タクシーの配車電話をAIで受けるには|聞き取り項目と人に回す電話の分け方
2026/11/02
雨の日の朝に配車電話が重なると、配車係が電話を取りきれないことがあります。AIに任せる場合は、迎車地の聞き間違いも心配です。タクシーの配車電話のうち、迎車地・乗る方の名前・人数・折り返し先を順に聞いて確認できる依頼は、AIによる一次受付の対象です。一方で、忘れ物やクレーム、聞き取れない迎車地は人に回す前提で組む必要があります。
なお、タクシーのAIには、アプリから希望日時を指定するAI予約や乗車需要の予測に使うものもあります。本記事で扱うのは、タクシー会社にかかってくる配車電話をAIが受ける仕組みです。AIに任せる電話と人に残す電話の分け方、聞き取る項目と会話の流れ、迎車地の確かめ方を解説します。あふれた電話や夜間から始める手順も示します。
目次
・まとめ
タクシーの配車電話をAIで受けるとは?
配車電話をAIで受けるとは、お客様からの「車を1台お願いします」という電話に自動音声のAIが応答し、迎車地や名前、折り返し先を聞き取って、配車係や配車システムへ渡す仕組みのことです。配車そのもの(どの車両を向かわせるか)は、これまでどおり配車システムや配車係が決めます。AIが受け持つのは、電話の入口の聞き取りと確認です。
需要予測のAIや配車アプリとは何が違う?
違いは、AIが扱う場面です。例えばGOのAI予約は、利用者がアプリで希望日時を指定し、需要予測を使って車両を探す機能です。配車電話のAIは、かかってきた電話で迎車地などを聞き取り、配車室へ渡します。
| 種類 | AIがすること | 解決する課題 |
|---|---|---|
| 需要予測・ 配車アプリのAI |
利用者がアプリで指定した日時に合わせ、 需要を予測して車両を探す |
アプリからの予約を受け、 指定日時に向けて車両を探す |
| 配車電話を 受けるAI |
電話に応答し、迎車地・名前・ 折り返し先などを聞き取って確かめる |
電話の取りこぼしを減らす、 配車係の電話対応の負担を減らす |
電話を受けるAIは、技術としてはボイスボットと呼ばれるものです。プッシュ操作で用件を選んでもらうIVR(自動音声応答)と組み合わせて使うこともできます。AIで受けられる電話の全体像は「AI電話対応とは?」で紹介しています。
配車電話をAIが受けるときの流れ
具体的な流れは次のとおりです。着信するとAIが応答し、「今すぐのお迎えですか、ご予約ですか」と尋ねます。「今すぐ」と答えたお客様には迎車地を話してもらい、AIが「◯◯病院の正面玄関でよろしいですか」と復唱する流れです。「はい」と答えてもらえたら、名前と折り返し先を聞いて一次受付を終え、内容を配車係の画面や配車システムへ送ります。その後に車両を手配し、手配できたかどうかをお客様に知らせます。AIが「受付しました」と伝える時点では、車両の確保がまだ終わっていない運用もあるため、案内を分けることが欠かせません。
途中で迎車地が聞き取れなかったときや、お客様が「忘れ物の件で」と話したときは、AIが聞き取った内容を添えて配車係へ電話を回します。全部をAIで終わらせるのではなく、AIで終わる電話と人に回す電話を最初から分けて設計するのが、配車電話をAIで受けるときの基本です。
タクシー会社が配車電話にAIを使う理由
雨が降り出した直後や朝夕など、車を呼ぶ電話が重なる時間帯には、配車係がすべての電話に出るのが難しくなります。「今すぐ乗りたい」という依頼には、後からの折り返しでは間に合わない場合があるため、取りこぼしの対策が必要です。電話の取りこぼしと混雑する時間帯は、着信記録から確かめます。調べ方は「あふれ呼とは?」も参考になります。
アプリを使わずに電話で呼ぶお客様や、病院・ホテルの受付からの代理依頼もあります。ただし、代理依頼は乗る方と電話をかけた方が異なるため、通常の「今すぐ1台」と同じ会話に入れず、人が連絡先を確かめる設計が必要です。
京都MKの公式案内では、「今から1台」の電話でAIが名前、番地までの迎車先、行き先を聞き取ります。予約や複数台は別窓口へ案内し、名前と迎車先は復唱する運用です。同社は車両確定後の自動コールバックも公表しています。対象の電話を絞り、聞き取りから配車結果の連絡まで決めている実例です。
配車電話のうちAIに任せる電話・人に残す電話は?
