医療DXとは?政府が進める「医療DX令和ビジョン2030」の主な施策と課題
2025/05/28

DX(デジタルトランスフォーメーション)の考え方は医療業界にも広まりつつあります。デジタル技術や蓄積された医療データを活用することで、患者さんに従来よりも良い医療サービスを提供するとともに、スタッフの働き方を改善できる可能性があります。
この記事では、そんな医療DXに関する基礎知識や、政府が進める「医療DX令和ビジョン2030」の主な施策内容、医療DXで盲点となりやすい窓口・電話業務の改善について解説します。病院や診療所(クリニック)の経営者や管理者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
医療DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
医療DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、医療分野においてデジタル技術やデータを活用し、医療サービスの質を高める取り組みのことです。社会の少子高齢化に伴い医療ニーズがますます増加し、人手不足が懸念されている日本国内では、今後も医療DXの重要性が高まっていくと考えられるでしょう。医療DXを推進すると、情報活用・ペーパーレス化・クラウド活用によって従来よりも効率的にサービスを提供できる医療体制が整備され、患者さんや医療従事者の利便性が向上すると期待されています。
【参考】 「医療DXについて」 (厚生労働省)
医療DXにおける主な施策と課題
2022年には、国内の医療DX推進の中核となる政府の方針「医療DX令和ビジョン2030」が提言されました。持続可能な社会保障制度の構築へ向けて、医療分野では主に「全国医療情報プラットフォームの創設」「電子カルテ情報の標準化」「診療報酬改定DX」の3点が推し進められています。
ここでは、3つの取り組みについてそれぞれ解説します。
全国医療情報プラットフォームの創設
医療DXの施策の一つとして構想されている「全国医療情報プラットフォーム」とは、「医療情報」「介護情報」「行政・自治体情報」を統合し、一元管理する情報基盤のことです。医療機関・薬局・介護事業者・保険者・自治体などの各者が保有する医療情報をシームレスに共有できるよう、情報連携の強化を目的としています。例えば、電子カルテ・処方箋・健診結果などの医療情報を共有することで、患者さんや医療従事者が必要な情報へ迅速にアクセスできるようになり、医療の質や柔軟性の向上が期待できます。
電子カルテ情報の標準化
多くの医療機関に導入されている電子カルテ情報を標準化する施策です。これまで医療機関では、各ベンダーが独自の仕様やデータ形式で提供する電子カルテを利用してきたため、情報連携に課題がある状況でした。そこで、電子カルテの多様性を確保しつつ、将来的な技術の発展へ柔軟に対応できる形で標準化を推し進める動きが始まっています。具体的には、医療情報交換の次世代標準フレームワークである「HL7 FHIR」の推奨や、情報管理に用いる標準コードの拡大といった対応が検討されています。
診療報酬改定DX
現状、診療報酬は2年に一度のタイミングで定期的な見直しが行われていますが、ベンダーや医療機関では改定の度にシステム改修の負担が発生している状況です。そこで、改定に伴う負担の極小化を目指して診療報酬改定DXが検討されています。例えば、窓口での支払い金額を自動計算する「共通算定モジュール」の開発、公費を正確に管理する「共通算定マスタ」の整備、点数表のデジタル化などの施策が挙げられます。
ここまで、医療DXにおける主な施策をご紹介しました。その一方で、医療業界にはDXの施策へ取り組むにあたりさまざまな課題が残っています。例えば、現場のITリテラシー不足や、電子化による運用コストの増大、サイバーセキュリティ対策など、懸念点は少なくありません。これらの課題を解決しDXを実現するためにも、政府・医療機関・医療関係者が連携し、共通の目標へ向けて取り組むことが大切です。
【参考】 「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チーム」 (厚生労働省)
電話・窓口対応は医療DXの盲点?
近年は、医療機関向けの「電子カルテシステム」「デジタル問診票」「オンライン診療(遠隔診療)」をはじめとした新たなデジタルツールが注目される一方で、医療現場の窓口・電話業務の負担については意外と見落とされがちです。多くの医療機関では、依然として電話による診療予約や問い合わせ対応が行われています。医療DX推進体制を見直すにあたり、盲点となりやすい窓口・電話対応の課題にも着目してみましょう。
医療現場における窓口・電話対応の課題
多くの医療機関では、窓口・電話対応において以下のような課題が発生しています。業務効率の低下が原因となり、対応が遅れて患者さんに不便が生じたり、窓口スタッフが疲弊してしまったりするおそれがあるため注意が必要です。
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【窓口・電話対応の課題の主な例】
・電話がなかなか繋がらず、患者さんが不満を感じる
・予約や変更の対応に追われて、多忙な窓口スタッフが疲弊してしまう
・二重予約や伝達ミスが発生するリスクが高い
・担当者によって対応にバラつきがあり、サポート品質が安定しない
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これらの課題はトラブルやクレームに発展する可能性があることから、窓口・電話対応のDXは医療機関の信頼性にも直結する問題だといえるでしょう。医療機関の窓口や電話口は患者さんとの最初の接点であるため、医療DXにおいて優先的に取り組み、適切に対処する必要性があります。
「診療予約システム」と「IVR」の活用による改善とは
窓口・電話対応の改善に有効な医療DXの施策として、「診療予約システムとIVR(自動音声応答システム)の連携」が挙げられます。近年はWeb上の診療予約システムを導入する医療機関が多いものの、電話対応は依然として現場のスタッフが担っているケースが少なくありません。そこで、以下のように診療予約システムとIVRを連携させる運用によって、電話業務の効率化を実現できます。
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【診療予約システム×IVRの運用例】
・24時間自動対応できる電話の予約受付システムを導入する
・よくある問い合わせを音声ガイダンスで案内する(例:診療時間、休診日など)
・電話で診療予約のリマインド通知を行う(例:前日に自動音声でお知らせ)
・電話が混雑する時間帯に自動案内を行う
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IVRを活用すると、患者さんが長時間にわたり電話口で待ったり、何度も電話を掛け直したりする不便がなくなるため、ストレスの低減につながります。また、スタッフの電話対応の工数削減や負担軽減も実現できるので、人材不足でお悩みの医療機関様にもおすすめします。
IVRの特徴や導入メリットについては以下の関連記事で詳しく解説しています。医療機関における電話業務の見直しにも効果的な施策のため、ぜひ本記事と併せて参考にご覧ください。
【関連記事】
IVRとは?特徴やコールセンターに導入するメリット、サービスの選び方
医療DXでは電話業務の見直しも視野に入れましょう!
ここまで、医療DXに関する基礎知識や、政府が進める「医療DX令和ビジョン2030」の主な施策内容、窓口・電話業務の改善方法について解説しました。近年は医療DXの推進へ向けて現状の院内の仕組みを見直す医療機関が多くなっています。その際は、患者さんの待ち時間を短縮し、スタッフの負担を軽減するためにも、電話業務の見直しを視野に入れると良いでしょう。
電話放送局が提供するソリューションを活用すれば、医療機関における電話業務の幅広い課題を解消できます。電話口での問い合わせ対応や受付手続きを自動化することで、現場の業務効率を高め、サービス品質向上や長時間労働の是正を実現可能です。電話放送局のソリューションは、高度なセキュリティを求められる業界での利用実績もございます。どうぞお気軽にお問い合わせやIVRのデモ体験をご利用ください。
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「DHK CANVAS」は、医療機関のニーズに応じてノーコードでコールフローの組み立てができます。その場で簡単に編集できるので、混雑時や緊急時などの場面に合わせて即座に反映させることが可能です。詳細は以下のページからご覧ください。
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