ボイスボットの件課金と通話時間課金はどちらが安い?分かれ目の計算と試算表
2026/10/30
「A社の見積もりは1件いくら、B社は1分いくら。どちらが安いのか分からない」「本人確認がある窓口なので、時間で払うと料金が膨らむのではないか」。ボイスボットの見積もりを取り寄せたところで、こうして手が止まる担当者は少なくありません。
ボイスボットの件課金と通話時間課金のどちらが安いかは、1件あたりの平均通話時間で決まります。分かれ目になる時間は「1件の単価÷1分の単価」で出せて、例えば1件150円と1分50円なら3分です。平均通話時間が3分より長い窓口は件課金が安く、短い窓口は通話時間課金が安くなります。
自社の月の件数と通話時間を入れると3つの数え方の月額が並ぶ試算表と、各社の営業担当者にそのまま送れる確認項目9つも用意しました。
目次
・長い通話が多い窓口なら、件数で数えるDHK CANVASも候補になります
・まとめ
ボイスボットの件課金と通話時間課金はどちらが安い?
平均通話時間が分かれ目より長ければ件課金、短ければ通話時間課金が安くなります。分かれ目は単価2つの割り算で出せて、通話時間課金に切り上げがあると短い側へずれます。
分かれ目は「1件の単価÷1分の単価」で出せる
件課金は、電話が何分続いても1件の金額が変わりません。通話時間課金は、話した時間が長いほど1件あたりの金額が増えます。この2つの金額が同じになる通話時間が、分かれ目です。
計算は単純で、1件の単価を1分の単価で割るだけです。1件150円・1分50円なら150÷50で3分、1件150円・1分30円なら150÷30で5分が分かれ目になります。見積書に書かれた2つの単価をこの式に入れれば、自社の平均通話時間と比べるだけで、どちらが安いかの見当がつきます。
ここで使う単価は、説明のための仮の数字です。ソフトウェアの比較サイト「アイミツ」では、ボイスボットの従量課金型の料金の目安が1件あたり50円から200円程度と紹介されており、1件150円はその範囲に入ります。相場の幅や初期費用、見落としやすい費用は「ボイスボットの費用相場」で詳しく紹介しています。
平均通話時間別に1件あたりの費用を比べる
平均通話時間ごとに、1件あたりの費用を並べると次のようになります。件課金は1件150円、通話時間課金は1分30円と1分50円の2通りで計算しました。いずれも説明用の仮の単価で、特定のサービスの料金ではありません。
| 1件あたりの 平均通話時間 |
件課金 (1件150円) |
通話時間課金 (1分30円) |
通話時間課金 (1分50円) |
|---|---|---|---|
| 1分 | 150円 | 30円 | 50円 |
| 2分 | 150円 | 60円 | 100円 |
| 3分 | 150円 | 90円 | 150円(同じ) |
| 5分 | 150円 | 150円(同じ) | 250円 |
| 8分 | 150円 | 240円 | 400円 |
| 10分 | 150円 | 300円 | 500円 |
表の「同じ」と書いた行が分かれ目です。1分50円のサービスと比べるなら、平均3分を超えたところから件課金のほうが安くなり、10分では3倍以上の差がつきます。反対に、平均1〜2分で終わる電話が中心なら、通話時間課金のほうが1件あたり50〜120円安く済む計算です。
切り上げがあると分かれ目はどう変わる?