AIに任せやすいのは、迎車地を住所や施設名で言える「今すぐ」の電話と、予約の一次受付です。到着予定の問い合わせは、配車システムから到着予定時刻を取得できる場合に限ります。人に残すのは、忘れ物、クレームや事故の連絡、聞き取れない迎車地、条件のある配車です。電話の種類ごとに、向き不向きと理由を表にまとめました。
| 電話の種類 | 受け手 | 理由 |
|---|---|---|
| 今すぐの迎車 (住所・施設名が言える) |
AIが一次受付 | 聞き取る項目と順番が決まっていて、 復唱で確かめられる。車両の手配は別に行う |
| 予約配車の受付 | AIが一次受付 | 日時・迎車地・人数を順に聞ける。 予約の確定は空車や運用条件の確認後に行う |
| 到着予定の問い合わせ | AI (配車システムと つながる場合) |
配車システムに到着予定時刻があれば答えられる。 時刻が出ない場合は配車係に回す |
| 営業時間・支払い方法 などのよくある質問 |
AI | 答えが決まっている。 料金の目安は自社の運賃表どおりの金額だけを答えさせる |
| 忘れ物 | 人 | 乗車日時や車両の特定、乗務員への確認など、 やり取りが毎回違う |
| クレーム・事故の連絡 | 人 | 事情を聞いて判断し、謝罪や対応を決める必要がある |
| 聞き取れない迎車地 | 人 | 目印や周りの様子を聞きながら、 地図で場所を探す必要がある |
| 車いす・介護・ 大型車などの条件付き配車 |
人 | 対応できる車両の空き状況を見て、 その場で調整する必要がある |
| 病院・ホテルなどからの 代理依頼 |
人 | 電話した人と乗る人が異なり、 手配結果の連絡先を確かめる必要がある |
| 法人契約・チケット利用の 例外的な依頼 |
人 | 契約内容の確認や、 決まりにない依頼への判断が要る |
表の「人」の電話も、最初の受け答えまではAIが受けてかまいません。AIが「忘れ物のご連絡ですね」と用件を聞き取り、乗車した日時や名前を聞いてから配車係へ回せば、配車係は用件を聞き直さずに対応を始められます。どの電話をAIで受けるかの考え方は、「ボイスボットと相性が良い業務は?」でも業種を問わず解説しています。
人に回すときは、聞き取った内容を添えて渡す
AIから人に電話を回すときに一番大切なのは、AIが聞き取った内容を配車係に渡すことです。株式会社電話放送局が、職場で電話対応に携わる20〜60代の男女255名に行った調査では、自動音声から人に代わる電話を経験した人の79.3%が、切り替えのときに困った経験を挙げました。経験者のうち33.0%が「自動音声で伝えたはずの要件を、もう一度説明する必要があった」と答えています(出典:株式会社電話放送局「電話対応業務の負担と自動化ニーズに関する実態調査」、詳細は調査レポート)。
配車の電話で同じことが起きると、お客様は迎車地をもう一度説明することになり、急いでいるお客様ほど不満を感じます。人に回すときは、AIが聞き取った迎車地・名前・用件を配車係の画面に表示するか、通知で届けるように設計してください。
AIが配車電話で聞き取る項目と会話の流れ
配車電話でAIが聞き取る項目は、迎車地・乗る方の名前・人数・折り返し先が基本です。予約では日時を加え、行き先や車種の希望は会社の運用に合わせて聞きます。ここでは、聞き取る項目の一覧と、そのまま会話の設計に使える流れの例を紹介します。
聞き取る8つの項目
項目を増やすほど通話が長くなり、途中で切られる電話も増えます。必須の項目だけを先に聞き、任意の項目は会社の運用で必要なものだけに絞るのが基本です。
| 項目 | 必須か任意か | 聞き取りのコツ |
|---|---|---|
| 今すぐか予約か | 必須 | 最初に聞いて、その後の流れを分ける |
