コールセンターでクレーム対応を行うポイントは?対応改善のアイデア
2023/10/11
コールセンターのクレーム処理は、顧客の困りごとを解決するサービスのひとつです。感情的に電話をかけてくる顧客も多く、内容は多種多様なため、オペレーターにとっては電話対応が難しい業務といえるでしょう。ごくまれにですが、悪質なクレーマーに遭ってしまうこともあります。
この記事では、コールセンターに寄せられるクレームの要因や、クレーム対応を行う際のポイントについて解説します。クレーム電話の対応方法や改善策もご紹介しますので、コールセンターのクレーム処理でお困りの事業者様はご参考にしてください。
目次
・コールセンターに寄せられるクレームで言ってはいけないNGワード
・コールセンターのクレーム処理には効率のよいシステムを構築しよう
コールセンターに寄せられるクレームの要因
コールセンターに寄せられるクレームはさまざまです。代表的なクレーム要因を解説しましょう。
商品やサービスの不良
企業が提供している商品やサービスに不備があったり、顧客の期待を下回ったりしたときに顧客からのクレームが発生します。たとえば、「不良品が含まれていた」「商品に異物が混じっていた」「長時間待たされた」などです。
そのほかには「サイズや色が違う」「予約が入っていない」などの手配ミス、「請求金額が過剰」などの事務的なミスも含まれます。顧客側ではなく企業側にクレームの原因があるため、企業として誠意ある対応が必要です。
接客態度への不満
顧客が感情的になってクレームをしやすいのが、接客態度への不満です。たとえば、対応した店員の態度が悪く、顧客に不満を抱かせた例などが該当します。
「偉そうに接客する」「何回呼んでも対応しない」「言葉遣いがなっていない」など、顧客は従業員に失礼な態度を取られたときに不満な気持ちになるものです。接客業は顧客と直に接するため、クレームが発生しやすい業種といえます。
また、コールセンターのオペレーターの対応が悪かった場合も、さらなるクレーム発生原因になり、新たなトラブルとなるので注意が必要です。
顧客側の勘違い
クレームの内容によっては顧客側に原因があるケースもあります。たとえば顧客が間違って購入したり、説明書の内容を間違えて読んでいたりする場合です。
ただ、企業側も顧客が利用しやすいような事前説明をしていない、あるいは間違えないような配慮をしていないなど、サービス不足から誤解を招くこともあるようです。
たとえ、顧客側の勘違いだったとしても、そうなってしまった遠因は企業側にあると考えたほうがよいでしょう。顧客が円滑に利用できるサービスの提供が望まれます。
クレーム対応を誤ると、SNSや口コミサイトで書き込まれるリスクもあります。
クレームはなぜ発生するのか?
クレームは提供するサービスや商品の完成度・クオリティが、顧客の求める期待値を下回った場合に発生します。例えば写真で提示されているものと比較して、実際の商品が粗末な出来だと、クレームが発生する可能性が高まります。そのほか、担当者や店員の対応が不適切だと判断され、クレームが入るケースもあります。
基本的にクレームは、企業側と顧客側の認識のズレが発生に起因します。商品・サービスを提供する企業側が想定していたものと、顧客側が求める内容に乖離があると、クレームの発生が懸念されます。BtoC(企業が一般消費者に実施するビジネス)事業を展開する企業は、顧客側のニーズや認識を把握しつつ、クレームを発生させないための対策を講じる必要があります。
コールセンターに寄せられるクレームの例
事業展開をする限り、クレームを0に抑えるのは不可能だといえます。そのためクレームの事例を把握し、冷静に対応する方法を従業員に周知させることが、顧客との関係性を構築するための重要な施策になります。以下では、コールセンターに寄せられるクレームの事例を紹介します。
感情的なクレーム
「感情的なクレーム」とは、顧客側が「不愉快」だと感じる事象を起因として発生するクレームです。求めているサービスが提供されなかった、企業の対応が不十分だったなどを理由に、怒りの感情が抑えられなくなったケースを指します。
コールセンターに感情的なクレームが入った場合には、不満や怒りの感情をなだめつつ、原因を把握して誠意ある謝罪と今後の対応を協議することが重要です。
間違いを指摘するクレーム
「間違いを指摘するクレーム」は、商品やサービスの内容に説明と異なる部分があった場合などに発生します。求めていた結果を得られなかったことを理由に、クレームが入るケースも多いです。返金などを要求される可能性があるだけでなく、SNSで情報が拡散されて炎上に発展するパターンも懸念されます。
指摘された間違いは直ちに修正し、クーポンの配布などを通して、間違いを伝えてくれたことに対する感謝を示す方法があります。
勘違いから発生するクレーム
