配送状況の問い合わせを電話で自動化する方法|席数8割減の通販事例と仕組み
2026/10/30
おせちなどを一斉に発送したあと、配送状況を確かめる電話が続くことがあります。配送状況の問い合わせは、出荷予定日や出荷済みかどうかの案内を自社データで自動化できます。配送中の現在地や配達予定は配送会社の追跡ページへ案内し、未着など調査が要る電話は人につなぐ設計です。本記事では、必要なデータ、注文を探す方法と案内前の確認、状態ごとの案内文と人へつなぐ条件を順に解説します。年末に配送状況の電話をIVRに任せて席数を80%減らした通販会社の取り組みは、「事例:年末の配送状況の電話を自動応答に任せた通販会社」で紹介します。
目次
・まとめ
配送状況の問い合わせは、なぜ電話の自動応答に向いている?
出荷予定日・出荷日・配送会社・お問い合わせ番号は、注文が分かれば定型の情報として案内できるからです。一方、配送中の現在地や配達トラブルは、配送会社の追跡情報や担当者による調査が必要です。
出荷情報の定型的な照会は自動で案内できる
配送状況の電話でお客様が知りたいのは、「いつ届くのか」「いまどこにあるのか」の2つです。荷物を運んでいるのは配送会社なので、通販会社が自社のデータから伝えられるのは、出荷予定日・出荷日・お問い合わせ番号などです。配送中の現在地や配達予定は、配送会社の追跡情報を確かめてもらう必要があります。
おせちやカニなどを通信販売するスカイネット株式会社の導入事例でも、「配送状況については、配送業者様にご確認いただく必要があり、オペレーターでは回答ができません」「そのため、コールセンターでは対応できないコールばかりが増えることになります」という声が紹介されています(導入事例:配送状況確認の問い合わせ対応を自動化)。
株式会社電話放送局が、職場で電話対応に携わる全国の20〜60代255名に行った調査では、電話対応で負担を感じることとして「同じ内容の問い合わせが繰り返される」が20.8%挙がりました。自動化できると助かる電話対応では、「本人確認・情報照会」が21.6%です(電話対応業務の負担と自動化ニーズに関する実態調査/発表資料)。配送状況の確認は、注文情報の照会を繰り返す電話の一例です。ただし、電話番号だけで注文が見つかっても、かけてきた人の本人確認が済んだとは限りません。
一斉発送の後に、同じ用件の電話が集中する
おせちやお歳暮など、同じ時期に大量に発送する商品があると、到着予定日の前後に配送状況の電話が集中しやすくなります。年末は人を集めにくい時期です。スカイネットの事例にも「年末なので、オペレーターを集めることも難しく、オペレーターで対応できる呼量ではありませんでした」とあります。
配送状況の電話が集中すると、調査が必要な電話までつながりにくくなります。弊社が50〜70代の男女241名に行った調査では、コールセンターを利用するときに最も大きいストレスとして「電話がつながらない」が36.9%で1位でした(コールセンター利用とAI自動応答(ボイスボット)に関する意識調査)。配送状況のうち定型の照会を自動応答で受ければ、担当者は未着や破損など調査が必要な電話に対応できます。
出荷情報は定型の案内にできる
出荷予定日や出荷日など、社内システムに登録済みの情報は、電話の自動応答で同じ文面に沿って案内できます。反映前の出荷情報や配送中の状況は別扱いにし、表示時刻を確かめられるようにします。スカイネットが導入にあたって挙げた検討ポイントにも、「定型的で自動化に向いているコールであること」「人による聞き間違い、案内間違いなし」が並びました。
長いお問い合わせ番号は、区切って読み上げ、聞き直しの操作を用意します。個別の番号をSMSで送りたい場合は、出荷データとの連携と送信先の確認方法も設計します。
配送会社が再配達をAIで受けるのとは、役割が違う
「物流のコールセンターの自動化」というと、配送会社が再配達や集荷の依頼を電話の自動応答で受ける取り組みを思い浮かべる方もいます。これは荷物を運ぶ側の窓口の話です。本記事で扱うのは、商品を売った通販会社(荷主)の窓口にかかる「注文した商品はいつ届くのか」という電話です。
荷主の窓口では、お客様が伝票番号を知らないまま電話をかけてくることが多く、注文した人の情報から出荷を探す仕組みが要ります。出荷までの案内には自社の受注・出荷データを使い、配送中の詳細は配送会社の追跡情報を案内します。
出荷までの案内に必要なのは自社のデータ
配送状況の自動応答で読み上げるのは、自社の受注・出荷システムにある情報です。出荷前の予定と出荷済みかどうかは自社データで答えられます。配送中の最新状況を知りたい人には、配送会社の追跡ページを案内します。
