2024/05/09

「コンタクトセンター」と「コールセンター」は、どちらも顧客や見込み客との重要な接点ですが、それぞれ役割が異なります。近年は顧客とのコミュニケーション手段が多様化し、顧客体験の重要性が高まっていることから、コンタクトセンターが注目を集めている状況です。

この記事では、コンタクトセンターとコールセンターの違いや、コンタクトセンターの需要が高まる理由、コンタクトセンターの役割などを解説します。また、コンタクトセンターの構築に必要なシステムもご紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。

目次

コンタクトセンターとは?

 ・複数のツールを駆使して顧客対応を行う部署

 ・コンタクトセンターとコールセンターの違い

 ・コンタクトセンターの設置に必要なこと

コンタクトセンターの需要が高まっている理由

 ・顧客との連絡手段の多様化

 ・顧客体験の重要性が高まっている

コンタクトセンターの役割

 ・インバウンド業務

 ・アウトバウンド業務

コンタクトセンターの構築に必要なシステム

 ・CRM(Customer Relationship Management)

 ・PBX(Private Branch eXchange)

 ・CTI(Computer Telephony Integration)

 ・IVR(Interactive Voice Response)

 ・ACD(Automatic Call Distribution)

 ・通話録音システム

 ・チャットボット

 ・SMS送信サービス

必要なシステムを導入してコンタクトセンターを構築しましょう

コンタクトセンターとは?

コンタクトセンターとは、インターネットやスマートフォンの普及で変化した消費者行動や問い合わせ手段に対応した、カスタマーサポートの組織や部署のことです。ここでは、コンタクトセンターの特徴や、コールセンターとの違いについて解説します。

複数のツールを駆使して顧客対応を行う部署

「コンタクトセンター」は、電話のほかSNS・メール・チャットなどの多様な手段で顧客をサポートする目的の部署です。このように複数のツールを使用することを「オムニチャネル」と呼びます。コンタクトセンターで用いられる代表的なツールは以下の通りです。

・SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)
・電子メール
・電話
・FAX(ファクシミリ)
・アプリケーション
・チャット

コンタクトセンターが担う業務は、問い合わせやクレームへの対応だけではありません。主な目的は顧客満足度の向上や付加価値の向上です。たとえば、購入履歴に基づいたクロスセル・アップセルの提案、製品・サービスの品質向上につなげるためのマーケティング活動などもコンタクトセンターの業務内容に含まれます。顧客の意見や反応が集まるコンタクトセンターには、商品改善やサービス品質向上につながるヒントが豊富にあります。企業の経営戦略の観点でも重要な部署だといえるでしょう。

なお、コンタクトセンターはオムニチャネルで顧客対応を行う部署の名称ですが、企業によって以下のような呼び方をするケースもあります。

・オペレーションセンター
・サポートセンター
・カスタマーセンター
・お客様対応窓口

コンタクトセンターとコールセンターの違い

コンタクトセンターとコールセンターの大きな違いは、オムニチャネル対応の可否です。コールセンターは主に電話のみを使って顧客対応を行い、一方でコンタクトセンターは多様なツールを駆使してオムニチャネルで包括的に対応するのが特徴です。コンタクトセンターとコールセンターは、使用するツールの種類や業務内容に違いがある点を押さえておきましょう。

コンタクトセンターの設置に必要なこと

コンタクトセンターの接客では多様なツールを用いるため、まずはオムニチャネル対応へ向けたインフラの整備が必須です。電話回線のほかに、新たにアプリケーションやチャットツールなどを導入してオムニチャネルの環境を整えなければなりません。また、コンタクトセンターを運用するためには、これらのITシステムに詳しい専門的な知識や技術を有する人材が不可欠です。

コンタクトセンターの需要が高まっている理由

近年はなぜ、オムニチャネルで顧客と接点を持つコンタクトセンターが活発化しているのでしょうか。ここでは、コンタクトセンターの需要が高まる背景として、2つの理由をご紹介します。

顧客との連絡手段の多様化

従来のビジネスシーンでは、BtoBやBtoCといったビジネスの形態を問わず、顧客や見込み客との連絡手段として電話が用いられていました。しかし、近年はスマートフォンが主な連絡手段となりつつあります。