顧客側が商品・サービスについて間違った解釈をし、勘違いでクレームが入るケースもあります。商品ページや説明書を正確に把握できていない可能性があるため、勘違いであることを丁寧に伝える方法が考えられます。その際には、「勘違いした顧客が悪い」と判断するのではなく、「なぜ勘違いが起きたのか」原因を明確にし、再発しないように対策をとりましょう。
長時間対応するクレーム
何らかの原因によって発生した問題に対して、長時間かけてクレームを入れる事例も珍しくありません。この事例では問題の解決よりも、「ただ不満を言いたい」「自分の話を聞かせたい」といった傾向が強く、話し合いが進められないケースも多いです。無理難題を押し付けられることもあり、カスタマーハラスメントに該当する可能性もあります。
謝礼・謝罪を求めるクレーム
企業側の不手際やミスを理由に、「謝礼・謝罪を求めるクレーム」も多いです。問題の早期解決などを条件に、特別な謝礼を求めるクレーマーには、社内で専門の対応策を考えておくことが重要です。また、コールセンターの従業員ではなく、上司や担当者を呼び出して謝罪をさせるケースもあります。
対応方法を事前に定め、取り次ぐ先を明確にするなどの対策が必要です。
コールセンターでクレーム対応を行う際のポイント
クレーム電話をかける顧客の心の中は、企業に対する不信感や怒りでいっぱいなため、対応の仕方によっては取り返しのつかない事態になってしまうことも考えられます。ここでは、コールセンターでクレーム対応を行う際のポイントについてご紹介します。
顧客の話を聞いて心情を理解する
まずは電話をかけてきた顧客の話を、誠意を持って聞きましょう。
「早く対応を終わらせたい」という投げやりな気持ちは顧客側に伝わる可能性が高く、さらに顧客の怒りを倍増させることもあるので注意しなければなりません。相槌を打つだけのいいかげんな態度もNGです。
顧客側は自分の気持ちをわかってほしいだけの場合もあり、顧客の話を聞くことで、相手の不快な気分や怒りは徐々に収まっていくケースもあります。「自分が顧客の立場だとして、どのように応対してもらえば納得できるのか?」と考えて、相手の気持ちに寄り添いながら、顧客がクレームを入れてきた心情の理解が大切です。
どのような問題が起きているのかを把握する
誠意ある対応は必要ですが、ただお詫びや相槌を繰り返すだけでは本質的な解決にはつながりません。結局のところ、顧客が抱える問題を解決しないことには、納得してもらえないからです。顧客側にはどのような問題が起きているのかを把握するために、冷静に事実関係や現在の状況の理解に努める必要があります。
必要な情報を集めるために顧客への質問を重ねることも大切です。「いつ」「どこで」「どのような」事象が発生したのかを具体的に知り、クレームの要因を突き止めて適切に応対するようにしましょう。
顧客が抱える課題の解決策を提示する
状況の把握ができた後は課題を解消できる対応策を検討する段階へと進みます。いたずらに時間をかけても顧客の不満がさらに増すので、解決策はなるべく早く提示するようにしましょう。スピーディーかつ的確な対応方法が必要です。
顧客に最大限の誠意を伝えるのは大切ですが、社内のルールや法令遵守の観点を超える対応は行わないように心がけます。過剰な要求を求めてくる悪質な顧客には、対応できることとできないことの線引きが大切です。
最後は顧客へのお詫びと感謝の言葉を忘れない
コールセンターでのクレーム対応は通話の終わり方も大切です。クレームを申し出た顧客は企業への信頼が低下している可能性が高いため、不快な思いをさせてしまった場合、最後の締めくくりとして顧客へのお詫びと、日頃から自社のサービスを利用してくれていることに対し、感謝とお礼の言葉を忘れないようにしましょう。クレームを入れる顧客は自社サービスのファンであることもあり、感謝とお礼の言葉を伝えることにより怒りが和らぐ可能性もあります。
どんな企業でも何かしらの問題が発生するものですが、クレーム対応は信頼を回復できる機会のひとつです。対応の仕方がよければクレーム発生以前より信頼が上向くこともあるため、心をこめて顧客に対応するようにしましょう。
コールセンターに寄せられるクレームで言ってはいけないNGワード
コールセンターでクレームに対応する際には、「言ってはいけないNGワード」の把握が重要です。NGワードを口にすると、問題がより大きくなる可能性があります。以下では、クレームの対応時に口にしてはいけないNGワードを紹介します。
否定的なワード
クレームに対して、否定的なワードを口にすることはNGです。「それは違います」「お客様が間違っています」など、相手の意見を否定する言葉は、感情を逆撫でするきっかけになり得ます。コールセンターではまずクレームの内容を正確に把握することに努め、謝罪をしたうえで今後の対応を提案しましょう。
