保険金請求の電話受付を自動化する方法|24時間受付の流れと有人対応の分け方
2026/10/29
「保険金請求の電話が平日の昼に集中する」「台風のあとに事故の連絡が増え、受付が追いつかない」。こうした課題がある窓口では、保険金請求の電話受付のうち、用件の聞き取りと次の手続きの案内が自動化の対象です。契約者が相談を希望するときや、事故の初動に人の対応が必要なときは、担当者へつなぐ経路も設けます。この記事では、電話で聞く項目、SMSとWebへのつなぎ方、有人対応へ切り替える条件を、保険会社の公表事例と受付フローの例で示します。
目次
・まとめ
保険金請求の電話受付は、どこまで自動化できる?
この記事で扱う電話受付の自動化は、請求の連絡を受け、契約の候補を特定し、次の手続きを案内する範囲です。請求書類の審査や支払可否の決定は別の業務として切り分けます。どこまで電話で処理するかは、保険の種類と各社の運用によって異なります。
まずは用件の聞き取りと手続き案内を自動化する
保険金請求の電話では、誰から、どの契約について、どんな用件で連絡があったかを受け取ります。氏名、証券番号、折り返し先、請求の種類などは、IVR(自動音声応答)のプッシュ操作やボイスボットで聞き取れます。ただし、証券番号や生年月日を入力しただけで本人確認が完了するとは限りません。必要な照合方法は、貴社の本人確認手順に合わせて決めます。
自動受付が担う範囲を、請求の流れに沿って並べました。
| 請求の工程 | 自動化の範囲 | 使う仕組みの例 |
|---|---|---|
| 1 請求の連絡を受ける | 自動で受けられる (24時間・混雑時も) |
自動受付IVR、 ボイスボット |
| 2 契約の候補を特定する | 証券番号などを受け取れる | 入力情報と契約データの照合。 本人確認は別途設計する |
| 3 事故や入院の内容を聞く | 決まった項目は自動、 込み入った状況は人 |
選択肢のプッシュ操作、 音声認識、録音 |
| 4 次の手続きを案内する | 条件に合う案内を自動で送れる | SMSで手続きページの URLを送るなど |
| 5 書類を受け取り確認する | Web提出に対応する場合がある。 内容確認は別工程 |
Web請求フォーム、 書類の撮影データ |
| 6 査定・支払いを決める | 電話受付とは別の工程 | 各社の審査・支払体制 |
| 7 結果を知らせる | 電話受付とは別の工程 | 各社の通知方法 |
電話の一次受付に関わるのは主に1〜4の工程です。ここを自動化すれば、契約者が時間外にも請求の連絡を始められます。どの時点で正式な請求として受け付けるか、書類を誰が確認するかは、貴社の手続きに沿って決めてください。
請求書類の審査と支払判断は別に設計する
電話の一次受付と、約款や提出書類を確認する審査・支払判断は分けて設計します。受付後に必要な書類がそろわなければ、追加の確認や案内が必要です。電話で連絡を受けた日時、聞き取った内容、次に対応する担当者を記録し、緊急度に応じて引き継ぐ経路を決めます。夜間に人の対応が必要な事故を受ける窓口がある場合は、翌営業日を待たずにその窓口へつなぎます。
保険金請求の電話がつながりにくいときに調べること
自動受付を導入する前に、時間帯・用件別の着信件数と、つながる前に切れた電話の件数を確かめます。次の4つは混雑が起こり得る場面です。どれが自社の窓口に当てはまるかは、着信記録で判断します。
平日の日中の着信件数を確かめる
退院後や動物病院の受診後に請求を始める契約者にとって、平日の日中だけの受付は利用しづらい場合があります。受付時間内に電話が集まっているかは、時間帯別の着信件数、待ち時間、つながる前に切れた電話の件数で確かめます。人を増やす前に、どの時間帯のどの用件が混雑を作っているかを見ることが必要です。
時間外と翌営業日の着信件数を比べる
