2022/02/09

BPOサービスはアウトソーシングの一種であり、近年では外部のリソースを広く調達できるようになりました。政府もビジネス支援サービスを推奨しており、利用したサービス事業者は、生産性と付加価値向上のダブル効果を得ています。

この記事ではBPOサービスの内容やメリット・デメリット、利用される業務の例などについてご紹介します。
これから自社業務にBPOサービスの導入を検討されている方は、ご参考にしてください。

目次

BPOサービスとは?

 ・社内の業務プロセスを一括して外部企業に委託すること

 ・BPOサービスが注目される背景

 ・人材派遣や請負との違い

BPOサービスを活用するメリットとデメリット

 ・BPOサービスを活用するメリット

 ・BPOサービスを活用する際のデメリット

BPOサービスが使われる業務の例

 ・事務作業

 ・経理・総務業務

 ・採用業務・人材育成業務

 ・システム開発業務

 ・コールセンター業務

BPOサービスを活用して企業の生産性や効率性を向上させることも可能に

BPOサービスとは?

ここではBPOサービスの特徴や注目される背景、他のアウトソーシングとの違いについて解説をします。

社内の業務プロセスを一括して外部企業に委託すること

BPOは「Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」の略で、社内の業務プロセスを一括して外部企業に委託することを意味します。会社の中心的な業務以外のビジネスプロセスごと、業務遂行に必要な一連の作業を全て依頼するというのが特徴です。欧米企業を中心に積極的に活用されており、日本でもビジネス支援サービスの活用として注目されています。

業務内容はバックオフィス業務が中心であり、人材育成や人材管理、給与計算、従業員の採用など定型的でルーティン化しやすい業務を依頼するケースが多いようです。その他には顧客関係管理(CRM)のマーケティングやセールス領域でも行われています。

BPOサービスが注目される背景

BPOサービスが注目される理由としては、「労働力不足」「企業の生産性・付加価値向上」の2点があげられます。

近年の日本では少子高齢化が進んでおり、労働人口の減少などに伴う人手不足が問題となっています。2020年における総務省統計局の調査では、15〜64歳の労働力人口は前年度と比較すると34万人減少し、平均で5,946万人となりました。日本の少子高齢化は今後も進んでいくという見通しが予測されており、労働力不足が改善する目途は立っていません。

このように労働力が不足する中で企業がさらなる生産性や付加価値を高めるためには、限りあるリソースで高い生産性を維持することが必要です。

貴重な労働力を収益の柱となる業務に集中させることにより、事業を成長させることを主な目的とします。

人材派遣や請負との違い

BPOサービスは人材派遣や請負と、一見似ているようですが違う性質を持っています。BPOサービスは外部の専門業者に業務遂行を依頼していますが、人材派遣は内部での労働力の拡充を目的としています。

請負も人材派遣の違いは請負が「成果物」を重視するのに対し、BPOサービスは「業務の遂行」自体を成果として見ることです。請負の場合は事前に取り決めた成果物に対して対価が発生します。

一方、BPOサービスは、業務の遂行そのものが成果となって対価が発生する手法で、納品すればそれで終わりというわけではありません。依頼を受けた専門業者では、すべてのビジネスプロセスを各業務のプロフェッショナルが担当し業務を遂行しますが、将来にわたって利益を生み出せるようなオペレーションも構築します。つまり、単に業務を完了させるというだけでなく、その先にあるベネフィットも見据えながら仕事をしていくのです。

BPOサービスを活用するメリットとデメリット

ここでは、BPOサービスを活用するメリットとデメリットについて解説しましょう。

コールセンター業務を丸ごと、一部などニーズに応じて活用

BPOサービスを活用するメリット

BPOサービスを利用すると、「業務にかかる時間やコストを削減できる」「コア業務に集中できる」「業務品質の向上を期待できる」という3点のメリットがあげられます。それぞれのメリットについて解説していきましょう。

