2026/10/30

ボイスボットは高齢者に使える?聞き取れないときの設計と精度の確かめ方

「高齢のお客様は機械に話してくれるのか」「聞き取れず、何度も聞き返すことにならないか」。ボイスボットを検討するとき、こうした心配はもっともです。高齢のお客様が多い窓口でも、用件を選び、聞き取れないときにボタン操作や担当者へ切り替える流れを用意すれば、ボイスボットを使える場面があります。株式会社電話放送局が50〜70代の241名に実施した調査では、70.5%が人よりボイスボットのほうが話しやすい場面を挙げました。
本記事では、50〜70代がボイスボットに感じている不安の中身を調査の数字で示したうえで、用件ごとの受け方の決め方、聞き取れなかったときの設計、導入前に認識精度を確かめる試験の項目を解説します。聞き返しからボタン操作、担当者への切り替えまでの設計例は「聞き取れなかったときは、どう設計すればよい?」の章に、表と案内の文例でまとめました。社内の会議にそのまま出せる材料として使ってください。

目次

・ボイスボットは高齢のお客様にも使える?

・高齢のお客様に向く用件と、人が出るべき用件は?

・聞き取れなかったときは、どう設計すればよい?

・ボイスボットの認識精度はどう確かめる?

・電話の自動応答で案内を工夫した3つの事例

・社内で「高齢のお客様には無理」と言われたら?

・高齢のお客様が多い窓口でDHK CANVASができること

・よくある質問

・まとめ

ボイスボットは高齢のお客様にも使える?

用件によっては使えます。ただし、以下の調査は50〜70代の利用意向を尋ねたもので、実際の電話で用件を済ませられた割合や、80代以上の利用状況は示していません。まずはボイスボットを使いたい場面と不安な点を数字で確認し、実利用で使えるかは自社の窓口で試します。

50〜70代の7割が「話しやすい場面がある」と答えている

株式会社電話放送局が2026年4月に全国の50〜70代の男女241名にインターネットで実施した「コールセンター利用とAI自動応答(ボイスボット)に関する意識調査」では、ボイスボットを「ぜひ利用したい」「やや利用したい」と答えた人は合わせて31.6%でした。「あまり利用したくない」「利用したくない」は合わせて39.0%で、全体としての賛否は消極派がやや上回っています。

ところが場面を区切って聞くと、答えは大きく変わります。「人よりボイスボットのほうが話しやすいシーンはあるか」という質問に、何らかの場面を挙げた人は70.5%でした。「特にそのようなシーンはない」は29.5%にとどまります。ボイスボット全般には慎重でも、用件によっては機械のほうが気が楽だと感じている人が多い、というのが50〜70代の実像です。

この数字から、利用意向は用件によって違うことが分かります。ただし、話しやすいと答えた人が実際に電話を使い切れるかは別に確かめる必要があります。調査の詳しい結果は、株式会社電話放送局のニュースリリースをご覧ください。

不安の上位は「聞き取ってもらえるか」と「二度手間」

同じ調査で、ボイスボットを使うときに最も不安なことを1つだけ選んでもらうと、上位は次の3つでした。

  • 自分の話した内容を正しく聞き取ってもらえるか不安:22.4%
  • 結局オペレーターにつながるなら二度手間ではないか:22.0%
  • 想定されたパターン以外の用件に対応できないのではないか:19.5%

この結果から、聞き取りの精度、人への引き継ぎ方、任せる用件の範囲を導入前に確かめる必要があると分かります。ただし、この調査は利用意向を尋ねたもので、実際の電話で問題が起きないことまで確かめた結果ではありません。

ボタン操作のIVRなら、高齢のお客様も安心できる?

ボタン操作だけにすれば安心、とはいえません。同じ調査で直近のコールセンター利用で嫌だった経験を聞くと、「自動音声のプッシュ番号操作が複雑で面倒だった」が17.0%ありました。選択肢の多いIVR(自動音声応答)にも負担を感じた人がいることを踏まえ、声とボタンの両方を試す必要があります。

最も多かった嫌な経験は「電話がなかなかつながらず、イライラした」で50.2%でした。最も大きいストレスとして選ばれたのも「電話がつながらない」で、36.9%です。声かボタンかを議論する前に、待たせずに応答すること自体が求められています。電話がつながらない問題が自治体の窓口でどう表れるかは「自治体の電話対応を自動化するには?」で紹介しています。

高齢のお客様に向く用件と、人が出るべき用件は?