通話時間課金に切り上げがあると、実際の平均通話時間で見た分かれ目は短くなります。1通話ごとに1分単位で切り上げるサービスでは、1分10秒の電話も2分として数えるためです。
通話の長さがばらけている窓口では、1通話あたり、切り上げる単位のおよそ半分が上乗せされると考えて計算します。1分単位の切り上げなら約30秒です。1件150円・1分50円の例では、請求で数える時間が3分になるのは、実際の平均がおよそ2分30秒のときになります。秒単位で数えるサービスなら、この上乗せはほとんどありません。
もう1つ確かめたいのが、1通話あたりの最低料金です。「1通話は最低1分」と決まっていると、数秒で切れた電話や無言の電話も1分として数えられます。短い電話が多い窓口ほど、切り上げと最低料金の影響が大きく出るので、見積もりの段階で単位を聞いておく必要があります。
ボイスボットの料金を決める3つの数え方
ボイスボットの料金は、何に対して払うかで3つの数え方に分かれます。電話1本ごとに払う件課金、話した時間だけ払う通話時間課金、決まった件数までを月額に含む定額です。同じ月に同じ電話を受けても、数え方が違えば請求額が動く数字が変わります。
①件課金:電話1本ごとに払う
件課金は、ボイスボットが受けた(または発信してつながった)電話の本数で料金が決まる方式です。1本の通話が1分で終わっても10分かかっても、1件は1件として数えます。請求額を動かすのは件数だけなので、月の着信件数が分かれば、月額をほぼそのまま計算できます。
通話時間が読みにくい窓口や、聞き取る項目が多く1本が長くなりやすい窓口では、費用の見通しが立てやすい方式です。気をつけたいのは「何を1件と数えるか」で、無言の電話や途中で切れた電話も1件になるかどうかは、サービスによって扱いが違います。
②通話時間課金:話した秒数・分数だけ払う
通話時間課金は、ボイスボットが通話していた時間に単価をかけて料金を出す方式です。1分あたりの単価で示されることが多く、秒単位で数えるか1分単位で切り上げるかは、サービスによって異なります。
営業時間や場所の案内のように、数十秒から1〜2分で終わる電話が中心なら、件課金より安くなりやすい方式です。一方で、氏名や住所の聞き取り、言い直しの確認が入る電話では、1本の時間がそのまま料金に乗ります。有人のオペレーターに転送したあとの時間まで数えるかどうかも、見積もりで確かめておく点です。
③件数枠込みの月額定額:決まった件数まで月額に含む
3つ目は、月額料金の中に一定の件数が含まれ、それを超えた分を1件ごとに払う方式です。「月額◯万円・◯件まで含む、超えた分は1件◯円」という形で示されるのが一般的です。弊社のIVR(自動音声応答)の料金も、この形をとっています。
件数が月額の枠に近い月は、1件あたりの金額が最も低い状態です。反対に、枠を大きく下回る月でも月額は変わらないため、電話の少ない月は1件あたりの実質の金額が上がります。1件あたりの通話時間に上限が設けられている場合もあるので、長い電話が多い窓口では上限の有無も確認が必要です。
「従量課金」は件と時間のどちらを指す?
「従量課金」という言葉は、件課金と通話時間課金の両方に使われています。使った量に応じて払う、という意味では、件数も時間もどちらも「量」だからです。見積書や料金ページに「従量課金」とだけ書かれている場合は、何の量で数えるのか(件数か、秒・分か)を必ず確かめてください。
3つの数え方の違いを、請求額が動く数字と、得をしやすい窓口・損をしやすい窓口で並べると次のとおりです。
| 数え方 | 請求額が動く数字 | 安くなりやすい窓口 | 高くなりやすい窓口 |
|---|---|---|---|
| ①件課金 | 件数 | 本人確認や住所の聞き取りなど、 1本が長くなる窓口 |
数十秒で終わる案内が 中心の窓口 |
| ②通話時間課金 | 件数×通話時間 (切り上げ・最低料金を含む) |
営業時間や場所の案内など、 短く終わる電話が中心の窓口 |
聞き取る項目が多い窓口、 言い直しが多い窓口 |
| ③件数枠込みの 月額定額 |
枠を超えた件数 | 毎月の件数が 枠の近くで安定している窓口 |
繁忙期と閑散期の 件数の差が大きい窓口 |