電話で伝える情報は4つ
案内に使う候補は、注文の内容、出荷予定日、出荷日と配送会社、お問い合わせ番号の4つです。まず社内システムにどの項目があり、いつ更新されるかを確かめます。商品名やお問い合わせ番号を読み上げる条件は、案内前の確認方法と一緒に決めてください。
| 伝える情報 | データがある場所 | 電話での伝え方の例 |
|---|---|---|
| 注文の内容 (商品名・数量) |
受注システム、 顧客管理システム |
「ご注文の〇〇、2点ですね」と読み上げて、どの注文の話かをそろえる |
| 出荷予定日 (出荷前の注文) |
受注システムの 出荷予定 |
「〇月〇日に出荷の予定です」 |
| 出荷日と 配送会社 (出荷後の注文) |
出荷システムの 出荷実績 |
「〇月〇日に〇〇運輸で出荷いたしました」 |
| お問い合わせ番号 (送り状番号) |
送り状を発行した ときのデータ |
案内前に確認する情報を決め、数字を区切って読み上げる |
弊社の自動受付IVRは、顧客管理システムとの連携や、定期的に受け取ったデータの照会に対応しています。実際に何を読み上げるかは、注文の探し方と案内前の確認方法を決めてから設計します。
配送中の細かい状況は、追跡ページへ案内する
「配達中」「持ち戻り」「営業所で保管中」といった、刻々と変わる状況は配送会社の追跡ページで確かめてもらいます。携帯電話からの着信でSMSを送れるなら、追跡ページのURLを案内する方法があります。お問い合わせ番号まで個別に送る場合は、出荷データとの連携が必要です。
弊社のSMS送信IVRは、着信時に取得した携帯電話の番号へSMSを送る仕組みで、発信者番号やIVRで入力された内容に応じて、送るURLを変えられます。注文ごとのお問い合わせ番号や追跡URLまでSMSに入れる場合は、出荷データとの連携方法を確認してください。固定電話からの電話にはSMSを直接送れないため、携帯番号を別途聞いて送る運用が可能か、導入前に確かめます。電話からWebへ誘導する文面の作り方は「IVR×SMSとは?」で詳しく紹介しています。
配送会社の追跡情報との連携はいつ必要?
出荷前の予定と出荷済みかどうかの案内から始めるなら、自社の出荷データを使えます。配送中の詳細まで電話で答える必要がある場合は、配送会社の追跡情報との連携を検討します。連携できる情報や条件は、配送会社ごとの確認が必要です。
自動応答の記録から、「配送会社の状況まで電話で聞きたい人」がどれだけ残るかを確かめます。連携の要否は、その件数と、追跡ページへの案内では足りない用件の内容から判断できます。スカイネットの事例は、IVRが受け取った電話番号を自社の顧客管理システムに照会する仕組みです。
受注・出荷システムとは、どうつなぐ?
出荷データを電話の仕組みに渡す方法は、その場で照会するAPI連携と、データを定期的に渡すアップロードの2つです。どちらを選ぶかは、受注・出荷システムに外から照会できる口があるかで決まります。
API連携で、電話のたびに照会する
電話番号や注文番号を受け取った時点で、受注・出荷システムに問い合わせて結果を受け取る方法です。電話のたびに社内システムを照会できますが、案内できるのは社内システムに反映された時点の情報までです。自動受付IVRでは、顧客管理システムなどの基幹システムと連携し、顧客の確認や受付データのやり取りができます。
データを定期的にアップロードする
社内のシステムが外部とつながっていないなどの理由でAPI連携ができない場合は、照会に必要な情報を定期的にアップロードする方法があります。例えば、出荷の締めのあとに当日分の出荷データを書き出してアップロードする運用です。システムを改修せずに始められる一方、次のアップロードまでの間は情報が古いままになります。
出荷データが反映される時刻で、案内がずれる
自動応答の案内は、データが反映された時刻の状態で決まるものです。例えば、出荷実績が夕方にまとめて反映される運用だと、午前中に出荷した荷物も夕方までは「出荷の準備中」と案内してしまいます。
対策は2つあります。1つは、出荷実績が反映される時刻をガイダンスで伝える方法です(「本日出荷分の情報は、午後6時以降にご確認いただけます」)。もう1つは、出荷予定日のデータを確認できる注文に限り、実績が未反映の時間帯は「本日出荷の予定です。出荷済みかどうかはまだ確認できません」と案内する方法です。予定日を過ぎても実績が見えない場合は、出荷遅延と断定せず、担当者が実際の状況を確かめます。どちらにするかは、出荷の締め時刻と反映のタイミングを情報システムの担当者と確かめてから決めます。
注文を探し、案内前に何を確認する?
