番号の確認方法など一部の用件では、AIが解決方法まで説明し、手順の案内をショートメッセージ(SMS)で送ります(出典:みずほ銀行 FAQ「AIオペレーターとは、どのようなサービスですか?」)。
この流れのうち、利用者から見えるのは「話したら答えが返ってきた」か「担当者につながった」かのどちらかです。しかし運営側にとって大事なのは、その間の判断と記録のほうです。どの用件をAIで終わらせ、どの用件を人に渡すのか、人に渡すときに何を一緒に渡すのかを決めておかないと、AIを入れても担当者の手間は減りません。
ボイスボット・AI電話・IVRとは何が違う?
AIオペレーターとボイスボット、AI電話は、同じ系統の仕組みを指す呼び名の違いです。AIオペレーターは企業が自社の窓口に付けている呼び名で、製品や技術を探すときは「ボイスボット」や「AI電話」で調べると、多くの情報が見つかります。よく似た言葉の関係を表にまとめました。
| 呼び名 | 指しているもの | よく使われる場面 |
|---|---|---|
| AIオペレーター | 電話に出て用件を聞き、 答えるか担当者につなぐAI |
銀行やカード会社などが、 利用者向けの窓口の名前として使う |
| ボイスボット | 音声認識で話した言葉を聞き取り、 会話で応対する仕組みの一般名 |
製品の名前や、 導入を検討する企業の資料 |
| AI電話 | AIが電話の応対をする仕組みの総称 | 中小企業や店舗向けのサービス、 ニュース記事 |
| IVR (自動音声応答) |
音声ガイダンスとプッシュ操作で 用件を振り分け、受け付ける仕組み。 AIオペレーターとは別のもの |
「〜の方は1を」と案内する 従来の自動音声。 AIと組み合わせて使うことも多い |
| AIエージェント | 生成AIで会話の内容を理解し、 手続きの案内まで進める型 |
生成AIを使う新しい ボイスボットの説明 |
それぞれの言葉の詳しい説明は、AI電話対応の基本、ボイスボットの仕組み、IVRの仕組みと機能の各記事で紹介しています。音声ガイダンス・IVR・ボイスボットの使い分けを知りたい方には、電話自動応答の種類と選び方が参考になるでしょう。
OpenAIの「Operator」とは別のもの
「AIオペレーター」で調べると、OpenAIが発表した「Operator」の記事が見つかることがあります。こちらはWebブラウザを操作して作業を進めるAIエージェントで、電話の応対をする仕組みではありません。本記事で扱うのは、コールセンターや電話窓口で使う電話のAIです。
銀行・カード会社の電話窓口でAIオペレーターは何をしている?
銀行とカード会社のAIオペレーターは、AIに任せる用件を絞っています。多くの窓口で、本人確認が要る手続きは人に回しています。ここでは、各社が公開しているページと発表資料をもとに、AIが受け持つ範囲と人に代わる条件を並べました。内容は2026年10月29日時点の公開情報で、各社の仕組みは今後変わることがあります。
まず、窓口とAIが受け持つ用件です。
| 会社 | 導入している窓口 | AIが受け持つこと |
|---|---|---|
| みずほ銀行 | みずほダイレクト ヘルプデスク |
用件を聞いて担当者へつなぐ。 一部の用件は解決方法を説明し、 手順をSMSで送る |
| 三井住友銀行 | Oliveの問い合わせ窓口 (2026年2月25日開始・ 毎日24時間) |
サービス内容・年会費、 キャンペーン・特典の概要、 申込・切替の手続き概要など、 本人確認が不要な一般的な照会 |
| 三菱UFJ銀行 | 特定の商品・サービスの コールセンター |
外部事業者の生成AIが 問い合わせの内容を理解して案内し、 必要に応じて有人へつなぐ |
| 三井住友カード | カードが使えなかった ときの専用ダイヤル |
カードが使えなかった件の 問い合わせだけを受ける |