IVRのサービスも、多くは③の形で料金が決まっています。IVRの料金の読み方と、件数ごとの月額の計算例は「IVRサービス比較」の料金の章で紹介しています。
自社の数字で月額を比べる3つの手順
分かれ目の考え方が分かったら、次は自社の数字で3つの数え方の月額を並べます。必要な数字は、月の着信件数と、ボイスボットが話す1件あたりの時間の2つだけです。ここでは、数字の集め方から試算表への入れ方まで、3つの手順で進めます。
手順1 月の着信件数を出す
最初に、ボイスボットに受けさせたい電話の月間件数を出します。電話機やPBXの着信レポート、コールセンターシステムの集計から、直近1年分の月別の件数を拾ってください。
ここで、平均の月だけでなく、件数の多い月と少ない月の数字も控えておきます。件数枠込みの定額は、少ない月に1件あたりの実質の金額が上がるため、平均の月だけで比べると判断を誤るからです。すべての電話をボイスボットに任せるとは限らないので、任せる用件だけの件数が分かると、計算はさらに正確になります。用件ごとの件数の集め方は「コールリーズン分析」が参考になります。
手順2 ボイスボットが話す時間を見積もる
次に、1件あたりの通話時間を見積もります。ここで使うのは、オペレーターの平均対応時間ではなく、ボイスボットが電話に出てから、終話するか有人に転送するまでの時間です。
有人の対応時間には、通話後の入力などにかかる後処理の時間(ACW)が含まれていることがあります。ボイスボットの料金に関係するのは通話そのものの時間なので、有人の対応時間をそのまま当てはめると、通話時間課金を高く見積もりすぎてしまいます。
通話ログがあるときはガイダンス開始から転送・終話までを見る
いまIVRを使っている窓口なら、IVRの通話ログが最も確かな材料です。音声ガイダンスが流れ始めてから、利用者が電話を切るまで、またはオペレーターに転送されるまでの時間を、用件ごとに平均してください。IVRのボタン操作がボイスボットとの会話に置き換わると時間は変わりますが、聞き取る項目が同じなら、目安としては十分に使えます。
ログがないときは聞き取る項目の数から見積もる
ログが無い場合は、ボイスボットが聞き取る項目を書き出し、1項目ずつ秒数を当てて足し上げます。例えば住所変更の受付なら、次のような見積もりになります。
- 最初の案内と用件の確認:20秒
- 電話番号の聞き取りと復唱:30秒
- 氏名の聞き取りと確認:30秒
- 新しい住所の聞き取りと復唱:60秒
- 引っ越しの日付の確認:20秒
- 受付内容の読み上げと終話:30秒
合計は190秒で、約3分10秒です。この合計に、聞き取れなかったときの言い直しの分を2〜3割足しておくと、実際の通話時間に近づきます。秒数はあくまで見積もりの例なので、自社のシナリオに合わせて置き換えてください。
手順3 単価を同じ単位に直して試算表に並べる
最後に、見積書の単価を試算表に入れて、3つの数え方の月額と1件あたりの金額を並べます。下の試算表は、手順1と手順2で出した数字を上から順に入れていく形です。単価は、件課金が1件150円、通話時間課金が1分50円(1分単位の切り上げあり)、定額が月額40万円・月3,000件まで含む・超えた分は1件120円という、説明用の仮の数字にしています。
| 項目 | 計算のしかた | 例A 月3,000件・平均2分 |
例B 月3,000件・平均6分 |
|---|---|---|---|
| ①月の着信件数 | 手順1で出した件数 | 3,000件 | 3,000件 |
| ②1件あたりの 通話時間 |
手順2で見積もった時間 | 2分 | 6分 |
| ③請求で数える 1件あたりの時間 |
②+切り上げ単位の半分 (秒単位なら②のまま) |
2.5分 | 6.5分 |
| ④件課金の月額 | ①×1件の単価 | 450,000円 | 450,000円 |
| ⑤通話時間課金の 月額 |
①×③×1分の単価 | 375,000円 | 975,000円 |
| ⑥定額の月額 | 月額+(①−含まれる件数) ×超えた分の単価 (枠内なら月額のまま) |
400,000円 | 400,000円 |
| ⑦1件あたりの 実質の金額 |