総務省が公表した「令和5年版情報通信白書」によると、2022年のインターネット利用率は84.9%で、13~54歳までの利用状況は各階層で90%を超えています。また、端末別のインターネット利用率はスマートフォンが71.2%、パソコンが48.5%です。これらのデータから、スマートフォンが広く社会に浸透していることがわかります。

スマートフォンの普及に伴い、顧客とのコミュニケーションはメール・アプリ・SNSなど多様化しています。そのため、顧客対応をより充足させるには、コンタクトセンターを設置してカスタマーサポートをオムニチャネル化する必要性があるのです。

※出典:「令和5年版 情報通信白書 令和5年版インターネットの利用状況」(総務省)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/nd24b120.html

顧客体験の重要性が高まっている

従来のコールセンターでは、顧客への対応品質の平準化が課題でした。それに対して、オムニチャネル化により連絡手段が多様になったことで、多くの企業が顧客により良い体験を提供できるようになっている状況です。こうした背景から、顧客体験の向上が急務となっています。

たとえば、FAQサイトやチャットボットでよくある質問を自己解決できる環境を整備すると、顧客は24時間365日いつでも疑問を解消することが可能です。さらに、チャットボットで顧客を問い合わせ内容ごとに分類し、電話番号を入力して待ってもらう動線を設計すれば、問い合わせ対応を効率化できます。顧客側は待ち時間のストレスが軽減され、企業側は工数削減が期待できるでしょう。

問い合わせ対応のサービス品質は企業イメージと直結しやすい傾向にあります。また、近年はSNSやポータルサイトで他の顧客の口コミを参照するケースも多くなりました。コンタクトセンターを設置して顧客体験を充実させることで、顧客満足度の向上を図る施策に取り組むことが大切です。

顧客体験によっては、否定的な口コミがSNSに投稿され企業イメージ悪化に

コンタクトセンターの役割

コンタクトセンターの業務は、大きく「インバウンド業務」と「アウトバウンド業務」に分けられます。ここでは、それぞれの業務内容からコンタクトセンターの役割を解説します。

インバウンド業務

インバウンド業務とは、コンタクトセンターで顧客からの連絡を受ける業務のことです。具体的には、商品・サービスを利用する顧客からの問い合わせに対応する「カスタマーサポート」や「テクニカルサポート」などの業務が該当します。インバウンド業務では、テレフォンオペレーター、メールオペレーター、チャットオペレーターなどの職種が活躍しています。

アウトバウンド業務

アウトバウンド業務とは、コンタクトセンターで顧客へ連絡する業務のことを指します。企業側から顧客へ向けて発信するのが特徴です。たとえば、電話でアプローチする「テレアポ」や「テレマーケティング」などの業務が挙げられます。このほかにも、電話、メール、ビデオ会議システムなどの多様な手段で営業活動を行う「インサイドセールス」もアウトバウンド業務に含まれます。

コンタクトセンターの構築に必要なシステム

多様な連絡手段を備えたコンタクトセンターを構築するには、専用のシステムを導入する必要があります。システムを活用してオムニチャネル化を実現しましょう。

CRM(Customer Relationship Management)

CRMは「顧客管理システム」のことで、既存顧客の情報の一元管理を行うためのITシステムです。コンタクトセンター運営では、電話やメールなど多様な連絡手段での顧客の問い合わせ内容を履歴として残せます。さらには、顧客対応中に回答テンプレートやトークスクリプトなどを表示する機能を搭載したCRMもあります。改善点の抽出・危機管理の強化・オペレーターの早期戦力化などに貢献し、サービス品質向上や業務効率化の実現に役立つシステムです。

PBX(Private Branch eXchange)

PBXは「電話交換機」もしくは「電話交換システム」と称されます。内線や外線通話の転送が必要なコンタクトセンター・コールセンターには必要不可欠なシステムであり、グルーピングや通話管理機能を搭載している専用のPBXを導入するのが一般的です。オムニチャネルと連携することも可能で、その際は後述する「CTI」や「IVR」の機能を搭載したPBXが活用されています。

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CTI(Computer Telephony Integration)

CTIとは、電話回線とコンピューターのネットワークを統合するシステムです。音声通話をデジタル化するためのシステムであり、導入すると電話やファクシミリでのやりとりの情報をコンピューター(サーバー)に記録できるようになります。ポップアップで顧客の情報を表示できるため、オペレーターの応対品質の向上が図れるほか、PBXと連携することで複数の窓口のやりとりも記録可能になります。さらに顧客管理システムとも連携可能であり、顧客の詳しい情報を確認しながら対応することも可能です。

