2024/02/01

近年は注目の「FinTech(フィンテック)」への参入をはじめとして、金融業界でもデジタル戦略に注力する動きが見られるようになりました。最先端のデジタル技術を活用することで、既存の業務プロセスを改善したり、新規サービスを創出したりできる可能性があります。ビジネスでの優位性を確保するために、DX推進へ取り組み始めましょう。

DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略語です。デジタル技術を活用したビジネスの変革のことを指し、取り組みにより企業の成長や競争力強化などを実現します。国内では経済産業省がDX推進を主導し、金融業界でも多くの企業が取り組んでいる状況です。

本記事では、金融業界のDXについて解説します。DXを導入する意義や業界の課題、導入事例までご紹介するため、ぜひ参考にお読みください。

目次

金融業界のDXと課題

 ・金融業界におけるDXの定義

 ・金融DXの課題

金融がDXを取り入れることで実現できること

 ・AIの導入による業務の効率化

 ・セキュリティ技術の導入による安全性の向上

 ・クラウドの導入による金融サービスの高度化

金融にDXを取り入れた事例

 ・株式会社ふくおかフィナンシャルグループ

 ・東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社

 ・東京センチュリー株式会社

金融DXの導入でビジネスの優位性を確保しましょう

金融業界のDXと課題

DX推進は、企業が抱える課題を解決へ導く施策として注目されています。金融業界における課題も、DXにより解決へ導ける可能性があるでしょう。初めに、金融業界におけるDXの定義や、金融業界が抱える課題について解説します。

金融業界におけるDXの定義

金融業界におけるDXとは、現状の金融サービスや業務プロセスのデジタル化を促し、新規サービスの創出や業務改革につなげることを指します。そこでは、施策の一環として「FinTech(フィンテック)」などの新たな分野に参入するケースや、既存システムの変更や改修に取り組むケースも少なくありません。ただし、DXは単なるデジタル化とは区別されており、最終的にビジネスの成長や競争力強化を実現することが重要視されています。

金融DXの課題

現状の金融業界では、レガシーシステムへの依存が問題視されています。レガシーシステムとは、古い技術で構築されているために、改修や保守運用の負担が大きいシステムのことです。金融業界ではかつて、ほかの業界よりも早期に業務システムが導入されました。しかし、その後に各社がシステムに独自の改修を重ねた結果、システムが巨大化・複雑化したケースが少なからず見受けられます。

こうしたレガシーシステムは、最新の技術では改修や保守運用に対応できないことから、維持コストがかさみやすいのが難点です。また、IT人材の高齢化にともない、古い技術やシステムの全体像を把握する技術者が不足すると懸念されており、安全性の観点でも多くのリスクが存在します。これらの背景から、金融業界ではDXによるレガシーシステムからの脱却が急務とされているのです。

金融がDXを取り入れることで実現できること

金融業界の企業がDXを導入すると、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか。企業側のメリットだけでなく、ユーザー側にもたらされるメリットにも注目です。ここでは、金融DXで実現できることをご紹介します。

AIの導入による業務の効率化

定型的な業務にAIを導入すると、一部の業務が自動化され、業務効率の向上が期待できます。たとえば金融機関の電話窓口では、よくある質問への回答などの定型的な顧客対応が行われています。そこでチャットボットを導入すると、一部の顧客対応を自動化して、担当者の業務負担を軽減できるのです。加えて、担当者のリソースを有効活用して、重要度の高い問い合わせへ優先的に対応しやすくなります。テクノロジーの活用によって顧客対応の人員を削減しながら、サポートの充実化をはかれます。

セキュリティ技術の導入による安全性の向上

金融業務における本人確認に生体認証技術を導入すれば、セキュリティの強化が期待できます。たとえば、銀行のATMやインターネットバンキングのアプリにおける取引では、指紋認証による本人確認が行われています。これにより、預金者本人を偽って預金を引き出すなど、第三者によるなりすましの防止が可能です。金融業界のビジネスモデルでは、取り扱う商品の性質上、特に強固なセキュリティが求められます。最新のセキュリティ技術で安全性が向上し、スムーズな認証による顧客体験の改善も期待できます。

クラウドの導入による金融サービスの高度化

金融業務では膨大な量の情報を取り扱います。これらをクラウドで管理することで、データ活用を推進したり、スムーズなデータ共有で社内の連携を強化したりできます。たとえば、金融機関の取引データをクラウドに蓄積して、データ分析に活用する方法です。これにより融資業務の効率化や、判断の正確性アップが期待でき、サービスの高度化に寄与します。また、クラウドの運用体制を整備すると、今後のデータ量の増加や最新技術の導入に対応しやすくなる点でもメリットが大きいといえるでしょう。