高齢のお客様に向くのは、解約や時間外の受付のように手順が決まっていて、人と話すと気をつかう用件です。反対に、契約内容の込み入った変更や、迷っていて相談したい用件は人が受けるべきです。ここでは調査の数字をもとに、用件ごとに「声で受けるか、ボタンで受けるか、人が受けるか」を決める方法を紹介します。

ボイスボットのほうが話しやすいと答えた場面

ボイスボットのほうが話しやすい場面として多く挙がったのは、「解約・退会の手続き」35.3%、「深夜・早朝など時間帯を気にしたくないとき」24.9%、「クレーム・苦情を伝えるとき」18.7%でした。解約やクレームは、人に向かって言い出しにくい用件です。深夜や早朝は、相手の都合を気にして電話をためらう時間帯でもあります。

どの場面にも共通するのは、相手に気をつかわずに用件を伝えたいという気持ちです。高齢のお客様向けの自動化は、こうした「人に言いにくい」「時間を選びたくない」用件から始めると、受け入れられやすくなります。

人に出てほしいと答えた場面

反対に、人間のオペレーターに対応してほしい場面の上位は、「契約内容の複雑な変更があるとき」49.4%、「判断に迷っていて相談したいとき」36.1%、「商品の使い方を具体的に教えてほしいとき」29.0%でした。「命や健康に直結する緊急の問い合わせ」21.2%、「初めて利用するサービスで不安があるとき」20.7%が続きます。

複雑さ、相談、緊急性のどれかを含む用件は、最初から人につなぐ設計にしておきます。ボイスボットで受けるとしても、用件を聞き取ったらすぐ担当者に回す「振り分け役」にとどめるのが安全です。

声・ボタン・人の受け方を用件ごとに決める

用件が決まったら、次は受け方を決めます。会員番号や電話番号のように正確さが要る数字はボタン操作、理由や事情のように選択肢にしにくい内容は声、判断や相談が要る用件は人、と分けるのが基本です。高齢のお客様が多い窓口でよくある用件に当てはめると、次のようになります。

用件の例 向く受け方 理由
解約・退会の
申し出
声で受け付け、
引き止めや手続きの
説明が要るときは人へ
人に言い出しにくい用件で、
ボイスボットのほうが話しやすい
と答えた人が最も多い
夜間・早朝の
受付
声で用件を受け、
翌営業日に人が折り返す
時間を気にせずかけられる。
急ぎでない用件は
受付だけで足りる
会員番号・
電話番号・生年月日
ボタン操作 桁の多い数字は
聞き違いが起きやすい
住所・氏名・
申し出の理由
声で聞き取り、
後から文字か人が確かめる
選択肢にできないが、
漢字や番地は
音声だけでは確定しにくい
はい・いいえで
答えられる確認
声とボタンの両方で
受け付ける
どちらでも答えられるようにすると、
迷う人が減る
契約の複雑な変更・
迷っている相談
人 人に出てほしいと答えた人が多い。
ボイスボットは振り分けまで
体調・命に
関わる問い合わせ
人(すぐに転送) 緊急性が高く、
聞き返しで時間を使えない

表の分け方は一例です。実際には、自社に入る電話を用件別に数えてから決めます。用件の数え方は「コールリーズンとは?」、声とボタン操作の使い分けの考え方は「ボイスボットと相性が良い業務は?プッシュ操作との棲み分けや選び方」で詳しく紹介しています。

聞き取れなかったときは、どう設計すればよい?

聞き取れなかったときは、同じ質問を繰り返さず、聞き方を変えるか、ボタン操作や担当者に切り替えます。以下では「1回聞き直し、それでも聞き取れなければ切り替える」流れを設計例として示します。これが最適な回数と決まっているわけではありません。自社の利用者に近い人に試してもらい、途中で切られる場面や不満の出方を見て調整してください。

