コールセンターでの生成AI活用とは?導入メリットから注意点まで解説
2026/05/14
コールセンター(コンタクトセンター)業界では、生成AIを活用したカスタマーサポートの効率化や品質向上の取り組みが始まっています。既存の自動化技術と生成AIを組み合わせることで、現状のコールセンター業務の問題を解決できる可能性があるでしょう。
本記事では、コールセンターに生成AIを導入するメリットや、導入時の注意点、活用事例などを解説します。生成AIの導入を検討しているコールセンター運営者様は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
・チャットボット・ナレッジ自動化による業務効率化(教育業界)
・まとめ:生成AIの活用でコールセンターの業務改革を実現しましょう!
生成AIの導入でコールセンターはどう変わる?
近年はコールセンター業務への生成AIの導入が注目されています。シナリオ(ルールベース)型である従来型AIでは、あらかじめ決められたパターンに基づいて対応が行われていました。それに対して生成AIは、大規模言語モデル(LLM)によって文脈を理解し、自然な応答文を生成できることが特徴です。
生成AIの導入で今後のコールセンターがどう変わるのか、従来の自動化技術と比較しながら解説します。
【比較で分かる】生成AIと他の自動化技術との違い
まずは、コールセンター業務で用いられる「生成AI」「従来型AI」「RPA」「IVR(自動音声応答システム)」の役割や、得意・苦手な業務について解説します。それぞれの自動化技術の特徴を、以下の表にまとめました。
| 技術分類 | 主な役割 | 得意な業務(例) | 苦手な業務(例) |
|---|---|---|---|
| 生成AI | 文脈理解と創造 | ・ユーザーとの自然な対話 ・文章の生成や要約 ・データ分析 |
・学習データに含まれない最新情報の案内 ・絶対的な正確さを求められる場面での回答 |
| 従来型AI | ルールに基づく判断 | ・FAQ(よくある質問)への回答 ・チャットでの情報案内 |
・複雑な質問や難易度の高い質問への回答 |
| RPA | 定型業務の実行 | ・大量のデータ入力 ・メールの振り分け |
・ルール化できない判断を必要とする非定型の作業 |
| IVR | 音声による自動案内 | ・定型的な質問への回答 ・電話での情報案内・電話の自動振り分け |
・顧客の感情に配慮したクレーム対応 ・イレギュラーな顧客対応 |
生成AIをコールセンター業務に導入すると、自然な対話による顧客対応が可能となります。また、文章の生成・要約によってオペレーターを支援したり、データ分析で現状の運営状況を把握したりすることが可能です。その一方で、生成AIは学習データに含まれない情報を扱えないため、最新情報を案内する業務には適していません。また、ハルシネーション(=事実と異なる情報の生成)のリスクがあるため、回答に絶対的な正確さを求められる業務では、人間の専門家による確認が必要です。
なぜ今コールセンターで「生成AI」が注目されているのか
生成AIによる情報案内では、従来型AIやIVRとは異なり、シナリオに基づかない自然な対話が可能です。そのため、より柔軟性の高いサービスの提供が実現できるでしょう。また、定型業務に特化したRPAとは異なり、生成AIはオペレーターの支援をはじめとした非定型業務でも活用できます。こうした背景から、生成AIを既存のさまざまな自動化技術と組み合わせることで、コールセンターにおける高度な業務改革を実現できると期待されています。
コールセンターにおける生成AIの主な活用方法
実際の業務フローの中で生成AIがどのように機能するのか、代表的な活用方法を解説します。
通話内容の自動要約と後処理の効率化
通話録音データのテキスト化から要約までを生成AIに任せることで、後処理の負担は劇的に軽減されます。従来の音声認識によるテキスト化では、相槌や言い淀みまで記録されてしまい可読性に課題がありました。しかし生成AIであれば、会話の趣旨や顧客の要望、最終結論だけを抽出・整理したクリアな要約文を作成可能です。出力結果を顧客管理システムへそのまま反映できるため、業務効率化に直結します。
トークスクリプトやFAQの自動生成
FAQやトークスクリプトの作成・運用においても、生成AIは強力なアシスタントとなります。過去の問い合わせ履歴やマニュアルを学習させれば、頻出する質問と回答の組み合わせを自動で洗い出し、適切な文書として出力してくれます。また、顧客から寄せられる最新の質問傾向を分析し、現在不足しているFAQを自ら提案する機能も備えています。マニュアル更新の工数を大幅に削減しながら、現場のオペレーターへ常に鮮度の高い情報を提供し続けられるでしょう。