従業員の判断で否定的なワードを使用すると問題が大きくなり、「感情的なクレーム」につながる可能性もあります。こちらの対応によってさらなるクレームが発生した場合、穏便に済ませるのがさらに困難となります。
感情的なワード
コールセンターでは、理不尽な要求や暴言を浴びるケースも多いです。しかし、相手の言葉に対して感情的なワードで応えてしまうのもNG行為です。「いいかげんにしてください」と話を遮ったり、「〇〇なのではないですか?」と反論したりすると、問題を処理できる状況ではなくなります。
クレームに対応する際には冷静さを失わないように、個人の感情を封印することがコツです。お互いが感情的になると、口喧嘩と変わらず、問題の解決から遠ざかります。コールセンターの従業員は企業の窓口であることを意識し、感情的にならないように備える必要があります。
不快と捉えられるワード
コールセンターにおいて相手を不快にさせる、もしくは不快と捉えられるワードも、使うことを避ける必要があります。こちらが発した言葉の意図が正しく伝わらず、相手を不快にさせるケースは少なくありません。例えば「本当ですか?」など、相槌として使われる言葉も、状況によっては不快なワードとして認識されます。
また、相手の話に割って入るのも、不快にさせる要因になります。コールセンターではまず聞き手に徹して、それから話し始めるのが基本です。
【参考】
コールセンターの言葉遣いに関するお作法|良い印象を与えるコツは?
コールセンターのクレーム対応を改善するためにできること
コールセンターにクレームを入れる顧客の不快な気持ちを少しでも収めるような対応が必要です。ここでは、コールセンターでのクレーム対応を改善するためにできることをご紹介します。
オペレーターの教育を改善する
コールセンターでのクレーム業務で、顧客の基本満足度を高めるために重要となるのが、オペレーターの教育の改善です。企業内でクレームへの対応策を決めただけでは、オペレーターのスキルが低いと改善にはつながりません。顧客の感情的な発言に対して上手に応対できるコツを身につけなければ、オペレーターのストレスはどんどん増えてしまいます。
オペレーターの話し方や言葉遣いなどが顧客の不満をあおり、さらなるクレームのきっかけになることもあるようです。クレームの対処の仕方を誤ると、さらに顧客満足度が低下するおそれもあるので注意しなければなりません。言い訳と捉えられる言葉や、広い解釈ができるような言葉はNGワードであり、特にクレーム業務では慎むべきといえます。
そのため、クレーム対応を得意とするオペレーターをコールセンターで育成するのもよい選択肢でしょう。商品・サービスに関する質問や、クレームの問い合わせに対して的確に対応できる専門オペレーターを育成します。
さらにクレーム対応を効率化するために、外部のサービスをプラスするのもおすすめです。電話放送局の「とりつぎ君(用件振分)」なら用件に応じた担当者への転送を自動化できるため、クレームの問い合わせの場合は専門の担当者にすぐにつなげられます。用件がたらい回しにされることがないので、顧客だけでなくオペレーターのストレスを軽減できる便利なサービスです。
【参考】
とりつぎ君(用件振分)
クレーム内容は社内で共有する
労働災害の分野でよく知られる、事故の発生についての経験則として知られる「ハインリッヒの法則」によると、「1件の重大事故の背後には、重大事故に至らなかった29件の軽微な事故が、さらにその背後には事故寸前だった300件の異常が隠れている」と定義されています。したがって、1件のクレームの背後には、29件の軽微な不具合、300件のミスが隠されている可能性があります。
したがって、クレームは企業が提供するサービスを改善できるチャンスでもあるといえるでしょう。顧客からのクレームは社内の共有財産となるため、クレームの内容やオペレーターの対応の記録が必要です。
社内では気づけなかった不備な点を顧客に指摘されることにより、リスク管理や業務改善、トラブル防止などに役立てられるようになります。そのため、「応対したら終了」とするのではなく、今後のサービス向上のために活用できるように努めましょう。
オペレーターのケアに努める
コールセンターを運営する企業は、オペレーターの心のケアに努めることも必要です。
毎日のように感情的に怒られることでクレーム対応を負担に感じてしまい、離職するオペレーターもいます。いくら仕事とはいえ、オペレーターも一人の人間であり、理不尽に怒られ続けていると精神的に参ってしまうからです。
顧客がクレームを入れるときは企業の製品やサービスに対してのものが多く、オペレーター本人に対して怒っているわけではありません。とはいえ、クレーム処理で電話対応しているうちに、自分が怒られていると感じる人も多いでしょう。