聞き取れなかったときの対応例。1回聞き直し、ボタン操作か担当者に切り替え、確認済みと未確認の内容を分けて渡す流れの図

段階 ボイスボットがすること 案内の文例
最初の質問 1回に1つだけ聞き、
答え方の見本を添える
「ご用件を、『注文』『解約』
『住所の変更』のように、
短くお話しください」
1回目に
聞き取れなかったとき
同じ文を繰り返さず、
選択肢を絞って聞き直す
「申し訳ありません。
ご注文でしたら『注文』、
解約でしたら『解約』と
お話しください」
2回目に
聞き取れなかったとき
ボタン操作に切り替える。
押せない人や無入力の人は
担当者につなぐ
「ボタンで伺います。
注文は1、解約は2、
担当者と話す方は0を
押してください。ボタンを
押せない方は、そのまま
お待ちください」
担当者につなぐとき 確認済みの内容と
未確認の内容を分けて渡す。
確認できた内容だけ伝える
「担当者におつなぎします。
確認できたご用件は
担当者に伝えます」
住所・氏名・
番号を聞いたあと
区切って読み上げ、
はい・いいえで確かめる。
必要なら文字で確かめてもらう
「お電話番号は、
ゼロキューゼロ、イチニーサンヨン、
ゴーロクナナハチで
よろしいですか」

文例やボタンの番号は、窓口の用件に合わせて変えてください。無入力のまま待った人も担当者へ進めるかを、試験で確かめます。

1回目:聞き方を変えて聞き直す

1回目に聞き取れなかったときは、同じ質問を繰り返さず、答えやすい形に聞き方を変えます。「もう一度お話しください」を繰り返すと、お客様は何を言い直せばよいか分からず、最初より長く説明しようとして、かえって聞き取りにくくなりがちです。

答え方の見本を示す

聞き直すときは、「『注文』『解約』のように、短くお話しください」と、答え方の見本を添えます。見本があれば、お客様は前置きを省いて用件の言葉だけを言えばよいと分かるはずです。「えーと、この前テレビで見た商品のことなんだけどね」と事情から話し始める方にも、短く言い直すきっかけになります。

選択肢を2つか3つに絞る

最初の質問で自由に話してもらって聞き取れなかった場合、聞き直しでは選択肢を2つか3つに絞ります。その窓口で特に多い用件を挙げ、「それ以外の方は『その他』とお話しください」と添えれば、どの用件の方も答えられるでしょう。選択肢を一度に5つも6つも読み上げると、最初のほうを聞き逃した人は案内を聞き直す必要があります。

2回目:ボタン操作か担当者に切り替える

聞き直しても聞き取れない場合は、用件を選ぶだけならボタン操作へ、事情の説明が必要なら担当者へ切り替えます。聞き直す回数は、試験で途中切断と利用者の反応を見て決めます。

ボタン操作に切り替えるのが向く場面

用件の種類を選ぶ、番号を入れる、はい・いいえで答える、といった場面はボタン操作に切り替えられます。通話中にボタンの信号を送れる電話機なら、周りの音が大きい場所でも入力できます。一方、ダイヤル式の電話機など、信号を送れない場合には使えません。表の文例のように「押せない方は、そのままお待ちください」と添え、何も押されなかったときは担当者につなぐ設定を試してください。

担当者につなぐのが向く場面

事情の説明が要る用件や、お客様の声から困っている様子が伝わる場面は、ボタン操作に回さず担当者につなぎます。営業時間外で担当者がいないときは、用件と連絡先だけを受け付けて、翌営業日に折り返す流れにします。ボタン操作にも担当者にも進めない行き止まりを作らないことが、この段階で最も大事なポイントです。

担当者には、確認できた内容を伝える

担当者につなぐときは、お客様が確認した用件や番号と、まだ確認できていない発話を分けて渡します。2回とも聞き取れず用件を確定できなかったなら、担当者に「用件は未確認」と伝えます。「結局オペレーターにつながるなら二度手間ではないか」という不安を、50〜70代の22.0%が最も大きな不安に挙げていました。確認済みの用件があれば、担当者は「住所の変更ですね」と引き継いで応対できます。

電話を受ける側の調査でも、同じ課題が出ています。株式会社電話放送局が2026年10月に職場で電話対応に携わる20〜60代の255名へ実施した「電話対応業務の負担と自動化ニーズに関する実態調査」では、自動音声から人に代わる電話を経験した203名の79.3%が、切り替えのときに困った経験を挙げました。上位は「要件を把握できていない状態で、電話に出る必要があった」34.5%、「自動音声で伝えたはずの要件を、もう一度説明する必要があった」33.0%です(引用元:株式会社電話放送局のニュースリリース)。聞き取った内容を渡す仕組みは、お客様のためだけでなく、受ける担当者のためにも欠かせません。

