2024/11/29

コールセンターの業務効率化や顧客満足度向上の課題を抱えている場合は、「RAG(検索拡張生成)」の活用により解決できる可能性があります。RAGを取り入れると、AI(人工知能)の技術と検索機能を掛け合わせて、ユーザーに回答を提示することが可能です。近年はコールセンターをはじめとしたさまざまなビジネスシーンで、RAGを活用するニーズが高まっています。

本記事では、RAGの基礎知識からコールセンター業務での活用方法まで解説します。トレンドのAIによる業務課題の解決を検討している企業のご担当者様は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

RAGの基本情報

 ・RAGとは

 ・RAGと一般的な生成AIの違い

 ・RAGのメリットや注意点

そもそもコールセンターにおけるAIの活用法とは

 ・コールセンターでよくある悩み

 ・コールセンターにおける主なAIの活用法

RAGをコールセンターに導入することで期待できる効果

 ・正確な最新情報の提供

 ・複雑な問い合わせへの対応をサポート

 ・応答時間の短縮

 ・トレーニング時間の削減

コールセンターでRAGを効率的に活用するポイント

 ・質の高い外部データベースを構築する

 ・適切な検索アルゴリズムを選択する

 ・オペレーターとの連携を整える

RAGを活用してコールセンターの業務効率化や顧客満足度向上を実現!

RAGの基本情報

近年、コールセンター業界でも活用が始まっているRAGとは、どのような技術なのでしょうか。初めに、RAGに関する基礎知識を解説します。

RAGとは

RAGとは「Retrieval-Augmented Generation(検索拡張生成)」を略した用語で、生成AIと検索機能を組み合わせた技術のことを意味します。ユーザーの質問に応じて、検索システムで外部データを検索して情報を取得し、その情報に基づいて大規模言語モデル(LLM)が回答を生成する仕組みです。検索によって外部のデータを参照し、AIに不足している知識や最新情報などを補える点が大きな特徴となっています。

RAGと一般的な生成AIの違い

一般的な生成AIでは、事前に学習したデータに基づいて回答を生成する仕組みが採用され、基本的に回答は学習時点でのデータに依存することになります。そのため、学習データに含まれない内容を回答することはできません。学習済みのAIに追加でデータを学習させる「ファインチューニング」という方法もありますが、大量かつ質の高い学習データを用意するために多くのコストがかかるのがデメリットです。

それに対して、RAGでは検索機能を併用するので、外部データに含まれる情報をリアルタイムで取り入れて回答することが可能です。社内情報や関連情報などのさまざまなデータソースを検索させることで、幅広いニーズに対応する汎用性の高い運用を実現できます。また、回答に最新の情報を反映させる場合、ファインチューニングと比べてコストを大幅に削減できるのもポイントです。

コールセンター業務におけるRAGの活用事例として、以下のようなシーンが想定されるでしょう。

【RAGの活用シーン例】
・問い合わせの自動対応
・社内ヘルプデスクの一次回答
・マーケティングリサーチへの活用
・社内申請のサポート
・コンテンツ作成用のツール

RAGのメリットや注意点

ビジネスシーンにRAGを導入すると、あらゆる業務の効率化が期待できます。検索機能との掛け合わせにより、最新の情報を反映させた回答ができるようになるので、顧客にリアルタイムで情報を提供したい場面にも適しています。例えば、企業の休業情報のように現時点の最新情報に基づいて回答する必要があるケースで役立てられるでしょう。

RAGが外部データにアクセスする際の検索方法を改善することで、回答精度を高めることも可能です。また、一般的な生成AIでは、事実と異なる情報をあたかも正確であるかのように説明する「ハルシネーション」という現象が懸念されています。それに対して、RAGでは信頼できる外部データを参照して出力させることによってハルシネーションが起きづらくなると期待されています。

・RAGの注意点
RAGを運用する際は、データソースとなる外部データの品質次第では、誤った情報を提示するリスクが存在します。また、社内情報を扱う際は、プライバシーやデータセキュリティの観点から、データに適切な利用制限をかけることが重要です。

さらに、RAGは検索システムと生成AIを組み合わせるために高度な専門性を求められます。社内で設計や実装を担うには、専門知識と技術を身につけたIT人材が不可欠です。