| 迎車地 | 必須 | 住所より施設名で言うお客様が多い。 施設名と出入口の名前を辞書に登録しておく |
| 目印・待つ場所 | 任意 | 「正面玄関」「北口のロータリー」など、 迎車地の中のどこで待つかを聞く |
| 名前 | 必須 | 乗る方の名前を聞く。 代理で電話している場合は人に回す |
| 折り返し先の電話番号 | 必須 | 発信者番号が取れる場合も、 乗る方につながる番号か確認する |
| 人数 | 必須 | 乗車定員を超える場合は人に回す |
| 迎車の時間 (予約の場合) |
予約では必須 | 「明日の朝7時」のような言い方を、 日付と時刻に直して復唱する |
| 行き先・車種の希望 | 任意 | 大型車や車いすなど条件がある場合は、 その時点で人に回す |
迎車地の聞き取りで精度を左右するのは、地元の施設名や通称をどれだけ登録しておくかです。「市民病院」「◯◯さんの前」のように、地元のお客様が使う呼び方は地域ごとに違います。配車係がふだん聞いている呼び方を集めて、同じ場所を指す言い方として登録しておくと、聞き取れる迎車地が増えていきます。
会話の流れの例
会話の流れは短く、「はい」か「いいえ」で答えられる確認を中心に組みます。以下は、乗る方本人からの「今すぐ1台」をAIが一次受付する例です。代理での依頼は別に分けます。
| 順番 | AIの案内 | お客様の答えの例 |
|---|---|---|
| 1 挨拶と用件 | 「◯◯タクシーです。お乗りになるご本人からの 今すぐ1台のご依頼は『今すぐ』、ご予約は『予約』、 代理や複数台などは『そのほか』とお話しください」 |
「今すぐ」 |
| 2 迎車地 | 「お迎えの場所を、住所か建物の名前で お話しください」 |
「市民病院」 |
| 3 待つ場所 | 「市民病院ですね。正面玄関と救急の入口の どちらでお待ちですか」 |
「正面玄関」 |
| 4 名前 | 「お名前を名字でお話しください」 | 「田中です」 |
| 5 人数 | 「何名様でお乗りになりますか」 | 「1人です」 |
| 6 折り返し先 | 「配車結果をお伝えする番号をお話しください」 聞き取った番号を復唱して、 「この番号でよろしいですか」 |
番号を話し、 「はい」と確認する |
| 7 復唱と確認 | 「田中様1名を、市民病院の正面玄関に お迎えですね。よろしければ『はい』、 違う場合は『いいえ』とお答えください」 |
「はい」 |
| 8 一次受付の完了 | 「ご依頼を受け付けました。○時○分までに、 車両を手配できたかこの番号へご連絡します。 連絡がない場合は再度お電話ください」 |
(電話を切る) |
1の最初の案内で「そのほか」の入口を用意しておくと、忘れ物やクレームの電話を配車係へ回せます。病院やホテルからの代理依頼では、乗る方の名前と手配結果の連絡先を分けて確認する必要があります。そのまま本人向けの流れに入れず、配車係へ引き継ぐ設計です。6では発信者番号を使う場合も「今おかけの番号に折り返してよろしいですか」と確認し、別の番号を聞く場合は数字を復唱します。番号が確認できなければ、プッシュ入力か人への引き継ぎが必要です。7の確認で「いいえ」と答えたお客様には、迎車地をもう一度尋ねます。再確認しても合わなければ人に回す、といった設定が考えられます。8の「○時○分」には、配車室が実際に守れる折り返し時刻を入れてください。確認の電話に出てもらえない場合に依頼を取り消す運用なら、「確認のお電話に○回つながらない場合は、ご依頼を取り消します」と8の案内に加えてください。受付完了と車両確定は、案内を分ける必要があります。
会話全体の組み立て方は、「コールフローとは?」で、フロー図の書き方も含めて解説しています。
予約や代理からの電話を受けたら?