登録電話番号のプッシュ入力は、電話をかけてきた人の注文候補を探す方法です。番号の一致だけで本人と判断せず、商品名やお問い合わせ番号などを案内する前に、何を追加で確認するか決めます。発信者番号による自動照合も注文を探す入口に使えますが、非通知や家族からの電話には別の方法が必要です。
| 注文を探す方法 | お客様の手間 | 確実さと注意点 | 向く場面 |
|---|---|---|---|
| 登録電話番号の プッシュ入力 |
番号を押すだけ | 注文時と違う電話からでも探せる。同じ番号に注文が複数あると、追加の確認が要る | 電話やはがきの注文が多く、注文時に必ず電話番号を受け取っている |
| 発信者番号で 自動照合 |
入力なし | 非通知や、登録していない番号からの電話では探せない | 注文した本人の携帯電話からの電話が多い |
| 注文番号の入力 | 手元に注文番号が必要 | 注文を1件に絞れる。番号を控えていない人は先へ進めない | Web注文が中心で、確認メールに注文番号を載せている |
| 氏名や住所を 音声で聞く |
話すだけ | 聞き取った内容の確認が要る。同姓同名の区別も必要 | ほかの方法で見つからなかったときの次の手段 |
スカイネットは、「お客様のご登録電話番号をプッシュ入力していただくだけの簡潔な仕組み」にしています。お客様が覚えている番号を押すだけなので、注文番号を探す手間がかかりません。
発信者番号は注文を探す手がかりにする
発信者番号が登録番号と一致すれば、注文候補を探す手間は減ります。ただし、その電話を使っている人が注文者本人とは限りません。商品の内容や追跡番号を伝える前に、注文番号など別の登録情報を確認するか、登録済みの連絡先へ案内を送る運用を検討します。
注文を探すときに迷いやすい4つの場面
注文を探すときに迷いやすい場面と、それぞれの分岐の作り方を紹介します。どれも、ガイダンスを作る前に決めておくと、運用を始めてから人へ回る電話が減ります。
非通知でかかってきた
発信者番号が取れないため、登録電話番号の入力へ進めます。番号を通知してかけ直してもらう案内は、お客様の手間が増えるので避けたほうが無難です。
家族や別の電話からかけてきた
登録電話番号の入力にしておけば、注文した本人以外の電話からでも探せます。ギフトを受け取る側の方からの電話のように、注文した人の電話番号が分からないケースは、自動応答では特定できないため人につなぎます。
同じ番号に注文が複数あるときは?