IVR(Interactive Voice Response)

IVRは「自動音声システム」という意味で、あらかじめ入力された設定に従って入電を振り分けることで、適切な窓口(オペレーター)につなぐ機能を有しています。コールセンター業界では1990年代から普及していますが、近年はスマートフォンと連携して音声に代わって画面上でタッチパネルを操作できる「ビジュアルIVR」が登場するなど、技術革新が進んでいます。

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IVRとは?特徴やコールセンターに導入するメリット、サービスの選び方

電話するだけで、SMSが届き、目的のサイトへ誘導することも

ACD(Automatic Call Distribution)

ACDは「着信呼自動分配装置」と呼ばれ、顧客からの入電を特定のルールでオペレーターやコミュニケーターに分配するシステムです。顧客満足に影響を与える「AHT(平均処理時間)」の短縮や、たらい回しの防止、入電の振り分けの最適化などの目的で導入されます。たとえば、入電をIVRで分類して、その後にACDによって熟練度を考慮して最適なオペレーターにつなぐ運用も可能です。

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通話録音システム

オペレーターと顧客の会話を記録するためのシステムです。通話の録音方法にはモノラルとステレオの2種類があります。顧客に対するサービス改善のほか、トラブルの防止と早期解決、聞き逃しの防止、クレーマー対策、コンプライアンス管理、人材育成といった多様な目的で用いられています。多くのコールセンターやコンタクトセンターに導入されているシステムです。昨今は、通話録音システムと「ChatGPT」などの生成AIを連携させて、通話内容を自動で要約する運用も注目されています。

チャットボット

チャットボットは、オペレーターに代わって顧客からの問い合わせに自動で対応するシステムのことです。FAQサイトやサポートページに設置されるのが一般的で、事前に設定したシナリオに従って顧客と会話しながら、適切な回答を提示します。問い合わせ対応の自動化が図れるため、業務効率化やオペレーターの負担軽減の実現につながるほか、24時間365日対応が可能となり顧客満足度の向上が期待できます。

最近ではAI(人工知能)を搭載したAIチャットボットも提供されています。AIチャットボットは、顧客とのやりとりを学習して回答できるため、より幅広いやりとりが可能となるのがメリットです。また、「ChatGPT」などの生成AIをチャットボットと連携させることで、事前に設定した質問以外にも回答を提示できるようになります。ただし、現状では生成AIは必ずしも正確な回答を提示できるとは限らない点に留意しましょう。

SMS送信サービス

ショートメールを活用した「SMS送信サービス」は、オムニチャネルに対応する際に重要なシステムです。SMS(ショートメッセージサービス)とは、電話番号を宛先にしてiPhoneとAndroidの標準アプリ「メッセージ」から短い文章を送受信できるサービスを指します。普及率が高い携帯電話でやりとりできるため、幅広いユーザーに対応できるのが大きなメリットです。顧客側は都合の良い時間にメッセージを確認して連絡でき、利便性が高いのが特長となっています。

IVRとSMSと連携させることで、URLや電話番号をタップするだけで自動的に適切なオペレーターへ振り分けできます。さらに、SMSでリマインドメッセージを送ることでクレームや認識の齟齬の防止に役立つでしょう。また、電話応対後にオペレーターの満足度調査を送信して回答をCRMで管理すると、マーケティングに活用できます。コンタクトセンターが担う幅広い役割に適したシステムとしてSMS送信サービスが活用されています。

長い自動音声を聞かなくても、目的に応じた内容をタップするだけで、適切な部署へ接続

必要なシステムを導入してコンタクトセンターを構築しましょう

コンタクトセンターとコールセンターの違いや、コンタクトセンターの重要性、役割について解説しました。スマートフォンの普及にともない、顧客とのコミュニケーション手段が多様化している近年、オムニチャネルが重要視されています。コンタクトセンターを構築する場合は、必要なシステムを導入して準備を進めましょう。オムニチャネル化へ向けて電話業務の自動化を推進するなら、電話放送局へご相談ください。アウトバウンド業務を自動化できるサービスをご用意しています。

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