2025/08/26

「カスタマーハラスメント(カスハラ)」とは、顧客が一般的なクレームの範疇を超えた理不尽な言動を行い、従業員の心身に苦痛を与えることを指します。近年はコールセンターやコンタクトセンターにおける顧客対応でAIを活用し、カスハラ防止やスタッフの心理的負担の軽減につなげる施策が注目されています。

企業がDX推進とカスハラ対策を進めるにあたり、どのようにAIを活用していけば良いのでしょうか。この記事では、カスハラ対策にAIを活用するメリットや、ハラスメント防止へ向けた対策方法、導入の流れなどを解説します。

なお、企業が行うべきカスハラ対策については、以下の関連記事で詳しく解説しています。カスハラ対策に関して基本から確認したいご担当者様は、ぜひ本記事と併せてお読みください。

【参考記事】
企業が行うべきカスハラ対策とは?重要性や対策・対応方法について

目次

多くの企業を悩ませる「カスハラ」の現状とリスク

 ・カスハラの現状

 ・カスハラによる企業への悪影響やリスク

AI、特にボイスボットで行うカスハラ対策とは

 ・【一次対応の自動化】AIボイスボットによるフィルタリング

 ・【感情分析・音声変換】オペレーターの心理的ストレスを軽減

 ・【テキスト化・要約】通話内容を記録し、対応を標準化

カスハラ対策にAI(ボイスボット)を活用するメリット

 ・従業員満足度の向上と定着

 ・応対品質の向上と均一化

 ・コスト構造の最適化

AIを活用したカスハラ対策 導入のステップ

 ・ステップ1:課題の明確化と目的の設定

 ・ステップ2:自社に合ったサービスの選定とトライアル

 ・ステップ3:本格導入と運用体制の構築

カスハラ対策にAIを有効活用してコールセンター業務を改善!

多くの企業を悩ませる「カスハラ」の現状とリスク

コールセンターをはじめとした企業のカスタマーサポート部門では、顧客対応におけるカスハラが問題視されています。初めに、カスハラの現状や企業にもたらされるリスクを解説します。

カスハラの現状

厚生労働省が全国の企業・団体に勤務する労働者に対して実施した2020年の調査では、過去3年間に発生したハラスメント相談の割合について、「パワハラ(48.2%)」「セクハラ(29.8%)」に続いて「カスハラ(19.5%)」の割合が高いことが明らかになりました。また、20~64歳の男女労働者のうち、カスハラを一度以上経験した人の割合は15.0%となっています。

小売業・運輸業・飲食業・宿泊業をはじめとした顧客サービスを提供する業界の現場では、以下のようなカスハラが発生しています。

【業務中に発生するカスハラの事例】
*長時間にわたる拘束や電話
*従業員へ同じ質問を繰り返し行い、回答に対して揚げ足取りをする
*従業員の些細なミスを過剰に責める
*威圧的な言動や脅迫を行う
*言いがかりをつけて過剰な要求をする

対面や電話口におけるカスハラの被害は増加傾向にあり、従業員を保護する観点から各社に対策強化が求められています。

【出典】 「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」 (厚生労働省)

カスハラによる企業への悪影響やリスク

業務中にカスハラが頻繁に発生する状況を放置すると、従業員の心理的・身体的な負担の増大が懸念されます。企業がカスハラ防止へ向けて適切な対策を行わなければ、従業員の離職が増加し、現場が人材不足に陥ったり、生産性が低下して業績へ悪影響を及ぼしたりするリスクがあるでしょう。結果として企業の損失につながるため、カスハラ防止へ向けて早期に取り組むことが不可欠です。

AI、特にボイスボットで行うカスハラ対策とは

AIボイスボットは、コールセンターのカスハラ対策の強化に有効な対策ツールです。ここでは、AIボイスボットを活用した具体的なカスハラ対策をご紹介します。

【一次対応の自動化】AIボイスボットによるフィルタリング

問い合わせの一次対応をAIボイスボットが担当し、自動応答によるフィルタリングで人間のオペレーターの負担を軽減する対策です。オペレーターは自身が顧客と接する前に、大まかな用件や感情を把握できるようになり、心の準備がしやすくなります。また、簡単な問い合わせはAIで完結でき、悪質な内容はフィルタリングされるため、オペレーターがカスハラに直面する機会そのものを削減できます。

【感情分析・音声変換】オペレーターの心理的ストレスを軽減

AIによる感情分析や音声変換の技術で、オペレーターの心理的ストレスを軽減する対策です。システムに搭載されたAIが顧客の声のトーンや会話内容に基づいて怒りや興奮状態をリアルタイムで検知し、管理者へアラートを通知します。また、近年は攻撃的な口調や感情的な声色を穏やかな音声に変換するAI技術が開発されています。従業員の冷静な対応を補助することが可能です。

【テキスト化・要約】通話内容を記録し、対応を標準化

AIが通話内容から自動で記録・要約を作成し、分析によってリスクの高い顧客の特定や顧客対応の標準化を行う対策です。過去の通話履歴や不適切な発言内容を分析し、カスハラのリスクが高い顧客を特定できます。また、蓄積されたデータは自社の情報資産となり、組織の対応力向上や知見の共有に役立てられるでしょう。