住所や名前は、聞き取ったあとに確かめてもらう

住所、氏名、電話番号のように間違えられない情報は、聞き取ったまま登録せず、お客様に確かめてもらう段階を入れます。音声認識が正しく文字にしても、同じ読みの漢字が複数ある名前や、番地の数字は、音声だけでは確定しにくいためです。

数字は区切って読み上げ、はい・いいえで答えてもらう

電話番号や会員番号を確かめるときは、3〜4桁ずつ区切って、ゆっくり読み上げます。そのうえで「よろしければ『はい』、違う場合は『いいえ』とお話しください」と、はい・いいえで答えられる形にしてください。「ゼロ」を「レイ」や「マル」と読む方もいるため、確かめの読み上げは窓口で使う読み方にそろえておきます。

文字で確かめてもらう

携帯電話からかけている方には、受け付けた内容をSMSで送り、画面で確かめてもらう方法もあります。音声で受けた内容を文字で見直せるので、聞き違いがあってもお客様自身が気づけます。電話からSMSでWebの画面へ案内する仕組みは「IVR×SMSとは?」で紹介しています。固定電話の方にはSMSが届かないため、別の確かめ方を用意しておく必要があります。

案内そのものを短くする

聞き取りの失敗を減らすには、ボイスボットが話す案内を短くするのも有効です。案内が長いと、お客様は話すタイミングを逃したり、何を答えればよいか分からなくなったりします。

1回に聞くことは1つにする

「お名前とご住所をお話しください」のように、1回に2つ以上のことを聞かないようにします。1つ答えたら次を聞く、という順番にすると、お客様は答える内容を覚えておかずに済みます。

話す速さを落とし、答える間を取る

案内の音声は、普段の会話よりゆっくりした速さにします。質問のあとには、お客様が考えて話し始めるまでの間を長めに取ります。すぐに「聞き取れませんでした」と返すと、考えている途中のお客様を急かすことになるためです。

説明を絞る

役所や金融のように、正確に伝えたい情報が多い窓口ほど、案内は長くなりがちです。前橋市 国民健康保険課様では、導入当初に「説明漏れがないよう丁寧にお伝えしたい」という思いから案内が長くなり、選択肢も増えてしまう傾向がありました。そこで「あえて情報を絞り込む」方針に切り替え、不要なアナウンスを削ったことで、途中で迷いにくい流れになったといいます(導入事例)。

ボイスボットの認識精度はどう確かめる?

認識精度は、カタログの「認識率○%」だけで判断せず、自社のお客様に近い人の声と電話機で試して確かめます。試験では用件を正しく判定したかを数え、そのうえで、最後まで用件が済んだか、担当者に回ったか、途中で切れたかも記録します。完結率だけでは、誤った用件への振り分けを見落とすおそれがあるためです。

「認識率○%」の数字で決めてよい?

認識率の数字だけで決めるのは避けたほうが安全です。認識率は、誰の声を、どんな電話機と環境で、どの言葉について測ったかで大きく変わります。静かな部屋で、はっきり話す人が、決まった単語を言ったときの数字は高く出ます。一方、自社のお客様が自宅の固定電話から、テレビの音がする部屋で、事情を交えて話すときの数字は、それとは別物です。

測り方がそろっていない数字どうしを比べても、どのサービスが自社に合うかは分かりません。認識率を聞くより、自社のお客様に近い条件で試させてもらえるかを確かめるほうが、判断の材料になります。認識率を測るときには、聞き取れなかった後の流れも一緒に試してください。

聞き取りに影響する電話機や話し方の条件

年齢だけで聞き取りの精度は決まりません。声の大きさや話し方、電話機、周りの音が重なると、どの年代の人でも聞き取りにくくなることがあります。起きることごとに、主な原因と打ち手を整理しました。自社の試験や記録で気になった症状の行を探して使ってください。