予約では、今すぐの依頼とは別に、希望日と時刻を聞いて復唱します。例えば「11月2日の午前7時、市民病院の正面玄関に1名様のお迎えをご希望ですね」と確かめ、「予約のご希望を受け付けました。車両と日時を確認し、○時○分までに確定できたかご連絡します」と案内します。希望を聞いた時点で予約が確定したように伝えないことが大切です。予約をその場で確定できる会社なら、配車システム側の確定条件と連絡方法を確認してから、案内を変える設計です。
「そのほか」に入る代理依頼や複数台、車いす対応、忘れ物などは、用件を短く聞いて配車係へ転送します。代理依頼では、電話した人、乗る人、手配結果を伝える相手は同じとは限りません。「お乗りになる方のお名前と、配車結果をお伝えする電話番号を教えてください」と確かめ、代表番号をそのまま乗る方の連絡先として登録しないようにします。
配車係がすぐ電話に出られない場合は、そのまま待たせ続けません。「担当者から折り返すため、お名前と電話番号を教えてください」と伝え、何時までに連絡するかを案内します。折り返しを受けられないほど混み合っている時間帯には、転送先の人数や受付対象を先に見直す必要があります。
受付後に車両が見つからない場合の案内も決める
AIが電話を受けても、車両が見つからなければ配車は完了しません。特に「今すぐ」の依頼では、受付時に伝えた時刻までに手配結果を知らせる担当と、車両が見つからなかったときの案内を決めておく必要があります。待つか、別の交通手段を探すかをお客様が判断できるようにするためです。
車両を手配できたら、車両が決まったことと迎車地を連絡します。見つからなかった場合も放置せず、「車両を手配できませんでした」と伝えます。折り返しに出てもらえないときの再連絡回数と、その後に依頼を取り消すかどうかは、会社の運用で決め、受付時に案内してください。京都MKの公式案内は、車両が決まった後に確認の電話をかけ、応答がない場合の扱いまで公表しています。
同じお客様からの再入電にも注意が必要です。配車係が名前・電話番号・受付時刻で先の依頼を探せるようにし、二重に車両を手配しないようにします。取消の電話を受ける入口も、最初の案内で示しておくとよいでしょう。
常連のお客様には、前回の迎車地を確認する方法もある
配車システムにお客様の電話番号と過去の迎車地が登録されている場合は、かかってきた電話番号で照合し、「前回と同じ◯◯町の自宅でよろしいですか」と確かめる流れも考えられます。平岸ハイヤーの公式案内では、固定電話または携帯電話の番号と配車履歴を照合し、同じ場所への迎車が3回続いた場合、自動音声で迎車地を確認して注文を受けています。固定電話でも、SMSを使わずに迎車地を確かめる実例です。
ただし、この流れが組めるかどうかは、配車システム側の顧客台帳を外から参照できるかで決まります。配車システムの提供会社に、電話番号での顧客の照会に対応しているかを確かめてから計画してください。
迎車地を正確に受け取る3つの方法
迎車地を聞き間違えると、車両が別の場所に向かう原因になります。音声の聞き取りはどのサービスでも100%にはならないので、聞き取った内容を確かめる仕組みを重ねて防ぐのが基本です。ここでは、その方法を3つ紹介します。