金融にDXを取り入れた事例

経済産業省では、企業の戦略的なIT利活用を促す取り組みの一環として「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」の選定を行っています。DX銘柄では、DX推進に取り組む企業を認定するとともに、ビジネスの成長や競争力強化を実現したモデルケースとして情報発信しています。

こちらでご紹介する企業の取り組みは、2022年度のDX銘柄に選定された、金融業界の企業の事例です。金融DXの成功事例として、ぜひ参考にお読みください。

【出典】「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2022」(経済産業省)

株式会社ふくおかフィナンシャルグループ

株式会社ふくおかフィナンシャルグループは、日本初のデジタルバンクとなる「みんなの銀行」を設立しました。次世代型の金融サービスであるデジタルバンクは、全ての銀行業務をスマートフォン上で完結できるのが大きな特徴です。システムは従来の銀行サービスの概念にとらわれない発想により、ゼロベースで設計されています。たとえば、目的別に預金を仕分けできる「ボックス」、タッチ決済でもオンラインでも使える「バーチャルデビットカード」など、これまでにない金融機能が搭載されています。

デジタルバンク「みんなの銀行」の設立により、同社はデジタル時代のニーズに適した銀行サービスを創出し、金融業界のビジネスに新たな価値を生み出しました。今後は、デジタルバンクの機能をパートナー企業に提供することで、「Banking as a service(BaaS)」事業が本格的に展開されます。

東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社

東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社の経営戦略では、次世代型の証券ビジネスとして「証券DX3.0」を目指すとともに、次世代向け金融サービスツールの拡充が進められています。同社はDXプラットフォームの機能を有するビジネスモデル「東海東京デジタルワールド」の取り組みで、経済と社会に貢献する新しいサービスを提供しています。

ビジネスモデルの主な特徴となっているのは、「FinTech機能の融合による新しいサービス」「地方創生」「パートナーとの連携」などのポイントです。先進性のあるFinTech機能を活用しながら、地域金融機関や地方自治体と協業することで、これまでにない新しいサービスの提供が可能となりました。地方銀行との提携や自治体への機能提供により、地域経済に大きく貢献しています。また、協業パートナーと連携してサービスを提供し合い、デジタル金融のエコシステムを構築する取り組みにも注目です。

東京センチュリー株式会社

リース・ファイナンス事業を行う東京センチュリー株式会社は、「金融×サービス×事業」を融合させたビジネスモデルを展開しています。「サブスクリプション・DX共創モデル」は、同社の金融サービス機能の事業基盤をSaaSで提供することで、パートナーとの共創に活用するのが特徴です。協業プロジェクトでは、パートナー企業の価値向上に貢献すると同時に、同社のリース・ファイナンス事業の価値向上にもつながっています。

たとえば、オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社との協業プロジェクトでは、同社が金融サービス機能やサブスクリプション統合プラットフォームを提供。これにより、脱炭素社会に貢献する太陽光発電向けパワーコンディショナの定額貸出サービスが新たに創出されました。

金融DXの導入でビジネスの優位性を確保しましょう

ここまで金融業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)について解説しました。DXとは、デジタル技術を用いた業務の変革を指す用語です。金融業界ではレガシーシステムへの依存などの問題を受けて、各社がDX推進へ取り組み始めています。DXの施策によって、金融業務の効率化、金融サービスの安全性向上および高度化といったメリットが期待されています。自社のサービスや業務プロセスへDXを取り入れ、ビジネスの成長や競争力強化につなげ、優位性を確保しましょう。


【参考】
コンタクトチャネル多様化と債権回収業務DX推進


電話放送局(DHK)では、企業の電話業務を自動化する各種ソリューションを提供しております。金融業界の企業様にもご活用いただき、DXにおける施策の一環として業務効率化にお役立ていただいています。なかでも金融サービスと相性が良いのは、自動音声を用いたダイレクトメッセージのソリューション「オートコールIVR」です。こちらのソリューションの導入により、入金コールや書類返送依頼など、アウトバウンドの電話業務を自動化できます。

「オートコールIVR」では、自動音声応答(IVR)の技術を活用し、お客様へお伝えしたい内容を声でお届けできるのが特長です。たとえば入金コールの業務へ導入すると、IVRが自動でお支払い確認のご連絡を行うため、オペレーターから電話をかける必要がありません。機械による案内は、オペレーターが案内する場合と比較してトラブルや苦情を軽減できるのもメリットです。大量回線による一斉架電が可能なため、これまでのDMやメールに代わる販促手段としてもご利用いただいています。

金融DXで電話業務の改善を検討される際は、どうぞお気軽にDHKへお問い合わせください。

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