次に、人が受ける用件と人に代わる方法、利用者に先に伝えている注意書きです。
| 会社 | 人が受ける用件・人に代わる方法 | 利用者に伝えている注意書き |
|---|---|---|
| みずほ銀行 | AIに接続中にプッシュボタンを押すと、 一律オペレーターにつながる |
情報の正確性等を保証しない。 個人情報や機密情報は話さない |
| 三井住友銀行 | 本人確認が必要な手続きは有人の コールセンターで対応。 AIで解決が難しい相談や、途中で 本人確認が必要になったときは、 営業時間内なら有人へ引き継ぐ |
発表資料では、有人への転送データを 含む通話履歴を分析し、 回答品質の改善に使うとしている |
| 三菱UFJ銀行 | 法令等で回答が制限されるもの、 本人確認を要する個別取引・契約等、 生成AIでの対応が困難なものは、 有人に案内する場合がある |
正確性等を保証しない。 個人情報や暗証番号は話さない。 非通知では使えない。 通話を録音・保存する場合がある |
| 三井住友カード | カードが使えない件以外の用件は AIでは受けない。家族会員などは フォームかチャットオペレーターへ。 内容により折り返す場合がある |
本会員本人から連絡する。 必要以上の個人情報は話さない。 電話番号を通知して電話する |
出典:みずほ銀行 FAQ/日本総研 ニュースリリース(2026年2月18日)/FinTech Journal(2026年2月19日)/三菱UFJ銀行 AIオペレーター利用規約(2026年9月29日制定)/三井住友カード「カードがご利用できない際のお問い合わせ」。三井住友カードのページでの表記は「AIオペレータ」です。
4社の公開情報から見える4つの線引き
4社の公開情報を並べると、AIに全部を任せている会社はありません。ただし、どこまでAIで受け、どこから人が受けるかは会社ごとに違います。次の4つの線引きについて、会社ごとに書かれている内容を整理しました。
① AIに任せる用件を絞り、利用者に伝えている
三井住友銀行は「本人確認が不要な一般的な照会」、三井住友カードは「カードが使えなかった件」とAIで受ける用件を絞り、その範囲を公開しています。みずほ銀行は、AIが解決方法まで説明するのは一部の用件で、それ以外は担当者につなぐ使い方です。最初から何でも答えさせるのではなく、答えが決まっている用件から始めています。
② 本人確認が要る手続きの扱い
本人確認が要る手続きを人が受けると公開しているのは、三井住友銀行と三菱UFJ銀行です。三井住友銀行は本人確認が必要な手続きを従来どおり有人のコールセンターで受けると発表し、三菱UFJ銀行は本人確認を要する個別取引・契約等を有人に案内する場合があると規約に書いています。三井住友カードは逆に、カードが使えなかった件をAIで受けていて、かける前に登録の電話番号を確かめ、番号を通知するよう求めています。みずほ銀行のFAQには、本人確認の扱いについての記載はありません。
③ 人の担当者に代わる方法
みずほ銀行はAIに接続中にプッシュボタンを押すと一律でオペレーターにつながり、三井住友銀行は営業時間内なら通話の途中で有人に引き継ぎます。三菱UFJ銀行は、必要に応じて有人へつなぐと規約に書いています。三井住友カードのページには、AIから人への転送の記載はありません。問い合わせの内容によって、カード会社から折り返して連絡する場合があると書かれています。
④ 正確性・個人情報・録音の告知
みずほ銀行と三菱UFJ銀行は、AIの回答の正確性を保証しないことと、個人情報を話さないでほしいことを、利用者向けのページで先に伝えています。三菱UFJ銀行の規約には、通話を録音・保存する場合があることや、応対内容をサービスの品質向上などに使う場合があることも書かれています。三井住友カードのページで求めているのは、必要以上の個人情報を話さないことです。
銀行がAIオペレーターを入れる理由は?