音声認識と連携したリアルタイム回答支援
顧客との通話音声をリアルタイムに解析し、最適な回答候補をオペレーターの画面へ自動提示するシステムの導入も進んでいます。会話の中に特定の専門用語や製品名が登場した瞬間、AIが社内データベースから関連情報を瞬時に検索・表示するため、保留ボタンを押して資料を探す手間がかかりません。顧客を待たせることなくスムーズな対話に集中できるこの仕組みは、取り扱う商材が多岐にわたるコールセンターにおいて、極めて実用的なサポート機能といえます。
VoC(顧客の声)の分析
日々蓄積される膨大な「VoC(Voice of Customer:顧客の声)」の分析も、生成AIが得意とする領域です。かつては担当者が手作業で音声やテキストを一つひとつ読み込んで分類していましたが、AIであればこれらのデータを瞬時に処理し、通話やチャットの履歴から顧客の感情・要望を正確に抽出します。共通の不満や潜在的なニーズまで自動で要約・レポート化してくれるため、経営陣や開発部門への迅速なフィードバックが可能となり、商品やサービスの改善スピードの飛躍的な向上が見込めます。
外国語での対応
多言語対応の需要が急増する中、マルチリンガル人材の確保は多くのコールセンターが抱える共通の課題です。こうした状況下において、生成AIによる高精度なリアルタイム翻訳機能が大きな突破口となります。顧客の外国語が瞬時に日本語へ翻訳されるだけでなく、オペレーターの日本語も自然な外国語へと変換されるため、言語の壁を越えたスムーズな双方向の意思疎通が実現します。複雑なニュアンスまで適切に処理できることから、語学に特化したスタッフを新たに増員せずとも、あらゆる言語の顧客へ均一かつ高品質なサポートを提供できるようになるでしょう。
生成AIをコールセンターに導入する主なメリット
生成AIをコールセンターに導入すると、具体的にどのようなメリットが期待できるのでしょうか。ここでは、生成AIをコールセンターに導入する主なメリットをご紹介します。
リアルタイムオペレーター支援による応対品質の向上
オペレーターが応対中の支援に生成AIを活用し、リアルタイムでFAQの自動提示やナレッジ検索を行うことで、人材のスキルにかかわらず即時に適切な対応が可能となります。課題解決に必要な情報の抽出にかかる時間を短縮できることに加えて、SVへ指示を仰ぐエスカレーションの件数を低減できるのがメリットです。
通話内容の自動要約・分析による工数削減
生成AIで顧客との通話内容の文字起こしや要約を自動化することで、オペレーターが後処理を迅速に完了できるようになります。問い合わせ対応後にテキスト化する負担をなくし、スムーズに次の問い合わせへ対応することが可能です。また、通話内容を生成AIで分析すれば、自社の応対傾向や課題の可視化にも役立てられるでしょう。
FAQ・マニュアル自動生成によるナレッジ管理の最適化
生成AIを利用して、問い合わせ履歴から自動的にFAQや業務マニュアルを作成できます。「業務のオペレーション」「トークスクリプト」「商品・サービスの詳細情報」といった膨大な情報をマニュアル化して、属人化防止や新人教育の効率化を実現できます。人材不足のコールセンターでも管理者の負担を軽減し、効果的に人材育成を行うことが可能です。
チャットボットによる顧客対応の自動化と24時間対応の実現
コールセンターの顧客対応に生成AIを搭載したチャットボット・ボイスボットを導入すると、定型対応を自動化し、社内の生産性向上や顧客の自己解決向上が期待できます。さらに、導入後に24時間365日の顧客対応が可能となると、待ち時間や対応漏れが削減され、顧客満足度向上につながるのもメリットです。
【参考記事】
チャットボットの種類と特徴|メリット・デメリットと業界別の選び方
知っておくべき生成AI導入の注意点
生成AIはコールセンター運営企業に多くのメリットをもたらす一方で、対応品質や投資対効果のほか、顧客データの取り扱いには注意が必要です。ここでは、生成AI導入の注意点を解説します。
ハルシネーション(誤情報生成)のリスク
生成AIには、事実と異なる情報を生成する「ハルシネーション」のリスクがあります。リスク管理の観点から、顧客へ誤った情報を提供しないよう人間によるファクトチェックを実施したり、明確な運用ルールを整備したりすると良いでしょう。また、コールセンター業務に関する社内データを学習させて、回答精度を向上させる取り組みも有効です。
導入・運用コストと投資対効果(ROI)