| 方法 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| ① 復唱して 「はい・いいえ」で確かめる |
すべての配車電話 | 似た名前の施設があるときは、 地区名も添えて復唱する |
| ② SMSで確認画面を送り、 本人に直してもらう |
予約配車など、 時間に余裕のある受付 |
発信番号が携帯電話でない場合は、 SMSを受け取れる番号を別に確認する |
| ③ 聞き取れなければ 人に回す |
地名が珍しい、雑音が多い、 お客様が慌てているとき |
回した先で聞き直さないように、 聞き取った内容を添える |
方法① 復唱して「はい・いいえ」で確かめる
1つ目は、聞き取った迎車地をAIが読み上げ、お客様に「はい」か「いいえ」で答えてもらう方法です。自由に話してもらう部分は迎車地と名前だけにして、確認は二択にすると、聞き取りの誤りが起きる場所を減らせます。
同じ名前の施設が市内に2つあるときや、駅に複数の出口があるときは、「◯◯町の市民病院」「北口」のように区別できる語を添えて復唱します。地元の配車係が「どっちの◯◯ですか」と聞き返しているところは、AIの会話でも同じ聞き返しを入れておくと安心です。
方法② SMSで確認画面を送り、本人に直してもらう
2つ目は、聞き取った内容をSMSでお客様に送り、画面で確認や修正をしてもらう方法です。音声で聞き取ったものを文字で見てもらうため、住所の番地や建物名の誤りに気づいてもらえます。
業種は違いますが、株式会社ダスキン様はエアコンクリーニングの受付で、自動音声で住所や名前を受け付けたあと、SMSで「マイページ」のURLを案内し、お客様自身に受付内容の確認や修正をしてもらっています。同社は音声認識が完全ではないことから、この確認・修正機能を導入の決め手に挙げています(出典:導入事例 株式会社ダスキン様)。
タクシーの場合、今すぐの配車では画面を開く時間がないお客様も多いため、予約配車の受付で使うのが現実的です。発信番号が固定電話だったり非通知だったりすると、その番号にはSMSを送れません。SMSを受け取れる別の携帯電話番号がなければ、復唱で確かめるか、人に回します。電話からSMSで案内する仕組みは「IVR×SMSとは?」で詳しく紹介しています。
方法③ 確認しても聞き取れなければ人に回す
3つ目は、AIでの聞き取りに回数の上限を決めておく方法です。例えば、迎車地を2回確認しても合わなければ配車係へ回します。上限は、通話記録で聞き直しの回数と途中で切れた電話を確かめて決めてください。何度も聞き返すと、お客様が電話を切るおそれがあります。
人に回すときは、AIが聞き取れた部分(「◯◯町」まで分かっている、など)を配車係に渡します。配車係は残りの部分だけを聞けばよく、お客様も最初から話し直す必要がありません。高齢のお客様の声の聞き取りについては、「コールセンター利用とAI自動応答に関する意識調査」で、50〜70代の方が自動音声のどこに不安を感じるかも紹介しています。
AIが受け付けた内容を配車係やシステムへどう渡す?