公開されている理由は、待ち時間をなくし、時間を問わず問い合わせに答えるためです。三井住友銀行と日本総研などの発表では、デジタル機器に不慣れな方も含めて、いつでも手軽にサービスを利用できるよう、AIとの対話という新しい選択肢を用意すると説明しています。
利用者側の不満を見ても、電話がつながらないことが最大の問題です。株式会社電話放送局が50〜70代の男女241名に行った調査では、84.6%がコールセンターの利用で嫌な経験をしており、最も大きいストレスは「電話がつながらない」の36.9%でした(出典:コールセンター利用とAI自動応答(ボイスボット)に関する意識調査)。人の数を増やさずに待ち時間を減らす手段として、AIオペレーターが選ばれています。
AIオペレーターに任せやすい電話、人が受けたほうがよい電話は?
AIオペレーターに任せやすいのは、答えが決まっている質問と、聞く項目が決まっている受付です。反対に、契約内容を個別に変える手続きや、判断に迷っている方の相談は、人が受けたほうがよい電話です。4社の窓口でも、AIで受けているのは一般的な照会や1つに絞った用件でした。
利用者が「AIのほうが話しやすい」と答えた場面
利用者の受け止め方は、場面によって大きく変わります。先ほどの調査(50〜70代の男女241名)では、ボイスボットを「利用したい」と答えた方は31.6%でしたが、「人よりボイスボットのほうが話しやすい場面がある」と答えた方は70.5%いました。
具体的な場面の上位は、「解約・退会の手続き」35.3%、「深夜・早朝など時間帯を気にしたくないとき」24.9%、「クレーム・苦情を伝えるとき」18.7%です。人と話すと気まずい用件や、営業時間外の問い合わせでは、AIが受けることがかえって利用者の負担を減らします。
利用者が人に対応してほしい場面
同じ調査で人のオペレーターに対応してほしい場面を聞くと、「契約内容の複雑な変更があるとき」49.4%、「判断に迷っていて相談したいとき」36.1%、「商品の使い方を具体的に教えてほしいとき」29.0%が上位でした。「命や健康に直結する緊急の問い合わせ」も21.2%あります。三井住友銀行と三菱UFJ銀行が本人確認の要る手続きを人に残しているのは、利用者のこうした受け止め方とも合っています。なお、この調査は対象を50〜70代に限っており、全年代の傾向を示すものではありません。
AIと人の分け方をさらに詳しく知りたい方は、「AI電話対応とは?任せられる電話と人が受ける電話の分け方」や「コールセンターのAIエージェントとは?」もあわせてご覧ください。
AIオペレーターを支える方式と、IVRとの組み合わせ
AIオペレーターの中身は、音声認識で決まった会話をするボイスボットと、生成AIで会話を理解するAIエージェント型に分かれます。実際の窓口では、プッシュ操作のIVRと組み合わせて使うことが多くあります。
| 方式 | 応対のしかた | 得意な業務 | 聞き取れないとき |
|---|---|---|---|
| IVR (組み合わせる相手) |
AIではなく、プッシュ操作で 決められた分岐をたどる |
用件の振り分け、 定型の受付 |
操作のやり直しが必要。 番号の入力など、 正確に受け取る部分に使う |
| ボイスボット | 音声認識で 定型の対話を行う |
よくある質問、 決まった項目の聞き取り |
再確認や転送などの対応は、 サービスや設計によって異なる |
| AIエージェント型 | 生成AIが会話の内容を 理解して応対する |
言い方が人によって 異なる問い合わせ |
言い直しや要約での 確認を挟み、 必要なら担当者へ転送 |
一般的な方式の比較で、対応できる範囲はサービスや設計によって異なります。実際の窓口では、方式を1つに決めるよりも組み合わせて使うことが少なくありません。みずほ銀行のヘルプデスクも、AIに接続中にプッシュボタンを押すとオペレーターにつながる仕組みです。三井住友銀行の例でも、一般的な照会は生成AIが答え、本人確認が要る手続きは人が受けています。方式ごとの違いは「対話型AIボイスボットと従来型の違いは?」で詳しく紹介しています。