生成AIを用いたソリューションを導入する際は、初期費用・ランニングコストに対して、求める成果を得られるかを十分に見極めましょう。その際は、工数削減などの定量面だけでなく、顧客満足度などの定性面も含めて評価することがポイントです。
セキュリティとプライバシー保護の課題
コールセンター業務では顧客データを取り扱います。そのため、生成AIを導入する際は「アクセス権限の管理」「ログの監視」「データの暗号化」などのセキュリティ対策が不可欠です。システムに搭載されたセキュリティ機能や、サービス提供会社のプライバシー保護体制を事前に確認しておくと良いでしょう。
AIに学習させる時間や精度向上に時間がかかる
生成AIは、導入直後から完璧な回答を出力できるわけではありません。自社独自のルールや専門用語を理解させるためには、事前の学習が必要です。過去の応対履歴やFAQシステムなどのデータを読み込ませる作業が発生します。さらに、学習させた後も、テスト運用を通じて回答の精度を検証しなければなりません。
AIが誤った情報を出力した場合は、正しい回答例を与えて修正を繰り返します。このような微調整には、ある程度の期間と手間がかかることを覚えておきましょう。すぐに結果を求めるのではなく、中長期的な視点でAIを育てる意識が大切です。専任の担当者を配置するなど、継続して精度を高める環境を整えていきます。
コールセンターへの生成AI導入ステップ
最後に、自社に生成AIを導入するための具体的な手順を解説します。
導入目的とKPIの明確化
最初の段階として、生成AIを導入して何を解決したいのかという目的を明確に定めることから始めます。例えば、後処理時間の削減を目指すのか、それとも応答品質の向上を狙うのかによって、選ぶべきシステムや活用方法は異なってくるためです。
目的が決まったら、それに対する具体的な目標数値となるKPIを設定する作業へ移ります。現在の平均処理時間や応答率の数値を把握し、導入後にどれだけ改善させるかという基準を持つことで、プロジェクトの成功を客観的に評価できる状態が整います。
業務の棚卸しとPoC(概念実証)の実施
目的が定まったら、現在の業務プロセスを洗い出し、どの部分に生成AIを組み込むべきかを検討するプロセスに入ります。いきなりすべての業務や窓口に導入するのではなく、影響範囲の小さい特定の窓口や特定の業務に絞って小さく始めることが成功の鍵と言えます。
この小規模なテスト導入をPoCと呼ばれる手法です。PoCを通じて、生成AIの回答精度やシステムの使い勝手を現場のオペレーターに評価してもらい、運用上の課題を見つけ出す作業を行います。検証で得られた結果をもとに改善を重ねた上で、徐々に全社的な運用へと広げていく手順を踏むことが効果的です。
| 導入のステップ | 段階名 | 実施する具体的なアクション |
|---|---|---|
| 第一段階 | 目的と目標数値の決定 | 解決すべき課題を明確にし導入後の成功基準となる数値を設定する |
| 第二段階 | 対象業務の選定と棚卸し | 現場の業務フローを可視化しAIを適用する範囲と優先順位を決める |
| 第三段階 | 小規模なテスト導入の実施 | 一部の窓口に限定して試験的に導入し回答精度や使い勝手を検証する |
| 第四段階 | 本格展開と継続的な改善 | テスト運用で見えた課題を修正し全体へ展開しながらナレッジを更新する |
コールセンターにおける生成AIの活用例
最後に、コールセンターにおける生成AIの活用例をご紹介します。自社のDX推進へ向けて活用方法を検討してみましょう。
AIアバター型オペレーターによる音声自動対応(保険業界)
保険業界では、生成AIを活用したカスタマーサポート業務の大規模な自動化が進められています。AIアバター(=人物や動物を模した仮想空間におけるキャラクター)を用いて、バーチャルオペレーターが顧客対応を行う仕組みです。この施策により顧客対応の自動化とコスト削減が期待されています。
VoC分析によるサービス改善(鉄道業界)
鉄道業界では、生成AIによる分析を活用して、VoC分析によるサービス改善が進められています。コールセンターに寄せられる大量の顧客の声を生成AIで分析することで、埋もれがちな意見や要望を効率的に収集し、サービス品質向上に役立てています。
チャットボット・ナレッジ自動化による業務効率化(教育業界)
教育業界では、オペレーター支援に生成AIを活用し、人材育成の効率化や電話対応の品質向上が進められています。例えば、生成AIを使用して顧客へ送信するメール文面を自動作成し、オペレーターの負担軽減を図っています。
まとめ:生成AIの活用でコールセンターの業務改革を実現しましょう!