AIが受け付けた内容の渡し方は、自動登録、画面やメールでの通知、人への電話転送の3つです。配車システムに自動登録できるかは、外部からデータを受け取れるかによって決まります。配車システムの提供会社にも確認してください。
受け付けた内容を渡す3つの方法
| つなぎ方 | 仕組み | 向いている会社 |
|---|---|---|
| ① 配車システムに 自動で登録する |
聞き取った内容をAPIで配車システムに渡し、 受注として登録する |
配車システムが外部からの登録に対応している会社 |
| ② 配車係の画面や メールに届ける |
受付内容を画面や通知で配車係に届け、 配車係が配車システムに入力する |
配車システムを変えずに始めたい会社 |
| ③ 配車係へ 電話を転送する |
聞き取りが難しい電話を人に回し、 それまでに分かった用件を伝える |
場所や車両の条件を、 配車係がその場で確認する会社 |
②と③は、配車システムの改修なしで試せる可能性があります。②では配車係が受付内容を見てシステムに入力するか、無線で乗務員に指示する運用です。③では、迎車地や車両条件を人が直接確かめます。受付件数が増えて転記の手間が重くなったら、①の自動登録を検討します。
DHK CANVASは、聞き取った内容の記録と担当者へのメール通知に対応しており、APIやマスタデータの参照によって既存の顧客管理・受付システムと連携した応対もできます(出典:DHK CANVAS)。配車システムとつなげられるかは、配車システム側の対応によって変わるため、個別にご相談ください。
聞き取った内容をシステムに取り込んだ事例
通販の事例ですが、スカイネット株式会社様は、混み合って受けきれない電話を自動音声で受け付けるあふれ呼IVRで受け付けたデータを、API連携で自社システムに取り込むようにしました。それまで責任者が割り振っていた折り返しの依頼を自動で分配できるようになり、折り返しまでの平均所要時間を55%短縮しています(出典:導入事例 スカイネット株式会社様)。
配車でも、受付内容を人が転記する手間が残っていると、件数が増えた時間帯にそこが詰まります。電話を受ける部分だけでなく、受けた内容が配車係の手元に届くまでの時間も見て、つなぎ方を選んでください。
「車両が決まった」「到着した」を自動で知らせる
配車が決まったあとの連絡も、自動にできる部分です。MKタクシーの例では、車両が確定したとき・到着したとき・車両が見つからないときに、自動応答でお客様に電話をかけ、「はい」か「いいえ」で答えてもらっています。電話をかける代わりに、SMSで車両番号や到着予定を知らせる方法でもかまいません。
この連絡を自動にするには、「車両が決まった」という情報を配車システムから受け取る必要があります。配車システムとつながっていない場合は、配車係が手配を終えたときに知らせる、受付の時点で「車両が決まりましたらお電話します」と案内して配車係がかける、といった運用から始めます。自動で電話をかける仕組みは「オートコールとは?」で解説しています。
あふれた電話・夜間・予約配車からAIを試す
配車電話のAIは、すべての電話を一度に置き換える必要はありません。取りこぼしが一番多い場面だけで始めて、結果を見ながら広げるほうが、お客様にも配車係にも負担が少なく済みます。ここでは始め方を3つと、試すまでの手順を紹介します。
始め方① あふれた電話だけAIに回す
1つ目は、配車係が全員話し中のときだけ、電話をAIに回す始め方です。ふだんは今までどおり配車係が受け、雨の日や朝夕の重なった時間帯にだけAIが受付を引き受けます。常連のお客様の多くは今までどおり人と話せるので、切り替えへの抵抗も小さい始め方です。
株式会社ダスキン様は、繁忙期に電話が混み合ってオペレーターにすぐつながらないとき、自動音声のガイダンスで希望するお客様を自動音声受付に転送しています。営業時間外の電話も同じ流れです。現在、エアコンクリーニングの注文件数の約10%を自動音声受付からの受注でまかなっています(出典:導入事例 株式会社ダスキン様)。
始め方② 深夜・早朝だけAIで受ける
2つ目は、配車係の人数が少ない深夜・早朝の時間帯だけ、AIで受ける始め方です。少人数で回している時間帯は、配車係が1件の手配に手を取られている間に、次の電話を取れなくなります。
始め方③ 予約配車の受付から始める
3つ目は、予約配車の受付だけをAIに任せる始め方です。「明日の朝7時に駅まで」のような予約は、今すぐの配車より時間に余裕があり、SMSで確認画面を送る方法も使えます。予約の受付が配車係の手を止めている会社では、効果が分かりやすい始め方です。
試すまでの4つの手順
どの始め方を選ぶ場合も、次の4つの手順で進めると、効果を数字で確かめられます。
1. 通常日と雨天・繁忙日の配車電話を時間帯ごとに数え、話し中や呼び出し音のまま切れた電話も含めて内訳を出す 2. 取りこぼしが一番多い時間帯と、電話の種類(今すぐ・予約・忘れ物など)を決める 3. その時間帯か電話の種類だけで、AIの受付を試す 4. AIで受付まで終わった割合と、人に回した割合、回した理由を見て、会話や辞書を直す
4で見る「人に回した理由」は、次に直す場所を教えてくれる記録です。聞き取れなかった迎車地の言い方を辞書に足し、選択肢にない用件の入口を作る、といった調整を重ねると、AIで終わる電話の割合が上がっていきます。DHK CANVASでも、夜間・休日だけ自動化する、特定の用件だけAIが対応する、複雑な用件はオペレーターへ引き継ぐといった段階的な導入ができます(出典:DHK CANVAS)。
AIで配車電話を受け始めてから起きやすいつまずきは?