自社のコールセンターに入れる前に決める5つのこと
銀行やカード会社の例から分かるのは、AIオペレーターの使い勝手が、AIの性能だけでなく「何を任せて、どこで人に代わるか」の設計で大きく変わることです。ここからは、自社のコールセンターに入れる前に決めておく5つのことを、順番に紹介します。
① AIに任せる用件を、入電理由の件数から決める
最初に、どんな用件の電話がどれだけかかってきているかを数えます。この入電理由を「コールリーズン」と呼びます。件数の多い順に並べると、AIに任せたときに減る電話の量が見えてくるはずです。
任せる用件は、件数が多く、しかも答えが決まっているものから選びます。前橋市の国民健康保険課は、年間約3万2千件、多い日には1日200件以上の電話をすべて職員が受けていました。導入にあたっては入電理由の分析をもとに、「自動音声による案内で解決できる内容」と「職員が直接耳を傾けるべき内容」を仕分け、問い合わせの多い項目から音声ガイダンスを作っています(出典:前橋市 国民健康保険課の導入事例)。集計の手順は「コールリーズン分析とは?」で紹介しています。
② 本人確認と支払いを、AIに通すか人に回すか
次に、本人確認や支払いが必要な用件をどう扱うかを決めます。三井住友銀行と三菱UFJ銀行の例では、本人確認が要る手続きはAIで受けず、人のオペレーターに回していました。一方で三井住友カードのように、電話番号を通知してかけるよう求めたうえで、本人に関わる用件をAIで受けている窓口もあります。
一方で、電話での本人確認やカード決済を、自動音声の仕組みで受ける方法もあります。電話番号やプッシュ操作で本人を確かめる「IVR認証」や、カード番号をプッシュ操作で入力してもらう「IVR決済」がその例です。AIに話してもらう部分と、プッシュ操作で正確に受け取る部分を分けると、手続きの電話も自動化の対象に入れられます。
③ 人に代わる条件と、引き継ぐ情報
3つ目は、AIから人に代わるときの決まりです。株式会社電話放送局が職場で電話対応に携わる20〜60代の男女255名に行った調査では、自動音声から人に代わる電話を受けた経験がある方の79.3%が、切り替えのときに困った経験があると答えました。「もう一度説明する必要があった」「聞き取った内容が引き継がれていなかった」のどちらかを経験した方は、経験者の49.8%にのぼります(出典:電話対応業務の負担と自動化ニーズに関する実態調査/ニュースリリース)。
同じ調査で、満たされていないと導入したくない条件を聞くと、「利用者が操作に迷わない」23.1%、「必要なときに確実に人に代われる」22.7%、「人に代わるときに用件が引き継がれる」22.4%がほぼ並びました。自動音声から人に代わる場面のつまずきは、AIオペレーターでもそのまま起こります。決めておくことは、次の3つです。
人に代わる条件
利用者が「人と話したい」と言ったとき、プッシュボタンを押したとき、AIが2回続けて聞き取れなかったとき、本人確認が要る用件だと分かったとき、のように条件を具体的に決めます。条件があいまいだと、利用者はAIとのやり取りから抜け出せなくなります。
人に代わる時間帯
営業時間内は担当者につなぎ、営業時間外は用件を受け付けて翌営業日に折り返す、というように時間帯ごとの行き先を決めます。三井住友銀行のように、有人への引き継ぎを営業時間内に限っている例もあります。
担当者に渡す情報
担当者が電話に出た時点で、AIが聞き取った用件や、確認済みの項目が画面やメールで分かるようにします。これがないと、利用者は同じ説明を2回することになり、担当者も用件が分からないまま電話に出ることになります。
④ 始める時間帯と電話の種類