ケガや事故は、窓口の営業時間とは関係なく起きます。時間外の着信履歴と翌営業日の着信件数を照らし、かけ直しが集中していないか確かめます。時間外の自動受付では、連絡を受けたことと、事故直後の支援や支払判断が完了したことを混同しない案内が必要です。
災害直後に着信が増えるか
損害保険では、台風・大雨・地震のあとに事故の連絡が集中することがあります。損保ジャパンとNTTコミュニケーションズは、首都直下地震の発生時には平時の100倍以上の連絡を予測し、最大で1時間あたり3,000件を受け付ける体制を構築したと発表しています(出典:両社の発表)。これは同社の想定と体制であり、ほかの保険会社や弊社サービスの処理能力を示す数字ではありません。席数を超えた着信の扱いは「あふれ呼とは?」で解説しています。
定型の聞き取りに時間を使っているか
受付をすべて人で受けている窓口では、請求の電話が増えるほど、聞き取りと入力に必要な時間も増えます。ペット&ファミリー損害保険の事例でも、請求件数に応じた増員が課題でした。まずは用件ごとの件数と平均対応時間を測り、定型の受付に使っている時間を把握します。
想定される場面ごとに、確認するデータと自動受付の案を表にまとめました。自社の着信記録と照らし、当てはまる行から検討してください。
| 想定される症状 | 考えられる原因と確認方法 | 自動受付の案 |
|---|---|---|
| 昼休み前後や夕方に 話し中が続く |
受付時間内の着信集中。 時間帯別の着信と 切断件数で確認する |
席が埋まったときだけ 自動受付に回す |
| 月曜の朝に 着信が集中する |
時間外の着信を受けられず 翌朝にかけ直している。 着信履歴で確認する |
時間外は自動受付で受け、 翌営業日に担当者が処理する |
| 台風や地震のあとに 電話が受けきれない |
事故の連絡が短期間に集中。 災害後の時間帯別着信と 同時着信で確認する |
同時に多く受けられる 自動受付とSMSで Web請求へ分散する |
| 契約数の増加とともに 人件費が上がる |
定型の聞き取りを人が受ける。 用件別件数と平均対応時間で 確認する |
決まった項目の受付を 自動にし、人は確認と 相談に集中する |
自動受付の流れ:電話で聞くこと・SMSで渡すこと
保険金請求の自動受付には、電話で用件を聞き、詳しい内容や書類の提出はSMSで案内するWebフォームに渡す設計があります。ただし、Web請求に対応していない商品や、書類の郵送が必要な請求もあります。以下は導入事例そのものの通話内容ではなく、窓口の設計例です。
電話で聞く項目は損保と生保で違う
電話で聞くのは、契約を特定する項目と、請求をどの担当に回すかを決める項目に絞ります。損害保険の事故受付と、生命保険の給付金請求、ペット保険の保険金請求では、振り分けに使う項目が違います。下の表は、受付の流れを考えるときのたたき台です。実際の項目は、自社の請求書類と査定の手順に合わせて決めてください。
| 聞く項目 | 損害保険の 事故受付 |
生命保険・医療保険の 給付金請求 |
ペット保険の 保険金請求 |
|---|---|---|---|
| 契約の特定 | 証券番号、 申出人の氏名など |
証券番号、 申出人の氏名など |
証券番号、 申出人の氏名など |
| 連絡先 | 携帯電話の番号 (SMSの送り先) |
携帯電話の番号 (SMSの送り先) |
携帯電話の番号 (SMSの送り先) |
| 請求の種類 | 火災・水濡れ・ 自動車・ケガなど |
入院・手術・通院など | 通院・入院・手術など |
| 発生日 | 事故の日 | 入院日・手術日 | 診療を受けた日 |
| 担当者につなぐ 判断に使う項目 |
ケガ人の有無、 相手のいる事故か |
死亡に関する請求か、 書類の相談があるか |
手続きの相談があるか |
病名や症状、事故の詳しい経緯を電話で聞くか、Webフォームや書類で受けるかは、各社の商品と受付後の業務によります。電話で聞く場合は、聞き取り結果の確認方法と個人情報の扱いを決めておきます。
プッシュ操作で受けるか、話して受けるか?