起きること 主な原因 対処方法
用件の言葉を
別の用件と取り違える
お客様が言い慣れた呼び方や
方言が登録されていない
聞き取れなかった言葉をログで確かめ、
同じ意味の言葉として登録する
「えーと」「あのね」から
話し始めて判定を外す
前置きや事情の説明が長い 答え方の見本を添えて聞き直す。
「短くお話しください」と案内する
無言のまま
時間が過ぎる
何を言えばよいか分からない、
考えている途中
待つ時間を長めにする。
選択肢を示して聞き直し、
ボタン操作も案内する
番号の桁や
数字を聞き違える
桁が多い、
「ゼロ」「レイ」「マル」など
読み方が人によって違う
番号はボタン操作で受ける。
声で受けるときは区切って
読み上げて確かめる
名前や住所の
漢字・番地が違う
音声だけでは
漢字や番地を確定できない
SMSで文字を確かめてもらうか、
担当者が折り返して確かめる
声が小さく、
聞き取れない
受話器と口が離れている、
スピーカー通話、
周りにテレビなどの音がある
聞き直すときに
「少し大きめの声で」と添える。
難しければボタン操作か担当者へ
途中で
電話を切られる
案内が長い、選択肢が多い、
同じ聞き直しが続く
案内を短くし、
選択肢を2つか3つに絞る。
聞き直しは1回までにする

方言や言い慣れた呼び方は、地域や商品によって違います。導入後に、聞き取れなかった言葉の記録を定期的に見て、同じ意味の言葉を足していく作業が、精度を上げるうえで地道に効果を生みます。

導入前の試験で確かめること

導入前の試験では、ボイスボットを提供する会社の担当者や社内の若手だけでかけて終わりにせず、実際の利用者層に近い複数人に協力してもらい、電話機・周りの音・言い方の組み合わせを変えてかけます。少人数の試験はつまずく条件を探すためのもので、全利用者の認識精度を保証しません。高齢のお客様が多い窓口で確かめたい項目は次のとおりです。

導入前の試験で話す人・電話機・周りの音・言い方を組み合わせ、本来の用件を正しく判定したか、最後まで済んだか、担当者に回ったか、途中で切れたかを記録する図

確かめる条件 試し方 見るところ
話す人 実際の利用者層に近い人に
複数人協力してもらう。
話し方の違いも含めて試す
人によって用件判定や
聞き直しの回数が
変わらないか
電話機 固定電話の親機・子機、
携帯電話、スピーカー通話で
同じ用件をかける
電話機によって、
聞き取れない箇所が変わらないか
周りの音 テレビがついた部屋、
屋外や人の多い場所からかける
用件の言葉を
取り違えないか
言い方 「えーと」から始める、
事情から話す、言い直す、
方言や言い慣れた呼び方で言う
用件を正しく判定できるか。
登録が要る言葉は何か
誤った用件への
振り分け
試す人が本来の用件を
先に記録してから電話し、
ボイスボットの判定と比べる
違う用件として受付を
進めていないか。
担当者へ正しく届いたか
番号と名前 電話番号・会員番号・
生年月日・名前・住所を
声で言う
読み上げて確かめる段階で、
間違いに気づけるか
黙る・迷う 質問のあと、
しばらく何も言わない
急かさずに待ち、
選択肢やボタン操作の
案内に進むか
切り替え わざと2回続けて
聞き取れない言い方をする
ボタン操作か担当者に
切り替わるか。
行き止まりがないか
担当者への
引き継ぎ
担当者につながるまで進み、
受ける側の画面や通知を見る
聞き取った用件や番号が、
担当者に届いているか

試験では、最初に試す人が本来の用件を記録しておきます。電話のあとに、ボイスボットが正しい用件に振り分けたかと、「最後まで済んだ」「担当者に回った」「途中で切れた」のどれになったかを1本ずつ照合してください。結果は用件別にも数え、間違いが起きた質問と条件を残します。少人数で見つからなかった問題も本番で起こり得るため、開始後も同じ項目を確認します。

導入前後に見る4つの数字

用件を正しく判定した割合と、用件が最後にどうなったかを別々に見ます。見る数字は次の4つです。

用件を正しく判定した割合

試験では、用件を正しく判定した電話の数を、試験でかけた電話の数で割って出します。誤った用件として受付が終わった電話も、完結率では成功に数えてしまう点に注意が必要です。本番でも、利用者や担当者から誤った振り分けが報告された電話を確かめ、どの言葉や質問で間違えたかを記録します。