クレームの原因とオペレーターには直接関係がないケースもあることを伝え、必要以上にストレスを抱えこまないように周知してください。
オペレーターを対象にクレーム対応研修 やメンタルヘルス研修などを通して、 組織としてクレームの対応やメンタルケアに関する共通認識をもっておくのはおすすめです。
クレーム対応に関するトークスクリプトを改善する
コールセンターでクレームへの適切な対応をするには、「トークスクリプト」の作成と改善が重要です。トークスクリプトとは、クレームに対応する従業員が活用する業務マニュアルのようなものです。クレーム対応用のトークスクリプトを作成することで、従業員ごとに対応のバラつきがなくなり、さまざまなパターンごとに適切な対処が可能となります。
トークスクリプトは実際に発生したクレームを参考にし、改善を加えていく必要があります。事例を軸により良い対応方法を模索し、最新の商品・サービス情報にあわせた内容に刷新する手順も重要です。コールセンター内で対応した内容や対応方法を共有し、トークスクリプトの改善に活かすことが考えられます。
【参考】
電話対応マニュアルの作り方|掲載内容や作成の手順、ポイントまで
コールセンターへのクレームをそもそも減らす方法
コールセンターにおけるクレームへの対応策を知るだけでなく、そもそものクレーム件数を減らす方法の把握も重要です。以下では、コールセンターへのクレームを減らすためのポイントを解説します。
待ち時間を減らす
コールセンターへのクレームを減らすには、電話をかけた際の待ち時間を短縮することが1つの方法です。クレームの電話がつながるまで時間がかかると、感情が昂ぶって問題が大きくなる可能性があります。また、取り次ぎ先を明確にして、クレームの内容にあわせて速やかに担当者に交代できる環境づくりも重要です。
対応者の教育を強化する
コールセンターでの対応が原因となって、さらなるクレームが発生するケースもあります。問題が大きくならないように、クレームの対応者をしっかりと教育し、適切な方法で対処できるように備えるのもポイントです。就業前のトークスクリプトの確認を義務化したり、専門の研修や学習機会を提供したりと、さまざまな方法で教育を強化することが考えられます。
【参考】
コールセンターのオペレーターの話し方を向上させるには?
クレームの種類を分けてデータを収集する
クレームへの対応方法を最適化するために、クレームを複数の種類に分類してデータを収集するのも重要です。クレームの種類にあわせて対応方法をマニュアル化できれば、コールセンターで別のトラブルを発生させる可能性を減らせます。収集したデータを分析・解析すれば、増加しているクレームを把握したり、NGワードを修正したりといったことも可能です。
クレーム対応の音声を録音する
クレーム対応時の音声は録音し、参考データとして活用します。対応者が自分の音声を確認し、改善点やミスを発見することで、今後のクレーム対応に活かせます。また、音声は全体で共有し、気づいたことをまとめる機会を作るのもポイントです。
録音した音声を聞くのは時間がかかるため、「とりつぎ君 電話取次ぎDX」のように、音声をテキスト化できるシステムを使うのがおすすめです。
顧客が電話なしで解決できるようにする
コールセンターに電話をかけなくても、顧客が自ら問題を解決できる環境を整備する方法もあります。例えば自動音声で「よくある質問への回答」を再生したり、問題解決の方法が掲載されているWebサイトに誘導したりして、クレーム電話を減らす施策が考えられます。
電話をかける必要がなくなれば、コールセンターの従業員にかかる負担が減り、案件に対して丁寧に対応できる時間が作れます。結果的にコールセンターの質が上がり、顧客満足度を高められるでしょう。
コールセンターのクレーム処理には効率のよいシステムを構築しよう
コールセンターのクレーム処理では、顧客の困りごとのスムーズな解決が重要です。大抵の顧客は不快な感情をあらわにしながらクレームを入れてくるものなので、担当するオペレーターは顧客が納得できるように誠意をこめて対応しなければなりません。また苦情を言おうと思って電話をかけたけれど、混雑などが理由でつながらず、かえって怒りが増幅するケースもあります。
こうした事態を防げるサービスが、電話放送局の「あふれ呼IVR」です。たとえ問い合わせが混雑していてもコールをIVRで受け付け、ピークアウトしたときに折り返し電話をかけることができます。問い合わせがあったタイミングから少し時間を空けて折り返すので、結果として顧客も冷静になるケースもあるでしょう。待ち呼で延々と待たせた後に対応するとのでは、オペレーターの負担も大きく異なります。クレーム対応の課題を抱えている企業様がいたら、ぜひご検討ください。
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