4つ目は、どこから始めるかです。すべての電話をいきなりAIで受けるのではなく、営業時間外の電話だけ、混み合ってつながらない電話だけ、1つの用件だけ、のように範囲を区切って始める方法があります。
ペット&ファミリー損害保険では、保険金請求の電話受付がオペレーター対応で、受付時間も平日の9時〜17時に限られていました。自動受付のIVRに切り替えたことで受付を休日も含む24時間に広げ、営業時間内は分岐でオペレーターにもつながるようにしています(出典:ペット&ファミリー損害保険の導入事例)。この事例はAIではなくプッシュ操作の自動受付ですが、「時間外は自動、時間内は人も選べる」という区切り方は、AIオペレーターでもそのまま使えます。混み合う時間帯の電話から始める場合は「あふれ呼とは?」も参考になります。
⑤ 冒頭のアナウンスで伝えること
5つ目は、電話の最初に流す案内です。銀行は、回答の正確性や話してほしくない情報、録音について、FAQや利用規約で利用者に知らせています。自社の窓口では、同じ内容に、AIが応対していることと人に代わる方法を加えて、電話の冒頭で短く伝えます。例えば次のような案内です。
「お電話ありがとうございます。この電話の応対はAIオペレーターです。サービス向上のため、通話は録音しております。なお、AIの案内には誤りが含まれる場合がございます。暗証番号やパスワードはお話しにならないでください。担当者との通話をご希望の方は、0を押してください。」
ただし、案内を長くしすぎると、用件にたどり着く前に電話を切られてしまいます。必要なことだけを短く伝えるのがこつです。録音の告知の考え方は「コールセンターの通話録音に開示義務はある?」で、法律とあわせて解説しています。
5つのことを決めるためのチェック表
5つのことを社内で決めるときは、次の表を使うと、何を材料に何を決めればよいかが整理できます。
| 決めること | 決めるための材料 | 決まったら書き出すもの |
|---|---|---|
| ① 任せる用件 | 直近1〜3か月の入電理由と件数 | AIで終わらせる用件、 AIが聞いて人へつなぐ用件の一覧 |
| ② 本人確認と支払い | 本人確認や支払いが必要な 用件の件数と、今の確認方法 |
人に回す手続き、 プッシュ操作で受ける手続き |
| ③ 人へのつなぎ方 | 今の転送先の一覧と、 担当者が最初に聞いている項目 |
人に代わる条件、 時間帯ごとの行き先、 担当者に渡す項目 |
| ④ 始める範囲 | 時間帯別の着信件数と、 つながらなかった電話の件数 |
最初に任せる時間帯と用件、 広げる順番 |
| ⑤ 冒頭の案内 | 録音や個人情報の扱いについての 社内の決まり |
冒頭のアナウンスの文面 |
AIオペレーターでつまずきやすい点と打ち手
AIオペレーターを入れたあとにつまずく原因は、AIの聞き取りだけでなく、案内の長さや人への引き継ぎにもあります。よくある症状と原因、打ち手を表にまとめました。自社の窓口で起きている症状の行を探すと、見直す場所が分かります。導入後の運用課題をさらに詳しく知りたい方は「ボイスボット導入の失敗を防ぐには?」もご覧ください。
| 起きていること | 主な原因 | 打ち手 |
|---|---|---|
| 人に代わったあと、 お客様がもう一度 用件を説明している |
AIが聞き取った内容が、 担当者に渡っていない |
転送と同時に、聞き取った用件を 担当者の画面やメールに送る |
| 関係のない担当に つながり、案内し直している |
振り分け先の分け方が粗い。 言い方の幅を登録していない |
振り分けに失敗した通話の記録を見て、 言い回しと振り分け先を足す |
| 聞き取りに失敗して、 途中で切られる |
番号や生年月日のような項目を、 音声だけで聞いている |
数字はプッシュ操作に切り替える。 2回聞き取れなければ人へつなぐ |
| 案内の途中で 電話を切られる |
