チャットボットの種類と特徴|メリット・デメリットと業界別の選び方
2025/04/04

「チャットボット(Chatbot)」は、テキストメッセージを通じてユーザーの質問へ自動的に回答を提示するチャットサポートのシステムです。WebサイトやECサイトの顧客対応、社内向けのヘルプデスクなど、カスタマーサービスからバックオフィスまでさまざまな問い合わせ対応の用途で活用されています。チャットボットを導入すると、やり取り担当者が不在の場合も24時間365日いつでも対応が可能で、利便性向上や負担軽減につながります。
近年は顧客ニーズの多様化にともない、従来の電話窓口に加えてチャット窓口などのマルチチャネルで問い合わせを受け付ける企業が多くなってきました。そこで本記事では、AI非搭載型・AI搭載型それぞれのチャットボットの種類やメリット・デメリット、業界別のチャットボットの選び方、導入時の注意点を解説します。自社に適したチャットボットをお探しのご担当者様は、ぜひお読みください。
なお、チャットボットと同様に業務効率化の目的で、電話窓口に導入されるシステムとして「ボイスボット」が挙げられます。記事内ではチャットボットとボイスボットを組み合わせる導入効果についても触れるため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
・AI非搭載型とAI搭載型チャットボットのメリット・デメリット
・チャットボット×ボイスボットで問い合わせ対応の自動化を実現!
AI非搭載型チャットボットの主な種類と特徴
AI非搭載型チャットボットには、主に「シナリオ型(ルールベース型)チャットボット」「辞書型チャットボット」などの種類があります。まずは、それぞれの種類と特徴を解説します。
シナリオ型(ルールベース型)チャットボット
あらかじめ設定されたシナリオ通りに会話を展開するタイプの、シンプルな対話型のチャットボットです。例えば、ユーザーに選択肢を提示しながら「製品に関するお問い合わせ」→「現在お使いの製品名」→「〇〇機能の使い方」といった流れで会話を進めながら、シナリオに沿った回答を提示します。
シナリオ型のメリットは、シナリオ設計に沿って正確性の高い回答を安定して提供できる点です。また、導入時はシナリオ作成だけで運用開始できるため、導入・運用のコストを抑えやすいというメリットもあります。一方で、設定したシナリオに含まれない質問には対応できない点はデメリットだといえるでしょう。また、幅広いケースに対応するには、事前準備で多くの選択肢や回答を設定する必要があります。
辞書型チャットボット
ユーザーが入力したフリーワードに基づいて、あらかじめデータベースに登録された回答の候補を提示するタイプのチャットボットです。例えばユーザーが「料金」と入力すると、「料金プランの種類」「料金のお支払い方法」「料金のお支払い期限」といった候補が示されます。
辞書型チャットボットは、ユーザーが入力したフリーワードに対して一問一答で回答を提示するので、求める情報を即座に得られる点がメリットです。導入準備ではQ&Aのように回答を用意するだけで、幅広いケースに対応できます。その一方で、複雑な質問や事前に回答が登録されていない質問の場合、オペレーターとのやりとりが必要となる点はデメリットだといえます。
AI搭載型チャットボットの主な種類と特徴
AI搭載型チャットボットには、「機械学習型チャットボット」「独自AI型チャットボット」「RAG型チャットボット」などの種類があります。続いて、それぞれの種類と特徴を解説します。
機械学習型チャットボット
自然な会話の流れで回答を提示するタイプのチャットボットです。準備段階でAIへ大量の学習データを読み込ませて、かつ回答の正誤の評価を蓄積することで精度を高めていきます。このような精度向上の作業は「チューニング」と呼ばれ、定期的に調整を実施する必要があります。
機械学習型チャットボットは、過去のデータに基づいて学習を繰り返すことで、精度の高い回答文を自動生成できる点が大きなメリットです。これにより、ユーザーからの幅広い質問に対応できるようになります。その一方で、初期導入コストが高い点や、運用に負担がかかる点はデメリットです。また、十分なデータを用意できない場合、学習が不十分で期待される性能を発揮できないおそれがあります。