コールセンター業務で活用される「ボイスボット」に関する基礎知識は以下の関連記事で解説しています。こちらも併せてご覧ください。

【参考記事】
ボイスボットとは?メリット・デメリットや活用方法、選定ポイント

カスハラ対策にAI(ボイスボット)を活用するメリット

電話窓口でのやり取りは、カスハラが発生しやすい場面の一つです。AIボイスボットを活用すると、オペレーターの負担を軽減できることはもちろん、企業にも以下のメリットがもたらされます。

従業員満足度の向上と定着

AIのサポートによってオペレーターの心理的・身体的な負担が大幅に軽減されます。こうして従業員が安心して働ける職場環境を確保すると、従業員エンゲージメントの向上や離職率の低下につながる点がメリットです。

応対品質の向上と均一化

AIは客観的なデータに基づき顧客対応を支援するため、オペレーター個人の経験や感情に左右されない安定した応対品質の維持に貢献します。迅速かつ的確な対応が可能となり、顧客満足度の向上につながります。

コスト構造の最適化

AIによる一次対応の自動化や自己解決の促進で業務効率が高まり、オペレーターはより複雑で専門的な対応に集中できます。業務効率化や生産性向上の効果により、長期的には人件費の最適化が期待できるでしょう。

AIを活用したカスハラ対策 導入のステップ

コールセンターにAIを活用したカスハラ対策を導入する流れを3つのステップでご紹介します。自社に適したソリューションを選定し、効果的な運用を目指しましょう。

ステップ1:課題の明確化と目的の設定

まずは自社のカスハラ対策における具体的な課題を洗い出します。例えば「従業員の精神的負担の増大」「特定のクレームによる対応の長時間化」といった課題があるとします。こうした課題に基づいて、「離職率の改善」「応対時間の短縮」といった導入目的を明確にすると良いでしょう。

ステップ2:自社に合ったサービスの選定とトライアル

自社の目標達成に貢献する機能を搭載したAIボイスボットのサービスを選定します。サービスを比較検討する際は、実際の使用感を体験できる無料トライアルを利用するようおすすめします。また、本格導入の前に小規模な範囲で試験的に運用し、費用対効果や現場との相性を検証することが重要です。

ステップ3:本格導入と運用体制の構築

自社に適したAIボイスボットのサービスを本格導入し、AIによる自動対応とオペレーターによる有人対応のスムーズな連携体制を構築しましょう。導入後は定期的な効果測定を実施し、AIの精度向上のために蓄積されたデータを分析するとともに、業務改善のフィードバックを行います。

また、現場にAIを導入するにあたり従業員の理解促進に努めることも重要です。AIは“オペレーターの仕事を奪うもの”ではなく“従業員を支えるツール”であることを説明し、社内の協力体制を構築しましょう。また、通話データの取り扱いに関しては、個人情報保護法をはじめとした各種法令を遵守し、プライバシーに配慮する必要があります。

カスハラ対策にAIを有効活用してコールセンター業務を改善!

ここまで、カスハラ対策にAIを活用するメリット、ハラスメント防止へ向けた対策方法、導入の流れなどをお伝えしました。コールセンターをはじめとした顧客対応の現場では悪質なカスハラが後を絶ちません。大切な従業員をカスハラの被害から守り、離職や生産性低下などのリスクを避けるためにも、早期にAI活用による対策を講じましょう。

電話放送局では、コールセンターのカスハラ対策に効果的なシナリオ型AI電話自動応答サービス「DHK CANVAS」をご提供しています。ノーコードで簡単にボイスボットを設定し、自社に適したコールフローを柔軟に組み立てることが可能です。一次対応の自動化によって従業員の負担を軽減するとともに、待ち時間抑制や誤転送の減少で顧客のストレスを緩和します。ハラスメント対策のご担当者様は、お気軽に無料トライアルや資料請求をご検討ください。

DHK CANVAS

お役立ち資料 無料ダウンロード

本資料では、ボイスボット・IVRを活用した電話業務を自動化する手法や、ボイスボット・IVR提供会社を選ぶポイントを知ることができます。

【本資料は、下記の関心をお持ちの方におすすめです】
・コールセンターの電話業務をどこまで自動化できるのか知りたい
・自動化に適したコール内容を知りたい
・ボイスボット、IVR導入により、自動化に成功した事例を知りたい

関連コラム

おすすめコラム

簡単・便利なIVRを体験

IVRで電話業務を自動化する手法や、IVRサービス提供会社を選ぶポイントを知ることができる資料を無料提供

下記の関心をお持ちの方におすすめです!

  • コールセンターの電話業務をどこまで自動化できるのか知りたい

  • 自動化に適したコール内容を知りたい

  • IVRやボイスボット導入により、自動化に成功した事例を知りたい

IVRを活用してコールセンターを自動化する手法と成功事例

IVRで課題解決

こんな課題ありませんか?

  • 電話対応を自動化したい
  • あふれ呼や営業時間外の機会損失を減らしたい
  • 災害時のBCP(事業継続計画)やテレワークに活用したい

お問い合わせ・資料請求はこちら

お電話からのお問い合わせ