④⑤⑥をそれぞれ①で割る | 件課金 150円 通話時間課金 125円 定額 約133円 |
件課金 150円 通話時間課金 325円 定額 約133円 |
試算表を作るときは、見積もりを取ったサービスの数だけ④〜⑥の行を増やし、それぞれの単価で計算してください。⑦まで出すと、月額の大きさだけでなく、1本の電話にいくら払っているかで比べられます。外部の電話代行やコールセンターへの委託と比べたいときは、「コールセンターの費用の内訳と計算方法」の考え方で、委託の見積もりも1件あたりに直すと同じ表に並べられます。
計算例A 月3,000件・平均2分の窓口
例Aは、営業時間や店舗の場所、手続きの案内が中心で、1本が平均2分で終わる窓口です。切り上げが無ければ、通話時間課金は3,000件×2分×50円で300,000円になり、3つの中で最も安くなります。
ところが1分単位の切り上げを入れると、請求で数える時間は1件あたり約2.5分に増え、月額は375,000円です。定額の400,000円との差は25,000円まで縮まり、1分の単価が数円違うだけで順位が入れ替わる近さです。平均2分という同じ窓口でも、切り上げの単位しだいで結論が変わりうるため、短い電話が中心の窓口ほど、秒単位か分単位かの確認が欠かせません。
計算例B 月3,000件・平均6分の窓口
例Bは、電話番号と生年月日による本人確認のあと、住所や届け出の内容を聞き取る窓口です。1本が平均6分かかると、通話時間課金は975,000円になり、件課金の450,000円の2倍を超えます。
この例では、件課金と定額の差は50,000円です。月3,000件で毎月ほぼ一定なら定額が安く、件数が月によって大きく動くなら件課金のほうが合うこともあります。どちらを選ぶかは、次に紹介する通話の長さの傾向と、月ごとの件数の波で決まります。
通話が長くなりやすい電話はどれ?
通話が長くなりやすいのは、番号や住所のように、聞き取ったあとに復唱して確かめる項目が多い電話です。用件の種類を見れば、自社の電話が分かれ目より長くなりやすいかどうかの見当がつきます。
用件ごとの通話の長さの傾向
ボイスボットで受けることの多い用件を、聞き取る項目と通話の長さの傾向で並べました。分単位の数字は窓口によって大きく違うため、ここでは長さの傾向だけを示します。自社の窓口の数字は、手順2の方法で見積もってください。
| 用件の例 | ボイスボットが聞き取る主な項目 | 通話の長さの傾向 |
|---|---|---|
| 営業時間・場所の案内 | 用件の確認だけ | 短い |
| 配送状況の確認 | 伝票番号または電話番号 | 短い〜中くらい |
| 予約の受付・変更 | 氏名、電話番号、希望日時 | 中くらい |
| 住所変更の受付 | 本人確認の項目、新しい住所、 引っ越しの日付 |
長い |
| 解約の受付 | 顧客番号、本人確認の項目、 解約の理由 |
長い (理由を自由に話してもらうと さらに長くなる) |
| 事故や故障の受付 | 契約者の情報、起きた日時と場所、 状況の説明 |
長い |
上の行ほど短く、下の行ほど長くなる傾向があります。1つの窓口でいくつもの用件を受けている場合は、用件ごとの件数の割合で平均通話時間が決まります。
通話を長くする4つの理由
通話が長くなる理由は、おおむね次の4つに分けられます。自社の電話にいくつ当てはまるかを見ると、平均通話時間を見積もるときの手がかりになります。
番号や住所を聞き取って復唱する
電話番号、顧客番号、住所のように、1字でも違うと困る項目は、聞き取ったあとに読み上げて確かめる必要があります。聞き取りと復唱で、1項目あたりの時間はほぼ倍になります。項目の数が多い本人確認や住所変更の電話が長くなるのは、このためです。
聞き取れずに言い直してもらう
周りがにぎやかな場所からの電話や、似た音の多い地名・人名は、1回で正しく聞き取れないこともあるでしょう。言い直してもらうたびに、その項目の時間がもう一度かかります。正確さが必要な番号は、話してもらう代わりに電話のボタンで押してもらうと、言い直しを減らせます。
自由に話してもらう質問がある