証券番号や請求の種類のように数字と選択肢で答えられる項目はプッシュ操作、事故の説明のように自由な言葉が必要な項目は音声認識や録音を検討します。どちらも入力や認識の誤りが起こり得るため、確認と訂正の手順を用意します。
| 受け方 | 向いている項目 | 設計で気をつけること |
|---|---|---|
| プッシュ操作 (IVR) |
証券番号、生年月日、 請求の種類、 SMS送信の同意 |
選択肢を絞り、 聞き直しの操作を用意する |
| 音声認識 (ボイスボット) |
事故の状況、被害の内容、 問い合わせの用件 |
聞き取った内容を読み上げて 確認し、うまくいかないときは プッシュ操作か担当者につなぐ |
| 録音 | 説明が長くなる内容、 伝言 |
録音を聞く担当と 処理する時間を決めておく |
プッシュ操作と音声認識は、どちらか一方を選ぶものではありません。契約の特定はプッシュ操作、状況の説明は音声認識というように、1本の電話の中で組み合わせられます。プッシュ操作で用件を分ける流れの作り方は「コールフローとは?」、生成AIを使った対話型の仕組みは「対話型AIボイスボットと従来型の違い」で詳しく紹介しています。
SMSで請求書類の案内とWebフォームを送る
Web提出に対応する請求なら、電話で用件を確認したあとにSMSで手続きページを案内できます。送信前に携帯電話番号を確認し、SMS本文には病名や請求内容を書かず、貴社の公式手続きページへ案内します。郵送が必要な商品や契約者には、書類発送の受付へ分岐する形です。
例えば、ペット保険でWeb請求に対応している場合は、着信時に「保険金のご請求ですね。証券番号を入力してください」と案内し、続いて請求の種類と折り返し先を聞きます。SMSを希望する契約者には手続きページのURLを送り、書類郵送を希望する契約者は発送依頼を受けます。これは受付フローの設計例であり、ペット&ファミリー損害保険の実際の通話手順を示すものではありません。
かんぽ生命保険は2025年10月から、コールセンターへの電話とSMSを使い、入院保険金・手術保険金等の請求書類をスマートフォンで撮影して専用Webサイトに提出する方法を全国で始めました(出典:かんぽ生命保険の発表)。この事例では電話の案内はコミュニケーターが担当します。電話とSMSとWebをつなぐ例であり、電話受付を自動化した事例ではありません。
受け付けた内容を担当者に渡す
一般の請求連絡や書類の取り寄せは、担当者が翌営業日に確認できる形で残します。事故直後の支援が必要な電話は、その場で有人の事故対応窓口へつなぐ対象です。受付後に誰がいつ動くかを決め、処理漏れを防ぎます。
録音と受付データを残す
受付の内容は、録音と、プッシュ操作や音声認識で受けたデータの両方で残します。担当者は受付データで一覧を作り、内容が分かりにくいものだけ録音を聞いて確認します。弊社の自動受付IVRでは、受付データをWeb管理画面からCSVでダウンロードでき、録音した音声も管理画面で確認できます(出典:自動受付IVR)。
既存の請求管理システムに入れる
件数が多い窓口では、受付データを請求管理システムへ直接入れる連携を検討します。自動受付IVRはAPI連携に対応しており、API連携ができない環境でも、必要なデータを定期的にアップロードすれば、顧客認証や受付データの連携が可能です。契約者がSMSで受け取った補正用URLからマイページにアクセスし、受付内容を自分で直せる機能も用意しています。入力の誤りを担当者が電話で確かめる手間を減らせる点が利点です。
保険会社6社の電話受付と請求手続きの事例
保険会社が電話で何を受け、次の手続きへどうつないでいるかを、公表資料で確認できた範囲で並べます。かんぽ生命保険の例は有人の電話案内とSMS・Web提出を組み合わせた事例です。自動音声を使った事例と区別して見てください。