最後まで済んだ割合

ボイスボットだけで用件が済んだ電話の割合で、完結率とも呼ばれます。この割合は、任せた用件や数え方で変わるため、条件が違う数値をそのまま比べることはできません。前橋市 国民健康保険課様では、自動音声で案内が完結した割合は約20%でしたが、電話応対の時間を年間換算で約550時間削減しています。まずは任せた用件で、最後まで済んだ電話と担当者に回った電話を分けて見てください。

担当者に回った割合と、その理由

担当者に回った電話は、「最初から人が受ける用件だった」「聞き直しても聞き取れなかった」「お客様が担当者を希望した」のように、理由ごとに分けて数えます。聞き取れずに切り替えた電話が多い質問は、聞き方や登録する言葉を見直す候補です。既に利用者の年代を記録している窓口なら、年代別に分けて見ると、特定の層がつまずいている箇所も見つけられます。

途中で切れた電話

ボイスボットの途中で切れた電話は、どの質問の直後で切れたかを見ます。同じ質問の直後で切れる電話が多ければ、案内が長いか、答え方が分かりにくい可能性があります。切れた電話の数え方は「放棄呼とは?」で紹介しています。

電話の自動応答で案内を工夫した3つの事例

ここからは、電話の自動応答で利用者が迷わないようにした事例を3つ紹介します。1つ目の通販事例は、高齢層が主なお客様ですが、使っているのはIVRとSMSであり、ボイスボットの導入事例ではありません。残る2つも高齢のお客様に限った事例ではなく、聞き違いの確認や案内の絞り方を考えるための参考です。

高齢層が中心の通販で、IVRからWebへ案内した事例(株式会社ABCファンライフ様)

テレビショッピングを手がける株式会社ABCファンライフ様は、高齢層が主なお客様です。特別放送回には電話が増え、つながらなかった電話への折り返しに時間がかかることが課題でした。そこで、あふれ呼IVRから、つながらなかった電話を自動音声で受け、希望したお客様にSMSでWebの注文ページを案内する「あふれ呼SMS」へ切り替えています。

ガイダンスに「Webでも購入できます。URLを希望しますか?」と加えたところ、Webへの案内を希望したお客様は、目標の3%に対して8%でした。携帯電話を母数にすると31%です。同社は「ご高齢のお客様にもWebをご活用いただけることがわかりました」と話しています。また、Webへの案内は携帯電話を折り返し先に指定したお客様だけが対象で、固定電話の方は従来どおりの流れのまま、という分け方をしています(導入事例)。電話がつながらないときの受け方は「あふれ呼とは?」で詳しく紹介しています。

音声で受けて、文字で確かめてもらう(株式会社ダスキン訪販グループ様)

株式会社ダスキン訪販グループ様は、エアコンクリーニングの繁忙期に電話がつながりにくくなる課題に対して、DHK CANVASを導入しました。自動音声受付の電話番号にかけると、自動で住所やお名前などを聞き取り、SMSでマイページのURLを案内します。お客様はマイページで受付内容を確かめ、必要なら自分で直せます。

同社が導入の決め手に挙げたのは、このマイページ機能でした。「音声認識の精度はどの会社のサービスも100%ではないため、この機能によって正確なお客様情報を取得できる」という理由です。エアコンクリーニングのお問い合わせについて導入前の2020年と2025年度を比べると、コンタクトセンターの応答率は7%向上し、30秒以内に応答できた割合を示すサービスレベルは22.4%向上しました。コンタクトセンターで受け付けているエアコンクリーニングの注文件数の約10%を、自動音声受付で受けています。導入前には「自動音声による受付はお客様の不満につながるのではないか」という懸念が社内にありましたが、問題はほとんど発生していないとのことです(導入事例)。

案内を絞って、迷わせない(前橋市 国民健康保険課様)

前橋市 国民健康保険課様には、年間約3万2千件、多い日には1日200件以上の電話が寄せられていました。入電理由を分析して、自動音声の案内で解決できる内容と職員が直接聞くべき内容を分け、問い合わせの多い項目から音声ガイダンスを作っています。

導入当初は案内が長くなっていましたが、「あえて情報を絞り込む」方針に切り替え、市民が途中で迷いにくい流れにしました。結果として、年間換算で約550時間の業務時間を削減し、自動音声で案内が完結する割合は約20%になりました。導入前には自動応答に心理的な抵抗を感じる市民もいるのではという不安がありましたが、懸念していた大きなクレームやトラブルは、現在までほぼ0件です(導入事例)。

社内で「高齢のお客様には無理」と言われたら?