「解約の理由をお聞かせください」のように、利用者に自由に話してもらう質問は、答えの長さを決められません。選択肢をボタンで選んでもらう方式より、1件あたりの時間は長くなりやすいと考えておくのが安全です。生成AIと会話しながら用件を聞き取る対話型のボイスボットも、やり取りの回数が増えるぶん、通話が長くなる傾向があります。
ゆっくり話す利用者が多い
利用者の年齢層が高い窓口では、案内をゆっくり流したり、聞き返しに丁寧に答えたりする設計が必要です。その分、1本の通話は長くなります。高齢の利用者が多い窓口では、通話時間を短く見積もりすぎないことが大切です。
項目の聞き方で通話時間はどう変わる?
番号はボタン入力、理由は音声というように項目ごとに聞き方を分けると、言い直しで延びる時間を抑え、長くなるのは自由に話してもらう質問だけ、という通話に組み立てられます。通信販売の日本予防医薬株式会社では、解約の電話で電話番号・顧客番号・郵便番号をボタンで入力してもらい、解約の理由は自由な発話で吹き込んでもらう形にしています。年間7万件の解約電話のうち40.9%が完全に自動で完結し、年間3,800時間の削減につながったと紹介されています(出典:日本予防医薬株式会社の導入事例)。
この事例のように、自由に話してもらう質問を残す窓口は、1本の通話がある程度長くなることを前提に料金を比べることになります。一方で、案内だけで終わる短い電話が中心なら、通話時間課金のほうが安く済むのは試算表のとおりです。件課金がいつでも有利なわけではないので、自社の用件の内訳で判断してください。
件数が月によって変わる窓口は何に気をつける?
件数が月によって大きく変わる窓口では、1か月の比較ではなく、1年分の件数で比べることが大切です。件数枠込みの定額は少ない月に割高になり、件課金と通話時間課金は少ない月に安くなるためです。
件数枠込みの定額は少ない月に1件あたりが高くなる
試算表と同じ仮の単価で、月の件数が1,200件に減った月を計算すると、違いがはっきりします。件課金は1,200件×150円で180,000円、平均6分の通話時間課金は1,200件×6.5分×50円で390,000円です。定額は件数が減っても400,000円のままなので、1件あたりの実質の金額は約333円に上がります。
反対に、件数が月5,000件に増えた月は、定額が400,000円+2,000件×120円で640,000円、件課金は750,000円です。定額は多い月に強く、少ない月に弱い、という性質を持っています。
繁忙期と閑散期の差が大きい窓口の考え方
繁忙期と閑散期の差が大きい窓口は、月別の件数を12か月分並べ、3つの数え方で1年分の合計を出して比べます。例えば平均6分の窓口で、月5,000件の月が3か月、月3,000件の月が6か月、月1,200件の月が3か月あるとします。
1年の件数は36,600件で、件課金なら年間5,490,000円です。定額は、多い月が640,000円×3か月、それ以外が400,000円×9か月で、年間5,520,000円です。通話時間課金は年間で1,000万円を超えるため、この窓口では件課金と定額がほぼ同じ金額になり、少ない月の割高さをどこまで許せるかで選ぶことになります。
件数の波が大きい窓口では、契約の途中で件数のプランを変えられるかどうかも、総額を左右します。前出の日本予防医薬株式会社は、繁忙期と閑散期でコール数に10倍近い差があり、サービスを選んだ理由の1つに「複数の業務を1契約で利用できる単一料金プランで、繁忙期と閑散期に合わせてコール量のプランを柔軟に変更できる点」を挙げています(出典:導入事例)。
発信は「つながった件数」か「かけた件数」かを確かめる
ボイスボットから電話をかけるオートコールの場合は、何を1件と数えるかの違いがさらに大きく出ます。かけた件数で数えるサービスと、相手が出てつながった件数で数えるサービスがあるためです。
例えば1万件のリストに発信し、つながるのが4,000件だとします。かけた件数で数えると1万件分、つながった件数で数えると4,000件分の料金です。留守や不在が多いリストほど、この差は大きくなります。発信の料金を比べるときは、つながらなかった電話と、留守番電話につながった電話がどちらに入るかまで確かめてください。
請求額が試算とずれるのはなぜ?
