コールセンターにAIを導入するメリットやデメリット、活用方法
2024/10/08
近年はさまざまな分野のビジネスでAI(人工知能)の活用が進んでいます。コールセンター業界においても、AIの導入により業務効率化や生産性向上を実現した企業が多くなっています。その一方で、AI活用を推進したいと考えているものの、電話業務でどう活用すべきか迷っているご担当者様も多いのではないでしょうか。
コールセンターへAIを導入し、その効果を最大化するには、自社の業務課題やビジネスの規模に適したサービスを選ぶことが重要です。この記事では、コールセンターにAIを導入するメリット・デメリットのほか、活用方法から導入事例までご紹介するため、ぜひお役立てください。
目次
・自社に適したAIソリューションでコールセンターの課題解決へ!
コールセンターにAIを導入すると何が変わる?
コールセンター業務にAIを導入すると、具体的にどのようなことを実現できるのでしょうか。また、近い将来は技術の進歩にともないどんな活用が期待できるのでしょうか。初めにコールセンターにおけるAI活用の現状をご紹介します。
コールセンターのAI活用によって実現すること
現状の電話業務のオペレーションにAIによる自動対応を組み込むと、コールセンター業界が抱える多くの課題の解決が期待できます。近年のコールセンター業界では、オペレーターの人材不足のほか、多様化した顧客ニーズへの対応など、多くの課題が存在します。AIによる業務支援で、これらの課題を解決へ導くことが可能です。
コールセンターにおけるAI活用の今後
AIの技術は発展途上にあり、今後はさらに精度が高まり、応用できる業務範囲が広がると考えられています。例えば、自然言語処理技術や感情分析技術がさらに進化すれば、より人間らしいコミュニケーションが可能となり、サービス品質が高まる可能性があるのです。一方、高精度のAIでもオペレーターの仕事を完全に置き換えるのは難しいと考えられています。カスタマーサポートの分野では依然として応対スキルを有する人材が不可欠だといえるでしょう。
コールセンターにおけるAI活用の例
近年のコールセンターでは、AIを搭載した多様なツールが活用されています。ここでは、それぞれのソリューションの特徴や、カスタマーサポートの分野における活用例を解説します。
チャットボット
チャットボットは、24時間対応が可能なテキストベースの自動応答システムです。なかでもAI搭載型のチャットボットは、過去の回答データなどを学習して回答を自動生成し、会話形式でユーザーへ提示します。コールセンターに導入すると、顧客からの問い合わせにリアルタイムで自動対応できます。
ボイスボット
ボイスボットは、音声による自動応答システムです。対話型AIのほか、音声認識・自然言語処理・音声合成といった複数の技術から成り立っています。ユーザーが発話するだけで容易に入力できるのが特長で、コールセンターに導入すると自然な会話の流れで顧客を案内できます。
FAQシステム
FAQシステムは、よくある質問と回答を自動で提示し、顧客の自己解決を促すシステムです。なかにはAIを搭載したサービスも存在します。コールセンターのサポートページに導入すると、顧客が入力した質問に対して、回答が自動表示される便利な仕組みを作れます。
音声認識システム
音声認識システムは、人間の音声をデータ化して文章に変換するシステムです。電話業務に導入すると、通話内容をテキストに書き起こしする手間を削減できます。通話記録を文章で残す作業を効率化でき、コールセンターの品質改善などに役立てられます。
AI検索システム
AI検索システムは、高度な検索機能によってオペレーターの顧客対応を支援するシステムです。AIのサポートにより、膨大な情報の中から速やかに必要な情報を抽出できるようになります。検索時間を短縮し、顧客の疑問を素早く解決できます。
テキストマイニング
テキストマイニングは、大量のデータの中から有益な情報をピックアップするシステムです。AIを活用すればビッグデータの分析も実現できます。コールセンターでは主に、収集した顧客の意見を効率的に分析する際に役立てられています。
コールセンターでAIを導入するメリット
AIを搭載したコールセンター向けのサービスを導入すると、現場の課題を解消し、顧客体験の向上につながります。ここでは、コールセンターへAIを導入するメリットをご紹介します。
業務の効率化
AIが業務をサポートすることで、オペレーターの作業時間と労力を抑えることが可能です。例えば、自動応答や検索の補助によって、問い合わせ対応における処理速度のスピードアップを図れます。日常的に繰り返される単純作業の大幅な効率化が期待できます。
コストの削減