「使える」「使えない」と決めつけず、調査で分かっていることと、自社でまだ確かめる必要があることに分けて答えます。「高齢のお客様には無理」という一言にまとめず、用件ごとに試験の結果を持ち寄るための表です。

社内で出る心配 分かっていること 導入前に確かめること
高齢のお客様は
話してくれるか
50〜70代の70.5%が
「人より話しやすい場面がある」
と回答。ただし意識調査の結果
自社で多い用件を選び、
対象に近い人が実際に
電話をかけて試す
聞き取れずに
困らせないか
50〜70代の22.4%が
聞き取ってもらえるかを
最も大きな不安に挙げた
聞き直し後の切り替えを試し、
誤った振り分け、途中切断、
利用者の反応を記録する
人に回って
二度手間にならないか
50〜70代の22.0%が
最も大きな不安に
「二度手間」を挙げている
担当者側の画面で
聞き取った内容を確認し、
同じ説明を求めないか試す
ボタン操作の
IVRのほうがよいか
50〜70代の17.0%が
「プッシュ番号操作が
複雑で面倒だった」と回答
声だけ、ボタンだけ、
両方の案内を試し、
迷わず済む方法を選ぶ
SMSでの確認を
使えるか
高齢層が中心の
ABCファンライフ様では、
IVRからのWeb案内希望が
目標3%に対し8%
携帯電話の方にだけ案内し、
固定電話の方には電話内の
確認方法を用意する

会議には、表の右列に試験の結果を書き足して持っていくと、自社のお客様に近い条件で判断できます。ボイスボットの導入でほかに出やすい不安は「ボイスボット導入の失敗を防ぐには?」、担当者による高齢のお客様への応対のポイントは「コールセンターは高齢者対応の強化が必要?」で紹介しています。

高齢のお客様が多い窓口でDHK CANVASができること

弊社のボイスボット「DHK CANVAS」は、ご高齢の方が利用される電話対応での実績も多数あります。ボタン操作で決まった流れをたどるシナリオ型と、自由な発話を聞き取るAIを組み合わせられるため、確実に処理したい部分はシナリオ型、自由に話してほしい部分はAI、と使い分けられます。シナリオ型の考え方は「ルールベースAIとは?」で紹介しています。

本記事で紹介した設計に沿って、DHK CANVASでできることは次のとおりです。聞き取れない場合は、言い直しや要約での確認を挟みます。聞き取りが難しい場面ではボタン操作へ切り替える、担当者へ引き継ぐといった設計にでき、AIだけで用件を終わらせる必要はありません。担当者には聞き取った内容を添えて転送できます。運用時は確認済みの内容と未確認の内容を区別し、未確認なら担当者が改めて伺う設計にします。方言については、同義語の登録などで対応が可能です。

電話中や応対のあとにSMSを送って、Webのフォームや手続きのページへ案内することもできます。何を自動化するかは、入電理由の分析を通じて、貴社のお客様の層や運営体制に合わせてご提案します。株式会社電話放送局は1978年の創業以来、電話の業務に取り組んできました。電話自動化サービスの導入実績は1,500社以上です。

よくある質問

Q. 80代以上のお客様でも、ボイスボットを使えますか?

一律に「使える」とは判断できません。株式会社電話放送局の調査は50〜70代が対象で、80代以上の利用状況を示す数字はありません。80代以上のお客様が多い窓口では、利用者に近い人に実際に電話をかけてもらい、受付だけを任せる方法や、聞き取れなかった場合に担当者へつなぐ方法を試してください。


Q. 方言が強い地域でも聞き取れますか?

方言の言い方を同じ意味の言葉として登録すれば、聞き取れる範囲を広げられます。導入前の試験で地域の言い方を集め、導入後は聞き取れなかった言葉の記録から登録を足していくのが確実です。それでも聞き取れない場面に備えて、ボタン操作と担当者への切り替えを用意しておきます。


Q. 固定電話からかけてくるお客様でも使えますか?

固定電話からも、声で用件を伝えられます。ボタン操作を利用できるのは、通話中に信号を送れる電話機だけです。SMSでの確認は固定電話の番号には届かないため、読み上げて確かめるか担当者が確認する流れを用意します。ボタンを押せない場合にも担当者へ進めるようにしてください。


