2024/05/31

「チャットボット」は、テキストメッセージを通じてユーザーの質問へ自動的に回答を提示するシステムです。主に企業のWebサイトやECサイトなどに設置され、問い合わせ対応の用途で活用されています。

近年は顧客ニーズの多様化にともない、従来の電話窓口に加えてチャット窓口などのマルチチャネルで問い合わせを受け付ける企業が多くなってきました。本記事では、チャットボットの種類や選び方を解説するため、自社に適したチャットボットをお探しのご担当者様は、ぜひお読みください。

なお、チャットボットと同様に業務効率化の目的で、電話窓口に導入されるシステムとして「ボイスボット」が挙げられます。記事内ではチャットボットとボイスボットを組み合わせる導入効果についても触れるため、ぜひ参考にしてみてください。

目次

チャットボットの主な種類と特徴

 ・AI非搭載型チャットボットの主な種類と特徴

 ・AI搭載型チャットボットの主な種類と特徴

 ・AI非搭載型とAI搭載型チャットボットのメリット・デメリット

【業界別】チャットボットの選び方

 ・金融業界

 ・EC業界

 ・医療業界

 ・観光業界

 ・保険業界

チャットボットを導入する際に気を付けるポイント

 ・他ツールと連携ができるか

 ・サポート体制が充実しているか

チャットボット×ボイスボットで問い合わせ対応の自動化を実現!

チャットボットの主な種類と特徴

初めに、チャットボットの主な種類や特徴について解説します。チャットボットは、大きく「AI(人工知能)非搭載型」と「AI(人工知能)搭載型」に分けられます。それぞれのメリット・デメリットを確認してみましょう。

AI非搭載型チャットボットの主な種類と特徴

・シナリオ型(ルールベース型)チャットボット
あらかじめ設定されたシナリオ通りに会話を展開するタイプのチャットボットです。例えば、ユーザーに選択肢を提示しながら「製品に関するお問い合わせ」→「現在お使いの製品名」→「〇〇機能の使い方」といった流れで会話を進めながら、シナリオに沿った回答を提示します。

・辞書型チャットボット
ユーザーが入力したフリーワードに基づいて、あらかじめデータベースに登録された回答の候補を提示するタイプのチャットボットです。例えばユーザーが「料金」と入力すると、「料金プランの種類」「料金のお支払い方法」「料金のお支払い期限」といった候補が示されます。

AI搭載型チャットボットの主な種類と特徴

・機械学習型チャットボット
自然な会話の流れで回答を提示するタイプのチャットボットです。準備段階でAIへ大量の学習データを読み込ませて、かつ回答の正誤の評価を蓄積することで精度を高めていきます。このような精度向上の作業は「チューニング」と呼ばれ、定期的な調整を実施する必要があります。

・独自AI型チャットボット
機械学習型と同様に、自然な会話の流れで回答を提示するタイプのチャットボットです。事前にFAQを登録すると、AIが質問パターンを自動で学習して、幅広い質問文の表現に対して柔軟に回答を実現できるようになります。近年は生成AIと連携したサービスも存在します。

AI非搭載型とAI搭載型チャットボットのメリット・デメリット

「AI非搭載型」と「AI搭載型」のチャットボットは、それぞれメリット・デメリットがあります。以下の比較表で違いを確認してみましょう。

AI非搭載型は、一般的に初期費用や月額費用を抑えて低コストで導入・運用しやすいのが魅力です。ただし、あらかじめ用意した簡単な質問内容に対する受け答え以外は対応が難しく、柔軟な対話がしにくいといえます。AI搭載型は人間のオペレーターのように自然な流れで対話でき、運用と改善を繰り返すことで回答精度が向上します。一方、導入・運用コストの費用が高額な負担となるほか、チューニングの手間がかかるのが難点です。導入目的や費用対効果を踏まえて選定しましょう。

メリット デメリット
AI非搭載型チャットボット ・ユーザーからくる質問に対して回答のズレが生じにくい
・AI搭載型に比べてコストを抑えられる
・事前に用意できる回答の数に制限があるため受け答えの柔軟性に欠ける
AI非搭載型チャットボット ・会話や回答の精度が自動的に上がる
・広い範囲の問い合わせに対応ができる
・コストが大きくなりやすい
・事前に大量のデータを取り込む必要がある
・チューニングが必須