電話番号だけで複数の注文が見つかった場合は、いきなり商品名をすべて読み上げないようにします。注文番号などで1件に絞れるなら、確認できた注文だけを案内します。絞れなければ人につなぐ方法も選択肢です。
番号が見つからない
入力の間違いもあるため、まずは入力し直しを1回だけ案内しましょう。2回目も見つからなければ、注文番号の入力に切り替えるか、人につなぎます。営業時間外なら、折り返しの電話の予約を受けておく方法もあります。
読み上げる情報の範囲を決めておく
電話番号の入力や発信者番号の一致は、注文を探す手がかりです。本人確認と同じものとして扱わず、商品名やお問い合わせ番号を案内する前に確認する情報を決めます。電話番号だけで案内する場合は、読み上げる情報の範囲を特に狭くしてください。
贈答品の場合は、お届け先の名前や住所、商品名も第三者に知られないよう配慮が必要です。読み上げる項目は、社内の個人情報の取り扱いの決まりと照らし合わせ、個人情報の担当部署の確認を取ってから確定させてください。電話で本人を確かめる方法そのものは「IVR認証とは?」で解説しています。
自動応答の流れと案内文の例
ここでは、配送状況の電話を受けてから切るまでの流れと、案内文の例を紹介します。入口で用件を分け、番号で注文を探し、状態に合わせて案内し、必要な人だけを人につなぐ、という順番です。
入口で、配送状況の電話だけを分ける
最初に、配送状況の電話をほかの電話から分けます。スカイネットは、フリーダイヤルを提供する通信キャリアの用件振り分けのサービスを使い、配送状況の問い合わせを希望する人にプッシュで用件を選んでもらって、その電話だけをIVRに着信させるようにコールフローを変更しました。
スカイネットでは、この振り分けによって、お客様がかける電話番号を変えずに配送状況の電話だけをIVRへ回しています。自社で同じ方法を使えるかは、現在の番号と通信キャリアの契約を確認してください。電話の流れ全体の組み方は「コールフローとは?」、ガイダンスの文面の作り方は「電話音声ガイダンス(IVR)の作り方」が参考になります。
案内文の例
登録電話番号のプッシュ入力で注文候補を探し、注文番号でも確認する場合の仮のガイダンス例です。スカイネットの事例で公表されている登録電話番号のみの操作とは異なります。注文番号が手元にない人や、番号を入力しても注文を1件に絞れない人には、担当者への転送を用意します。
| 場面 | ガイダンスの文面の例 |
|---|---|
| 入口 | お電話ありがとうございます。〇〇通販です。ご注文商品のお届け状況の確認は1を、そのほかのご用件は2を押してください。 |
| 番号の入力 | ご注文のときにご登録いただいたお電話番号を、市外局番から押してください。押し終わりましたら、最後にシャープを押してください。 |
| 番号の確認 | ご入力の番号は、090のXXXXのXXXXです。よろしければ1を、入力し直す場合は2を押してください。 |
| 注文の確認 | ご注文番号を押してください。お分かりにならない場合は0を押すと担当者につながります。 |
| 注文を1件に絞れない場合 | ご入力の情報では、ご注文を1件に絞れませんでした。担当者におつなぎします。 |
| 出荷前の場合 | こちらのご注文は、12月28日に出荷の予定です。 |
| 出荷後の場合 | こちらのご注文は、12月27日に〇〇運輸で出荷いたしました。お問い合わせ番号は、1234、5678、9012です。最新の状況は、〇〇運輸の荷物お問い合わせページで、先ほどの番号を入力してご確認ください。携帯電話でおかけの方は、ページのURLをSMSで受け取れます。ご希望なら3を押してください。 |
| 次の操作 | もう一度お聞きになる場合は9を、ほかのご注文の状況をお聞きになる場合は1を、まだ届いていない、または商品に問題がある場合は2を押してください。 |
| 終了 | お電話ありがとうございました。 |
選択肢は1回に3つまでに抑え、「もう一度聞く」番号をいつも同じにしておくと、お客様が迷いにくくなります。注文番号が一致しても、それだけで本人確認が済んだとは判断しません。商品名やお問い合わせ番号をどこまで案内してよいかは、社内の個人情報担当部署と決めてください。お問い合わせ番号を読み上げる場合は、4桁ずつ区切り、聞き直せる操作を用意します。例文のSMS案内を使うには、携帯番号の取得とSMS送信の仕組みが必要です。個別の番号をSMSにも入れる場合は、出荷データとSMSの連携方法を確認してください。
状態ごとの案内と、人につなぐ条件
注文の状態によって、自動で伝えることと、人につなぐかどうかが変わります。状態ごとの扱いをあらかじめ表にしておくと、ガイダンスの分岐がそのまま決まります。
| 注文の状態 | 自動で伝えること | 人につなぐか |
|---|---|---|
