2026/07/30

コンタクトセンターAI接客

結論から言うと、コンタクトセンターにおけるAI接客とは、電話の一次受付をAIで自動化し、応答率の向上と現場の負荷軽減を両立させる仕組みです。入電数の波による待ち時間の発生や、オペレーターの採用難に直面する企業にとって、電話業務効率化の有効な手段となります。本記事では、コンタクトセンター特有の課題を解決するAI接客の種類や具体的な導入メリット、既存PBX連携などの注意点を含めて解説します。

目次

コンタクトセンターの課題を解決する「AI接客」とは?

 ・慢性的な採用難とあふれ呼の増加が導入を後押ししている

 ・定型的な一次受付やFAQ回答を自動化し応答率を改善できる

コンタクトセンターで活用されるAI接客の主な種類

 ・プッシュ操作で用件を振り分ける従来型IVR

 ・自由発話に対応するAI音声認識型ボイスボット

 ・生成AIで自然な対話を実現するAIエージェント型ボイスボット

AI接客の導入で得られる具体的なメリット

 ・24時間365日つながる状態を維持できる

 ・一次受付を自動化しオペレーターのACWを削減する

 ・担当者のスキルに依存せず均質な応対品質を保てる

導入を阻む懸念点と失敗しないための対策

 ・シナリオ併用のハイブリッド運用で誤回答リスクを抑える

 ・既存PBXとセキュリティ基準を事前に確認する

 ・継続的なシナリオ改善とPDCA運用の体制を構築する

失敗しないAI接客ツールの選び方

 ・コールリーズンを分析し費用対効果を予測する

 ・有人対応へシームレスに引き継げる導線を確保する

 ・同業他社の導入実績とSLAが明確なベンダーを選定する

まとめ

コンタクトセンターの課題を解決する「AI接客」とは?

AI接客による「電話の振り分け」体制

AI接客がなぜコンタクトセンターで求められているのか、その背景と自動化できる領域を整理します。

慢性的な採用難とあふれ呼の増加が導入を後押ししている

AI接客の導入が拡大している主な理由は、オペレーターの採用難と、あふれ呼(対応しきれずに取りこぼされる着信)の増加です。少子高齢化によって人材確保が難航するなか、繁閑差による入電の波に人員配置だけで対応するのは限界を迎えています。現場の疲弊を放置すれば離職につながり、さらに応答率が低下するという悪循環に陥ります。限られた人員で顧客を待たせない体制を構築するため、人間のオペレーターに代わって初期の電話応対を担うAI音声応答の活用が急速に広がっています。

定型的な一次受付やFAQ回答を自動化し応答率を改善できる

AI接客を導入することで、住所変更や予約キャンセルといった定型的な一次受付や、よくある質問への回答を自動化し、センター全体の応答率を改善できます。すべての入電を人間が受けるのではなく、一定の手順で完了する要件はAIに任せ、複雑な相談やクレーム対応のみをオペレーターに回す振り分けが可能です。単純作業をAIにオフロードすることで現場の負担が減り、真に人による対応が必要な顧客へのサポート品質を高められます。なお本記事では、コンタクトセンターの主戦場である電話チャネルのAI接客(ボイスボット/AI電話自動応答)に絞って解説します。

コンタクトセンターで活用されるAI接客の主な種類

ai接客①

電話チャネルのAI接客は、応答方式や制御方法によって大きく3つに分類できます。それぞれの特徴を解説します。

プッシュ操作で用件を振り分ける従来型IVR

歴史が長く多くのコンタクトセンターで採用されているのが、プッシュ操作で用件を振り分ける従来型IVR(Interactive Voice Response)です。「〇〇のお問い合わせは1を、△△は2を押してください」という音声ガイダンスに従い、顧客がダイヤルボタンを押すことで自動的に担当窓口へ振り分けます。決められたフローに沿った確実な処理が得意で、代表電話の取次ぎや営業時間外の一次対応、あふれ呼のリカバリなど、定型業務の自動化に向いています。低コストで導入しやすく、シンプルな業務の自動化から着手したい企業に適しています。

【参考記事】
IVRとは?特徴やコールセンターに導入するメリット、サービスの選び方

自由発話に対応するAI音声認識型ボイスボット

従来のプッシュ操作の煩わしさを解消するのが、音声認識と自由発話に対応するAI音声認識型ボイスボットです。顧客が電話口で話した内容をAIがテキスト化し、意図を判定してあらかじめ設定されたシナリオに基づいて回答や手続きを自動で進めます。氏名や住所、電話番号などの非選択式の情報もヒアリングできるため、資料請求や予約変更、書類請求といった手続きを、人を介さず完結させられます。ピーク時の電話を取りこぼさず、顧客の待ち時間を大幅に短縮する効果があります。