そもそもコールセンターにおけるAIの活用法とは

コールセンター業務におけるAIの活用法は、FAQでの質問対応からオペレーターの補助まで多岐にわたります。さまざまな場面でAIが活用され、業務効率化や顧客満足度の向上に貢献している状況です。ここでは、コールセンターにおけるAIの活用法をご紹介します。

コールセンターでよくある悩み

コールセンターやコンタクトセンターなどのカスタマーサービスを提供する部署では、顧客対応の品質向上や応答時間の短縮が常に課題となっています。また、サービス品質向上のためのオペレーターの教育コストや、従業員の離職率の高さなどもよくある悩みの種です。さらに、近年は商品・サービスの多様化にともない顧客からの問い合わせ内容が多様化し、オペレーターが即時対応するのが難しいケースが多くなっています。AI技術は、コールセンターにおけるこれらの問題を解決する手段として期待されています。

コールセンターにおける主なAIの活用法

コールセンターでは、FAQの自動応答やチャットボットによる基本的な質問対応などの場面でAIの活用が始まっています。簡単な質問であれば、オペレーターを介さずにAIで自動的に解決できる可能性があります。また、AIでコールセンターの会話分析を実施すると、現状の顧客対応の課題を特定し、顧客満足度を向上させるための改善提案を受けることが可能です。このほかに、AIが顧客対応中のオペレーターに予測される回答を提示するといったように、オペレーターの業務を補助する活用方法も考えられるでしょう。

RAGをコールセンターに導入することで期待できる効果

コールセンターにRAGを導入すると、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか。コールセンターの課題解決へ向けて、企業がRAGで実現できることを確認してみましょう。

正確な最新情報の提供

コールセンターでの情報提供にRAGを活用すると、最新の情報に基づいた回答を顧客に提示できます。回答の精度が高まれば、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。誤った情報の提供を防ぐことで、トラブル防止にもつながります。

複雑な問い合わせへの対応をサポート

RAGは生成AIと検索機能を組み合わせて回答する仕組みなので、検索する外部データ次第で特定の業務に特化した質問にも対応できます。コールセンターのオペレーターの補助などの場面では、スムーズにナレッジを提供し、複雑な問い合わせへの対応をサポートすることが可能です。

応答時間の短縮

RAGをオペレーターの補助に活用すると、電話の応答時間を短縮できます。また、FAQなどのルーチンワークをRAGの自動生成で対応すれば、オペレーターが空いたリソースで複雑な案件に集中しやすくなります。自動化により顧客の待ち時間が減少し、コールセンター全体の業務効率化や生産性向上が期待できるでしょう。

トレーニング時間の削減

新人オペレーターがサポート業務でRAGを利用すれば、早い段階で適切な顧客対応ができるようになります。コールセンターの教育コストを削減できるのが魅力です。また、オペレーターのトレーニングにRAGを取り入れるという活用方法も挙げられます。

コールセンターでRAGを効率的に活用するポイント

コールセンター業務へRAGを導入し、効率的に活用するには、以下のポイントを意識すると良いでしょう。最後に、コールセンターでRAGを効率的に活用するポイントを解説します。

質の高い外部データベースを構築する

RAGによる回答精度を高めるには、信頼性のある情報ソースを確保し、検索精度を向上させることが大切です。そのためにも、検索システムのデータベースは継続的にメンテナンスを実施し、情報の更新を行いましょう。

適切な検索アルゴリズムを選択する

RAGのパフォーマンスは、検索アルゴリズムの精度に大きく依存する傾向にあります。コールセンター業務の特性に合わせた検索アルゴリズムを選択するとともに、精度の高い検索ができるよう調整に取り組みましょう。

オペレーターとの連携を整える

RAGはあくまでもコールセンター業務を支援するツールの一種であり、オペレーターの役割を完全に置き換えるものではありません。それぞれの強みを活かして最適なパフォーマンスを引き出すためにも、オペレーターとの効果的な連携方法を確立する必要があります。

RAGを活用してコールセンターの業務効率化や顧客満足度向上を実現!

ここまで、コールセンター業界におけるRAGの活用についてお伝えしました。生成AIと検索機能を組み合わせたRAGは、ビジネスシーンの課題を解決へ導くソリューションとして注目されています。コールセンター業務では、問い合わせの自動対応やオペレーターのサポートをはじめとした幅広いシーンでRAGの活用例があり、DX推進に役立てられます。最先端の手法を導入して、コールセンターの業務効率化や顧客満足度向上を実現しましょう。

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