| 出荷前 (予定どおり) |
出荷予定日 | つながない (希望する人だけ選べるようにする) |
| 出荷予定日を過ぎ、 実績が未反映 |
出荷実績を確認できていないこと。遅延とは断定しない | つなぐ (実際の出荷状況の確認が要る) |
| 出荷後 | 確認を終えた注文の出荷日・配送会社・お問い合わせ番号。追跡ページへの案内 | つながない |
| まだ届いていない・ 商品に問題がある (お客様が選ぶ) |
担当者におつなぎすること | つなぐ (調査や手配が要る) |
| 注文が見つからない | 入力し直しの案内(1回) | 2回目も見つからなければつなぐ |
人につなぐべき問い合わせの線引き
自動応答で受け持つのは、状況の案内までです。調査や判断、手配が必要な問い合わせは、人につなぎます。ここでは、線を引く場所と、つなぎ方の注意を説明します。
人につなぐ5つの問い合わせ
配送状況の窓口にかかる電話のうち、次の5つは自動応答で完結させずに人へつなぎます。
- 配達が完了した表示なのに届いていない(配送会社への調査の依頼が要る)
- 商品が壊れていた、中身が違っていた(交換や返品の手配が要る)
- 贈答品のお届け日に間に合わない(届け直しやお詫びの判断が要る)
- 出荷前に届け先やお届け日を変えたい(手続きになる)
- 注文を取り消したい(手続きになる)
どれも、お客様の事情を聞いたうえで、会社として判断や手配をする必要があります。弊社の50〜70代241名への調査でも、人のオペレーターに対応してほしい場面として「判断に迷っていて相談したいとき」が36.1%挙がりました(意識調査)。案内で済む電話は自動に、判断が要る電話は人に、と分けることで、オペレーターの時間を判断が必要な電話に集められます。
つなぐときは、聞き取った番号と状態を添える
人につないだあとに、お客様がもう一度電話番号や注文の内容を説明する流れは避けたいところです。株式会社電話放送局の255名への調査では、自動音声から人に代わる場面の経験として「自動音声で伝えたはずの要件を、もう一度説明する必要があった」が26.3%、「要件を把握できていない状態で、電話に出る必要があった」が27.5%でした(実態調査)。
自動応答で特定した注文と、お客様が選んだ用件(「まだ届いていない」など)を、受けるオペレーターの画面に出すか、受付データとして渡しておくことが大切です。そうすれば、オペレーターは「〇月〇日出荷のおせちがまだ届いていない件ですね」と用件から話を始められます。DHK CANVASでは、AIで完結しない用件を、聞き取った内容を添えて担当部署や担当者へ転送できます。
オペレーターにつながる選択肢を用意する
同じ調査で、電話対応の自動化を導入する条件として「必要なときに確実に人に代われる」が22.7%、「人に代わるときに用件が引き継がれる」が22.4%挙がっています。自動応答の途中でも「オペレーターとのお話をご希望の場合は0を押してください」と出口を示しておくと、自動の操作に不安のある人も先へ進みやすくなります。
営業時間外や、オペレーターがすべて話し中のときは、その場で人につなげません。その場合は、折り返しの電話の予約を受けておけば、問い合わせを取りこぼさずに済みます。折り返しの運用は「電話のコールバックとは?」で解説しています。
出荷の連絡で配送状況の問い合わせを減らす
配送状況の電話は、自動で受ける仕組みと合わせて、かかってくる前の連絡でも数を減らせます。ここでは、出荷の連絡と遅れの連絡、混雑時のSMSの使い方を紹介します。
出荷の連絡に、お問い合わせ番号と追跡ページを入れる
出荷を知らせるメールやSMSに、配送会社名、お問い合わせ番号、追跡ページのURLを入れておくと、お客様は電話をかけずに自分で状況を確かめられます。注文の確認メールだけ送って出荷の連絡を送っていない場合は、まずここから見直します。
遅れが分かったら、先に知らせる
天候や物量の増加で出荷やお届けが遅れることが分かったら、お客様から電話がかかってくる前に、SMSや自動音声の電話で知らせます。遅れの理由とお届けの見込みが先に届いていれば、「まだ来ないけれど大丈夫か」という電話はかかりにくくなります。自動音声で一斉に電話をかける仕組みは「オートコールとは?」、SMSを一斉に送る方法は「SMS送信サービス比較」で紹介しています。
電話が混んだときは、SMSで追跡ページへ案内する
回線が埋まったときの電話や、営業時間外の電話には、自動音声で応答して追跡ページや問い合わせのWebページへ案内する方法もあります。弊社のSMS送信IVRは、電話が集中したときのあふれ呼や時間外の電話に自動音声で応答し、携帯番号を取得できた場合にSMSでURLを送る仕組みです。固定電話からの着信には、追跡ページを開く方法を音声で案内するか、別の連絡方法を用意します。
出荷の連絡を送れば、電話はなくなる?