| 会社と時期 | 対象の請求 | 受け方 | 人の対応と次の手続き |
|---|---|---|---|
| ペット&ファミリー 損害保険 |
ペット保険の 保険金請求の受付 |
自動受付IVRで 休日を含む24時間受付 |
営業時間内は分岐で オペレーター対応も可能、 時間外はIVRのみ |
| 東京海上日動 あんしん生命保険 (現行の手続き案内) |
入院・手術給付金の 請求書類の取り寄せ |
AI自動音声が証券番号、 病名やケガの内容、 入院日数、手術の有無などを聞く |
回答後に請求書類を郵送。 個別の照会はオペレーター |
| メディケア生命保険 (現行の手続き案内) |
給付金請求書類の 取り寄せなど |
自動音声で 24時間受付 |
給付金請求書類の 取り寄せを受け付ける |
| 損害保険ジャパン (2023年1月運用開始) |
事故サポートセンターの 保険金請求の連絡 |
対話型AIが氏名・電話番号・ 被害状況などを聞き取り、 システムへ自動入力 |
顧客が選んだ場合や 混雑時に対話型AIが応答。 最大1時間あたり3,000件の体制 |
| 楽天損害保険 (2024年12月本格運用) |
火災保険と傷害保険の 事故受付 |
AI自動音声が 事故の連絡を聞き取る |
AI・オペレーター・Webから 選べる |
| かんぽ生命保険 (2025年10月全国開始) |
入院保険金・ 手術保険金等の請求 |
電話とSMSで案内し、 書類はスマートフォンで 撮影してWeb提出 |
電話の案内は コミュニケーターが担当 |
出典:ペット&ファミリー損害保険は弊社の導入事例、東京海上日動あんしん生命保険は現行の請求案内、メディケア生命保険は現行の自動音声の案内、損害保険ジャパンは両社の発表、楽天損害保険は同社の開示資料、かんぽ生命保険は同社の発表。保険業界のデジタル化の全体像は「保険のDXとは?」で紹介しています。
事例を自社の受付設計にどう生かす?
まず、同じ「請求」でも受ける工程を分けます。東京海上日動あんしん生命保険のAI自動音声は、病名やケガの内容、入院日数、手術の有無まで聞いて書類を送ります。メディケア生命保険の公表ページで確認できるのは、24時間の給付金請求書類の取り寄せです。自社で必要な聞き取り項目を決めるときも、各社の公表範囲を超えて同じ機能があるとは扱わないでください。
自動音声を使う時間と用件も検討点です。ペット&ファミリー損害保険は営業時間外をIVRのみとし、営業時間内は有人への分岐があります。損害保険ジャパンは契約者が選んだときや混雑時に対話型AIが応答します。自社では時間帯別着信を見て、時間外から始めるか、混雑時にも使うかを判断してください。
かんぽ生命保険の例は、自動音声ではなくコミュニケーターが電話で案内し、SMSとWebで書類を受ける方法です。自社でも、電話受付を自動化するかどうかと、書類提出をWebへ移すかどうかは別々に決められます。
自動で受ける電話と、人が受ける電話はどう分ける?
まず自動で受ける候補は、聞く項目が定まった書類の取り寄せや定型の連絡です。事故直後の支援が必要な電話、亡くなった方に関する請求、契約者が相談を希望する電話には、人につながる経路を用意します。以下は保険会社の共通ルールではなく、貴社の受付基準を作るための例です。
自動受付に向く請求
自動受付を検討しやすいのは、請求書類の取り寄せや、通院・入院などの定型の連絡です。ただし、同じ「入院の連絡」でも病状の相談が含まれれば人の対応が必要になります。商品や契約によって必要書類も違うため、用件名だけで一律に自動化せず、受け付ける内容と例外を決めます。
担当者につなぐべき電話は?