独自AI型チャットボット
機械学習型と同様に、自然な会話の流れで回答を提示するタイプのチャットボットです。その際は、自社データや独自のアルゴリズムを用いることで、企業が独自にAIを構築できるという特徴があります。自社の問い合わせ対応業務に特化した、独自性の高いAIを必要とするケースに適しています。
独自AI型チャットボットのメリットは、機械学習型と同様に学習によって回答の精度を高められる点です。さらには、自社の業務に最適なAIを構築できる点が大きなメリットだといえるでしょう。ただし、自社独自のAIを構築するには、開発コストが高くなる傾向にあり、社内に高度な技術が求められる点がデメリットです。
RAG型チャットボット
文書検索機能と生成AIを組み合わせたタイプのチャットボットです。RAGとは「Retrieval-Augmented Generation」の略語で、日本語では「検索拡張生成」と呼ばれます。ユーザーが問い合わせた内容に対して、関連するデータを検索した上で、生成AIが自然な文章で回答を作成する仕組みです。
RAG型チャットボットには、検索と生成の技術を組み合わせることで、回答の正確性や柔軟性を高められるというメリットがあります。単なる検索とは異なり、複数の情報を集約し、ユーザーの求める回答を提供することが可能です。ただし、情報源に誤りがある場合に誤った回答を提示するリスクがあるほか、AIが存在しない事実を生成する「ハルシネーション」のリスクが懸念されます。
AI非搭載型とAI搭載型チャットボットのメリット・デメリット
AI非搭載型とAI搭載型チャットボットは、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。ここでは、わかりやすい比較表を用いながらそれぞれの違いをご紹介します。
AI非搭載型のチャットボットは、一般的に初期費用や月額費用を抑えて低コストで導入・運用しやすいのが魅力です。ただし、あらかじめ用意した簡単な質問内容に対する受け答え以外は対応が難しく、柔軟な対話がしにくいといえます。
AI搭載型のチャットボットは、人間のオペレーターのように自然な流れで対話でき、運用と改善を繰り返すことで回答精度が向上します。一方、導入・運用コストの費用が高額な負担となるほか、チューニングの手間がかかるのが難点です。導入目的や費用対効果を踏まえて選定しましょう。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
AI非搭載型 |
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|
AI搭載型 |
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【業界別】チャットボットの選び方
チャットボットを問い合わせ対応へ導入する場合、どのタイプを選べばよいのでしょうか。ここでは、業務に最適なチャットボットの選び方や活用例を、業界別にご紹介します。
金融業界
金融業界のチャットボットには、高度なセキュリティ体制や、ユーザーに合わせたきめ細やかな顧客対応が求められます。そのため、顧客認証機能や暗号化機能のような、厳重なセキュリティ対策の機能を搭載したチャットボットを選びましょう。また、金融商品に関する膨大な知識をインプットできることも重要です。
【参考】
金融のDXとは?導入する意義や業界の課題、実際に取り入れた事例
EC業界
EC業界のチャットボットは、ショップスタッフのような接客サービスを提供し、多数の商品や顧客データを管理する必要があります。店舗における有人対応のように、ECサイトの商品に関する質問に回答できるチャットボットを選びましょう。このほかに、商品の配送状況を顧客に通知する機能などがあると便利です。
医療業界
医療業界のチャットボット対応では、患者と円滑に意思疎通できることや、個人情報を適切に取り扱えることなどが不可欠です。そのためにも、「患者に合わせて自然なコミュニケーションが取れるか」「プライバシー対策の機能が搭載されているか」などの観点を重視すると良いでしょう。
観光業界