起きやすいのは、迎車地の聞き取り、人への回し方、雨の日の回線の3つに関わるつまずきです。困っていることごとに、原因と直し方を表にまとめました。
| 起きていること | 考えられる原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 迎車地の聞き直しが多い | 地元の施設名や通称が 辞書に入っていない |
聞き取れなかった言い方を記録から拾い、 同じ場所を指す言い方として登録する |
| 途中で切れる電話が多い | 聞く項目が多い、 案内が長い |
必須の項目だけに絞り、 案内の文を短くする |
| 人に代わった後、 お客様が説明し直している |
聞き取った内容が 配車係に届いていない |
迎車地・名前・用件を 配車係の画面や通知に表示する |
| 忘れ物やクレームの電話が 配車の流れに入ってくる |
最初の案内に 配車以外の入口がない |
最初の案内で「そのほか」の入口を作り、 すぐ人に回す |
| 雨の日にAIにも つながらない |
今の電話番号から転送していて、 転送元の回線数が足りない |
同時にかかってくる件数を数え、 回線を増やすか、AI用の番号を案内する |
| 車が別の場所に向かった | 似た名前の施設を 区別せずに受け付けた |
地区名や出入口の名前を添えて復唱し、 「はい」の確認を取る |
表の中で見落とされやすいのが、雨の日の回線です。今の電話番号からAIへ転送する場合、受けられる電話の数は転送元の回線数が上限になります。AIの側にどれだけ回線があっても、転送元が足りなければ、混み合う時間帯に話し中が起きます。回線数の考え方は「あふれ呼とは?」で計算の方法を紹介しています。
導入前に確かめること
AIで配車電話を受ける前に、回線、電話番号、人への回し方、記録の扱い、お客様への案内、配車システム、費用の7つを確かめておくと、始めてから慌てずに済みます。確かめる相手と合わせて表にしました。
| 確かめること | 具体的に見る点 | 確かめる相手 |
|---|---|---|
| 回線数 | 雨の日や朝夕に、同時に何件の電話がかかるか | 自社の着信記録、電話会社 |
| 電話番号 | 今の番号のまま転送で使えるか、 転送元の回線数は足りるか |
AIのサービス提供会社、電話会社 |
| 人への回し方 | どの電話を、どの番号の配車係に回すか。 聞き取った内容をどう渡すか |
配車室の責任者 |
| 通話録音と個人情報 | 録音の告知、記録の保存期間、 誰が見られるか |
社内の個人情報の担当者 |
| お客様への案内 | 常連のお客様に、切り替えをいつから、 どう知らせるか |
営業所、配車室 |
| 配車システムとの連携 | 外部からの登録や電話番号での照会に 対応しているか |
配車システムの提供会社 |
| 費用の決まり方 | 月額に含まれる件数、超えた分の単価、 通話料の扱い |
AIのサービス提供会社 |
通話録音の告知文の例や保存期間の考え方は、「コールセンターの通話録音に開示義務はある?」で紹介しています。費用の考え方は「ボイスボットの費用相場」が参考になります。