説明漏れを避けようとして、 案内を足し続けた |
案内をあえて絞り、 詳しい説明はSMSやWebに渡す |
| 想定していない用件で 行き止まりになる |
用件の一覧にない話の 行き先を決めていない |
「その他」の用件は人につなぐか、 折り返しの受付にする |
| 営業時間外に 人と話せず不満が出る |
時間帯で行き先が変わることを 伝えていない |
冒頭で、時間外は折り返しになる ことと受付の時間を伝える |
利用者の不安も、この表の症状と重なります。50〜70代の調査では、ボイスボットへの最も大きな不安として「自分の話した内容を正しく聞き取ってもらえるか」22.4%、「結局オペレーターにつながるなら二度手間ではないか」22.0%、「想定されたパターン以外の用件に対応できないのではないか」19.5%が上位に挙がりました。聞き取り、二度手間、想定外の用件の3つに出口を用意しておけば、利用者の不安の多くに先回りできます。高齢の方が多い窓口での注意点は「コールセンターは高齢者対応の強化が必要?」で紹介しています。
AIオペレーター・自動音声の導入事例
ここからは、弊社のサービスで電話の受付を自動化した事例を3つ紹介します。1つ目はAIが質問に答え、個人情報に関わる電話を職員へつないでいる事例です。残りの2つはAIではなく、音声ガイダンスの見直しと、プッシュ操作の自動受付で成果を出した事例です。
山口県総合交通センター:AIが答え、職員が受ける電話を75%削減
山口県総合交通センターの運転免許課には、運転免許の更新や、マイナンバーカードと運転免許証の一体化などの問い合わせが寄せられています。窓口対応を行う職員が当番制で電話も受けていたため、窓口と電話の両方で質の高いサービスを続けることが課題でした。
DHK CANVASの導入後は、よくある問い合わせにAIがそのまま答え、必要に応じてSMSでWebページへ案内しています。病気に関する問い合わせや個人情報に関わる内容など、人の対応が必要な電話は職員へ転送する流れです。その結果、1日約240件あった電話のうち、職員が対応する件数を75%削減しました。受付は365日24時間になり、既存の電話番号もそのまま使えています(出典:山口県総合交通センターの導入事例)。AIに答えさせる用件と、人に回す用件を先に分けておく進め方は、銀行の窓口と同じです。
前橋市 国民健康保険課:案内を絞って年間約550時間を削減
前橋市の国民健康保険課は、年間約3万2千件の電話を職員が受け、通常業務が滞って時間外業務が増えていました。DHK CANVASの導入にあたっては、市民になじみのある市外局番(027)をそのまま使えることも検討のポイントになっています。
導入当初は「説明漏れがないよう丁寧に伝えたい」という思いから、案内が長くなり、選択肢も増える傾向がありました。そこで、正確な情報提供という軸は変えずに過剰な説明を省き、「あえて情報を絞り込む」方針に切り替えています。その結果、業務時間は年間換算で約550時間削減され、自動音声で案内が完結する「完結率」は約20%に達しました。懸念していた大きなクレームやトラブルは、現在までほぼ0件です(出典:前橋市 国民健康保険課の導入事例)。
ペット&ファミリー損害保険:保険金請求の受付を24時間に
ペット&ファミリー損害保険では、保険金請求の電話をすべてオペレーターが受けていたため、請求件数が増えるたびに人を増やす必要がありました。自動受付IVRを入れて受付を休日も含む24時間に広げ、コールセンターで請求受付にあたるオペレーターの数が増えるのを抑えています。担当者からは、導入前の懸念よりもスムーズに、多くのお客様に自動の受付を使ってもらえたという声が寄せられています(出典:ペット&ファミリー損害保険の導入事例)。
ほかの業種の事例は「コールセンター導入事例12選」と「ボイスボット導入事例5選」でまとめています。
AIオペレーターの費用は何で決まる?