観光業界のチャットボットには、予約管理や多言語対応の機能が欠かせません。自動応答でスムーズに予約が取れる機能や、顧客へリマインダーを送信する機能などが求められます。また、海外観光客による利用シーンが想定される場合は、複数の言語に対応可能なチャットボットを検討しましょう。
保険業界
保険業界のチャットボットには、見積作成を自動化する機能や、複雑な質問に自動回答する機能が求められます。保険商品のオプションやポリシーに関して正確な情報を提示するために、更新が容易であることが大切です。また、顧客ニーズを読み取り、適切なプランの契約へ誘導する仕組みが必要となります。
【参考】
保険のDXとは?業界が直面する課題とDX化で改善した事例
チャットボットを導入する際に気を付けるポイント
最後に、カスタマーサポートにチャットボットを導入する上での注意点をお伝えします。サービス品質を高めて顧客満足度向上につなげるためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。
何のために導入するのか
チャットボットを導入する際は、まず導入の目的を明確にすることが大切です。目的が曖昧な段階で導入すると、自社に必要な機能を選定したり、効果測定で目標達成の度合いを確認したりするのが難しくなります。例えば「効率的な顧客対応でオペレーターの負担を軽減する」「会話データを分析して顧客ニーズを把握する」といった形で、初めに自社の導入目的を設定すると良いでしょう。
他ツールと連携ができるか
ベンダー各社が提供するチャットボットの中には、他のツールと連携可能なものもあります。例えば、電話口でAIが自動対応を行う「ボイスボット」と連携させれば、企業の電話対応とチャット対応をいずれも自動化できます。カスタマーサポート業務の大幅な工数削減につながるでしょう。このように、既存のプラットフォームやシステムとの連携によって、業務効率の向上につながる可能性があります。チャットボットを選定する際は、外部システムとの連携性についても確認しておくようおすすめします。
サポート体制が充実しているか
チャットボットのベンダーによってサポート体制の充実度に違いがあります。手厚いサポート体制が用意されていると、万が一トラブルが発生した際の対応がスムーズになるため安心です。例えば、ベンダーによっては専門知識を持つスタッフから24時間体制でのフォローを受けられます。導入後、電話やメールでいつでもチャットボットの運用やメンテナンスの疑問を解消できるようになります。チャットボットを選定する際は、サポート体制についても詳細にチェックして比較検討すると良いでしょう。
顧客が使いやすいか
チャットボットを顧客への問い合わせ対応や案内で活用する場合は、ユーザーの使用感を重視することが大切です。UI/UXが悪く直感的に使いにくいチャットボットは、利用されにくくなるため注意しましょう。顧客体験を向上させるためには、「ボタンやテンプレート返信で操作性を高める」「誤った入力をした場合にフォローする」といった工夫が求められます。顧客目線で設計し、効果的に運用しましょう。
チャットボット×ボイスボットで問い合わせ対応の自動化を実現!
ここまで、AI非搭載型・AI搭載型それぞれのチャットボットの種類やメリット・デメリット、業界別のチャットボットの選び方、導入時の注意点について解説しました。
チャットボットを導入すると、よくある質問への問い合わせ対応を自動化できるため、業務効率化が期待できます。その一方で、ビジネスシーンでは依然として電話の需要が高い状況です。そこで、コールセンターにボイスボットを導入すれば、問い合わせ対応の自動化を後押しできます。
ボイスボットは、AIが音声を解析して自動で電話対応を行うシステムです。チャットボットとボイスボットの両方を活用すれば、テキストメッセージはチャットボットが対応し、音声通話はボイスボットが対応する社内体制を構築できます。問い合わせ対応業務の課題を解決するなら、チャットボット×ボイスボットの運用を検討してみてはいかがでしょうか。
以下の関連記事では、ボイスボットの基礎知識から活用事例、具体的なサービス詳細まで解説しています。電話での問い合わせ件数が多くお悩みなら、こちらの記事も参考にお読みください。
【参考】
ボイスボットとは?メリット・デメリットや活用方法
ボイスボット
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