担当者につなぐ候補は、事故直後の支援が必要な連絡と、個別の相談です。保険金請求でも、請求書類の取り寄せだけで済む電話と、ケガ人の救護や事故対応の案内が必要な電話では、受け手を分けます。次の表を貴社の振り分けを考える例として使ってください。
| 電話の場面 | 受け方 | 理由と設計 |
|---|---|---|
| 通院・入院・手術の 定型の請求 |
自動受付の候補 | 聞く項目が決まっている。 Web対応ならSMSで案内する |
| 建物・家財の 軽い損害の事故の連絡 |
自動受付の候補 | 発生日と損害の種類を受ける。 緊急の支援が必要なら人へ |
| 相手のいる事故、 ケガ人がいる事故 |
人 | 救護や警察への連絡など、 事故直後の対応を優先する |
| 亡くなった方に関する 請求 |
人 | 遺族への配慮と、 手続きの個別の説明が要る |
| 契約者が動揺している、 相談したいと言う |
人 | 「相談したい方は0番」 などの分岐をいつでも選べるようにする |
| 入力の失敗や 聞き取りの失敗が続く |
人 | 2回失敗したら担当者につなぐ など回数を決めておく |
| 営業時間外に 担当者が受けるべき電話 |
緊急度で分ける | 緊急の事故は24時間の有人窓口へ。 一般の相談は折り返しを受ける |
時間外の対応は、事故直後の支援が必要な連絡と、翌営業日の折り返しでよい一般の相談を分けます。ケガ人がいる場合は、まず救護や警察への連絡など安全確保を優先する案内を出し、保険会社の24時間の事故対応窓口へつなぎます。窓口の経路と案内文言は、貴社の既存手順に合わせて決めてください。
担当者につなぐときは聞き取った内容を渡す
担当者につなぐときは、自動受付で聞いた証券番号や請求の種類を、電話を受けるオペレーターに渡します。株式会社電話放送局が職場で電話対応に携わる255名を調べたところ、自動音声から人への切り替えを経験した203名の79.3%が困った経験を持ち、33.0%は伝えた用件をもう一度説明していました(出典:電話対応に関する調査)。保険金請求に限定した調査ではありませんが、同じ説明を繰り返させないための確認材料になります。転送先の画面に受付内容を表示できるか、転送できない時間帯は誰に記録を渡すかを確かめます。
営業時間内はオペレーターを選べる分岐を残す
営業時間内は、自動受付の最初のほうに「オペレーターと話したい方は」という分岐を置きます。人につながる条件をガイダンスで明示し、すでに聞いた用件を引き継ぐと、契約者が同じ説明を繰り返さずに済みます。人と自動の分け方を業種を問わず整理した「AI電話対応とは?任せられる電話と人が受ける電話の分け方」も参考にできます。
導入前に確認すること
保険金請求の受付を自動にする前に、契約者が使えるか、個人情報を正しく扱えるか、災害時に受けきれるか、受け付けたあと誰が処理するかの4点を確かめます。どれも、導入後に変えようとすると手間がかかる項目です。
高齢の契約者でも操作できるか?
高齢の契約者が多い窓口では、実際の契約者に近い人に電話をかけてもらい、操作を確かめます。株式会社電話放送局による50〜70代241名の調査では、ボイスボットへの不安として「話した内容を正しく聞き取ってもらえるか」が22.4%、「結局オペレーターにつながるなら二度手間ではないか」が22.0%でした(出典:コールセンター利用者調査)。保険金請求に限定した調査ではありません。試すときは、証券番号を聞き直せるか、担当者に聞き取った内容が渡るか、SMSを使えない人に書類郵送を案内できるかを確認します。高齢の利用者に向けた電話窓口の工夫は「コールセンターは高齢者対応の強化が必要?」で紹介しています。
病歴を聞くときの個人情報の扱い
医療保険や生命保険の給付金請求では、病名や入院の理由など、病歴に関わる情報を扱う場合があります。個人情報保護法第2条第3項は病歴を要配慮個人情報に含め、個人情報保護委員会のガイドラインは、取得に原則として本人の同意が必要だと説明しています(出典:個人情報保護委員会のガイドライン)。電話でどの情報を聞くか、同意をどう確認するか、録音をどこにどれだけ保存するかを、社内の個人情報担当部署と事前に決めてください。通話録音の保存や告知は「コールセンターの通話録音に開示義務はある?」で紹介しています。
委託先を選ぶときは、情報セキュリティの認証も確認します。株式会社電話放送局は、ISMS(ISO27001)認証「IS 633167」(登録範囲 全社)、プライバシーマーク、クレジットカード情報を取り扱うIVRシステムでのPCI DSS認証を取得しています(出典:DHK CANVAS)。
災害時に同時に何件まで受けられるか?