導入後の請求額が試算とずれる原因の多くは、1件の数え方と、料金に含まれる範囲の違いです。見積もりの段階で条件をそろえておけば、ほとんどは防げます。よく起きるずれを、起きていること・考えられる原因・打ち手の順に並べました。
| 起きていること | 考えられる原因 | 打ち手 |
|---|---|---|
| 通話時間課金の請求が 試算より高い |
1通話ごとの切り上げ、 1通話あたりの最低料金 |
切り上げの単位と最低料金を確かめ、 試算表の③を入れ直す |
| 請求の件数が 着信レポートより多い |
無言の電話、すぐ切れた電話、 間違い電話も1件と数えている |
1件と数える条件を契約前に確かめ、 短い電話の件数を差し引いて試算する |
| 有人に転送した電話の 料金が高い |
転送したあとの通話時間も 課金の対象になっている |
転送後の扱いを確かめる。 転送が多い窓口は件課金とも比べる |
| 月額とは別に 通話料の請求がある |
0120で受ける着信側の通話料や、 転送の通話料が料金に含まれていない |
通話料を含めた総額で 見積もりを比べ直す |
| 少ない月の 1件あたりが高い |
定額の件数の枠を 使い切れていない |
1年分の件数で比べ直し、 プランを変えられるかを確かめる |
| 1本の通話が 見積もりより長い |
聞き直し、復唱、 自由に話してもらう質問が多い |
案内文を短くし、 番号はボタン入力に切り替える |
表の1〜4行目は、契約前の確認で防げるずれです。5行目と6行目は、運用を始めてから件数と通話時間の記録を見て、プランやシナリオを見直すことで小さくできます。
見積もりを同じ条件で比べるための確認項目9つ
数え方の違う見積もりを並べるには、単価だけでなく、何を数えるのか、どこまでが料金に入るのかをそろえる必要があります。
次の9項目は、見積もりを依頼するときに、各社の営業担当者へそのまま送れる形にしています。答えをもらったら、右の列に書いた試算表の行に反映してください。
| 確認する項目 | 聞く理由 | 答えを入れる 試算表の行 |
|---|---|---|
| 1. 何を1件と数えるか (無言・途中で切れた電話・ すぐ有人に転送した電話) |
短い電話の扱いで、 請求の件数が変わる |
① |
| 2. 1件あたりの通話時間に 上限があるか、 超えたらどうなるか |
件課金や定額でも、 長い電話に追加料金が かかることがある |
④⑥ |
| 3. 通話時間の切り上げ単位と、 1通話あたりの最低料金 |
短い電話が多いほど 実際の請求が増える |
③ |
| 4. 月額に含まれる件数と、 超えた分の単価 |
定額の月額と、 多い月の金額が決まる |
⑥ |
| 5. 有人に転送したあとの 通話時間も課金されるか |
転送の多い窓口では 時間課金の金額が変わる |
③⑤ |
| 6. 通話料(0120などの着信、 転送の通話料)が 料金に含まれるか |
含まれない場合は、 別に払う金額がある |
④〜⑥に 足して比べる |
| 7. 発信の場合、かけた件数か つながった件数か。 固定電話と携帯電話で 単価が違うか |
不在の多いリストや 携帯電話の多いリストで 金額が変わる |
①④ |
| 8. 同時に受けられる通話の数と、 増やすときの費用 |
同時に話せる本数が 足りないと、 つながらない電話が出る |
月額に 足して比べる |
| 9. シナリオの作成と変更に 費用がかかるか |