【参考記事】
AIボイスボットと従来型の違いは?特徴と導入前に知りたい3つの課題

生成AIで自然な対話を実現するAIエージェント型ボイスボット

近年急速に導入が進んでいるのが、生成AIを活用し自然な対話を実現するAIエージェント型ボイスボットです。あらかじめ登録したFAQやマニュアルをナレッジとして参照し、AIが顧客の問い合わせ意図を汲み取って柔軟に回答します。決まった選択肢に沿わない自由な相談や、複数の条件を組み合わせた質問にも対応できるため、応対範囲を大きく広げられる点が特徴です。

【参考記事】
AIエージェントとは?コールセンターに導入するメリットや注意点

AI接客の導入で得られる具体的なメリット

AI接客の導入で得られるメリット

AI接客を活用することで、コスト削減と顧客満足度向上の課題を同時に解決できる可能性があります。主な3つのメリットを説明します。

24時間365日つながる状態を維持できる

AI接客を導入する大きな利点の一つは、繁閑差や時間帯に関わらず24時間365日いつでも電話対応が可能になり、常につながる状態を維持できることです。人間のオペレーターだけで突発的な呼量のピークや深夜・休日の対応をカバーしようとすると、莫大な人件費が発生します。AIによる電話自動応答であれば回線数の許す限り同時に複数の入電を並行処理できるため、「電話がつながらない」という顧客の不満を解消できます。疑問をその場で解決できる体制は、顧客満足度の向上につながります。

一次受付を自動化しオペレーターのACWを削減する

AI接客で一次受付や本人確認、定型的な手続きを自動化することで、オペレーターが対応する案件数が減るだけでなく、対応が必要な案件についても事前ヒアリング済みの情報を引き継げるため、結果としてACW(After Call Workの略で通話後の事後処理業務)を削減できます。氏名・住所・会員番号などのヒアリングからシステムへのデータ入力までをAIが自動で完了させれば、人間が手作業で対応履歴を残す手間が省けます。現場のオペレーターは処理件数に追われる圧迫感から解放され、より丁寧な対応に集中できるようになります。

担当者のスキルに依存せず均質な応対品質を保てる

AI接客では、あらかじめ設定・学習したデータに基づいて回答するため、担当者の経験やスキルに依存しない均質な電話応対品質を保てます。新人オペレーターの場合、知識不足による案内の間違いや、言葉遣いの未熟さからクレームに発展するリスクがあります。AIであれば、マニュアルに基づいた正確な情報を瞬時に提供し、感情的にならずに淡々と対応を完結させます。どの顧客に対しても一定水準のサービスを提供できるのは、品質管理の観点で大きな強みです。

導入を阻む懸念点と失敗しないための対策

ai接客②

AI接客は便利な一方で、コンタクトセンターならではの導入ハードルが存在します。懸念点と対策を挙げます。

シナリオ併用のハイブリッド運用で誤回答リスクを抑える

生成AIを活用する場合、ハルシネーション(AIが事実に基づかない嘘の情報を生成する現象)による誤回答や炎上を防ぐため、制御性の高い設計が必要です。企業公式の窓口として、誤った案内や不適切な発言は企業の信頼を大きく損ないます。自由な対話に任せきりにするのではなく、自社のFAQやマニュアルの範囲内でのみ回答を生成するよう制限をかけ、決められた業務フローはシナリオ型で確実に処理する、ルールベースと生成AIを組み合わせたハイブリッド運用が有効です。

既存PBX連携とセキュリティ基準を事前に確認する

AI接客を導入する際は、自社で利用しているPBX(Private Branch Exchangeの略で企業内の電話交換機)との連携可否や、社内のセキュリティ基準をクリアできるかを事前に確認する必要があります。クラウド型のシステムを利用する場合、既存のオンプレミス環境とどのように接続するか、通話録音データの保存場所はどこになるか等の技術的な課題が発生します。特にクレジットカード情報を扱う業務ではPCI DSSなどの準拠要件も確認が必要です。情報システム部門と早期に連携し、アーキテクチャやデータ取り扱いの安全性を評価しておくことが導入の前提となります。

継続的なシナリオ改善とPDCA運用の体制を構築する

AI接客は導入直後から完璧に稼働するわけではなく、運用しながら回答精度を高めていくプロセスが重要になります。顧客の実際の発話内容や、AIが回答に失敗したログを定期的に分析し、シナリオやFAQのチューニングを続ける必要があります。初期導入の予算だけでなく、運用フェーズのメンテナンス工数も見込んでおくことが重要です。PDCA(計画・実行・評価・改善のサイクル)を回す専任担当者、あるいは伴走支援を提供できるベンダーを確保できなければ、期待した効果は得られにくくなります。

失敗しないAI接客ツールの選び方

失敗しないAI接客ツールの選び方

自社の目的に合わないツールを選ぶと、運用が定着せず現場の混乱を招きます。導入時に確認すべき基準を整理します。

コールリーズンを分析し費用対効果を予測する

ツールを比較する前に、自社のコールリーズン(問い合わせの理由)を分析し、どの領域を自動化すれば投資対効果が高まりやすいかを予測します。全体の呼量のうち、本人確認と定型案内で完結する要件が何割あるかを可視化し、それらをAIにオフロードした場合に削減できる工数を試算します。すべての業務をAIに任せようとせず、費用対効果が見込める特定の業務領域に絞ってスモールスタートで導入を進めるのが望ましい進め方です。