確認するのは、自社の番号から自動受付までの着信経路と、同時に受けられる件数です。転送元の回線が少なければ、自動受付側の容量が大きくても着信が詰まる可能性があります。弊社の自動受付IVRには300ch共用型のほか、600ch・1,200ch共用型があります(出典:自動受付IVR)。これらは構成の種類であり、貴社の番号で災害時に受けられる件数の保証ではありません。過去のピーク時の着信と転送経路を確認し、必要な容量を見積もります。
受け付けた請求は誰がいつ処理する?
24時間受付を始める前に、緊急の事故連絡は誰にすぐ渡し、一般の請求や書類の依頼は誰が翌営業日に確認するかを決めます。折り返しの約束をする場合は、担当者と期限も決めてください。受付日時、聞き取った内容、転送・折り返しの履歴を残せば、処理漏れや二重対応を調べられます。
導入事例:ペット&ファミリー損害保険の保険金請求受付
ペット&ファミリー損害保険株式会社は、保険金請求の電話受付を自動受付IVRに切り替え、受付時間を休日を含む24時間に広げました。ここからは、弊社の導入事例に書かれている内容を紹介します(出典:導入事例 ペット&ファミリー損害保険株式会社)。
課題:平日9時〜17時の受付では、混雑時や休日の電話に対応できなかった
同社では、保険金請求の電話受付をオペレーターが担当し、受付時間は平日の9時〜17時に限られていました。請求希望の電話が混み合ってつながりにくく、休日には対応できていなかったといいます。すべてを人で受けていたため、請求件数が増えるとそれに比例してオペレーターを増やす必要があり、業務コストは年々増えていました。導入にあたっての検討ポイントは、導入コスト、人件費削減、使いやすさの3つでした。
解決:自動受付IVRで休日を含む24時間受付に
同社は保険金請求受付の電話をIVRによる自動応答に変え、受付時間を休日を含む24時間に広げました。営業時間内はコールフローの分岐でオペレーターも対応できるようにし、お客様サービスの低下を防いでいます。休日を含む営業時間外はIVRのみの受付です。導入後の効果として、事例ページには「お客様満足度 大幅アップ」「オペレーター数 増加抑制」と書かれています(数値の記載はありません)。担当者は、契約者に不安や戸惑いを与えないか少し懸念していたものの、導入後は想定よりもスムーズに、多くの契約者にIVRによる受付を利用してもらえたと話しています。
同社はほかにも、保険金請求ができるマイページへの会員登録の案内と、更新手続きの案内をSMSで送る取り組みをしています。書面で案内していたころより会員登録率が上がり、ハガキからSMSに変えたことで郵送コストも減ったと紹介されています(出典:導入事例 SMSによる案内)。
プッシュ操作から始めるか、話して受けるか
ペット&ファミリー損害保険の例は、自動受付IVRを使い、営業時間内の人の窓口も残した形です。ただし、事例ページは実際に聞き取る項目や操作方法を公表していません。自社の導入では、時間外と定型の用件から始める案と、営業時間内の混雑時にも使う案が比較対象です。
数字や選択肢をプッシュ操作で受ける場合は自動受付IVRを、言葉による用件の聞き取りが必要ならDHK CANVASを検討できます。DHK CANVASは聞き取れないときの言い直しや確認、内容を添えた有人転送の機能を備えたサービスです。どちらを使う場合も、保険金請求での本人確認、受付項目、夜間の緊急連絡先は貴社の業務に合わせて設計します。