・業務にかかる時間やコストを削減できる
時間を取られるが利益を発生しない業務を外部に委託することにより、自社で確保が必要だった工数を削減できるようになります。経済産業省が実施したアンケート調査によると、ビジネス支援サービス利用(うちBPO)で得られた効果のうち、「業務の効率化」では74.5%、「コスト削減」では72.2%が「期待通りと回答しました(図1)。

BPOで外部に委託していれば、社員の事情に関係なく一定の業務が遂行されるので、業務に影響を及ぼすことはありません。業務量に応じてその都度社員を増やす必要もないため、結果的に業務にかかる時間やコストを削減できるようになります。

業務を効率化できれば、社内業務に必要な人員の数を抑えられるため、人件費の削減にもつながります。たとえば、作業が属人化していると、特定の社員でないと業務が進められません。そうなると引継ぎがスムーズに行かなくなってしまい、作業がストップしてしまうリスクも考えられます。

図1)経済産業省「ビジネス支援サービスの活用」P3
https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/shoujo/service_koufukakachi/pdf/004_04_00.pdf

・コア業務に集中できるようになる
会社の業務には利益を生み出す「コア業務」と、必要ではあるけれども利益を生み出さない「ノンコア業務」があります。「コア業務」は営業活動やマーケティング活動、サービス開発など、「ノンコア業務」は総務や事務の仕事など、バックオフィス系の業務が代表的です。

特徴としては、コア業務の仕事は定型化がしにくく、ノンコア業務は定型化しやすいという面がみられます。定型化しやすい業務の中には自社でやる必要性が薄いものもあり、外部の専門事業者に委託したほうがクオリティの高い成果を期待できるのがメリットです。

BPOサービスを活用することで、定型化しやすい業務を外部に委託するほうが利益に繋がりやすく、定型化しにくいコア業務に社員を注力させられます。経済産業省のアンケート結果でも、「経営資源のコア業務への集中」が69.5%と約7割が「期待通り」と回答されました(図1)。


・業務品質の向上を期待できる
BPOサービスを受託している会社は、専門性の高い業務の委託を受けている事業者もあり、社内に業務遂行のノウハウを蓄積しているのが特徴です。「その道でのプロフェッショナル」が業務を担当するため、経済産業省のアンケート結果では、「専門的知識・スキルの活用」で「期待通り」が70.5%、「期待以上」が10.3%と高い満足度が示されました。

コンプライアンスの遵守・法令等改正への対応」で「期待通り」が71.0%、「期待以上」が9.7%とこちらも高い数値を出しています。

ゆえに自社が任せたい業務を得意とする事業者に依頼すると、質の高いサービスを期待できるでしょう。たとえば経理業務を依頼するならば、会計業務の専門事業者を選びます。自社に専門のノウハウを持たない企業が、BPOサービスを導入することにより、業務を最適化できます。

BPOサービスを活用する際のデメリット

BPOサービスを活用するメリットについて解説しましたが、デメリットとなる面もあります。こちらも確認してから導入を検討しましょう。

・委託した業務のノウハウ蓄積が難しい
BPOサービスは特定の業務を一括して委託することが多いため、事業者に業務を全て依頼する形になります。その結果、その業務に関しては人材が育成されず、社内で業務遂行に必要なノウハウが蓄積されにくいのがデメリットです。

すべてのプロセスを任せてしまうと、万が一、自社で対応せざるを得ない状況になってしまった場合、業務がストップしてしまいます。したがって、BPOサービスを活用する場合は、BPOサービス事業者から定期的に進捗状況について報告を受け、業務内容を確認するようにしてください。

・業務遂行に必要な社内情報の共有が必要
BPOサービスを利用するにあたり、委託内容によっては業務に必要な情報を業者に開示することが必要です。社内の機密情報を共有せざるを得ない業務もあるため、情報漏えいのリスクが高くなる可能性もあります。

したがって、業務委託を依頼する際は、セキュリティ体制への配慮が万全になされているかを確認することが必須です。

BPOサービスが使われる業務の例

BPOサービスはバックオフィス業務を中心に、さまざまな業務で導入されています。ここでは、BPOサービスが使われる業務の例についてご紹介しましょう。

事務作業

事務作業はBPOサービスがよく活用される業務のひとつです。定型化できる業務が比較的多いため、外部に委託するのに向いているといえるでしょう。書類作成や電話対応、オフィスの荷物受け取り、備品の管理などが該当します。

