コールセンターにおける音声認識サービスとは?機能や活用のメリット
2025/12/26
コールセンター業界では、慢性的な人手不足の解消や応対品質の向上などが大きな課題です。これらの課題を解決するため、DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務改革が急務となる中で、AI技術を活用した「音声認識サービス」の導入が進んでいます。
音声認識サービスは、オペレーターと顧客の通話内容を自動的にテキスト化し、業務効率化やデータ分析、品質改善に活かす仕組みです。通話内容を単なる録音記録にとどめず、活用できるデータとして分析できる点が評価され、多くのコールセンターで成果を上げています。
この記事では、コールセンターにおける音声認識サービスの仕組みや主な機能、導入メリット、そして選定時のポイントについて解説します。
目次
・音声認識サービスとボイスボットの相性は?組み合わせで実現する業務効率化
・音声認識とボイスボットの活用で、次世代のコールセンター運営へ
コールセンターにおける音声認識サービスとは?
「音声認識」という言葉を耳にする機会は増えましたが、実際にコールセンター業務でどのように活用されているのでしょうか。ここでは、基本的な仕組みと、従来の通話録音システムとの違いについて解説します。
音声認識サービスの概要と仕組み
コールセンターにおける音声認識サービスとは、オペレーターと顧客の通話内容(音声データ)を自動でテキスト化し、可視化・分析に活用できる仕組みを指します。
多くのサービスではAI技術を活用したモデルが採用されており、会話内容を高い精度で認識することが可能です。ただし、すべてのサービスがAIベースとは限りません。中にはあらかじめ登録したキーワードに反応するルールベースの仕組みを含む製品も存在します。
音声認識の精度は年々向上していますが、雑音や話し方の癖、専門用語などの影響で誤変換が生じることもあります。そのため、重要な内容を扱う際には人による確認や補正を組み合わせて運用するケースが一般的です。
従来の通話録音データ管理との違い
これまで、コールセンターの通話内容は「通話録音システム」により音声データとして保存されてきました。しかし、音声のままでは必要箇所を探して聞き直す手間がかかり、確認や分析に時間を要していました。音声認識サービスを導入すると、通話内容をテキスト化して検索・抽出・集計が容易になるため、次のような活用が可能です。
・ キーワード検索による情報抽出
・ CRM(顧客管理システム)への入力支援
・ 通話内容の集計や傾向分析
こうして通話録音データは、単なる「記録の保管」から、分析や共有に活かせるナレッジ資産へと発展していきます。
コールセンター向け音声認識サービスの主な機能
音声認識サービスは、単に音声を文字起こしするだけでなく、コールセンター業務全体を支援する多様な機能を備えています。製品によって搭載機能は異なりますが、ここでは代表的な機能について解説します。
通話内容のテキスト化・保存(基本機能)
・文字起こし
システムがオペレーターと顧客のやり取りを解析し、管理画面にテキストを表示します。通話中のリアルタイム表示や、録音済みデータの後処理にも対応しており、通話記録の作成や監査対応の効率化に役立ちます。
・話者分離
オペレーターと顧客の音声を識別し、チャット形式で会話の流れを表示する機能です。誰が話しているかを明確にすることで、後から内容を確認する際の可読性が向上します。
オペレーター応対支援
・FAQ・スクリプトの自動レコメンド
会話中のキーワードや文脈に応じて、関連するFAQやトークスクリプトを画面に表示します。経験の浅いスタッフでも適切な案内がしやすくなり、応対品質の均質化や保留時間の短縮につながります。
・後処理の自動化・要約
通話終了後、テキストデータをもとに会話の要約文や「問い合わせ」「クレーム」などのタグを自動生成します。オペレーターは生成された下書きを確認・修正するだけで済むため、ACW(平均後処理時間)の短縮が可能です。
【参考記事】
ACWとは?対応時間の短縮でコールセンターの業務を効率化
分析・モニタリング(VOC活用)
・キーワード検出・トレンド分析
「解約」「返品」「他社名」などの特定ワードを検知し、顧客の不満やニーズの傾向を可視化します。マーケティング施策やサービス改善、インサイドセールスの戦略立案など、幅広いデータ活用が期待できます。
【参考記事】
VOC分析とは?実施方法やコールセンターで活用するメリット、事例紹介
・感情解析
声のトーン、音量、スピードなどから顧客の感情傾向を推定し、数値やグラフで可視化します。AIの推定に基づく参考指標として、トラブルの予兆察知や応対状況の把握に役立ちます。
品質管理・コンプライアンス対応
・応対品質の自動チェック・監査
挨拶の有無、必須事項の案内、NGワードの使用などをシステムが自動チェックします。従来のランダム抽出による手動確認に比べ、全通話を対象とした定量的な評価が可能です。
・通話録音とテキストの紐づけ管理
テキストデータと元の音声ファイルを紐づけて一元管理します。テキストから該当箇所の音声を即座に再生できるため、聞き取りにくい部分やニュアンスの確認もスムーズです。
CRM・業務システムとの連携
CRM(顧客管理システム)やCTIなどと連携し、通話の認識結果や要約データを顧客情報に自動または半自動で反映できます。各システム間で情報を共有することで、入力の手間を削減し、常に最新データを社内で参照しやすくなります。
コールセンターで音声認識を活用するメリット