なくなりはしません。出荷の連絡を送っていても、メールを見ない人、迷惑メールに振り分けられて気づかない人、電話のほうが早いと考える人からの電話は残ります。電話やはがきで注文するお客様が多い通販では、なおさらです。通知を送り、残る電話を自動応答で受ければ、オペレーターが出荷日やお問い合わせ番号を調べて伝える回数を減らせます。
事例:年末の配送状況の電話を自動応答に任せた通販会社
スカイネット株式会社の事例では、配送状況の電話を受ける席を減らした仕組みと効果を紹介しています。数字は事例ページに掲載されている内容です。
スカイネット株式会社:年末の配送状況の電話をIVRに任せ、席数を80%削減
スカイネット株式会社は、おせちやカニなど各地の特産品を扱う通信販売の会社です。配送状況の電話を自動受付IVRに任せた取り組みは、事例ページで紹介しています。
導入前の課題
おせちなどの商品を一斉に発送したあと、配送状況を確かめる電話が鳴りやまない状況でした。配送状況は配送業者に確認する必要があり、オペレーターでは答えられません。年末でオペレーターを集めることも難しく、人で受けきれる量ではなかったといいます。一方で、商品の到着を楽しみにしているお客様には、正確な情報を伝えたいという思いもありました。
仕組み
フリーダイヤルの用件振り分けで、配送状況の問い合わせを希望する人にはプッシュで用件を選んでもらい、IVRに着信させるようにコールフローを変えました。事例ページで公表されているお客様の操作は、登録電話番号のプッシュ入力だけです。先に示した注文番号の追加確認は、この記事で示す仮の設計であり、この事例の運用内容ではありません。IVRが受け取った電話番号を自社で構築した顧客管理システムに照会し、注文内容と配送状況をお客様に案内します。
導入後の効果
年末は電話の90%が配送状況の確認だったため、ほとんどの業務をIVRに任せられる体制になりました。その結果、席数を80%削減でき、運営コストも大幅に削減できたといいます。事例ページには、自動化率90%、人件費80%削減、対象呼の応答率100%と掲載されています。
この事例から読み取れる設計のポイントは3つです。入口の用件振り分けで配送状況の電話だけを分けたこと、お客様の操作を登録電話番号の入力だけにしたこと、自社の顧客管理システムで注文を照会したことです。自社の窓口でどう動くかは、デモ体験で自動応答の操作を試してから検討できます。
プッシュ式のIVRとボイスボットは、どちらが向いている?
登録電話番号を押すだけで注文を特定できるなら、プッシュ式のIVRで足ります。注文番号に英字が入る、氏名で探したい、用件を話してもらって振り分けたい、といった場合はボイスボットが向いています。
| 比べる点 | プッシュ式のIVR | ボイスボット |
|---|---|---|
| お客様の操作 | 数字のボタンを押す | 話す(聞き取れないときは ボタン操作に切り替える 設計もできる) |
| 特定に使える情報 | 電話番号、 数字だけの注文番号 |
氏名、英字まじりの番号、 「まだ届かない」などの用件 |
| 作るときの手間 | 分岐が決まっていて 作りやすい |
聞き取れなかったときの 確認と言い直しの設計が要る |
| 向く窓口 | 電話番号で注文を探せる 通販の窓口 |
用件が多く、話してもらって 振り分けたい窓口 |
スカイネットの事例のように、配送状況の確認だけなら数字の入力で完結するため、プッシュ式で十分なことが多いといえます。プッシュ式で作れる用件と、話してもらうほうが向く用件の分け方は「ボイスボットと相性が良い業務は?」で整理しています。
ボイスボットにする場合は、聞き取りへの不安に配慮が要ります。弊社の50〜70代241名への調査では、ボイスボットを使うときに最も不安なこととして「自分の話した内容を正しく聞き取ってもらえるか不安」が22.4%で1位でした(意識調査)。DHK CANVASでは、聞き取りが難しい場面でプッシュ操作に切り替えたり、オペレーターへ引き継いだりする設計ができます。APIやマスタデータの参照で既存の顧客管理・受付システムと連携でき、電話中や電話のあとにSMSを送ってWebへ誘導することも可能です。ボイスボットの仕組みそのものは別の記事で解説しています。
オペレーターに届く配送状況の電話が減らないときは?