AIオペレーターの費用は、初期の設計と設定、毎月の利用料、受ける件数や通話時間で決まります。とくに毎月の金額は、1か月に何件の電話をAIで受けるかで大きく変わるため、①で数えた入電理由の件数が見積もりの出発点になります。
弊社のDHK CANVASの場合、料金は月額15万円からで、1,000件分のコールが含まれます(1件あたり150円の計算。業務内容・件数により変動)。設計、自社回線、運用サポートまでがこの金額に入っています(出典:DHK CANVAS)。料金の型ごとの考え方は「ボイスボットの費用相場」で詳しく紹介しています。
よくある質問
Q. AIオペレーターとボイスボットは違うものですか?
同じ系統の仕組みで、呼び名が違うだけです。AIオペレーターは企業が利用者向けの窓口に付けている名前で、ボイスボットは音声で会話して応対する仕組みの一般名です。製品を探すときは「ボイスボット」や「AI電話」で調べると見つけやすくなります。
Q. AIオペレーターにつながったとき、人と話すことはできますか?
紹介した銀行の窓口には人に代わる方法が用意されていますが、方法は窓口ごとに違います。例えば、みずほ銀行のヘルプデスクはプッシュボタンを押すとオペレーターにつながり、三井住友銀行のOliveの窓口は営業時間内なら有人に引き継ぎます。自社で導入する場合も、人に代わる方法を必ず用意し、冒頭の案内で伝えてください。
Q. AIオペレーターは本人確認や手続きまでできますか?
三井住友銀行と三菱UFJ銀行の例では、本人確認が要る手続きはAIで受けず、人のオペレーターが対応する設計です。ただし、電話番号やプッシュ操作で本人を確かめたり、カード番号をプッシュ操作で受け取ったりする自動音声の仕組みはあります。AIで話を聞く部分と、プッシュ操作で正確に受け取る部分を組み合わせて設計します。
Q. AIオペレーターが間違った案内をすることはありますか?
あり得ます。みずほ銀行や三菱UFJ銀行も、AIの回答の正確性を保証しないことを、利用者向けの案内に書いているほどです。答えを1つに決めておきたい用件は、生成AIに答えさせずにシナリオで固定し、AIが答えられない用件は人につなぐ設計にすると、誤った案内を減らせます。
Q. 小さなコールセンターでも導入できますか?
導入できます。営業時間外の電話だけ、1つの用件だけのように範囲を区切って始める方法もあります。株式会社電話放送局の調査では、職場で電話対応に携わる方の43.1%が29席以下の職場で電話を受けており、少人数の職場ほど電話で仕事を中断されやすい傾向も見られました。
Q. 今の電話番号のまま使えますか?
サービスによって異なるため、選ぶときに必ず確認してください。前橋市の事例は、市外局番(027)の番号をそのまま使う形です。DHK CANVASは、今お使いの0120・0800・0570番号からの転送着信に対応しています。新しい番号の発行も相談できます。
Q. 導入する前にAIの声や応対を試せますか?
試せるサービスがあります。DHK CANVASのサービスページには、AIとの通話を無料で体験できる窓口があります。自社の利用者が聞き取りやすい声か、案内の速さはどうかを、実際に電話をかけて確かめてから検討すると安心です。
最後に、AIオペレーターについてよくある質問に回答します。
まとめ
AIオペレーターは、電話で用件を聞き取り、答えるか担当者につなぐAIで、ボイスボットやAI電話と同じ系統の仕組みです。4社の公開情報には、次の4つの線引きが見られました。AIに任せる用件を絞ること、本人確認が要る手続きの扱い、人の担当者に代わる方法、正確性や個人情報についての告知です。どこまでをAIで受けるかは、会社ごとに違います。
自社で入れるときは、任せる用件、本人確認と支払いの扱い、人へのつなぎ方、始める範囲、冒頭のアナウンスの5つを先に決めておくことが大切です。まずは直近1か月の入電理由を件数の多い順に並べ、答えが決まっている用件と、人に回す用件を分けるところから始めてください。
株式会社電話放送局の「DHK CANVAS」は、ボイスボット・IVR・生成AIをひとつにしたAI電話サービスです。よくある質問にはAIが音声で答え、定型の受付はシナリオに沿って処理し、人の対応が必要な電話は聞き取った内容を添えて担当者へ転送します。回線・音声認識・シナリオ設計・運用サポートまでを自社で提供しており、電話自動化サービスの導入実績は1,500社以上です。ほかの企業の使い方は導入事例もあわせてご覧ください。
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