また、専門事業者に委託すると各業務のプロフェッショナルが担当するため、生産性を高めることも可能です。たとえば書類作成はライティングのプロが書いたり、データ入力はタイピングスキルの高い担当者が作業をしたりします。その他にも書類の発送や問い合わせ対応など、幅広い事務作業に対応しているBPOサービス業者があります。

経理・総務業務

経理・総務は、会社に利益をもたらす業務ではありませんが、なくてはならない存在です。定型化しやすい業務のため、経理・総務など会社の管理部門を中心に行われる業務は外部に委託するのに適しています。

毎月発生する業務の中には雑多になりやすい内容も含まれるため、事務作業でも臨機応変に対応しなければならないこともあるようです。BPOを活用することでより注力すべき業務に着手しやすくなるでしょう。

採用業務・人材育成業務

採用業務とは、社員を雇用するために採用計画を立てて募集・面接を行い、内定者を決定するのが仕事です。人材育成は入社した社員一人ひとりの能力を見出し、会社に貢献できる人材を育成していきます。

雑務に追われて採用業務や選考に時間が取れない企業がBPOサービスを利用すると、採用にかかる時間やコストの削減が可能です。また、一人の社員を一から教育するには大変な労力が必要ですが、外部の専門業者に委託すれば自社で行う必要はないため、コア業務に集中できます。

システム開発業務

システム開発業務とは、企業の業務システムや電子機器の制御システムなどを構築する仕事のことです。ITを専門とする社員がプログラミングし、システムを開発します。

BPOサービスの委託例としては、ホームページの制作や保守運用・システム運用・サーバー管理などの主要業務の一括依頼などがあります。システム開発には高度なスキルが必要なため、IT分野でのBPOサービスも注目されています。

IT分野のBPOサービスは高度なスキルが求められる

コールセンター業務

BPOサービスが得意とする業務のひとつが、コールセンター業務です。オペレーション対応から問い合わせ内容の記録、管理など一連の流れを担当するため、人材の確保や対応に必要なシステムの導入が不要になります。

また、BPOであればコールセンターの運営方法を戦略的に考えていくので、経営に役立つビジネスプロセスを構築してもらえます。したがって、自社のコールセンターをどのように運営していけば良いかを模索している場合に適している方法の一つです。

BPOサービスを活用して企業の生産性や効率性を向上させることも可能に

特定の業務をロボットに任せることが増えている

専門事業者に業務を一括で委託するBPOサービスを導入すると、経営に必要な時間やコストが削減でき、企業全体の生産性や効率性を向上させることが可能です。利益を生みだすコア業務に人的資源を割けるため、本来の会社の業務に集中できるようになります。これからの少子高齢化で労働力が少なくなっていく社会情勢に、ぴったりの方法です。

また、「その道のプロ」である専門事業者に任せるので、品質の高い仕事内容も期待できるでしょう。法改正などにも細かく対応してくれる専門事業者を選べば、コンプライアンス面でも問題になることはありません。
近年ではさまざまな業務を提供する事業者が次から次へと誕生しています。

コールセンター業務で人材不足や応答率の低さを改善したいお客様におすすめしたいBPOサービスが「ロボット自動受付」です。

「ロボット自動受付」は、コールセンターの受電業務を半自動化・完全自動化することにより、業務の最適化をスピーディーに実現できるサービスです。オペレーター1人分のコストで300体規模のロボットが応対するため、大幅なコストダウンを行えます。24時間365日いつでも応答可能で、特定のコールを無人化することが可能です。問い合わせ対応をロボットに任せて自動化することで、有人対応が必要な業務に注力できる体制を整えられます。  


業務効率化やサービスの向上、利用者の満足度を上げられるサービスなので、利用されてみてはいかがでしょうか。

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