【参考記事】
コールリーズン分析とは?収集・分析方法|効果的に活用するポイント

有人対応へシームレスに引き継げる導線を確保する

AI接客を導入する際は、AIが回答できない用件を察知し、スムーズに人間のオペレーターへ引き継げる導線が設計されたツールを選びます。顧客が求める回答をAIが提示できないまま対話が行き詰まると、顧客満足度の低下につながりかねません。ヒアリング済みの内容やAIとの対話履歴を引き継いだ状態でオペレーターにエスカレーションできる機能や、有人対応への接続を迷わず選べる仕組みが実装されているかを確認します。

同業他社の導入実績とSLAが明確なベンダーを選定する

システム障害時のリスクを最小限に抑えるため、同業他社での導入実績が豊富で、SLA(Service Level Agreementの略でサービス品質保証)や運用サポート体制が明確なベンダーを選定します。コンタクトセンターのシステム停止は事業継続への影響が大きいため、24時間365日のサポート体制や稼働率の保証水準を確認しておくことが重要です。過去の導入事例を確認し、自社と似た規模・課題を持つ企業での成功実績があるか、シナリオ設計から運用開始後まで伴走支援が受けられるかを評価の軸に加えます。

まとめ

本記事では、コンタクトセンター長に向けて、AI接客の種類や導入するメリット、失敗しないツールの選び方について解説しました。

•    コンタクトセンターにおけるAI接客は電話の一次受付を自動化し、応答率向上とACW削減を実現する仕組みである
•    従来型IVR・AI音声認識型ボイスボット・AIエージェント型ボイスボットがあり、シナリオ型との併用で確実性と柔軟性を両立できる
•    既存PBX連携やセキュリティ基準の確認が導入の前提となる
•    誤回答を防ぐためシナリオとの併用による制御と継続的な改善が重要である
•    有人対応へのシームレスな引き継ぎ機能と、実績・SLAの明確なベンダー選定が成功に近づくポイントとなる

自社のコールリーズンを正確に分析し、適切なAI接客ツールを導入して、現場の負荷軽減と顧客満足度の向上を両立させてください。

コンタクトセンターのAI接客なら「DHK CANVAS」

本記事で挙げた「誤回答リスクの制御」「既存PBX・電話番号との連携」「実績・SLAが明確で伴走してくれるベンダー選び」——AI接客ツールに求められるこれらの条件を満たすのが、電話業務を自動化するノーコードAIエージェント「DHK CANVAS」です。
DHK CANVASは、記事で解説した3つの方式をひとつのプラットフォームで提供します。定型業務は従来型IVR/シナリオ型ボイスボットで確実に処理し、非定型な相談は生成AIを活用したAIエージェント型で柔軟に対応。入電の用件を自動で判断し、複雑な案件やクレームは有人対応へシームレスに引き継ぎます。スモールスタートで始めて、段階的に自動化範囲を広げられる設計です。

こんな課題の解決に役立ちます

・生成AIの誤回答・炎上リスクが不安
 シナリオ型と生成AIのハイブリッド運用に加え、独自のハルシネーション制御で、自社FAQ・マニュアルの範囲内に回答を限定します。

・既存PBX・電話番号やセキュリティ基準との整合が不安
 既存の電話番号からの転送で利用でき、0120/0570にも対応。API連携やマスタ連携にも対応し、最短約2週間で開始できます。

・導入後に使いこなせるか、PDCAを回せるか不安
 カスタマーサクセスの専任チームが、シナリオ設計から運用改善・チューニングまで伴走します。

IVR市場シェアNo.1・導入実績1,500社以上・年間4,000万コール対応の実績と、47年の電話業務ノウハウ、約7,000回線の安定した通信基盤が、貴社規模のコンタクトセンター運営を支えます。あふれ呼ゼロや解約受付の年間3,800時間削減を実現した事例もあります。
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監修者情報

メーカーのコールセンター運営管理に従事し、自らIVRを導入。
不要な入電を抑制しつつ売上向上を実現するなど、現場視点で成果を創出。電話放送局では営業マネージャーとして10年以上従事し、クラウド型IVRの業界シェア1位獲得に貢献。
コロナ禍におけるユーザーのデジタル行動変容を受け、マーケティング部門を立ち上げ、責任者に就任。インサイドセールスを統括し、営業部門との連携を強化。自動音声応答の導入、運用、集客、営業の幅広い経験を有する。
IVRおよびコールセンター市場における20年以上の知見を活かし、ユーザーの検索行動やニーズを深く理解したマーケティング戦略を展開。
検索連動広告の運用経験を基に、現場で役立つ実践的な情報を発信し、読者のビジネス成功を力強くサポートします。

監修者 前田泰延(株式会社電話放送局) マーケティング責任者 営業部営業推進課 課長 前田泰延

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