よくある質問
Q. タクシーの配車電話は、AIだけで全部受けられますか?
全部をAIだけで受けるのは現実的ではありません。迎車地を住所や施設名で言える今すぐの配車や予約の受付はAIで受けられますが、忘れ物、クレーム、聞き取れない迎車地、車いすなど条件のある配車は人に回す前提で設計します。人に回すときも、AIが聞き取った内容を配車係に渡せば、お客様は同じ説明を繰り返さずに済みます。
Q. 高齢のお客様や方言でも迎車地を聞き取れますか?
地元の施設名や通称、方言の言い回しを、同じ場所を指す言い方として登録しておくと聞き取りやすくなります。それでも聞き取れない場合は、例えば2回確認しても合わなければ配車係に回すか、プッシュ操作に切り替えます。導入後は、聞き取れなかった言い方を記録から拾って登録を足してください。
Q. 今の電話番号や配車システムはそのまま使えますか?
DHK CANVASの場合、今お使いの電話番号から転送して使えます。転送する場合は、転送元の回線数が同時に受けられる電話の上限になるので、雨の日の同時着信の件数を先に確かめてください。配車システムは変えずに、受付内容を配車係の画面や通知で受け取る形から始められ、自動で登録できるかは配車システム側の対応によって変わります。
Q. 固定電話や非通知からの電話でも使えますか?
AIで受けること自体はできます。発信番号が固定電話や非通知の場合、その番号にはSMSを送れないため、復唱で迎車地を確かめるか、SMSを受け取れる別の番号を聞きます。確認が取れなければ配車係に回し、非通知の場合は折り返し先も聞いてください。
Q. 雨の日など電話が一気に増えたときも受けられますか?
AIの受付は、配車係の人数に関係なく、回線数の分だけ同時に電話を受けられます。DHK CANVASは7,000回線の通信基盤を持っていますが、今の電話番号から転送する場合は転送元の回線数が上限になります。雨の日に同時に何件かかってくるかを着信記録で確かめ、必要な回線数を決めておくことが大切です。
Q. まず一部の時間帯だけ試すことはできますか?
できます。始め方の例は、配車係が全員話し中のときだけAIに回す、深夜・早朝だけAIで受ける、予約配車の受付だけ任せる、の3つです。DHK CANVASの公式ページには利用開始まで最短約2週間とありますが、必要な期間は要件によって変わります。試した時間帯の結果を見てから範囲を広げられます。
まとめ
タクシーの配車電話をAIで受けるときは、AIで一次受付をする電話と人に回す電話を分け、迎車地を復唱して確かめます。迎車地・名前・折り返し先を短い会話で聞き取り、「はい・いいえ」で確認します。確認できないときに何回で人に回すかは、通話記録を見ながら設定してください。人に回す電話も、AIが聞き取った内容を添えて配車係に渡せば、お客様に同じ説明をさせずに済みます。
最初の一歩として、通常日と雨天・繁忙日の着信記録を時間帯ごとに分け、取りこぼしが多い時間帯を確かめてください。その時間帯のあふれた電話か、深夜・早朝の電話から試せます。株式会社電話放送局の電話自動化サービスの導入実績は1,500社以上で、聞き取る項目の設計から回線、人への回し方まで、ご相談いただけます。業種ごとの使われ方は導入事例もあわせてご覧ください。
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不要な入電を抑制しつつ売上向上を実現するなど、現場視点で成果を創出。電話放送局では営業マネージャーとして10年以上従事し、クラウド型IVRの業界シェア1位獲得に貢献。
コロナ禍におけるユーザーのデジタル行動変容を受け、マーケティング部門を立ち上げ、責任者に就任。インサイドセールスを統括し、営業部門との連携を強化。自動音声応答の導入、運用、集客、営業の幅広い経験を有する。
IVRおよびコールセンター市場における20年以上の知見を活かし、ユーザーの検索行動やニーズを深く理解したマーケティング戦略を展開。
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