多くの場合、原因は入口の分け方、番号の入力、データの反映、通知の内容のどこかにあります。自動受付IVRでは「日別・時間帯別」と「切断箇所」のレポートで、お客様がどこで電話を切ったかを確かめられます。よくある症状と打つ手を表にまとめました。
| 起きていること | 考えられる原因 | まず試すこと |
|---|---|---|
| 配送状況の電話が、 自動応答に入らず オペレーターに来る |
入口の選択肢の言い方が伝わっていない、配送状況が最初に出てこない | 「ご注文商品のお届け状況の確認」と言い換え、最初の選択肢にする |
| 番号の入力の途中で 切れる |
入力の方法(市外局番から、最後にシャープ)が分かりにくい | 入力の例を一言添え、入力し直しの番号を案内する |
| 「見つからない」で 人に回る電話が多い |
登録電話番号を誤入力した、受注データにまだ注文が登録されていない | 注文番号の入力を次の手段に加え、受注データの登録時刻を確かめる |
| 出荷後の案内に続けて 人につなぐ操作を 選ぶ人が多い |
配送会社の今の状況まで知りたい | 携帯番号を取得できた場合は追跡ページのURLをSMSで送り、音声案内にも「最新の状況は追跡ページで」を加える |
| 注文は見つかるが、 出荷情報がない |
出荷実績がまだ反映されていない、出荷予定が変更された | 出荷システムの更新時刻と実際の出荷状況を確かめ、遅延と断定せず必要なら担当者へつなぐ |
| 発送の直後に 電話が集中する |
出荷の連絡が届いていない、連絡にお問い合わせ番号が入っていない | 出荷の連絡にお問い合わせ番号と追跡ページを入れる |
切断箇所のレポートは、繁忙期の前と最中に分けて見ると、ガイダンスのどこで迷っているかが分かります。繁忙期には日ごとの切断箇所を見て、迷われやすい案内を1か所ずつ直し、次の日の記録で変化を確かめます。
配送状況の自動応答を導入する前に決める7つのこと
最後に、導入の相談や見積もりの前に決めておく7つのことを並べます。どれも、社内の数字と運用を確かめれば決められます。
① 入電理由を数え、配送状況の割合を出す
まず1か月分の電話の用件を数え、配送状況の確認が全体の何割かを出します。繁忙期と通常の月で割合が大きく変わる窓口は、両方の時期を数えます。用件の分け方と集計表の作り方は「コールリーズン分析とは?」で紹介しています。
② 出荷データの置き場と反映時刻を確かめる
注文、出荷予定日、出荷日、配送会社、お問い合わせ番号がどのシステムにあり、何時に更新されるかを確かめます。外から照会できる口があればAPI連携、無ければ定期的なアップロードを選びます。
③ 注文を探す方法と案内前の確認を決める
登録電話番号の入力、発信者番号、注文番号のどれを使って注文候補を探し、見つからなかったときに何へ切り替えるかを決めます。注文を見つけることと本人確認は分け、非通知や複数注文の場合の分岐と、案内前に確認する情報も決めておきます。
④ 状態ごとの案内文を書く
出荷予定日まで、予定日を過ぎても出荷実績が確認できない、出荷済みの3つの状態について、読み上げる文面を書きます。読み上げる個人情報の範囲も、この時点で社内の確認を取ります。
⑤ 人につなぐ条件と転送先を決める
配達のトラブルや注文の変更・取り消しをどこへつなぐか、営業時間外はどう受けるかを決めます。転送先のオペレーターに渡す情報(電話番号、注文、選んだ用件)も決めておきます。
⑥ 出荷前後の案内を実際の電話で試す
出荷予定日の前後、出荷実績の反映前後、注文が見つからない場合の試験用注文を用意し、電話をかけて案内を確かめます。注文はあるのに出荷情報がまだないときに、出荷が遅れたと断定しないことも確認してください。
⑦ 入口の電話番号と、用件の分け方を決める
今の電話番号で用件振り分けを使うのか、配送状況の確認だけ別の番号を案内するのかを決めます。通販のカタログや出荷の連絡に載せる番号と、ガイダンスの最初の文面も合わせて決めます。
準備はいつから始める?