よくある質問
Q. 保険金請求の電話受付を自動化すると、契約者の満足度は下がりませんか?
満足度が下がるかどうかは、受付時間と人への切り替え方によります。ペット&ファミリー損害保険は、営業時間内はオペレーターにもつながる形で受付を24時間に広げ、導入事例では「お客様満足度 大幅アップ」と紹介されています。貴社でも導入前後の待ち時間と契約者の声を確かめてください。
Q. 事故受付を自動音声に任せて、聞き取りを間違えたらどうなりますか?
聞き取りを間違える可能性はあるため、重要な項目は復唱して確認し、訂正や人への切り替えを選べるようにします。証券番号などはプッシュ操作も候補ですが、入力間違いがないか確認は必要です。録音を使う場合は、担当者がどの時点で照合するかも決めます。
Q. 高齢の契約者でも自動音声で請求できますか?
利用できる人もいますが、契約者に近い人で実際の操作を確かめることが必要です。案内を聞き直せるようにし、操作が続けられないときは人につなぐか折り返しを受けます。SMSを使えない人には、書類郵送など別の手段も案内します。
Q. 営業時間内はオペレーターにつなぎたい場合はどうしますか?
時間帯で分岐するコールフローを作ります。営業時間内は「オペレーターと話したい方は」という選択肢を置いて人の窓口へ転送し、営業時間外は自動受付だけで受けて翌営業日に処理します。ペット&ファミリー損害保険の運用も、この形です。
Q. 台風や地震の直後に電話が集中しても受けられますか?
受けられる件数は、自社の番号から自動受付までの経路と、同時着信の設定によります。過去の災害時のピーク、転送元の回線数、委託先の構成を照らし合わせてください。SMSでWebへ案内する設計なら、電話で聞く項目を減らせますが、実際の処理能力は構成を決めてから確認します。
Q. 受け付けた内容は既存の請求管理システムに入れられますか?
連携方法は請求管理システムの仕様によります。弊社の自動受付IVRはAPI連携とCSVでのデータ出力に対応可能です。既存システムで取り込める項目と形式を確認し、まずは担当者がCSVを確認する運用も含めて検討します。
最後に、保険金請求の電話受付の自動化について、よくある質問に回答します。
まとめ
保険金請求の電話受付では、用件の聞き取りと次の手続き案内が自動化の候補です。本人確認や書類の審査、支払判断はそれぞれ別に設計します。Web提出に対応する請求ではSMSで手続きページへ案内でき、郵送が必要な請求には別の経路を残す設計です。事故直後の支援や個別の相談が必要な電話は、適切な人の窓口につなぎます。
最初の一歩として、直近の請求の電話を時間帯と用件ごとに数えてみてください。時間外や混雑時に多い用件が分かれば、自動受付の候補と、人に残す電話を具体的に検討できます。株式会社電話放送局はIVRやボイスボットによる電話の自動化サービスを提供しており、導入実績は1,500社以上です。請求受付の経路や有人対応への切り替えは、弊社の導入事例とあわせてご相談いただけます。
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コロナ禍におけるユーザーのデジタル行動変容を受け、マーケティング部門を立ち上げ、責任者に就任。インサイドセールスを統括し、営業部門との連携を強化。自動音声応答の導入、運用、集客、営業の幅広い経験を有する。
IVRおよびコールセンター市場における20年以上の知見を活かし、ユーザーの検索行動やニーズを深く理解したマーケティング戦略を展開。
検索連動広告の運用経験を基に、現場で役立つ実践的な情報を発信し、読者のビジネス成功を力強くサポートします。
営業部 営業企画・推進チーム シニアリーダー 前田泰延
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