月額の外で かかる費用がある |
初期費用・ 年間の総額に足す |
8つ目の同時に受けられる通話の数は、料金の比較で見落とされやすい項目です。株式会社電話放送局が50〜70代の男女241名に行った調査では、コールセンターを利用するときに最も大きいストレスとして「電話がつながらない」を挙げた人が36.9%で最も多くなっています(出典:コールセンター利用とAI自動応答に関する意識調査)。安い料金で同時に話せる本数が少ないと、電話が集中する時間帯にあふれ呼が増えるため、本数と料金はセットで確かめてください。
9つ目のシナリオの作成と変更の費用は、月額に入っているサービスと、そのつど見積もりになるサービスがあります。導入時の設計費用や運用中の調整費用など、月額の外でかかる費用の種類は「ボイスボットの費用相場」の隠れコストの章で確認できます。
長い通話が多い窓口なら、件数で数えるDHK CANVASも候補になります
ここまでの試算で、1本の電話が分かれ目より長くなりやすい窓口だと分かった場合は、件数で料金が決まるサービスを候補に入れると比較がしやすくなります。弊社のボイスボット「DHK CANVAS」は、月額に1,000件分のコールを含む形(本記事でいう③件数枠込みの月額定額)で、数える単位は時間ではなく件数です。そのため、1本の通話が長くなっても1件の金額は変わりません。
DHK CANVASの料金は、月額15万円からで、1,000件分のコールが含まれます(1件あたり150円の計算で、業務内容と件数によって変わります)。設計、自社回線、運用サポートまでがこの金額に入っており、発信は「つながった分だけ」の課金です(出典:DHK CANVAS)。本人確認や住所の聞き取りのように1本が長くなる電話でも、月額は件数で見通せます。一方で、月1,000件を大きく下回る月は、1件あたりの実質の金額が150円より上がります。
運用を支える回線は7,000回線超で、2拠点体制の自社インフラで保有しています(出典:DHK CANVAS)。現在お使いの0120・0800・0570番号からの転送着信にも対応しているため、番号を変えずに始められます。ただし、同じページのよくある質問では、同時接続数について「転送を挟む場合は転送元の回線数が上限」と案内しています。今の番号から転送して使う場合は、転送元で同時に受けられる本数も確かめてください。
弊社サービスの料金の数え方
DHK CANVASの公式サイトに掲載している料金を、本記事の数え方に当てはめると次のとおりです(2026年10月29日時点の掲載内容)。
| サービス | 数える単位 | 月額と含まれる件数 | 超えた分 |
|---|---|---|---|
| DHK CANVAS (ボイスボット) |
1件ごと (月額に1,000件分を含む。発信はつながった分だけ) |
月額15万円〜 1,000件分を含む |
料金表は資料で案内 |
DHK CANVASの初期費用の内訳と、業務内容・件数に応じた料金の考え方は、料金表の資料で確認できます。自動受付IVR・あふれ呼IVR・オートコールIVRも、時間ではなく件数で数える料金です。金額と件数ごとの月額は「IVRサービス比較」と「オートコールシステム比較」で紹介しています。
弊社の電話自動化サービスの導入実績は1,500社以上です。試算表で出した件数と通話時間をお知らせいただければ、自社の用件でどの数え方が合うかを一緒に整理できます。詳しい料金は料金表の資料請求からお取り寄せください。