おせちやお歳暮の発送に間に合わせるなら、案内文の確認と試験の電話の期間も含め、繁忙期から逆算して準備を始めます。DHK CANVASは最短約2週間で使い始められますが、要件によって期間は変わります。自動受付IVRで自社の顧客管理システムと連携する場合は、カスタマイズの内容によって期間と費用が変わるため、見積もりの段階で確かめてください。
費用の目安として、自動受付IVRの公開料金は初期費用300,000円〜、月額費用150,000円〜(月間4,000件までの着信を含み、4,001件目からは1件25円)です。カスタマイズが発生する場合は別途見積もりとなり、通信キャリアのサービスの工事費・月額使用料・通話料なども別にかかる点に注意してください。DHK CANVASは月額15万円〜で、1,000件分のコールが含まれます。自動化した部分の月額の計算方法は「コールセンターの費用の内訳と計算方法」で詳しく紹介しています。
よくある質問
Q. 配送会社のシステムとつながないと、配送状況は案内できませんか?
出荷前の予定や出荷済みかどうかなら、自社の受注・出荷データから案内できます。配送中の現在地や配達予定は、配送会社の追跡ページで確かめてもらう必要があります。追跡情報まで電話で読み上げたい場合は、配送会社のデータとの連携を検討してください。
Q. 発信者番号が非通知の電話や、家族からの電話はどう扱いますか?
どちらも、注文時に登録した電話番号をプッシュで入力してもらえば注文を探せます。発信者番号で自動照合する場合も、非通知の電話や登録していない番号からの電話は、登録電話番号の入力に切り替える分岐を用意しておくと安心です。注文した人の電話番号が分からない場合は、人につなぎます。
Q. 年末の繁忙期に間に合わせるには、いつから準備すればよいですか?
案内文の確認と試験の電話の期間も含めて、繁忙期から逆算して準備を始めます。DHK CANVASは最短約2週間で使い始められますが、要件によって期間は変わります。自社の顧客管理システムと連携する場合は、システム側の準備にも時間がかかるため、見積もりの段階で期間を確かめてください。
Q. 高齢のお客様が多くても、自動応答で受けられますか?
登録電話番号を押す操作を試してもらい、途中で迷う人がいないか確認してから運用を始めます。聞き直しや入力し直しの選択肢が必要です。操作が難しいときはオペレーターにつながる番号を案内し、音声を使うボイスボットではプッシュ操作への切り替えも検討します。
Q. 今使っているフリーダイヤルの番号のまま始められますか?
用件振り分けや転送ができる番号なら、同じ番号のまま始められます。配送状況の確認を選んだ電話だけを自動応答に着信させる方法です。現在の番号で使える転送方法と同時接続数は、契約先の通信キャリアに確認してください。
Q. 配達完了と表示されているのに届いていない、という電話はどうなりますか?
自動応答では完結させず、人につなぎます。配送会社への調査の依頼や、届け直しの判断が要るためです。ガイダンスに「まだ届いていない、または商品に問題がある場合は2を」といった選択肢を用意し、自動応答で特定した注文の情報を添えてオペレーターにつなぐと、お客様が同じ説明を繰り返さずに済みます。
まとめ
配送状況の電話では、出荷予定日・出荷日・配送会社を自社データから自動で案内できます。配送中の現在地は配送会社の追跡ページへ案内し、届いていない・壊れていたといった調査や判断の要る電話は人につなぎます。登録電話番号は注文を探す手がかりです。商品名やお問い合わせ番号を案内する前の確認方法と、オペレーターへ引き継ぐ情報を決めてください。
最初の一歩として、直近の繁忙期の電話の用件を数え、配送状況の確認が何割を占めるかを出してください。株式会社電話放送局の電話自動化サービスの導入実績は、1,500社以上です。入口の振り分けから案内文、出荷データとのつなぎ方まで、自社の窓口に合わせた形をご相談いただけます。
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監修者情報
メーカーのコールセンター運営管理に従事し、自らIVRを導入。
不要な入電を抑制しつつ売上向上を実現するなど、現場視点で成果を創出。電話放送局では営業マネージャーとして10年以上従事し、クラウド型IVRの業界シェア1位獲得に貢献。
コロナ禍におけるユーザーのデジタル行動変容を受け、マーケティング部門を立ち上げ、責任者に就任。インサイドセールスを統括し、営業部門との連携を強化。自動音声応答の導入、運用、集客、営業の幅広い経験を有する。
IVRおよびコールセンター市場における20年以上の知見を活かし、ユーザーの検索行動やニーズを深く理解したマーケティング戦略を展開。
検索連動広告の運用経験を基に、現場で役立つ実践的な情報を発信し、読者のビジネス成功を力強くサポートします。
営業部 営業企画・推進チーム シニアリーダー 前田泰延
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