音声認識サービスを導入すると、管理者とオペレーターの双方に業務改善効果が期待できます。ここでは、代表的な3つのメリットを紹介します。
応対品質とクレーム対応の向上
通話内容をテキスト化することで、成約率の高いオペレーターや顧客満足度の高い対応事例を客観的に分析しやすくなります。言葉選びや対応の流れを可視化し、教育・マニュアルの改善に活かすことで、センター全体の品質向上につながるでしょう。
また、クレーム発生時にはテキストから内容を迅速に確認できるため、原因の特定や経緯説明がスムーズになります。感情解析のアラート機能を活用すれば、通知を受けた管理者が顧客の不満が高まる前にフォローに入ることも可能です。
【参考記事】
カスハラ対策にAIを活用するメリットは?効果的な対策や導入ステップ
後処理・通話確認の効率化とコンプライアンス強化
通話後の後処理や「言った・言わない」の確認作業は現場の負担が大きい業務です。音声認識により通話内容が自動でテキスト化・要約されると、報告や記録作業の効率が向上し、処理時間の短縮が期待できます。さらに、テキストのキーワード検索で目的の箇所をすぐに特定できるため、重要事項の説明やコンプライアンス遵守状況の確認を効率的に行える点も強みです。
オペレーターの負担軽減と離職防止
FAQレコメンドなどの支援機能により、オペレーターの負担が軽減されます。全通話が記録・共有されることで、カスタマーハラスメントも上長が状況を正確に把握しやすくなるでしょう。
音声認識サービスとボイスボットの相性は?組み合わせで実現する業務効率化
従来のIVR(自動音声応答)に音声認識技術を加えたボイスボットを活用することで、プッシュ操作のみの場合に比べ、より柔軟な顧客対応が可能です。有人対応の負荷を軽減し、センター全体の業務効率化に貢献します。
一次受付・取次業務の自動化
顧客の発話から用件を認識し、担当部署へ適切に振り分けることが可能です。従来のプッシュ操作では分類しきれなかった詳細な用件も、音声認識であれば詳細に聞き取れるため、ミスマッチによる転送を減らせます。また、担当者不在時に用件をテキスト化してメール通知するなど、取次業務の効率化にも役立ちます。
FAQ(よくある質問)対応の自動化
「営業時間を知りたい」「料金プランを確認したい」といった定型的な問い合わせは、ボイスボットによる自動回答が適しています。有人窓口が混み合う時間帯や営業時間外であっても、ボイスボットであれば24時間体制で基本的な案内ができるため、機会損失の防止につながります。
待ち時間短縮と利便性向上によるCS(顧客満足度)の改善
ボイスボットが解決可能な用件を一次対応することで、入電の集中(あふれ呼)を抑制し、オペレーターにつながるまでの待ち時間短縮が期待できます。また、顧客はガイダンスを最後まで聞かずに用件を話すだけで操作ができるため、スムーズな顧客体験(CX)の提供にもつながります。
コールセンター向け音声認識サービスを選ぶポイント
市場には多くの音声認識サービスが存在します。自社の課題解決に直結するツールを選ぶために、比較検討の際は以下の観点を意識しましょう。
自社の目的・課題を明確にする
まず「何を改善したいのか」を整理しましょう。例えば、ACW(平均後処理時間)の短縮、VOC(顧客の声)分析の強化、教育コストの削減など、目的によって重視すべき機能や優先順位が異なります。
コールセンターの規模・運用体制に合わせて選ぶ
センターの席数や通話量に対応できるかを確認します。クラウド型は導入がしやすく、オンプレミス型は高いセキュリティ要件を求める環境に向いています。自社の体制やポリシーに合った方式を検討しましょう。
実際の環境での認識精度を確認する
通話の音質、雑音の有無など実際の環境下で認識制度を確認することが大切です。また、業界用語や社内用語が多い場合は、単語登録機能やチューニング(※)のしやすさも評価ポイントとなります。
※チューニング:単語をシステムに学習させ、言葉の読み取りの精度を高めること。
既存システムとの連携・拡張性を見極める
現在利用しているPBX(構内交換機)・CRM(顧客管理システム)・CTIなどとスムーズにデータ連携できるかを確認します。API連携の可否に加え、将来的に感情解析やボイスボットなどの機能を追加できるかどうかも、長期利用の視点では重要です。
セキュリティ・コスト・サポート体制を確認する
音声データには個人情報が含まれるため、通信の暗号化やデータの保管ルールなど、十分なセキュリティ対策が必須です。また、コスト面だけでなく、導入時の初期設定支援や、運用開始後のサポート体制が充実しているかも、安定運用の鍵となります。
音声認識とボイスボットの活用で、次世代のコールセンター運営へ
音声認識サービスによる通話内容のテキスト化は、業務効率化や応対品質の向上、リスク管理の強化に有効です。さらにボイスボットを取り入れることで、電話対応の一部自動化も可能になり、オペレーター業務の負荷軽減や生産性向上が期待できます。
電話放送局が提供する「DHK CANVAS」は、ボイスボット構築に必要な機能をノーコードで組み合わせられるサービスです。シナリオ型の自動応答を手軽に設定でき、あふれ呼対策や特定業務の部分自動化から段階的な拡張まで柔軟に対応できます。
自社の音声認識活用を一歩進めたい、電話業務の自動化を検討したいとお考えの担当者の方は、DHK CANVASの機能が自社の課題解決にどう役立つか、ぜひ一度チェックしてみてください。
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