Q. 聞き取れずにお客様が怒ってしまったら、クレームになりませんか?

クレームが起きないとは言えません。聞き直しても聞き取れなければ、同じ質問を繰り返さず、ボタン操作か担当者へ切り替える設計にします。担当者へ聞き取った内容を渡せば、お客様が説明を繰り返す負担も減らせます。切り替える回数は、導入前の試験で切断や不満の出方を見て決めてください。


Q. 認識率が何%あれば、導入してよいですか?

一律の合格ラインはありません。自社のお客様に近い条件で試し、本来の用件を正しく判定した割合と、最後まで済んだ割合、担当者に回った割合を別々に見ます。認識率は話す人や電話機、周りの音、測った言葉によって変わるため、測り方の違う数字をそのまま比べないでください。


Q. 高齢のお客様には、ボタン操作のIVRのままのほうが安全ですか?

ボタン操作だけが安全とは限りません。50〜70代の17.0%が、直近の利用で「自動音声のプッシュ番号操作が複雑で面倒だった」と答えています。番号はボタン、用件や理由は声で受ける案も試し、自社のお客様が途中で迷わず用件を済ませられる方法を選んでください。

最後に、高齢のお客様が多い窓口でボイスボットを検討するときによく聞かれる質問に回答します。

まとめ

高齢のお客様が多い窓口でボイスボットを使えるかは、年齢だけでは判断できません。50〜70代への意識調査は、用件によって話しやすいと感じる人がいる一方、聞き取りや二度手間への不安もあることを示しました。任せる用件を絞り、聞き取れないときの切り替え先を用意したうえで、自社の利用者に近い条件で試すことが判断の材料になります。

最初の一歩として、自社に入る電話を用件別に数え、受付を任せられそうな用件を1つ選んでください。実際の利用者層に近い複数人に、固定電話や携帯電話から、周囲の音や言い方を変えてかけてもらいます。用件を正しく判定したか、途中で切れなかったかを用件別に記録し、見つかった問題を直してください。弊社では、用件の選び方から聞き取れないときの流れの設計、導入前の試験まで、ご相談をお受けしています。具体的な使われ方は導入事例もあわせてご覧ください。

お役立ち資料 無料ダウンロード

【本資料は、下記の関心をお持ちの方におすすめです】
・自社に合うボイスボットを選定する判断軸を整理したい
・導入後のよくある失敗と成功ポイントを確認したい

監修者情報

メーカーのコールセンター運営管理に従事し、自らIVRを導入。
不要な入電を抑制しつつ売上向上を実現するなど、現場視点で成果を創出。電話放送局では営業マネージャーとして10年以上従事し、クラウド型IVRの業界シェア1位獲得に貢献。
コロナ禍におけるユーザーのデジタル行動変容を受け、マーケティング部門を立ち上げ、責任者に就任。インサイドセールスを統括し、営業部門との連携を強化。自動音声応答の導入、運用、集客、営業の幅広い経験を有する。
IVRおよびコールセンター市場における20年以上の知見を活かし、ユーザーの検索行動やニーズを深く理解したマーケティング戦略を展開。
検索連動広告の運用経験を基に、現場で役立つ実践的な情報を発信し、読者のビジネス成功を力強くサポートします。

監修者 前田泰延(株式会社電話放送局) 営業部 営業企画・推進チーム シニアリーダー 前田泰延

お役立ち資料

関連コラム

おすすめコラム

簡単・便利なIVRを体験

カテゴリー

お役立ち資料

IVRで電話業務を自動化する手法や、IVRサービス提供会社を選ぶポイントを知ることができる資料を無料提供

下記の関心をお持ちの方におすすめです!

  • コールセンターの電話業務をどこまで自動化できるのか知りたい

  • 自動化に適したコール内容を知りたい

  • IVRやボイスボット導入により、自動化に成功した事例を知りたい

IVRを活用してコールセンターを自動化する手法と成功事例

ボイスボット(IVR)で課題解決

こんな課題ありませんか?

  • 今より人は増やせない。今の体制で無理なく運用できる現場を作りたい。
  • AIに任せて大丈夫?自社に合うボイスボットの選定基準がわからない。
  • 効率化はしたい。でも、お客様に『冷たい』と思われる対応は避けたい。

お問い合わせ・資料請求はこちら

お電話からのお問い合わせ