本記事で解説した、コールセンターにおける生成AI活用の重要なポイントをまとめます。
• 生成AIと既存の自動化技術を組み合わせることで、高度な業務改革を実現できる
• 後処理の効率化や応対品質の向上など、現場の課題を解決する多くのメリットがある
• 導入時はハルシネーションのリスク管理やセキュリティ対策などのルール整備が不可欠である
• 目的を明確にし、PoC(概念実証)を通じて小規模からテスト運用を始めることが成功の鍵となる
投資対効果の高いソリューションをご検討の際は、専門知識不要で業務効率化に寄与するボイスボット「DHK CANVAS」の詳細をぜひご確認ください。
DHK CANVAS
お役立ち資料 無料ダウンロード
【本資料は、下記の関心をお持ちの方におすすめです】
・自社に合うボイスボットを選定する判断軸を整理したい
・導入後のよくある失敗と成功ポイントを確認したい
監修者情報
メーカーのコールセンター運営管理に従事し、自らIVRを導入。
不要な入電を抑制しつつ売上向上を実現するなど、現場視点で成果を創出。電話放送局では営業マネージャーとして10年以上従事し、クラウド型IVRの業界シェア1位獲得に貢献。
コロナ禍におけるユーザーのデジタル行動変容を受け、マーケティング部門を立ち上げ、責任者に就任。インサイドセールスを統括し、営業部門との連携を強化。自動音声応答の導入、運用、集客、営業の幅広い経験を有する。
IVRおよびコールセンター市場における20年以上の知見を活かし、ユーザーの検索行動やニーズを深く理解したマーケティング戦略を展開。
検索連動広告の運用経験を基に、現場で役立つ実践的な情報を発信し、読者のビジネス成功を力強くサポートします。
マーケティング責任者 営業部営業推進課 課長 前田泰延
関連コラム
おすすめコラム
IVRをご検討中の方
簡単・便利なIVRを体験
カテゴリー
- ACD(2)
- AHT(1)
- AIエージェント(15)
- BPO(4)
- CPaaS(2)
- CS調査(7)
- CX(3)
- DX(12)
- EX(1)
- FAQ(1)
- FAXDM(1)
- KPI(4)
- PBX(3)
- PCI DSS(2)
- RPA(1)
- SMS(2)
- SMS送信IVR(3)
- VOC(8)
- あふれ呼(5)
- アンケート(5)
- インバウンド(2)
- オートコール(8)
- カスハラ(7)
- カード決済(3)
- キャンペーン活用(1)
- コンビニ決済(1)
- コールセンターシステム(8)
- コールフロー(4)
- コールリーズン(6)
- チャットボット(2)
- テレワーク(2)
- バックオフィス(8)
- ビジュアルIVR(1)
- ボイスフィッシング(1)
- ボイスボット(16)
- ボイスボット・IVR選び方(18)
- マニュアル(11)
- 基本(1)
- 多要素認証(4)
- 多言語(1)
- 導入事例(3)
- 生成AI(13)
- 用件振分・情報案内(5)
- 督促(4)
- 自動受付IVR(1)
- 自治体DX(5)
- 電話取り次ぎ(14)
- 電話認証(4)
IVRで電話業務を自動化する手法や、IVRサービス提供会社を選ぶポイントを知ることができる資料を無料提供
ボイスボット(IVR)で課題解決
こんな課題ありませんか?
- 今より人は増やせない。今の体制で無理なく運用できる現場を作りたい。
- AIに任せて大丈夫?自社に合うボイスボットの選定基準がわからない。
- 効率化はしたい。でも、お客様に『冷たい』と思われる対応は避けたい。
お電話からのお問い合わせ
-
大阪(西日本エリア)
06-6313-8000 -
東京(東日本エリア)
03-3645-1711