よくある質問
Q. 従量課金と件課金は同じ意味ですか?
同じ意味ではありません。従量課金は使った量に応じて払う方式の総称で、件数で数える件課金と、秒や分で数える通話時間課金の両方が含まれます。見積書に「従量課金」とだけ書かれているときは、何の量で数えるのかを確かめてください。
Q. IVRの料金も件課金ですか?
月額に一定の件数を含み、超えた分を1件ごとに払う形が多く見られます。弊社の自動受付IVRも、着信の件数で数える料金です。金額は「IVRサービス比較」の料金の章で確認できます。
Q. 有人オペレーターに転送した電話は、何件と数えますか?
数え方はサービスによって違います。ボイスボットが受けてすぐ転送した電話を1件と数えるか、転送後の通話時間も料金に含めるかは、見積もりの段階で確かめておく項目です。転送の多い窓口では、この扱いだけで月額が大きく変わります。
Q. 平均通話時間が分からないときはどうすればよいですか?
いまIVRを使っているなら、ガイダンスが流れ始めてから終話または転送までの時間を通話ログで平均します。ログが無い場合は、ボイスボットが聞き取る項目を書き出し、1項目ごとに秒数を当てて足し上げてください。聞き直しの分として2〜3割を上乗せしておくと、実際の時間に近づきます。
Q. 電話の通話料はボイスボットの料金に含まれますか?
サービスによって違います。0120などの番号で受ける場合は、かけた人ではなく受ける側が通話料を払うため、ボイスボットの料金とは別に通話料がかかることがあります。弊社の自動受付IVRなどの公開料金も、電話会社のサービスの工事費・月額使用料・通話料などは別途です。
Q. 電話の少ない月も同じ金額を払うのですか?
件数枠込みの定額なら、少ない月も月額は変わりません。件課金と通話時間課金は、件数が減った月はその分だけ安くなります。繁忙期と閑散期の差が大きい窓口は、1年分の件数で3つの数え方を比べてください。
Q. 発信(オートコール)の料金も件で数えますか?
件で数えるサービスが多いものの、かけた件数で数えるか、つながった件数で数えるかが分かれます。弊社のオートコールIVRは、応答した件数で数える方式です。不在の多いリストほど、かけた件数で数える方式との差が大きくなります。
まとめ
ボイスボットの件課金と通話時間課金のどちらが安いかは、「1件の単価÷1分の単価」で出した分かれ目と、自社の平均通話時間を比べれば分かります。通話時間課金に切り上げがあると分かれ目は短い側にずれ、件数が月によって大きく動く窓口では定額の割高な月が出ます。比べるときは、1か月ではなく1年分の件数で、1件あたりの実質の金額まで出すことが大切です。
次の一歩として、直近12か月の月別の着信件数と、任せたい用件の通話時間を試算表に入れてください。そのうえで、確認項目の9つを各社の営業担当者に送れば、数え方の違う見積もりを同じ条件で並べられます。長い通話が多い窓口の具体的な使われ方は、導入事例もあわせてご覧ください。
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・自社に合うボイスボットを選定する判断軸を整理したい
・導入後のよくある失敗と成功ポイントを確認したい
監修者情報
メーカーのコールセンター運営管理に従事し、自らIVRを導入。
不要な入電を抑制しつつ売上向上を実現するなど、現場視点で成果を創出。電話放送局では営業マネージャーとして10年以上従事し、クラウド型IVRの業界シェア1位獲得に貢献。
コロナ禍におけるユーザーのデジタル行動変容を受け、マーケティング部門を立ち上げ、責任者に就任。インサイドセールスを統括し、営業部門との連携を強化。自動音声応答の導入、運用、集客、営業の幅広い経験を有する。
IVRおよびコールセンター市場における20年以上の知見を活かし、ユーザーの検索行動やニーズを深く理解したマーケティング戦略を展開。
検索連動広告の運用経験を基に、現場で役立つ実践的な情報を発信し、読者のビジネス成功を力強くサポートします。
営業部 営業企画・推進チーム シニアリーダー 前田泰延
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