AIによる業務の自動化で、コールセンターの運営コストを削減できる可能性があります。現状の人数のままで多くの業務をこなせるようになるため、増員による人件費の負担増加を抑えられます。最小限の人数でコールセンター運営を実現可能です。
人手不足の解消
AIがオペレーターに代わって対応する仕組みを構築すれば、人材の確保や配置に関する問題を解消できる可能性があります。「簡単な問い合わせは自動応答で解決する」といったように、呼量が多くなる繁忙期にも増員に頼らない人手不足の対策ができます。
オペレーターや顧客の負担軽減
有人対応とAIによる対応を組み合わせてサービスを提供すると、オペレーターと顧客の双方にメリットがもたらされます。顧客は必要なタイミングで迅速にサポートを受けることが可能です。一方、オペレーターは重要性の高い業務に集中して取り組めるようになります。
業務の属人化の防止
AIシステムにナレッジが蓄積されると、特定のオペレーターのスキルに依存しない運営体制を叶えられます。業務を標準化して属人化を防止し、持続可能な組織を作ることが可能です。ナレッジの共有がスムーズになるので、新人オペレーターの育成もしやすくなるでしょう。
データ分析への活用
AIシステムの高度なデータ分析の機能は、顧客により良いサービスを提供するうえで役立ちます。例えば、問い合わせ内容の傾向を分析して、顧客の意見をサービスに反映させることが可能です。社内のデータをサービス改善のために有効活用できます。
災害などの緊急時のBCP対策
AIシステムによる業務の自動化を推進すれば、災害時でもコールセンターの機能を維持することが可能です。オペレーターの不在時にも受付が可能となるため、営業時間外の対応はもちろん、企業のBCP対策にも効果的だといえます。
コールセンターでAIを導入するデメリット
AIの注目度が高まる一方で、AIの導入自体が目的となってしまい、現場で十分に活用できないケースも少なくありません。以下でご紹介する導入・運用のデメリットを踏まえて、自社に適したサービスを導入しましょう。
システム導入や運用のコストがかかる
AIシステムを導入・運用するには、初期費用やランニングコストがかかります。例えば、高性能なハードウェアの購入費用、専門的なソフトウェアのライセンス料などを負担する必要があるでしょう。このほかに、導入時のシステム設定やカスタマイズが有償となる場合もあります。費用対効果を考慮したうえで導入を検討しましょう。
AIに学習させる時間がかかる
AIに学習させるデータの収集と処理には多くの時間がかかります。そもそもAIはデータに基づいて適切な回答や行動を学習する仕組みとなっています。そのため、コールセンターの場合は日頃の業務で蓄積された通話ログやチャット履歴を読み込ませる必要があるのです。これらの解析に数週間から数カ月を要する可能性がある点に留意しましょう。
導入後も管理者やオペレーターが必要になる
AIの導入で業務効率化やコスト削減が期待できるものの、コールセンターの完全な自動化や無人化は難しいといえるでしょう。AIシステムを導入した後も、従来の有人での管理や対応を全て無くすことは現実的ではありません。引き続き学習データの更新やシステムの調整のために、現場の人的リソースを確保する必要があります。
AIは万能ではないことを理解しておく必要がある
AIの導入は多くのメリットが期待できる一方で、AIは万能ではないと理解しておくことも大切です。課題解決のために必ずしもAI搭載型のシステムを選択する必要はありません。企業によっては、IVR(自動音声応答システム)やRPAなど別のソリューションで課題を解決できる可能性も考えられます。AIの導入自体が目的化しないよう、自社に適したシステムを比較検討しながらDX推進に取り組みましょう。
コールセンターでAIを導入する流れ
コールセンターでAIを導入する流れを6つのステップで解説します。準備期間中に社内で取り組むべきことを確認して、スムーズに現場へ導入しましょう。
Step1.課題を洗い出す
初めに、現状のコールセンターの課題を洗い出します。現場の問題点を可視化したうえで、AI導入により改善が期待できる箇所を把握することがポイントです。
Step2.業務フローの見直しと検討を行う
既存の業務フローを見直して、どの部分にAIシステムを適用するべきか検討します。例えば、問い合わせの一次対応の業務負荷が課題となっている場合は、「最初にチャットボットが対応し、必要に応じて人間のオペレーターに引き継ぐ」といったフローを新たに設計すると良いでしょう。
Step3.製品やサービスを選ぶ
複数社の製品・サービスを比較検討します。機能面に過不足がないAIシステムを選ぶことで、導入効果の最大化を目指しましょう。冒頭でご紹介したAIボイスボットのようなツールから、AI非搭載のボイスボットやIVRまで、自社に適したサービスを見極めることが大切です。