【業界別】チャットボットの選び方

チャットボットを問い合わせ対応へ導入する場合、どのタイプを選べばよいのでしょうか。ここでは、業務に最適なチャットボットの選び方を業界別にご紹介します。

金融業界

金融業界のチャットボットには、高度なセキュリティ体制や、ユーザーに合わせたきめ細やかな顧客対応が求められます。そのため、顧客認証機能や暗号化機能のような、厳重なセキュリティ対策の機能を搭載したチャットボットを選びましょう。また、金融商品に関する膨大な知識をインプットできることも重要です。

【参考】
金融のDXとは?導入する意義や業界の課題、実際に取り入れた事例

EC業界

EC業界のチャットボットは、ショップスタッフのような接客サービスを提供し、多数の商品や顧客データを管理する必要があります。店舗における有人対応のように、ECサイトの商品に関する質問に回答できるチャットボットを選びましょう。このほかに、商品の配送状況を顧客に通知する機能などがあると便利です。

医療業界

医療業界のチャットボット対応では、患者と円滑に意思疎通できることや、個人情報を適切に取り扱えることなどが不可欠です。そのためにも、「患者に合わせて自然なコミュニケーションが取れるか」「プライバシー対策の機能が搭載されているか」などの観点を重視すると良いでしょう。

観光業界

観光業界のチャットボットには、予約管理や多言語対応の機能が欠かせません。自動応答でスムーズに予約が取れる機能や、顧客へリマインダーを送信する機能などが求められます。また、海外観光客による利用シーンが想定される場合は、複数の言語に対応可能なチャットボットを検討しましょう。

保険業界

保険業界のチャットボットには、見積作成を自動化する機能や、複雑な質問に自動回答する機能が求められます。保険商品のオプションやポリシーに関して正確な情報を提示するために、更新が容易であることが大切です。また、顧客ニーズを読み取り、適切なプランの契約へ誘導する仕組みが必要となります。

【参考】
保険のDXとは?業界が直面する課題とDX化で改善した事例

チャットボットを導入する際に気を付けるポイント

最後に、カスタマーサポートにチャットボットを導入する上での注意点をお伝えします。サービス品質を高めて顧客満足度向上につなげるためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。

他ツールと連携ができるか

ベンダー各社が提供するチャットボットの中には、他のツールと連携可能なものもあります。例えば、電話口でAIが自動対応を行う「ボイスボット」と連携させれば、企業の電話対応とチャット対応をいずれも自動化できます。カスタマーサポート業務の大幅な工数削減につながるでしょう。このように、既存のプラットフォームやシステムとの連携によって、業務効率の向上につながる可能性があります。チャットボットを選定する際は、外部システムとの連携性についても確認しておくようおすすめします。

サポート体制が充実しているか

チャットボットのベンダーによってサポート体制の充実度に違いがあります。手厚いサポート体制が用意されていると、万が一トラブルが発生した際の対応がスムーズになるため安心です。例えば、ベンダーによっては専門知識を持つスタッフから24時間体制でのフォローを受けられます。導入後、電話やメールでいつでもチャットボットの運用やメンテナンスの疑問を解消できるようになります。チャットボットを選定する際は、サポート体制についても詳細にチェックして比較検討すると良いでしょう。

チャットボット×ボイスボットで問い合わせ対応の自動化を実現!

ここまで、チャットボットの種類や、業界別の選び方について解説しました。チャットボットを導入すると、よくある質問への問い合わせ対応を自動化できるため、業務効率化が期待できます。その一方で、ビジネスシーンでは依然として電話の需要が高い状況です。そこで、コールセンターにボイスボットを導入すれば、問い合わせ対応の自動化を後押しできます。

ボイスボットは、AIが音声を解析して自動で電話対応を行うシステムです。チャットボットとボイスボットの両方を活用すれば、テキストメッセージはチャットボットが対応し、音声通話はボイスボットが対応する社内体制を構築できます。問い合わせ対応業務の課題を解決するなら、チャットボット×ボイスボットの運用を検討してみてはいかがでしょうか。

以下の関連記事では、ボイスボットの基礎知識から活用事例まで解説しています。電話での問い合わせ件数が多くお悩みなら、こちらの記事も参考にお読みください。

【参考】
ボイスボットとは?メリット・デメリットや活用方法

ボイスボット

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