Step4.データを入力する
選定したAIシステムに自社の学習データを取り込みます。コールセンターの場合、過去の問い合わせ履歴やFAQデータなどを収集して活用するのが一般的です。
Step5.試験運用のうえ本稼働を実施する
AIシステムの準備が整ったら、業務の一部で試験的に運用をスタートします。この段階で発見した初期トラブルは、本稼働前までに解消しておきましょう。不具合に対処したうえで、スケジュールに合わせて正式な稼働へと進みます。
Step6.運用開始後の確認と調整を行う
AIシステムの本稼働後は、定期的に運用方法を見直し、適宜調整する必要があります。その際は、サービス提供会社の担当者と連携しながら、システム運用のノウハウを学び、より良い運用方法を検討していくのがおすすめです。
コールセンターにAIを導入するポイント
コールセンターにAIを導入するうえでのポイントを解説します。AIで電話応対を効率化し、サービス品質を高めるために、メンテナンスや業務フローの構築にも注力しましょう。
導入目的の明確化
AIを導入する際は、まず自社の導入目的を明確にすることが大切です。また、その後は目的達成につながるAIシステムを選定し、導入後は運用改善に取り組み続ける必要があります。例えば「コールセンターの24時間対応の実現」「顧客満足度の向上」といった目的を明らかにして、課題解決につながる機能を搭載したシステムを選びましょう。
定期的なメンテナンスによる精度の向上
AIの精度を向上させるためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。一度学習データを読み込ませた後は、調整を繰り返して精度を高めることで、カスタマーサポートでの実用性を保てます。導入後も学習データの量を増やしたり、パラメータを調整したりと、精度向上へ向けたメンテナンスの手間がかかるのが注意点です。
トラブル時の対応フローの設定
AIシステムの導入後、万が一トラブルが発生した場合に備えて、事前に対応フローを決めておくと安心です。システムにトラブルが発生した際は、復旧へ向けて迅速な対応が求められます。緊急時に判断を行う責任者を明確にしておくとともに、現場のオペレーター向けにマニュアルを作成し、社内で情報をシェアしておきましょう。
コールセンターにおけるAIの活用事例
最後に、コールセンターにおけるAIを搭載したサービスの導入事例をご紹介します。AI活用で具体的にコールセンターの状況がどう変化するのか、ぜひ以下の事例を参考にしてみてください。
チャットボットの活用事例
チャットボットを活用してあふれ呼対策を実施した企業の事例です。同社では、繁忙期の突発的な呼量の増加や、市場拡大にともなう呼量の増加が課題となっていました。そこで、問い合わせ対応にチャットボットを導入し、オペレーターの仕事をフォローする体制を構築したのです。あふれ呼が発生した際、オペレーターが対応しきれない顧客の対応をチャットボットが補います。これにより、電話窓口に繋がらない顧客のストレスを避けて、多様なチャネルで課題解決ができるようになりました。
【導入事例】
IVRを使って解決チャネルの最適化を目指しています!
ボイスボットの活用事例
ボイスボットを活用して生産性向上を実現した企業の事例です。同社には、従業員がコア業務の合間に電話対応を行う体制から、業務負荷が大きくなってしまうという課題がありました。そこで実施したのが、代表電話にボイスボットを導入し、とりつぎ業務を自動化する対策です。これにより、とりつぎ業務の負担が大幅に削減され、従業員がコア業務に集中しやすくなり、生産性向上を叶えられました。顧客目線でも、担当者へ直接電話が繋がるため、たらい回しにされるストレスがなくなるのが大きなメリットです。
【導入事例】
TELハラ・カスハラ対策にも対応 17%削減した対応工数時間をコア業務へ
自社に適したAIソリューションでコールセンターの課題解決へ!
電話業務にAIを導入すると、コールセンター業界が抱える人手不足や対応品質向上といったさまざまな課題の解決が期待できます。そこで重要となるのが、自社の課題に合わせてAIを活用することです。AIの導入自体が目的化してしまうと、オーバースペックなツールを導入してしまったり、現場で十分に活用されなかったりして、却って課題解決が難しくなってしまうおそれがあります。そのため、導入時は課題の洗い出しから丁寧に取り組み、自社の課題や規模に適したソリューションを選定しましょう。
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